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仕事・スキル 介護士の常識 2023/10/06

介護職は副業ができる?副業の理由や割合・注意点を解説!

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介護職の方のなかには、収入アップやスキルアップを目的に、「副業をしてみたい」と考えている方もいらっしゃるでしょう。しかし、介護職が副業をできるかどうかは、職場によって異なり、実際に行うにあたっては注意すべき点も少なくありません。

この記事では、介護職の副業に関する実情や、副業をする際の注意点、介護職の方におすすめの副業などを詳しく解説します。「副業に興味があるけれど、できるかどうか不安」という方や、「どのような副業がいいのだろう」と悩んでいる介護職の方は、ぜひご一読ください。

1.介護職は副業ができる?

副業が可能かどうかは、会社や施設の就業規則によって異なります。介護職の方が副業を始める場合は、自身が勤めている会社だけでなく、「副業を行う側の職場が掛け持ちを認めているか?」についても、きちんと確認するようにしましょう。

厚生労働省の「副業や兼業の促進に関するガイドライン」では、労働時間外をどのように利用するかは労働者の自由だとされています。ただし、以下の条件に当てはまる場合は、会社側が副業を制限できるという点には注意してください。

① 労務提供上の支障がある場合
② 業務上の秘密が漏えいする場合
③ 競業により自社の利益が害される場合
④ 自社の名誉や信用を損なう行為や信頼関係を破壊する行為がある場合
など

(出典:厚生労働省「副業・兼業の促進に関するガイドライン」

介護職で副業をしている方の割合

ここでは、厚生労働省が2020年に発表した「副業・兼業に係る実態把握の内容等について」をもとに、介護職のなかで副業をしている方の割合について解説します。

同調査によると、副業をしている方の割合は全体で9.7%なのに対し、「医療・福祉」の業種では9.9%となっています。このデータから、医療・福祉の業種で副業をしている方の割合は、全体と比べてやや高いと言えるでしょう。

また、「本業および副業に関する悩み」を尋ねる質問では、介護サービス職業従事者及び保健医療サービス職業従事者に該当する方の47.9%が「本業の収入の低さについて悩んでいる」、37.1%の方が「仕事の質・量に悩んでいる」と回答しています。一方で、副業に対しての不安や悩みが「ない」と答えている方は、37.7%となっています。

(出典:厚生労働省「副業・兼業に係る実態把握の内容等について」

介護職の方が副業をする理由

続いて、副業をしている介護サービス職業従事者及び保健医療サービス職業従事者が、「副業をする理由」について見てみましょう。

介護サービス職業従事者及び保健医療サービス職業従事者の副業をしている理由
収入を増やしたいから 60.5%
1つの仕事だけでは収入が少なすぎて、生活自体ができないから 37.9%
自分で活躍できる場を広げたいから 20.9%
時間のゆとりがあるから 17.3%
様々な分野の人とつながりができるから 15.4%
現在の仕事で必要な能力を活用・向上させるため 13.0%
ローンなどの借金や負債を抱えているため 12.9%
副業の方が本当に好きな仕事だから 10.5%
仕事を頼まれ、断り切れなかったから 10.4%
働くことができる時間帯に制約があり、1つの仕事で生活を営めるような収入を得られる仕事に就けなかったから 8.9%
社会貢献のため 6.7%
その他 6.2%
独立したいから 4.6%
本業の仕事の性格上、別の仕事をもつことが自然だから(大学教員、研究者など) 2.5%
転職したいから 2.4%

(出典:厚生労働省「副業・兼業に係る実態把握の内容等について」

上のデータから、回答者の過半数を占める6割の方が、「収入を増やしたい」という理由で副業を行っていることが分かります。

副業禁止の施設で副業をするとどうなる?

副業禁止の施設で黙って副業を行った場合、以下のような罰則を与えられる可能性があります。

罰則の例

・厳重注意される
・減給される
・自宅謹慎の命令が下される


なお、仮に施設側が副業を禁止していなかったとしても、以下のようなトラブルが起きた場合は副業を制限される場合があります。

副業が制限される原因の例

・業務の秘密が漏えいした
・利益が害された
・名誉を損なう行為が行われた


「副業しても、バレなければ大丈夫」と考える方もいるかもしれませんが、規則違反をすることで、解雇されてしまうリスクもないとは言えません。あらかじめ就業規則を確認し、副業が禁止されている場合は、行わないことをおすすめします。

2.介護職の方が副業するときの注意点

副業をする場合は、まず勤務している会社や施設に、副業が可能かどうかを確認しましょう。副業が可能であることを確認したら、介護職が副業をする上で気を付けるべきポイントについても把握しておいてください。注意点を知ることで、副業が原因でトラブルに発展するリスクを避けられるでしょう。

副業をする上で注意すべき点は、主に以下の3つです。

確定申告をする

副業で得た所得が20万円を超える方は、基本的に確定申告を行う必要があります。国税庁のサイトに、副収入で確定申告が必要な方に関する記載があるので、これから副業を行おうとしている方やすでに行っている方は、「確定申告の必要があるか」や「確定申告の方法」などについて、事前にチェックしておきましょう。

(出典:国税庁「スマホで確定申告(副業編)」

社会保険加入の有無を確認する

副業を行っている方のなかには、社会保険への加入義務がある方も存在します。社会保険に加入する必要があるのは、1週間の所定労働時間および1か月の所定労働日数がフルタイムの方の3/4以上である場合です。

ただし、3/4未満であっても、以下の条件を満たす場合は、社会保険への加入が必要となります。

・従業員数101人以上の事業所であること
・週の所定労働時間が20時間以上であること
・雇用期間が2か月以上であること
・賃金の月額が88,000円以上であること
・学生でないこと


条件を満たした場合は、本業と副業のいずれかを「選択事業所」に選び、選択事業所から事務センターあるいは健康保険組合に必要書類を提出することになります。

(参考:日本年金機構「令和4年10月からの短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大」

労働時間に気を付ける

労働基準法では、1日および1週間の労働時間と休日日程が定められています。具体的な規定は、以下の通りです。

●使用者は、原則として、1日に8時間、1週間に40時間を超えて労働させてはいけません。
●使用者は、労働時間が6時間を超える場合は45分以上、8時間を超える場合は1時間以上の休憩を与えなければいけません。
●使用者は、少なくとも毎週1日の休日か、4週間を通じて4日以上の休日を与えなければなりません。

(引用:厚生労働省「労働時間・休日に関する主な制度」_2022/09/05)

以上の規定を超えて勤務する場合は「36協定」を締結し、労働基準監督署に届け出る必要があります。

(参考:厚生労働省「36(サブロク)協定とは」

加えて、副業を行う場合はスケジュール管理や体調管理もしっかりと意識するようにしましょう。特に、介護の仕事では体力が大事。副業の疲れや忙しさが原因で本業がおろそかにならないよう、仕事量や健康面には常に気を配る必要があります。

3.介護職の方におすすめの副業

ひと口に副業と言っても、働く形態や仕事内容はさまざまです。パートやアルバイトとして働く方もいれば、空き時間を利用して在宅ワークで収入を得る方もいるでしょう。

以下では、介護職の方のなかでとりわけ人気とされている副業と、それぞれのメリットについて紹介します。

介護施設や訪問介護サービスの夜勤

介護施設や訪問介護サービスの夜勤は、介護職の間でメジャーな副業です。同じ介護の仕事であるため、本業のスキルや経験を生かしてスムーズに働くことができるでしょう。ただし、夜間の仕事は生活のリズムが崩れやすいため、疲れが取れなかったり、体調を崩しやすくなったりする点には注意が必要です。

なお、マイナビ介護の求人情報をもとに算出した給与の目安は、およそ1万〜2万円(1回の勤務でもらえる金額の目安)です。給与が比較的高い傾向にあるため、副業を始める理由が「収入アップ」の方には、おすすめの副業と言えるでしょう。

コンビニや飲食店でのアルバイト

コンビニや飲食店でアルバイトする際のメリットとして、「家や本業の勤務地に近い場所で働ける」という点が挙げられます。近い場所で働ければ、通勤する上での時間や精神的負担を減らすことができるでしょう。

加えて、ほとんどの職場でシフト制を採用している点も魅力の1つです。アルバイトの日を柔軟に指定できるため、同じシフト制で働いている介護職の方にとってはスケジュールが立てやすいと言えます。勤務時間は朝から夜まで自由に選べますが、夜勤で働けば、深夜手当がついてより高い収入が得られるでしょう。

在宅ワーク

在宅ワークには、下記のようにさまざまな種類があります。

・Webライター
・アンケートモニター
・在宅コールセンター
・データ入力
・Webデザイナー
・プログラマー


在宅ワークは、バリエーションが豊富なため、得意分野に合わせて自由にチャレンジすることが可能です。加えて、移動や肉体労働が少ない点もメリットの1つと言えます。ここに挙げた在宅ワークは、ほとんどが椅子に座ってできるため、体力的な負担がかかりにくく本業への支障も出にくいでしょう。

まとめ

勤務先の職務規定で禁止されていなければ、介護職も副業をすることが可能です。ただし、副業を行う場合は、確定申告や社会保険、労働時間などのルールに注意しましょう。介護職と両立しやすいおすすめの副業としては、別施設での夜勤、コンビニ・飲食店でのアルバイト、在宅ワークなどが挙げられます。働きやすさや今後のキャリアなどを考慮して、自分に合った職場を選びましょう。

「介護のみらいラボ」では、介護職が働く上で役立つ情報を多数掲載しています。副業や転職などの情報も豊富にありますので、ぜひご活用ください。

※当記事は2022年9月時点の情報をもとに作成しています

▼監修者からのアドバイス

厚生労働省は、2018年に副業や兼業についてガイドラインを作成し、法人・企業側も労働者側も安心して副業や兼業が行えるようなルールを明確化するため、2020年にガイドラインを改訂しました。
ガイドラインのモデル就業規則も、「労働者は、勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる」とされています。

それに加えて、最近では残業に関する規制等も年々厳しくなってきており、介護職の方も副業に関心を寄せている方がいます。このような中にあって、介護事業所や介護施設側も副業を認める動きが加速しつつあります。
本業と副業を上手に両立させることができれば、収入が増えたり、スキルアップやキャリアアップできるなどのメリットがありますが、労働時間が長くなるため十分な休息が取れず健康を害してしまったりするなど、本業に支障が出るなどのデメリットもあります。
副業を行う際は、本業の業務に支障がない範囲内で、労働時間や仕事内容を見極めて、無理のない範囲内で行う必要があります。
副業を考えている方は、事業所・施設の就業規則などをしっかりと確認し、規則違反によるトラブルやリスクにつながらないよう注意しましょう。

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赤羽克子(Katsuko Akaba)

元聖徳大学心理・福祉学部社会福祉学科教授

社会福祉施設勤務を経て教育の世界に入る。現在はマーシーハンディキャップサポート協会理事として障害者に対する理解の啓蒙活動・障害者スポーツの支援や松戸市シルバー人材センターのアドバイザーなどを行っている。

赤羽克子の執筆・監修記事

介護のみらいラボ編集部(kaigonomirailab)

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