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仕事・スキル 介護士の常識 2024/07/10

#介護保険

介護保険外サービスとは?具体的なサービス例やメリット・デメリットを解説

文/山本史子(介護福祉士) thumbnail.jpg

介護保険サービスは、要介護者ができるだけ自立した生活を送るために必要な制度です。しかし、利用時間やサービスの範囲などの制限があり、要介護者本人の希望に添えなかったり、対応しきれなかったりする場合も少なくありません。そのようなときに役立つのが「介護保険外サービス」です。本記事では、介護保険外サービスの種類やかかる費用目安とともに、利用するメリット・デメリットを解説します。介護保険外サービスについて理解を深め、利用者さんの生活の質の向上に役立てられるようにしておきましょう。

1.介護保険外サービスとは

重ねた手

厚生労働省は、介護保険外サービスについて、地域ケアシステムの一環であるとしています。地域ケアシステムは、「医療」「介護」「予防」を総合的に提供し、地域全体で高齢者の支援をすることを目指す仕組みです。つまり、介護保険外サービスは、高齢者が住み慣れた地域で自立した生活が送れるように支援するための社会システムの一部として機能するものです。

なお、地域ケアシステムの基本構造は次の4つの支援体制に基づいています。

自助 ・高齢者自身や家族の対応 ・介護保険や医療保険の自己負担 ・市場サービスの購入
互助 ・ボランティアの支援 ・地域住民の支援
共助 介護保険や医療保険制度の給付
公助 ・介護保険や医療保険の公費部分(税金) ・自治体などが提供するサービス

参照:介護予防・日常生活支援総合事業の基本的な考え方|厚生労働省

自助は自分自身で問題解決をすることであり、家族介護や健康管理・予防などが含まれます。互助は地域住民やボランティアなどの助け合いを指します。共助は介護保険や医療保険制度の給付部分、公助は政府や自治体が提供する公的な支援です。介護保険外サービスは、上記の「互助」にあたります。各自治体が中心となって地域住民や民間企業・NPOなどと連携し、総合的なサポートが受けられる取り組みといえるでしょう。介護保険制度で定められた範囲外のサービスにも対応することで、介護の選択肢を広げ、住民一人ひとりが必要とするサービスが適切に受けられる環境が整えられていると考えられます。

2.介護保険サービスとの違い

つないだ手

介護保険サービスは、要介護者を対象とし、保険を利用した費用で利用できるのがメリットです。しかし、使えるサービスや対象に制限があり、要介護認定を受けていない方や、要介護者であっても求めるサービスがない、もしくは利用できないといった不便な面もみられます。

一方、介護保険外サービスには基本的にサービス範囲の制限がなく、日常生活支援のほか、趣味の活動やペットの世話など、個人に合ったきめ細かいサービスが受けられる点が特徴です。ただし、介護保険サービスと比べて、費用面での負担が大きくなりやすいというデメリットもあります。それぞれのサービスによって違いはあるものの、家族の介護負担の軽減や高齢者の生活の質を向上させる点では同じ目的をもっています。

介護保険外サービスは、介護保険サービスとの併用もできるため、高齢者の状態や家族の状況・予算に合ったサービスを選択することが大切です。

次項では、それぞれのサービス例やサービスの範囲・受けられる対象者について、詳しく解説します。

介護保険で使えるサービスの一例

介護保険は、要介護認定を受けた高齢者を対象としており、受けられるサービス内容や量は、介護度(要支援1・2と要介護1〜5の7段階)によって異なります。

介護保険を使用したサービス例は次のとおりです。

サービス内容 特徴
訪問介護サービス ・定期的に介護職員が自宅を訪問 ・食事の準備や買い物などの生活援助と、入浴・衣類の着脱支援といった身体介護 ・自宅で安心して生活を続けられるよう支援
通所介護(デイサービス) ・日帰りで施設に通い、入浴・食事・排せつなど日常生活をサポート ・リハビリテーションやレクリエーション活動の実施 ・日常生活のリズムを保つ ・社会交流の促進
短期入所サービス(ショートステイ) ・介護施設に短期間(数日から数週間)入所し、介護を受けられる
特別養護老人ホーム・介護老人保健施設など施設での生活 ・施設に入所し、24時間体制で日常生活全般の介護が受けられる

介護保険サービスは、サービス利用時に自己負担が発生しますが、大部分は保険からまかなわれます。自己負担額は所得に応じて決まりますが、多くの場合1割負担です。

介護保険外で使えるサービスの一例

介護保険外サービスは、要介護認定を必要としないため、基本的には誰でも利用可能です。介護保険を使用するより手続きが簡単で、速やかにサービスが受けられるでしょう。
ただし、事業所によっては特定の条件が定められている場合があるため、確認が必要です。

介護保険外サービス例は次のとおりです。

サービス内容例 特徴
家事代行サービス ・買い物や掃除・料理など、日常生活を支援 ・同居家族の家事支援 ・草むしりやペットの世話 ・使っていない部屋の掃除 ・家具の移動 など
外出支援サービス ・散歩や旅行の外出支援 ・趣味の活動 ・健康維持のための活動
緊急対応サービス 緊急通報装置の貸与・設置

このように介護保険外サービスは多岐にわたるため、介護保険サービスではカバーできない部分を補えます。そのため、より利用者本人や家族の状況のニーズに応えられるでしょう。ただし、利用料金は全額自己負担です。サービス内容や利用時間によって料金は異なりますが、月額数万円程度かかる場合も少なくありません。

保険サービスと保険外サービスの組み合わせも可能

高齢者が住み慣れた地域で生活するためには、健康で充実した日々を過ごすことが大切です。政府は介護保険サービスと介護保険外サービスを組み合わせて利用する「混合介護」を進めています。これにより多様なニーズに対応した、柔軟な支援が受けられるでしょう。
介護保険外サービスを、介護保険サービス提供の前後や合間に使用することも可能です。ただし、介護保険サービスと介護保険外サービスを同時に利用できません。介護保険外サービスは、自治体をはじめ、地域の介護保険サービス事業者や民間企業などの協力のもと実施されています。高齢者の介護者である家族のサポートも可能なため、地域全体で見守り、支え合える社会が実現するでしょう。

3.介護保険外サービスの種類とかかる費用目安

杖と電卓

先にも紹介したように介護保険外サービスは、日常生活や外出・緊急対応など多岐にわたります。

介護保険外サービスは、主に次のような団体や事業所が提供しています。

  • 自治体
  • 介護保険サービス事業者
  • 社会福祉協議会
  • 民間企業

それぞれの特徴やかかる費用について解説します。

自治体

介護保険外サービスには多様な選択肢があるものの、全額負担となります。そのため、介護保険サービスと比べて、金銭的な負担が大きくなってしまいます。こうした課題を解消するために、自治体が提供する介護保険外サービスは、比較的安い料金で利用できたり助成を受けられたりできるのが大きな特徴です。ただし、その地域の居住者であることや、年齢などの利用条件を確認しておく必要があります。また、提供されるサービスの内容や費用は自治体によって異なるため、事前に確認しておきましょう。

サービス内容例 費用の目安
訪問理美容サービス 1回2000円程度
緊急通報システム 月額300円程度
入浴補助券:1人1冊(24枚) 200円程度

(※東京都北区の場合)

介護保険サービス事業者

介護保険サービスを提供している事業者のなかには、介護保険外サービスも同時に対応するところがあります。ただし、事業所によって扱う内容や料金は異なるため、確認が必要です。

サービス内容例 費用の目安
生活支援ショートステイ(1日) 3,000円程度
配食サービス(一食) 500円〜1,000円程度

(複数事業所を参考に比較した目安)

社会福祉協議会・シルバー人材センターなど

各地域にある社会福祉協議会やシルバー人材センターなども、家事援助や見守り活動を実施しています。こちらも、サービス内容や料金はサービス提供者によって異なります。

サービス内容例 費用の目安
家事代行 1時間1,500円以上
墓掃除代行(花代別) 3,300円以上
網戸の張替え 1枚1,200円以上(別途材料費)

民間企業

民間企業が提供している介護保険外サービスは、その用途や目的によってサービス内容が幅広く、介護向けと明確に提示されていないケースもあります。しかし、民間企業ならではの技術や新しいサービスが提供されることもあり、上手に活用することで生活の利便性を高められるでしょう。

サービス内容例 費用の目安
通院介助・入院時付き添い 1時間数千円
介護タクシー 1時間数千円

このように、介護保険外サービスは幅広いサービスが提供されています。自分の求めるサービスが受けられるため、利用者さんの生活の質が向上するでしょう。

介護保険外サービスの利用の流れ

介護保険外サービスの利用を考えている方は、市区町村の窓口や担当の介護支援専門員(ケアマネジャー)に相談し、使用する事業所を探すことになります。使いたいサービスが見つかったら、直接サービスを提供している事業者に連絡を取り、実際の利用が始まります。サービス利用にあたり、具体的な支援内容や頻度・期間などを相談し、契約・利用の際には要介護者本人だけでなく、家族にも同席してもらいましょう。

4.介護保険外サービスを使用するメリット

介護士

介護外保険サービスは、介護保険サービスでは補いきれない面をサポートできるという特徴があります。介護外サービスを利用するメリットは、次の3点です。

  • さまざまなニーズに応えられる
  • 生活の質が向上する
  • 同居する家族の負担が軽減する

次から、詳しく解説していきます。

さまざまなニーズに応えられる

介護保険外サービスは、家事代行や外出といった日常的なサービスから、庭の手入れやペットの世話までさまざまなニーズに対応してもらえます。介護保険サービスの場合、公平性が高い一方で、個々の利用者さんの希望や状況に合わせたサービスが受けられるとは限りません。その点、介護保険外サービスは、介護保険で受けられない内容をカバーし、より自由度の高い選択ができるのが魅力です。

生活の質が向上する

介護保険サービスには、自立した生活を維持・向上させる側面があります。施設サービスの利用で交流の場がもてるため、社会参加にもなるでしょう。しかし、高齢者の受診の付き添いや趣味の外出支援はできません。そこで、介護保険外サービスと組み合わせることで、より質の高い生活が可能になります。

同居する家族の負担が軽減する

介護保険外サービスは、要介護認定を受けなくても利用できるのが大きなメリットといえます。手続きにも時間を要しないため、基本的に、急に支援を必要とする場合でも柔軟に対応してもらえるでしょう。また、介護保険サービスでは、同居する家族がいる場合には使用できないサービスもあります。介護保険外サービスを活用すれば、家事や受診の付き添いなど、家族が一時的に介護から離れられることで、家族の負担軽減にもつながります。家族が無理なく介護を続けられる環境整備ができる点もメリットの1つです。

5.介護保険外サービスを使用するデメリット

考える老人と女性

介護保険外サービスには、デメリットもあります。具体的には次の2点です。

  • 全額自己負担になる
  • サービスの質にばらつきがある

介護保険外サービスを問題なく利用するためには、デメリットを十分に理解し、状況に合ったサービスを選択することが大切です。次から詳しく解説します。

全額自己負担になる

介護保険サービスであれば、自己負担額は保険内として高齢者の場合、1割(収入によっては2割・3割)です。しかし、介護保険外サービスは、そうした保険による補助はなく、全額自己負担となります。そのため、利用には費用面の負担が大きくなるのが難点です。きめ細やかなサービスが受けられる反面、費用がかさむため、利用を避ける人もいるかもしれません。ただし自治体によって、費用の負担が少ないサービスや助成が受けられるサービスを提供しているため、市区町村の窓口に相談するのもおすすめです。

サービスにばらつきがある

介護保険外サービスは、民間企業やNPOなどさまざまな組織がサービスを提供しており、事業者によって提供されるサービスの内容や料金が異なります。加えて、提供されるサービスの範囲や質にもばらつきがみられます。提供されるサービス内容を理解していないと、介護保険サービスと思って利用したら、介護保険外だったという可能性もあり得ます。利用者さんには判断しにくいこともあり、予想外に費用が高くなってしまうかもしれません。事業者を選ぶ際は、介護支援専門員(ケアマネジャー)に相談するとともに、インターネットや地域の方の評判を聞いてみるなどして、信頼性や実績を調べてから検討しましょう。

まとめ:介護保険外サービスをうまく利用して生活の質向上に役立てよう

介護士と老人

介護保険外サービスは、対象者を限定せず、幅広いサービスが提供される点が大きなメリットです。高齢者だけではなく同居する家族でも活用できるため、活用次第で生活の質の向上につながるでしょう。ただし、介護保険外サービスは全額自己負担になるため、予算に合った使い方をすることが大切です。費用や受けられるサービスは提供元によって異なるため、まずは介護支援専門員(ケアマネジャー)や市区町村の窓口で相談してもらいましょう。

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山本史子(Fumiko Yamamoto)

介護福祉士

デイサービスで約20年現場職員として経験。2007年に介護福祉士の資格を取得。「この施設にいると楽しい、また行きたい」と笑顔で帰ってもらえるデイサービスにしたいという思いで20年間利用者様のケアをしている。知的障害のある自閉症の息子がいるため、介護現場で働きながら、母親の立場から障がい者福祉にも関わっている。

山本史子の執筆・監修記事

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