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仕事・スキル 介護士の常識 2023/05/21

サービス提供責任者とは?仕事内容・年収・なる方法を解説!

構成・文/介護のみらいラボ編集部 監修/赤羽克子 thumbnail.jpg

訪問介護の現場に欠かせないサービス提供責任者は、現場でのキャリアアップを望む介護職が、将来の目標にすることも多い職種です。一方、介護士の方のなかには、「サービス提供責任者が介護現場にどのように関わる仕事なのか」について、詳細に把握できていない方もいるのではないでしょうか。

当記事では、サービス提供責任者について、仕事の概要から平均年収、求人状況、なるための要件、向いている方の特徴までを幅広く解説します。サービス提供責任者を目指す方は、ぜひご覧ください。

1.サービス提供責任者とは?

サービス提供責任者とは、主に訪問介護事業所において、より質の高い介護サービス提供を目指し、訪問介護サービスの実施計画の立案を行う職種です。「サ責」とも呼ばれ、ケアマネジャー(介護支援専門員)、ホームヘルパー(訪問介護員)、利用者さんの3者の間に立つ調整役として活躍します。

以下では、サービス提供責任者の仕事内容や他職種との違いを解説します。

サービス提供責任者の仕事内容

サービス提供責任者が行う主な仕事は、以下の通りです。

利用者さんやご家族との面談
サービスの利用開始時や利用開始後に面談を行うことで、利用者さんの状況を適切に把握し、より質の高い介護サービスの提供を目指します。

訪問介護計画書の作成
アセスメントの内容やケアマネジャーが作成したケアプランに基づき、提供する訪問介護サービスのもととなる「訪問介護計画書」を作成します。訪問介護計画書には、短期・長期の目標や利用者さんが抱える課題、サービス内容、サービスの提供方法などを記載し、サービス提供前には利用者さんとご家族の同意を得ることが必要です。

ケアマネジャーが中心となって行われる「サービス担当者会議」にも出席します。

ホームヘルパーの管理・育成
ホームヘルパーの勤務日程の調整といった業務管理もサービス提供責任者の仕事です。ホームヘルパーへのアドバイスやサポートなど、育成・指導面でもサービス提供責任者が活躍します。

訪問介護業務
事業所によっては、現場での介護業務を兼任するケースもあります。

ケアマネジャーとの違い

ケアマネジャーは、居宅介護支援事業所や介護保険施設などに所属し、利用者さんの介護サービス計画書(ケアプラン)を作成する職種です。実際に提供されている介護サービスが、ケアプランに沿っているかを判断するのも大事な仕事となります。

一方、サービス提供責任者は、ケアマネジャーが作成したケアプランをもとに、訪問介護計画書を作成します。

利用者さんに必要な介護サービス全体についてのプランを作成するのがケアマネジャーの役割です。それをもとに、訪問介護サービスの計画を立てるのがサービス提供責任者と考えれば、わかりやすいのではないでしょうか。

また、サービス提供責任者が訪問介護事業に特化しているのに対し、ケアマネジャーは居宅介護支援事業所や介護保険施設な活躍する場も様々であることが両者の違いと言えます。

サービス管理責任者との違い

サービス管理責任者は、障害福祉サービス事業所で働く職種で、通称「サビ管」とも呼ばれます。サービス提供責任者と名前が似ているほか、スタッフの指導および育成・個別支援計画書の作成・関係機関との調整など、仕事内容においても共通点が多くなっています。

サービス提供責任者が訪問介護事業所で働くのに対し、サービス管理責任者は、療養介護施設、共同生活援助施設、自立訓練施設など幅広い福祉施設で活躍できる点に特徴があります。つまり、異なる分野において、同様の役目を担っている職種同士と考えて良いでしょう。

サービス提供責任者は兼務OK?

サービス提供責任者は、訪問介護の提供に支障がない場合に限り、他の職種との兼務が認められています。ただし、施設の種別や兼務の対象となる役職によっては、兼務できるケースとできないケースがあります。

サービス提供責任者の主な勤務先である訪問介護事業所では、「管理者」「訪問介護員」との兼務が可能です。また、一般的な訪問事業以外に「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」「夜間対応型訪問介護」との兼務もできます。ただし、事業所が訪問介護事業所と同一敷地内にある場合に限ります。

一方、有料老人ホームでは、サービス提供責任者の兼務は認められていません。有料老人ホームと訪問介護事業所が同一敷地内に併設されている場合も例外ではないので、注意が必要です。

2.サービス提供責任者の平均年収

厚生労働省の調査によると、サービス提供責任者の平均月給は32万7020円となっています。これをもとに計算すると、サービス提供責任者の平均年収は392万4240円となります(32万7020円×12カ月で計算)。

一方で、サービス提供責任者でないスタッフの平均年収は356万1240円です。上記の平均年収には賞与が含まれていないので、賞与が支給される場合、さらに年収が高くなる可能性があります。

出典:厚生労働省「令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果」

このデータを比較すると、サービス提供責任者のほうが約36万円程度、平均年収が高いことがわかります。両者の1カ月あたりの実労働時間数にはあまり差がないため、単純な時間あたりの賃金についても、サービス提供責任者のほうが高いといえます。

サービス提供責任者に対して賞与が支給される施設は少なくありません。支給の内容は職場によって差がありますが、支給回数は年2回、支給額は基本給の2カ月分程度となることが一般的です。

3.サービス提供責任者の求人状況

訪問介護事業所では、サービス提供責任者の人員配置基準が明確に定められており、直近3カ月での施設利用者数に応じて、最低でも必要配置人員数分のサービス提供責任者を常勤で置かなければなりません。

利用者数が40人以下であればサービス提供責任者は最低1人、41人から80人以下で2人と、利用者の数が40または端数を増すごとに1人ずつ必要配置人員数が増えます(ただし、要件を満たせば、利用者50人につき1人のサービス提供責任者の配置が認められます)。

施設が大きくなるほど必要人数が増えるものの、ヘルパーなどと比較すると、サービス提供責任者の募集枠は少ない傾向にあります。ただし、必要配置人員数として定められているのは最低限の人数となるため、施設によっては必要配置人員数より多く人員を配置している可能性もあります。

求人数は地域によってばらつきがあり東京都、千葉県、神奈川県などの首都圏や、大阪府、愛知県などの大都市圏では求人が多く見られます。基本的には訪問介護事業所での募集が多いものの、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)や有料老人ホームで募集しているケースも少なくありません。

4.サービス提供責任者になるには?

サービス提供責任者は、ホームヘルパーなどからキャリアアップを目指す際の選択肢の1つです。ただし、「サービス提供責任者」という資格はありません。サービス提供責任者になるには、次の要件を満たす必要があります。

サービス提供責任者となる要件

・介護福祉士
・介護福祉士実務者研修修了者
・旧介護職員基礎研修課程修了者
・旧訪問介護員1級養成課程(旧ホームヘルパー1級)修了者
のいずれか


以前は、3年以上の実務経験者であれば、旧介護職員初任者研修修了者および旧訪問介護員2級養成研修課程(旧ホームヘルパー2級)修了者も、サービス提供責任者の資格要件として認められていましたが、2019年以降は要件から除外されています。旧介護職員初任者研修や旧訪問介護員2級養成研修の資格を生かしたいと考えていた方は、介護福祉士実務者研修や介護福祉士に目を向けましょう。

出典:東京都福祉保健局「2 訪問介護」

5.サービス提供責任者に向いている方の特徴

サービス提供責任者の仕事には、ホームヘルパーとは違った向き不向きがあります。ここでは、サービス提供責任者に向いている方の特徴をいくつか紹介します。

人の役に立ちたい方
サービス提供責任者は訪問介護の幅広い業務に関わります。ホームヘルパーと比べて、仕事の範囲はもちろん接する人の数も増えるので、「人の役に立つこと」に喜びを覚えられる方に向いています。

調整が苦にならない方
サービス提供責任者は、ケアマネジャー、ホームヘルパー、利用者さんの間に立つ仕事です。多くの人と積極的にコミュニケーションを取り、各方面からニーズを汲み取って調整できる方が望ましいでしょう。

人に指示を出せる方
ホームヘルパーなどに指示を出すのも、サービス提供責任者の仕事です。自分で手を動かすだけでなく、人に指示を出して仕事を任せられるかどうかも重要な資質と考えられます。

臨機応変な対応が得意な方
サービス提供者の仕事は多岐にわたり、複数の業務を並行して行うことも少なくありません。また、利用者さんの状況に応じて、柔軟にサービス内容の調整を行う必要があり、臨機応変に対応する力が求められます。

ただし、働きながら上記のような適性が身に付く場合もあります。向き不向きにこだわりすぎず、「スキルを磨きたい」という前向きな気持ちで目指すのがおすすめです。

まとめ

サービス提供責任者は、訪問介護の現場でケアマネジャー、ホームヘルパー、利用者さんの間を調整し、訪問介護計画書によって介護サービスの提供をサポートする役割を担います。リーダー的な立場なので求人数に限りがあるものの、ホームヘルパーとは違ったやりがいがあり、訪問介護の現場でキャリアアップを目指す方にはおすすめの職種といえるでしょう。

「介護のみらいラボ」では、介護の現場で活躍する方に向けて、有益な情報を多数掲載しています。介護の知識や介護の現場で抱え込みやすい悩みの対処法、キャリアアップの情報など、介護現場に関するお役立ち情報が知りたい方は、ぜひ「介護のみらいラボ」を参考にしてください。

※当記事は2022年7月時点の情報をもとに作成しています

▼監修者からのアドバイス

サービス提供責任者は訪問介護事業所等に勤務し、訪問介護サービスのリーダー的役割を担う仕事です。利用者との窓口になるコーディネーターやサービスを管理するリーダーヘルパーとしての役割を持っており、サービス提供責任者がその役割をしっかりと果たすことで、在宅生活を希望する要介護者やその家族を支えていくことができます。
サービス提供責任者は訪問介護サービスの要であるため、その業務は、ケアプランに基づいた訪問介護計画の作成や介護サービス利用申し込みの調整、サービスの定期的な把握、居宅介護支援事業者との連携(サービス担当者会議出席など)、訪問介護員の業務管理、訪問介護員に対する研修、技術指導など多岐にわたります。
それだけにやりがいが大きいだけでなく、専門職としての知識が広がり、管理者に求められるスキルを身につけることができる職種です。キャリアアップを目指してチャレンジしてみてはいかがでしょう!

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赤羽克子(Katsuko Akaba)

元聖徳大学心理・福祉学部社会福祉学科教授

社会福祉施設勤務を経て教育の世界に入る。現在はマーシーハンディキャップサポート協会理事として障害者に対する理解の啓蒙活動・障害者スポーツの支援や松戸市シルバー人材センターのアドバイザーなどを行っている。

赤羽克子の執筆・監修記事

介護のみらいラボ編集部(kaigonomirailab)

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