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仕事・スキル 介護士の常識 2024/12/20

#介護職向け歳時記#春

春の季語と有名な春の俳句を紹介|季節の区切りやレクリエーションも

構成・文/介護のみらいラボ編集部 thumbnail_241221.jpg

俳句は、五・七・五の17音で作る日本伝統の定型詩です。また、俳句には特定の季節を表す「季語」が、必ず盛り込まれており、夏の暑さを表す「炎暑」や「油照」、秋の自然美を表す「有明月」「水澄む」なども季語の1つです。

季語は季節ごとの特徴や、季節に関わる人間の感情を端的に表すものであり、1つの言葉で俳句の世界に情緒や深みを与えることができます。また、俳句に使われる季語を集めた書物は「歳時記」と呼ばれ、現代の歳時記には5,000を超える季語が記されているといわれます。

当記事では、春の季語とその意味、春の季語を使った有名な俳句について解説します。俳句を活用したレクリエーションのアイデアも紹介するので、この記事を参考に俳句や季語の知識を深めてみてはいかがでしょうか。

1.そもそも俳句の季語とは?

季語とは、俳句や連歌で使われる「特定の季節を表す言葉」です。先に紹介したように、俳句は1つの季語を入れながら、五・七・五の17音で詠むのが基本です。ただし、なかには季語を入れない「無季俳句」や、17音という定型にとらわれない「自由律俳句」もあります。

日本では最古の歌集である「万葉集」が編さんされたころから、詩歌を収録する際に春夏秋冬に区分する習慣があったとされています。その後、平安時代の中期から鎌倉時代にかけて連歌が流行すると、季節や地域を限定するためのルールが作られ、季語の原型ができあがりました。季語は俳諧が成立した江戸時代に増大し、2,600もの季語を収録した「俳諧歳時記」も出版されています。

さらに明治以降は、動植物や西洋の行事などさまざまな季語が追加され、現代ではその数が5,000を超えるとされています。こうした話を聞くと、「そんなにたくさん覚えられない」と思う方がいるかもしれませんが、すべての季語を無理に覚える必要はありません。俳句を詠むときには、季語を集めて分類・解説した「歳時記」を使って、詠みたい情景や心情に合った季語を確認するとよいでしょう。

春の季語が使われる時期

俳句では四季を二十四節気(※)に基づいて区分しており、春は旧暦(太陰暦)の1月~3月を指します。これを現在の暦である新暦(太陽暦)に当てはめると、2月4日ごろの立春から、5月6日ごろの立夏の前日までが春にあたります。

※1年を春夏秋冬の4つの季節に分け、さらにそれぞれを6つに分けたもの。「春分」や「夏至」「秋分」「冬至」なども二十四節気を表す言葉です。

このように、旧暦の日付と新暦の日付には1か月程度の違いがあるため、季節感にずれが生じる点に注意が必要です。春の俳句を作るときは、使いたい季語が春のものかどうかを歳時記で確認しましょう。

季語と時候の挨拶の違い

春は職場での異動や入退職など、別れと出会いの多い季節であるため、あらたまった場で挨拶をする機会や手紙を書く機会が増えるものです。そして、挨拶状やお礼状では、書き出し部分に「時候の挨拶」を記載するのが一般的です。

時候の挨拶とは、季節や気候を表す言葉を使った挨拶文であり、「早春の候」や「暑い日が続きますが、くれぐれもご自愛ください」などがそれにあたります。季節の表現という点では俳句の季語と似ていますが、時候の挨拶には相手の健康を気遣う意味合いが含まれます。

また、「まだ朝夕は寒さがとれず」「春眠が心地良い季節となりました」など、天候・気候に関する文章を用いる文章が多く見られるのも、時候の挨拶の特徴といえるでしょう。

2.春の季語の例と有名な俳句を紹介

春の季語には「春日和」「梅見」「春一番」などがありますが、すべての言葉が春全般を通じて使えるわけではありません。俳句の世界では、春を「初春(2月ごろ)」「仲春(3月ごろ)」「晩春(4月ごろ)」の3つに分類しており、それぞれの時期で使用する季語が異なります。

ここでは、初春・仲春・晩春と、春全般を表す「三春」に分けて、代表的な季語と有名な俳句を紹介していきます。

三春(春全体)

三春とは、立春(2月4日ごろ)から立夏(5月6日ごろ)の前日までの期間です。三春の季語は、初春・仲春・晩春といった時期にかかわらず、春全体で使えます。

三春の季語(例)

天文 春風/東風/風光る/朧月/春の闇/春北斗/長閑/春雨/春塵(しゅんじん)
生活 春袷(はるあわせ)/春外套/春炬燵/磯菜摘/木の芽和/春眠
行事 春祭/遍路/開帳/伊勢参
地理 春の山/春田(はるた)/春泥/春の海/春の水/山笑ふ/土匂う
動物 鶯/雲雀/蝶/蜂/春の鹿/蛙/赤貝/桜貝/栄螺(さざえ)
植物 沈丁花/椿/木の芽/薺(なずな)/蓬(よもぎ)/伊予柑/八朔柑

このように、春全般に使える三春の季語には数多くの種類があります。では次に、三春の季語を用いた代表的な俳句を紹介しましょう。

長閑(のどけさ) 穏やかでのんびりとした春の日の様子、落ち着いたさま

【例】

・長閑さや 浅間のけぶり 昼の月 (小林一茶)
・のどかさや 障子あくれば 野が見ゆる (正岡子規)
・長閑さは 無沙汰の神社 回りけり (炭太祇)


「長閑」という季語は、春の日の穏やかな様子を表しています。上記のいずれの句からも、のんびりとした春の光景や、時間の流れがゆるやかで心に余裕のあるさまが読み取れるでしょう。

蛙(かわず) 蛙が昼夜の区別なく鳴いて、のどかさを誘うようす

【例】

・古池や 蛙飛び込む 水のおと (松尾芭蕉)
・痩蛙 負けるな一茶 是に有 (小林一茶)
・闇に座して 遠き蛙を きく夜哉 (与謝蕪村)


蛙は田に水が張られる時期に鳴き始めます。蛙は跳躍力があり運動能力も高いことから、元気さの表現にも使われます。

初春(2月ごろ)

初春とは、二十四節気における「立春」「雨水」の時期であり、立春(2月4日ごろ)から、啓蟄(3月4日ごろ)の前日までの期間を指しています。俳句における春の始まりの時期です。

初春の季語(例)

天文
生活 梅見/桑植う/剪定(せんてい)/野焼く/麦踏/春浅し/冴返る
行事 初午(はつうま)/針供養/建国記念日/謝肉祭/句仏忌
地理 薄氷(うすらい)/堅雪/焼野/焼山/荻の焼原
動物 飯蛸/白魚/公魚(わかさぎ)/鮒の巣離れ/猫の恋
植物 梅/紅梅/片栗の花/桔梗の芽/猫柳/蕗の薹(ふきのとう)

初春には、「薄氷」「堅雪」といった寒さに関する季語と、「梅」「蕗の薹」など春の訪れを表す季語が両方見られます。初春の季語を用いた代表的な俳句は、次の通りです。

春浅し(浅き春) 立春をすぎたにもかかわらず、依然として春めかない様子

【例】

・病牀の 匂ひ袋や 浅き春 (正岡子規)
・春浅し 梅様まゐる 雪をんな (泉鏡花)
・白き皿に 絵の具を溶けば 春浅し (夏目漱石)


「春浅し」は、同じ時期を指す「早春」よりもやわらかい表現であり、より主観的な意味合いで使われます。本当の春はまだ遠く感じるものの、春の始まりには新しいできごとに期待してしまう......。そんな心情を表した言葉といえるでしょう。

冴返る 立春をすぎて、一旦緩んだ寒気が再び訪れること

【例】

・三か月は そるぞ寒は 冴えかへる (小林一茶)
・柊に さえかへりたる 月夜かな (内藤丈草)
・山がひの 杉冴え返る 谺かな (芥川龍之介)


春の暖かさを一度経験したことで、ぶり返した寒気がよりいっそう寒く感じるという意味の季語です。寒さだけでなく光や色、音などがより鮮やかに感じられる場面でも使われます。

仲春(3月ごろ)

仲春は春のなかばの時期であり、啓蟄を迎える3月5日ごろから、清明が始まる前日の4月4日ごろまでの期間を指します。

仲春の季語(例)

天文 初雷/雪の果/春一番/貝寄風(かいよせ)/彼岸西風(にがんにし)/黒北風(くろぎた)
生活 木の実植う/苗床/植木市/種選び/蕨狩/観潮/外套脱ぐ/草餅
行事 桃の節句/雛祭り/お水取り/事始/道明寺祭/丈草忌/利休忌
地理 氷解/流氷/雪崩/残雪/雪しろ/春出水(はるでみず)/水温む
動物 燕/引鴨/引鶴/熊穴を出づ/初蝶/彼岸河豚/子持鯊(こもちはぜ)
植物 初桜/初花/土筆/蒲公英(たんぽぽ)/たらの芽/蕨/薇(ぜんまい)

本格的な春を迎える仲春には、雪どけに関連する季語や土のなかで眠っていた動物が地上に出てくる様子、植物が芽吹く様子を表す季語が多く見られます。

初桜 その年に最初に咲く桜の花、咲いて間もない桜の花

【例】

・顔に似ぬ 発句も出でよ 初桜 (松尾芭蕉)
・けふまでの 日はけふ捨てて 初桜 (加賀の千代女)
・旅人の 鼻まだ寒し 初ざくら (与謝蕪村)


「初桜」には、待ちに待った花にやっと会えた喜びが込められています。前向きな気持ちを表す際に使ってもよいでしょう。

草餅(草の餅・蓬餅) 蓬の新芽をつき込んだ餅

【例】

・両の手に 桃と桜や 草の餅 (松尾芭蕉)
・草餅の 重の風呂敷 紺木綿 (高浜虚子)
・子をおもふ 憶良の歌や 蓬餅 (竹下しずの女)


草餅は、もともと春の七草の1つであるハハコグサ(母子草)を使って作られており、邪気を祓う食べ物として3月3日の上巳の節句に食べられていました。「母子餅」という別名もあるため、母や子の姿に重ねて詠まれるケースも少なくありません。

晩春(4月ごろ)

晩春とは、二十四節気の「清明」「穀雨」の時期であり、清明(4月4日ごろ)から立夏(5月6日ごろ)の前日までの期間を指します。

晩春の季語(例)

天文 油風/初虹/春の露/花の雨/花曇/菜種梅雨/行く春
生活 花見/夜桜/茶摘/田打/畔塗/海女/潮干狩/蚕飼
行事 甘茶/仏生会/稲荷祭/靖国祭/清明祭/啄木忌/虚子忌
地理 苗代/潮干潟/凍返る(いてかえる)/凍解/弥生山
動物 雀の子/岩燕/春駒/蚕/虻/若鮎/蛍烏賊/桜鯛/鰆(さわら)
植物 桜/八重桜/芝桜/躑躅(つつじ)/菜の花/山吹/勿忘草/春の筍

春本番から初夏に向かう晩春には、暖かさを感じる季語や生き物たちに関する季語が多く見られます。以下では、晩春の季語を用いた有名な俳句を紹介します。

行く春(行春・春行く) すぎ去ろうとしている春

【例】

・行はるや 鳥啼うをの 目は泪 (松尾芭蕉)
・ゆく春や おもたき琵琶の 抱ごゝろ (与謝蕪村)
・悠然と 春行くみづや すみだ川 (蝶夢)


春は、厳しい冬の寒さに耐えて待ち望んでいた季節。例句には、そんな春を見送ることの名残惜しさが込められています。似た意味を持つ季語に、「春惜しむ」があります。

雀の子(小雀・雀子) 春になって卵からかえった雀の雛

【例】

・人に逃げ 人になるるや 雀の子 (上島鬼貫)
・雀の子 そこのけそこのけ 御馬が通る (小林一茶)
・子雀や 遠く遊ばぬ 庭の隅 (尾崎紅葉)


雀は人間が暮らす場所の近くに巣を作り、春には卵がかえって雛が生まれます。そうしたことから、雀の子の愛らしい様子や、今後の成長を楽しみにする気持ちを詠った句が少なくありません。

3.春にぴったり!俳句を使ったレクリエーション2選

介護施設で働く方のなかには、春のレクリエーションのことで頭を悩ませている方もいるかもしれません。

最後に、春におすすめの俳句を使ったレクリエーションを2つ紹介しましょう。

季語の読み方クイズ
春の季語のなかには読み方が難しいものも多く、クイズの問題にぴったりです。季語をクイズにすれば、初心者の方も俳句に親しみやすくなるでしょう。答え合わせのときは、季語の解説もあわせて行ってください。

【出題例】
・「蒲公英」(答え:たんぽぽ)
・「貝寄風」(答え:かいよせ)
・「菜種梅雨」(答え:なたねづゆ)

俳句大会
俳句作りをレクリエーションに取り入れるのもおすすめです。ただし、ゼロからの創作だと、利用者さんが「ハードルが高い」と感じる可能性もあります。お題や季語を指定するなどして、利用者さんが取り組みやすいように工夫しましょう。

絵が好きな方がいれば、俳画を添える作業に挑戦してもらってもよいでしょう。完成した作品を壁面に掲示すれば、他の利用者さんが詠んだ句も楽しめます。

【俳句大会での工夫(例)】
・春にちなんだ言葉や春の風景写真などを使ってお題を出す
・使用する季語やルールを事前に指定する
(例:季語「桜」を使う、「雛まつり」で始まる句を作る など)

俳句は古くから親しまれてきた日本の伝統文化であり、外出が難しい利用者さんからも喜ばれるレクリエーションになるでしょう。季語の読み方クイズや俳句大会などのレクリエーションを通して、施設内のコミュニケーションを深めていってください。

●関連記事:春を感じる高齢者向けレクリエーション7選!春の行事一覧も

まとめ

俳句における季語は、季節ごとの美しさや特徴、詠み手の感情を表す重要な要素です。春の季語には「長閑」や「初桜」などがあり、それぞれの言葉が季節の情景や情緒を豊かに伝えてくれます。レクリエーションなどを通じて、利用者さんと俳句を楽しめば、心豊かな時間が過ごせるでしょう。

俳句を使ったレクリエーションは、室内で手軽に実施できるため、気候が安定しない時期にもおすすめです。季語の読み方クイズや俳句大会などを実施して、利用者さん同士のコミュニケーションを深めていってください。

●関連記事:
秋の季語と有名な秋の俳句を紹介
冬の季語と有名な冬の俳句を紹介

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