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仕事・スキル 介護士の常識 2023/06/09

介護職員としてスキルアップするには?身に付けるべき知識や資格も

構成・文/介護のみらいラボ編集部 thumbnail.jpg

現在、急速なペースで高齢化が進む日本。2025年には団塊の世代が75歳以上になることから、3人に1人が65歳以上、5人に1人が75歳以上になると推測されています。高齢者人口が増加するなかで、介護サービスへのニーズもこれまで以上に高まっていくでしょう。

こうした時代だからこそ、介護職員はさらなるスキルアップを図り、利用者さんにより質の高い介護サービスを提供する必要があります。

そこで今回は、介護職員として、今後身に付けるべき知識やスキルから、スキルアップの具体的な方法、取得しておきたい資格まで徹底的に解説します。介護職員として着実に成長したいと考える方(特に新人介護職員の方)や給与アップを目指したい方は、ぜひご一読ください。

1.介護職員が身に付けるべき知識・スキル

介護施設や介護サービス事業所で働くにあたっては、専門的な知識やスキルの習得が必要です。そして、知識・スキルを習得する際は、単純に頭に詰め込むのではなく「何かしらの目標」をもって学ぶことで、より適切で質の高いサービスを提供できるようになるでしょう。現場に即した知識・スキルを身に付けることは、キャリアアップにもつながります。

では、介護職員には一体どのような知識・スキルが求められるのでしょうか。まずは、介護職員が身に付けるべき知識・スキルについて紹介します。

身体的援助・生活援助に関する知識

介護職員が必ず身に付けるべきものとして、身体的援助・生活援助に関する知識が挙げられます。ただし、一口に身体的援助・生活援助と言っても、その方法はさまざまです。

以下に、主な業務をピックアップします。

●介助業務
食事介助、入浴介助、排せつ介助、移動介助 着替えのサポート、体位変換 など

●身の回りのお世話
洗顔や歯磨き、洗濯、掃除、ベッドメイキング など


上記のほかにも、利用者さん一人ひとりの身体状況に応じた対応や、さまざまな福祉用具の使い方なども、基本知識として押さえておかなければなりません。また、働く施設によっては、認知症や障害に対する専門的知識についても学んでおく必要があります。こうした専門知識の習得は、介護技術の向上にも大きくつながるため、きちんと身に付けておきましょう。

利用者さんの体調や精神状態に対して適切な対応ができるスキル

介護職員は、介護業務を手際よく進めていくことも重要ですが、利用者さんの体調や精神状態の変化にいち早く気づき、適切な対応をとることも欠かせません。ちょっとした変化を察知してスムーズに対応することは、起こり得るトラブルを防止するだけでなく、利用者さんからの信頼にもつながるでしょう。

利用者さんの体調や精神状態の変化を察知し、適切な対応をとるためには、観察力と判断力が必要です。

職員・利用者さん・ご家族と円滑なコミュニケーションが取れるスキル

介護において、コミュニケーションは非常に重要なスキルです。各方面のコミュニケーションを円滑にすることは、毎日の業務にも良い影響を与えるでしょう。

例えば、職員同士のコミュニケーションは、連携力の強化につながります。また、利用者さんやその家族とのコミュニケーションは、利用者さんの健康状況、性格などを把握することにつながり、信頼関係の構築に一役買うでしょう。こまめなコミュニケーションは、観察力を向上させることにもなります。

2.介護職員としてスキルアップするには?

介護職員がスキルアップを目指すことで、下記のようなメリットが考えられます。

介護職員がスキルアップを目指すメリット
●勤務先や利用者さんからの信頼度が高まる
●就職・転職がしやすくなる
●好待遇での雇用が期待できる

介護のスキルが高くなると、自信をもって業務にあたることができます。自信を持って、テキパキと仕事ができるようになれば、必然的に勤務先や利用者さんからの信頼度も高まるでしょう。また、就職・転職においても有利となり、好待遇での雇用が期待できます。

ここからは、介護職員がスキルアップを目指すための具体的な方法を紹介します。

広い視野をもって情報収集する

勉強のために何らかの情報を収集する際、「介護に直接関連するもの」だけをピックアップしようとする介護職員の方も多いでしょう。しかし、実際の介護現場では、身体介護や生活援助と直接関連しない知識が必要となるケースも少なくありません。

例えば、レクリエーション活動を実施する時は、高齢者が楽しめるプログラムや脳トレなどを考えなくてはいけません。また、運動不足を感じている利用者さんのために、健康体操を行ったりすれば、とても喜ばれるでしょう。

こうした活動にそなえて、介護職員は日々あらゆる分野にアンテナを張り、広い視野をもって情報収集することが望まれます。

外部研修会に参加する

介護職員は、実際に業務経験を積みながら、基本的な介護の知識・スキルを身に付けていくことになります。ただし、幅広い知識・スキルが求められる介護業界においては、普段の仕事から得られる知識だけでは事足りない場面も出てくるでしょう。

そうした時のために、外部研修会に参加して新しい知識やスキルを学ぶのもおすすめです。

近年は、すぐれた介護人材を育成するために、研修会を開催する施設が増加しています。研修内容もさまざまですので、施設の研修会に参加するものいいと思います。また、外部の研修会に参加して、より幅広い知識・スキルを学ぶのも良いでしょう。

介護関連の資格を取得する

着実なスキルアップを目指すなら、介護関連の資格を取得するのもおすすめです。関連資格の取得は、より専門的な技術を身に付けていることの証明になります。また、資格取得に向けて勉強することで、普段の業務にも役立つような知識が身に付くでしょう。

さまざまな資格を取得していると、転職が有利になることもあります。保有資格によっては、基本給とは別に資格手当が支給されることになるため、給与アップにもつながるでしょう。このように、介護関連の資格取得にはさまざまなメリットがあります。

介護職が取っておきたい資格一覧はこちらを参考にしてみてください。

3.介護職員のスキルアップにつながる資格4選

介護関連の資格は多種多様です。資格取得までの道のりは決して簡単なものではないため、まずは興味のある資格や需要が高い資格の取得を目指すと良いでしょう。

ここからは、介護職員のスキルアップにつながるおすすめの資格を4つ紹介します。

介護職員初任者研修

介護職員初任者研修とは、介護サービスの提供形態を問わず、介護職員として働く上で必要な基本知識や基本技術を習得できる研修です。介護職員として働くための「スタートライン」とも言える資格で、多くの介護職員が受講・取得しています。

対象者 不問
研修内容 ●職務の理解
●介護における尊厳の保持・自立支援
●介護の基本
●介護・福祉サービスの理解と医療との連携
●介護におけるコミュニケーション技術
●老化の理解
●認知症の理解
●障害の理解
●こころとからだのしくみと生活支援技術
●振り返り
研修時間 合計130時間

(出典:厚生労働省「介護員養成研修の取扱細則について(介護職員初任者研修・生活援助従事者研修関係)」

介護職員初任者研修は誰でも受講でき、カリキュラム修了後の筆記試験に合格すれば修了証明書が発行されます。試験はカリキュラムの内容から出題されるため、予習・復習を行うなど研修内容をしっかりと理解しておけば合格できるでしょう。前向きな姿勢で研修に参加して、講義内容をしっかりインプットしましょう。

資格を取得すれば訪問介護員として、介護を必要とする方の身体的援助や生活援助に取り組めるようになります。

介護福祉士実務者研修

介護福祉士実務者研修は介護職員初任者研修の上位資格で、より実践的かつ専門的な介護知識・技術を習得するための研修です。基礎的な介護知識の保有を前提としたカリキュラムで構成されており、介護福祉士国家試験の受験要件にもなっています。

対象者 不問
研修内容 ●尊厳保持・自立支援
●社会の理解
●介護の基本
●コミュニケーション技術
●生活支援技術
●介護過程
●発達と老化の理解
●認知症の理解
●障害の理解
●こころとからだの仕組み
●医療的ケア
研修時間 合計450時間

(出典:厚生労働省「実務者研修における「他研修等の修了認定」の留意点について」

介護福祉士実務者研修では、介護の基礎的な知識からたん吸引・経管栄養の処置といった医療的ケアの基礎まで、合計450時間の研修を受けた後に修了資格が与えられます。初任者研修のような修了試験は基本的に実施されませんが、スクールによっては修了試験を行うケースもあります。

なお、介護福祉士実務者研修は、初任者研修を受けていない方でも受講することが可能です。

介護福祉士

介護福祉士は、介護系の資格のなかで唯一の国家資格です。社会的認知度や信頼性が高く、介護職員としてスキルアップ・キャリアアップを目指す方は、ぜひ取得しておきたい資格と言えるでしょう。

介護福祉士の資格を取得するには、介護福祉士国家試験に合格しなければなりません。介護福祉士国家試験を受験するための主なルートとしては、「福祉系高校ルート」「養成施設ルート」「実務経験ルート」の3つが挙げられます。

3つのルートについての受験要件は、下記の通りとなっています。

受験要件
福祉系高校ルート 福祉系高校で指定科目・単位を取得し(約1,855時間)、卒業する
養成施設ルート 指定養成施設に2年以上通い(約1,850時間)、卒業する
実務経験ルート 3年以上の実務経験を有し、450時間の実務者研修を修了する

(出典:厚生労働省「介護福祉士資格の取得方法について」

介護福祉士は、働きながらでも取得を目指せる資格です。また、介護福祉士を取得することで、認定介護福祉士、医療介護福祉士といった上位資格にもチャレンジしやすくなります。

ケアマネジャー(介護支援専門員)

ケアマネジャー(介護支援専門員)は、要介護者・要支援者である利用者さんやそのご家族の相談・要望に応じつつ、介護サービスを受けられるようにケアプランの作成をしたり、自治体・事業者・施設との連絡調整を行ったりする職種です。正式名称は「介護支援専門員」ですが、「ケアマネジャー」や「ケアマネ」と呼ばれることもあります。

受験資格 下記のいずれかを満たす者
●特定の国家資格(介護福祉士・看護師・理学療法士など)を保有し、これらの国家資格に基づく業務の実務経験が通算5年以上あること
●生活相談員、支援相談員、相談支援専門員、主任相談支援員として、相談援助業務に通算5年以上従事していること

(出典:厚生労働省「介護支援専門員(ケアマネジャー)」

受験資格からも分かるように、ケアマネジャー(介護支援専門員)の資格取得は決して簡単ではありません。少なくとも5年以上の実務期間が必要であり、幅広い範囲の知識が求められるため、十分な準備が必要だと言えるでしょう。

まとめ

介護職員として働くには、介護に関する基礎的な知識やスキルが必須です。スキルアップを目指したいのであれば、より専門性の高い知識・スキルを身に付ける必要があるでしょう。

介護職員としてスキルアップを目指すには、広い視野をもって情報収集を行う、外部研修会に参加する、関連資格を取得するなどさまざまな方法がありますが、特におすすめなのは、関連資格を取得することです。

「介護のみらいラボ」では、介護業界に興味がある方や、すでに働いている介護職員(新人介護職員・ベテラン介護職員)に向けて、日々有益な情報を発信しています。介護に関する専門知識やお役立ち情報を手に入れたい時は、ぜひマイナビ介護職が運営する「介護のみらいラボ」をご覧ください!

※当記事は2022年7月時点の情報をもとに作成しています

▼監修者からのアドバイス

介護の仕事は、食事介護や排泄介助、入浴介助などをイメージする人が多いのですが、利用者さんの生活すべてをサポートしていく必要があるため、身に付けておくべき知識やスキルは非常に多いのです。
介護の知識やスキルに自信がなかったり、苦手な介護技術があると、利用者さんの介護を安全に行うこともできません。自信を持って利用者さんの介護を行うためにもスキルアップをしていきましょう。
介護を取り巻く環境は時代の流れとともに変化しており介護職に求められる業務や役割も変わってきています。今の自分に不足している知識やスキルをアップさせ、活躍の場を広げてください。
※国家資格の介護福祉士にも、資質向上の責務(社会福祉士及び介護福祉士法47条の2:介護を取り巻く環境の変化などに適応するため、介護等に関する知識や技能の向上に努めること)が義務づけられています。

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赤羽克子(Katsuko Akaba)

元聖徳大学心理・福祉学部社会福祉学科教授

社会福祉施設勤務を経て教育の世界に入る。現在はマーシーハンディキャップサポート協会理事として障害者に対する理解の啓蒙活動・障害者スポーツの支援や松戸市シルバー人材センターのアドバイザーなどを行っている。

赤羽克子の執筆・監修記事

介護のみらいラボ編集部(kaigonomirailab)

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