ガイドヘルパーとは?仕事内容から必要な資格・メリットまで
構成・文/介護のみらいラボ編集部超高齢化社会が進む近年、さまざまな介護ニーズに対応する介護従事者の需要が高まっています。その中でも、障がい者移動支援を総合的に行う介護系職種が「ガイドヘルパー」です。
ガイドヘルパーは、主に視覚障がい者・知的障がい者・全身性障がい者を対象に介護支援サービスを行う職業で、自ら外出できない方たちの総合的なサポートを行います。
今回は、ガイドヘルパーの概要や仕事内容、さらにガイドヘルパーになるために必要な資格と働くメリット・デメリットを詳しく解説します。介護業界で活躍したいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。
ガイドヘルパーとは?
ガイドヘルパーは、何らかの障がいによって1人での外出や移動が難しくなった方に対し、外出同行をはじめとしたあらゆる移動支援サービスを提供する方のことです。正式名称は「移動介護従事者」であり、移動介護を総合的に行う介護従事者となっています。
厚生労働省の資料では、ガイドヘルパーについて以下のように記載されています。
移動の安全を確認、確保ができない視覚障害者の目の代わりになるガイドヘルパーは、その利用者の命を預かる存在である。
また、視覚障害に加え、さらに安全確保しにくい肢体障害、聴覚障害、内部障害を併せ持つ人、及び理解力・判断力・管理力等に支援が必要な精神障害、知的障害、発達障害、認知症を併せ持つ人等については、ガイドヘルパーの技術的にも倫理面も含めた資質において高いスキルが求められる。
視覚障がい・知的障がい・全身性障がいの方は、1人での外出や移動が困難です。そのため自宅にこもることが多くなり、社会参加の機会も減少してしまいます。ガイドヘルパーは、このような視覚障がい者・知的障がい者・全身性障がい者を対象に移動介助を行うだけでなく、生活支援も行うことが特徴です。
ガイドヘルパーの仕事内容
ガイドヘルパーの主な仕事は、障がいのある方の移動介助・生活支援ですが、具体的な支援内容や役割は障がいの種類や支援対象によって異なります。障がいの種類ごとに気を付けておくべき点も大きく異なるため、ガイドヘルパーを目指す方はあらかじめ把握しておきましょう。
ここからは、視覚障がい・知的障がい・全身性障がいの種類別に、ガイドヘルパーの具体的な仕事内容を解説します。
視覚障がい
視覚障がい者を対象に移動介助・生活支援を行うガイドヘルパーのことを、「視覚障がい者ガイドヘルパー」と呼びます。
視覚障がい者ガイドヘルパーは、日々視覚障がい者の外出同行・移動支援、外出先での代筆および代読、生活動作のサポート(食事介助・排泄介助など)といった業務をこなすことが基本です。
なお、視覚障がい者の外出同行・移動支援は障害者総合支援法において「同行援護」とも呼ばれます。同行援護は主に通院や食材・日用品の買い物の際に必要となることが多いです。
知的障がい
知的障がい者や精神障がい者を対象に、移動介助・外出サポートを行うガイドヘルパーのことを、「知的障がい者ガイドヘルパー」と呼びます。
知的障がい者ガイドヘルパーの仕事内容は、主に知的障がい者の外出同行・移動支援ですが、利用者の特性に応じて上手にコミュニケーションをとったり、安全をサポートしたりすることも重要です。
知的障がい者への外出介助は、主に通学や作業所への通所時に必要となることがほとんどです。
全身性障がい
全身性障がい者とは、先天性脳性麻痺や、脊髄・頸椎の損傷、ALS、筋ジストロフィーにより四肢に機能障害のある方を指します。そして全身性障がい者を対象に、移動介助・外出サポートを行うガイドヘルパーのことを、「全身性障がい者ガイドヘルパー」と呼びます。
全身性障がい者ガイドヘルパーの仕事内容は、利用者である全身性障がい者の方が自力で歩行できるかどうかによっても異なります。自力で移動できない方を対象とする場合は、なるべく安全な場所を通りながら車いすを押して外出をサポートすることが一般的です。
ガイドヘルパーの資格
ガイドヘルパーは国家資格ではなく、民間資格となります。難易度は低く合格率も高いからこそ、ガイドヘルパーとして働きたいのであれば民間資格を取得しなければ採用率は期待できません。
そして、ガイドヘルパーの民間資格を取得するためには、各研修を受ける必要があります。ここからは、ガイドヘルパーの資格取得に必要な研修として「同行援護従業者養成研修」と「公道援護従業者養成研修」「全身性障がい者ガイドヘルパー養成研修」の3つを紹介します。
同行援護従業者養成研修
同行援護従業者養成研修とは、視覚障がい者ガイドヘルパーが視覚障がい者への同行援護を行う際に必要となる資格です。
同行援護従業者養成研修には一般課程と応用課程の2課程があり、どちらも修了することで、同行援護サービス提供責任者を担うことができます。なお、一般課程の受講資格はないものの、応用課程を受講するためには一般課程の研修修了者であることが条件です。
同行援護従業者養成研修一般課程・応用課程それぞれの平均的な受講料は、下記の通りとなっています。
一般課程のみ | 30,000~40,000円 |
---|---|
応用課程のみ | 20,000~30,000円 |
一般課程+応用課程 | 50,000~60,000円 |
学習期間は専門学校によって異なるものの、一般課程と応用課程あわせて全30時間前後、日数にして約5日のカリキュラムが設定されていることがほとんどです。
行動援護従業者養成研修
行動援護従業者養成研修とは、知的障がい者・精神障がい者を対象にガイドヘルプを行う際に必要となる資格です。
行動援護従業者養成研修を受講するにあたり、必須の資格や実務経験はありません。経験の有無にかかわらず、誰でも受講することが可能です。行動援護従業者養成研修の平均的な受講料は、40,000円前後となっています。
学習期間は専門学校によって異なるものの、全24時間程度、日数にして約3~4日のカリキュラムが設定されていることがほとんどです。
●関連記事:行動援護従業者養成研修とは?研修を受けるメリットも解説
全身性障がい者ガイドヘルパー養成研修
全身性障がい者ガイドヘルパー養成研修とは、全身性障がい者を対象にガイドヘルプを行う際に必要となる資格です。
全身性障がい者ガイドヘルパー養成研修を受講するにあたり、必須の資格はありません。しかし、介護福祉士、介護職員初任者研修・実務者研修、ホームヘルパー(訪問介護員)1級・2級など他介護資格保有者の場合は科目免除の対象者となり、受講料も割引されます。
全身性障がい者ガイドヘルパー養成研修の平均的な受講料(科目免除あり・なし)は、下記の通りです。
科目免除あり | 25,000~30,000円 |
---|---|
科目免除なし | 20,000~25,000円 |
学習期間は専門学校によって異なるものの、科目免除ありの場合は全15時間程度(日数にして約2日)、科目免除なしの場合は全22時間程度(日数にして約3日)のカリキュラムが設定されていることがほとんどです。
なお、全身性障がい者ガイドヘルパー養成研修に関しては専門学校によって研修名が異なる点に注意してください。
ガイドヘルパーのメリット・デメリット
幅広い介護ニーズに適応できる人材が求められている近年、ガイドヘルパーも注目度が高まる介護従事者のひとつです。しかし、ガイドヘルパーには働くメリット・デメリットが存在するため、あらかじめ把握したうえで目指すことをおすすめします。
<ガイドヘルパーとして働くメリット>
- やりがいが大きい
- 他介護職と比較して身体的な負担が少ない
ガイドヘルパーとして働く最大のメリットには、やりがいの大きさが挙げられます。利用者が次第に生き生きとした表情になり、利用者本人だけでなくその家族からも「ありがとう」感謝されることも多いガイドヘルパーは、やりがいを感じられる瞬間が多いでしょう。
<ガイドヘルパーとして働くデメリット>
- 介護以外の知識や調べ物も必要となる
- 精神的な負担を感じる可能性がある
ガイドヘルパーとして働く際は、外出前に目的地の天候やトイレの場所といった部分も事前に調べて把握しなければならず、常に気を抜かず突然のトラブルも臨機応変に対応しなければなりません。そのため、精神的な負担を感じやすい部分に注意が必要です。
しかし、初めは常に気を引き締めることに対して精神的疲労を感じることも多々ありますが、経験を積むことで慣れを感じるでしょう。負担よりもやりがいの方が大きく感じるケースも多いため、長く続けられる可能性は十分にあります。
まとめ
ガイドヘルパー(正式名称:移動介護従事者)は、主に視覚障がい者・知的障がい者・全身性障がい者を対象に外出支援をはじめとした総合的な移動支援を行う職業です。具体的な仕事内容や役割は、障がいの種類によって異なります。
また、各障がい者に対して適切なガイドヘルプを行うためには、適切な資格の取得も欠かせません。ガイドヘルパーとして働きたいのであれば、「同行援護従業者養成研修」と「公道援護従業者養成研修」「全身性障がい者ガイドヘルパー養成研修」を受講しましょう。
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