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仕事・スキル 介護士の常識 2023/08/24

介護職に求められる大切なこととは?必要なスキルとコミュニケーションのポイント

文/山本史子(介護福祉士) thumbnail.jpg

利用者さんに信頼してもらえる介護職として、大切なことは何でしょうか。介護をする際は、利用者さんの意思を尊重し自己決定ができる支援が必要です。しかし、忙しくなると介護員中心の支援になってしまうこともあるでしょう。今回は、介護職に求められる重要なポイント4つと職場で円滑なコミュニケーションをするコツを紹介します

1.介護をするうえで大切なことは何?4つの重要なポイント



介護員は、利用者さんの日常生活を支える仕事です。全員に同じ支援をおこなうのではなく、利用者さんの求める支援を把握し、利用者さんの自立のために何をするべきか考える必要があります。介護をおこなううえで重要なのは、専門知識や技術だけではありません。介護職として大切にしたい点をお伝えします。

思いやりの姿勢で信頼関係を築く

介護の仕事は、常に相手に思いやりを持って接する姿勢が求められます。利用者さんのニーズや要望の理解し、適切に対応することで、信頼関係が築けるでしょう。利用者さんだけでなく、その家族や関係者とのコミュニケーションも重要です。思いやりの気持ちを持ちながら、利用者さんの尊厳と幸せを追求し、彼らの生活の質を向上させる気持ちを大切にしましょう。

周囲への配慮で、利用者さんの安全を守る

介護現場では、小さなことでも利用者さんの事故につながる可能性があります。たとえば、フロア内においては、歩行不安定な方への転倒リスクに留意し、床がぬれていないか確認するといった周囲環境への気配りが求められます。また、食事の場面では、利用者さんの姿勢や飲み込み・食事形態は適切かどうかなど、細やかな配慮が欠かせません。
事故を未然に防ぎ、利用者さんに安全に過ごしてもらうためには、周囲の状況を把握することがとても大切です。

前向きな考え方で、ストレス解消法を持つ

介護職員は、物事を前向きにとらえる姿勢も大切です。利用者さんのなかには、思い通りに体が動かせず、やり場のない気持ちを抱えている方もいます。なかには、介護職員に対して怒りをぶつけてくる方もいるでしょう。こうしたケースでは、介護職とはいえ、ストレスを感じてしまうのも仕方ありません。しかし、難しい利用者さんへの対応も、1つの経験と前向きにとらえれば、柔軟に対処できるようになるのではないでしょうか。また、ストレスを放置せず、リセットできる方法を持つことも大切です。

向上心を持ち、学ぶ機会を増やす

介護の仕事をするうえでは、向上心を持つことも大切です。利用者さんの心身の状態は個人差があり、個々に異なる対応が求められます。障がいや病気の程度も違うため、利用者さんにとって適した接し方やツール、介護方法も異なるでしょう。こうした状況に対処するためにも、積極的に新しいツールや介護方法を学ぶことも大切です。常に新しい知識を持って取り組んでいけば、モチベーション維持にも役立つでしょう。

2..利用者さんへの理解を深める介護職のコミュニケーションとは



利用者さんのなかには、言葉の理解が難しい方や言葉をうまく使えない方もいます。そのため、お互いの意思疎通ができず、コミュニケーションがとれないと感じることもあるのではないでしょうか。利用者さんの理解を深めるために、意識したいポイントを紹介します。

寄り添いを意識した対応

利用者さんと信頼関係を築くには、利用者さんの話を傾聴し、相手のペースに合わせるといった、寄り添う姿勢を忘れずに接することが大切です。現場では、時間に追われて、つい機械的な態度をとってしまうことがあるかもしれません。慌ただしくしていると「スタッフさんは忙しいから......」と、利用者さんは声をかけるのをためらってしまいます。
施設によっては、一人ひとりに対応する時間に限りがあるかもしれませんが、そうしたなかでも、できるだけ利用者さんの気持ちをくみ取る努力も必要でしょう。「この人にはあまり話を聞いてもらえない」という印象を与えてしまうと、利用者さんから信頼を得ることが難しくなります。お互いが気持ちよく過ごすためにも、相手に寄り添う気持ちを忘れないようにしましょう。

安心感を持ってもらえる態度・姿勢

介護職員は、利用者さんに対して、安心感を持ってもらえる態度や姿勢を示すことも重要です。特に、施設利用の日数が浅い人は、施設のなかでうまくやっていけるかどうか不安なものです。そんなときに、大きな声で急いで話してしまうと、「怒らせたのではないか」と感じてしまう利用者さんもいるかもしれません。また、利用者さんは、介護員は入浴や排せつなどプライベートに関わる仕事を「してもらっている」と考える傾向にあり、なかなか本音が言えません。利用者さんの不安を解消するためにも、安心感を与える言葉遣いやトーンを意識し、相手を尊重する対応を心がけましょう。

3.新人教育のポイントは?職場の人間関係で大切なこと



介護業界に初めて携わる新人スタッフは、「どうやって利用者さんと関わったらいいんだろう」「良いサービス提供ができるかな?」といった悩みを抱えています。また、先輩職員とうまくなじめるのか、学んできた介護技術はうまく使えるのかなど、さまざまな迷いもあるでしょう。とはいえ、新人職員を育てる立場にある指導者も、同じ悩みを持っているかもしれません。よりよい支援をおこなうためには、新人職員、指導者側、どちらの立場であっても、人間関係が円滑になるような工夫が大切です。新人教育をしていくうえで、大切な3つのポイントを紹介します。

こまめなコミュニケーションを心がける

お互いのすれ違いがないように、職員間でのこまめな報告・連絡・相談が欠かせません。新人のうちは一人で判断できないことも多くあるものです。個人の判断は事故を招くリスクがあることを説明し、普段からコミュニケーションがとりやすい雰囲気作りをしておきましょう。また、普段から利用者さんへの対応に疑問点があれば、その都度解消し、ステップアップできるためのフォローをおこないましょう。

相手を否定しない

慣れない新人時代には、失敗することが少なからずあります。そのとき、指導者が新人を頭ごなしに否定するのはNGです。なぜそのような状況になったのか、まずは話を聞いてあげましょう。また、指導の際には、感情的な物言いを避け、冷静に論理的な展開で「なぜ問題となるのか」について説明すると良いでしょう。相手を受け入れたうえでのフォローと、具体的な対処法を指導することが大切です。

いつでも質問・相談しやすい環境をつくる

新人職員の場合、先輩や指導者が忙しそうに仕事をしていると、声をかけにくいと感じることもあります。また「こんなことを聞いてもいいのかな」と考える新人もいるようです。どんな質問であっても受け入れることを伝えるとともに、指導者自らが仕事の合間に話しかけるなど、気軽に質問しやすい環境や雰囲気を作るようにしましょう。

質問や相談によって事故リスクの低下につながることを伝える

新人職員は、安易な自己判断が招くリスクについて、理解が薄いものです。ちょっとした質問を避けたために、トラブルを招いてしまうかもしれません。利用者さんの命を預かっている仕事だと自覚してもらうとともに、不明な点は何でも相談するように伝えることが大切です。ときには、新人職員の理解度を確認する機会を持つのも良いでしょう。指導レベルをまとめたチェックシート等を準備し、仕事の理解度を図ってみても良いかもしれません。

4.介護職に必要な視点とは



利用者さんは心身の状態が変化しやすいため、介護員は臨機応変な対応ができる判断力と行動力が必要です。たとえば、同じ転倒でも入浴時とフロアでは、衝撃やケガの大きさなどが異なるため、画一的な対応ではいけません。どんなに気を付けていても、100%事故を防ぐことはできませんが、年数を重ねるうちにルーティン化して、チェックが甘くなってしまわないように、常に万が一のことを考え、対処できる広い視点が必要です。

5.資格の勉強をすることで視点が変わる



資格の勉強は、正しい介護技術や知識が得られるチャンスです。利用者さんへの適切な対応を学んだり、新人教育に役立つ情報をおさらいしたりできるかもしれません。資格取得までの学びから気付いたことや、これまでに学んできた介護技術がより意味のあるものとして考えられるようになるでしょう。
新人であれば、専門的に学ぶきっかけに、ベテランや指導者にとっては、さらなるスキルアップに役立ちます。認知症に特化した資格もあるため、興味のある資格から取得してみればいかがでしょうか。

●関連記事:認知症ケアに役立つ資格とは?基礎からキャリアアップまで目指せる資格を紹介!

まとめ:介護職として大切なことは信頼関係を築くこと!

介護職は、相手を尊重し、信頼関係を築くことがとても大切です。相手を否定することなく、話を聞く姿勢を忘れないようにしましょう。加えて、職員同士のコミュニケーションも欠かせません。職員間でトラブルがあれば、利用者さんのケアにも影響を及ぼすでしょう。さらなるステップアップを目指したいなら、資格取得を目指すのも良いでしょう。利用者さんに寄り添った介護ができるように、介護職としての大切なポイントを意識しながら、仕事に臨みましょう。

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山本史子(Fumiko Yamamoto)

介護福祉士

デイサービスで約20年現場職員として経験。2007年に介護福祉士の資格を取得。「この施設にいると楽しい、また行きたい」と笑顔で帰ってもらえるデイサービスにしたいという思いで20年間利用者様のケアをしている。知的障害のある自閉症の息子がいるため、介護現場で働きながら、母親の立場から障がい者福祉にも関わっている。

山本史子の執筆・監修記事

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