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仕事・スキル 介護士の常識 2026/11/02

居宅ケアマネとは?仕事内容・施設ケアマネとの違い・年収を分かりやすく解説

文/中谷ミホ(介護福祉士・ケアマネジャー・社会福祉士) 202610_kcm.jpg

自宅で暮らす高齢者が、住み慣れた地域で安心して生活を続けるには、本人の状態や希望に合った介護サービスを適切に組み合わせることが不可欠です。そして、その中心的な役割を担っているのが「居宅ケアマネジャー(居宅ケアマネ)」です。

居宅ケアマネは、在宅で介護保険サービスを利用する方をサポートする専門職で、介護福祉士や看護師の中には、「より幅広い視点から利用者を支えたい」という思いで居宅ケアマネを目指す人が少なくありません。

本記事では、居宅ケアマネの仕事内容や施設ケアマネとの違い、年収の目安、やりがいや大変さ、資格取得の方法などを分かりやすく解説します。キャリアの選択肢を広げるためのヒントとして、ご活用ください。

1.居宅ケアマネとは?

居宅ケアマネとは、自宅で生活する要介護者・要支援者を対象に、ケアプランの作成や介護サービス事業者との連絡調整を行うケアマネジャー(介護支援専門員)です。

主に、居宅介護支援事業所や地域包括支援センターに所属し、利用者が住み慣れた地域で自立した生活を送れるように、ケアマネジメントの中核を担います。

居宅ケアマネが活躍する職場

居宅ケアマネの代表的な職場である、居宅介護支援事業所と地域包括支援センターについて、それぞれの役割を見ていきましょう。

居宅介護支援事業所 要介護1~5の認定を受けた在宅利用者を対象に、ケアプランの作成や給付管理を行う事業所です。ただし、地域包括支援センターから委託を受けている場合や、介護予防支援事業所の指定を受けている場合には、要支援1・2の方の相談やケアプラン作成にも対応します。運営主体は社会福祉法人や医療法人、株式会社、NPO法人などさまざまです。
地域包括支援センター 高齢者が住み慣れた地域で安心して生活できるよう支援する、地域の「総合相談窓口」です。主な役割は総合相談支援業務、介護予防ケアマネジメント、権利擁護業務、包括的・継続的ケアマネジメント支援業務で、保健師や社会福祉士、主任ケアマネジャーなどが連携してサポートにあたります。

事業所の規模や運営方針によって、担当件数や働き方に違いはあります。一方で、いずれの職場でも「在宅生活を支える」という役割は共通しています。

参考:厚生労働省「介護支援専門員(ケアマネジャー)」

2.居宅ケアマネと施設ケアマネの違いとは?

アセスメントやケアプラン作成、サービス担当者会議といったケアマネジメントの基本業務は、居宅ケアマネ・施設ケアマネともに同じです。一方で、対象となる利用者や働き方には大きな違いがあります。

対象となる利用者と職場

居宅ケアマネが自宅で暮らす要介護者・要支援者を対象とするのに対し、施設ケアマネは、特別養護老人ホーム(特養)や介護老人保健施設(老健)、グループホームなどに入所・入居している利用者が対象です。また、施設ケアマネは施設内に常駐して業務を行います。

ケアプランの考え方

居宅ケアマネは、地域にあるさまざまなサービス事業者の中から、利用者の状況に合うものを選び、サービスを組み合わせてケアプランを作成します。

それに対して施設ケアマネは、介護職員や看護師、リハビリ職など施設内の専門職と連携しながら必要なケアを組み立て、サービス計画を作成します。

担当件数と働き方

居宅介護支援事業所の介護支援専門員の配置は、利用者44人(ケアプランデータ連携システムを活用し、かつ事務職員を配置している場合は49人)に対して1人が基準となります。利用者の自宅を訪問してモニタリングを行うため、外出の機会が多いのも、居宅ケアマネの特徴の一つです。

施設ケアマネは、入所定員100人に対して1人以上の配置が基本です(特養、老健の場合)。担当件数は施設の規模や配置人数によって異なりますが、施設が提供するサービスをもとにプランを作成するため、多くの業務は施設内で完結できます。ただし、入所者への支援に支障がない場合には、介護業務や相談員業務を兼務することもあります。

参考:厚生労働省「指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準について」

3.居宅ケアマネの仕事内容

居宅ケアマネの仕事は、利用者に合わせてケアプランを作成し、サービスが適切に提供されるよう調整・管理することです。ここでは、業務の流れに沿って具体的な仕事内容を見ていきましょう。

インテーク(初回相談)

利用者やその家族と行う最初の面談・相談で、介護に関する困りごとや生活に対する希望、身体状況などを丁寧に聞き取ります。ケアマネジメントの第一歩であり、利用者・家族との信頼関係を築くための重要な業務でもあります。

アセスメント(課題分析)

面談を通じて、食事・入浴・排せつといった日常生活の状況や心身の状態などを確認し、生活課題(ニーズ)を抽出します。その上で、どのような支援が必要かを分析します。

ケアプランの作成

利用者・家族の意向を尊重しながら、アセスメントの結果をもとに必要なサービスを組み合わせて、「居宅サービス計画書(ケアプラン)」を作成します。

サービス担当者会議の開催

ケアプランの原案ができたら、利用者や家族、サービス事業者を招いて「サービス担当者会議」を開催します。会議ではプラン内容や支援方針を関係者間で共有した上で、課題や目標を検討します。その後、最適なケアプランを完成させます。

モニタリング(継続的な見直し)

要介護者への居宅介護支援では、サービス開始後も、原則として月に1回以上は利用者の自宅を訪問し、サービスが計画どおり提供されているか、利用者の心身状態に変化はないかなどを確認します。ただし一定の要件を満たす場合は、少なくとも2カ月に1回は訪問し、訪問しない月はテレビ電話装置などで面接できます。必要に応じて、ケアプランの修正も行います。

給付管理・要介護認定関連業務

ケアプランに基づくサービスの実績をまとめた給付管理票を、事業所の所在地を管轄する国民健康保険団体連合会(国保連)に提出する「給付管理」も、居宅ケアマネの重要な業務です。市区町村から委託を受けて認定調査を行うこともあり、要介護認定の更新時には、ケアプランの見直しや再作成も行います。

以上のように、居宅ケアマネは相談対応から事務作業まで幅広い役割を担い、利用者の生活を包括的・継続的に支えます。

4.居宅ケアマネの年収・給料

居宅ケアマネに限定したデータではありませんが、厚生労働省の「職業情報提供サイト(jobtag)」によると、令和7年賃金構造基本統計調査の結果に基づくケアマネの平均年収は約441.3万円となっており、介護職の中では比較的高水準です。

また、1時間当たりの賃金は一般労働者(正社員など)が2,229円、短時間労働者(アルバイト・パートなど)が1,580円となっていました。なお、一般労働者の数値には残業代や賞与が含まれていますが、短時間労働者の数値には含まれていません。

ケアマネの給与は、経験年数や保有資格が反映されやすい傾向にあります。一般的には実務経験を重ねるほど基本給が上がりやすく、主任ケアマネなど上位資格を取得すれば、さらなる給与の増加も期待できるでしょう。

参考:厚生労働省職業情報提供サイト(job tag)「介護支援専門員/ケアマネジャー」

5.居宅ケアマネのやりがい

居宅ケアマネは、利用者の在宅生活を支える専門職として、大きなやりがいを感じられる仕事です。ここでは、居宅ケアマネのやりがいについて見ていきましょう。

在宅生活を支えられる

居宅ケアマネにとっての大きなやりがいは、利用者が住み慣れた自宅で安心して暮らし続けられるように支援できることです。自分が作成したケアプランによって利用者や家族の生活が安定し、在宅での暮らしが続いていくのは、この仕事ならではの喜びといえるでしょう。

利用者・家族から感謝される

利用者・家族と長期にわたって関わるため、お互いの信頼関係が深まりやすいのもこの仕事の特徴です。「あなたが担当でよかった」「困ったときに相談できて助かった」など、感謝の言葉を直接受け取る場面も多く、そうした一言は日々のモチベーションにつながります。

幅広い知識やスキルが身に付く

居宅ケアマネの業務には、介護保険制度だけでなく、医療・福祉・行政など多分野にまたがる知識が求められます。そのため、仕事を通じて網羅的・継続的に専門性を高めていけるでしょう。多職種との連携の中で調整力や対人スキルが磨かれるのも、居宅ケアマネの魅力の一つです。

6.居宅ケアマネの大変な点

居宅ケアマネはやりがいの大きな仕事である一方、責任の重さや業務の難しさを実感する場面も少なくありません。ここでは、居宅ケアマネの大変さを感じやすい点について見ていきましょう。

責任の重さとプレッシャー

居宅ケアマネは、一人で複数の利用者を担当し、それぞれにケアプランを作成・管理します。そして、ケアプランの内容は、利用者やその家族の生活を大きく左右します。経験が浅いうちは、責任の重さにプレッシャーを感じることもあるでしょう。

多職種・多機関との調整

居宅ケアマネは、利用者と家族、サービス事業者、医療機関、行政など、さまざまな立場の人と関わります。それぞれの意向や事情を踏まえて調整を行う必要があるため、意見が対立するような場面では、間に立って合意形成を図る難しさを感じることもあるでしょう。

月1回以上の訪問が必要

居宅ケアマネは、利用者が適切な介護サービスを受けているかを確認するため、原則として月に1回以上自宅を訪問し、モニタリングを行う義務があります。しかし、移動時間が長かったり書類作成が重なったりすると、訪問自体が大きな負担になりかねません。また、スケジュールを利用者の体調や家族の就労状況に合わせる必要があるため、調整だけで疲弊してしまうこともあります。

こうした大変さがある一方で、利用者の生活を支えているという手応えを感じられる場面も、決して少なくありません。やりがいと大変さの両方があるからこそ、困難を乗り越えたときの達成感や自己肯定感はより大きくなるはずです。

7.居宅ケアマネになるには?

居宅ケアマネとして働くためには、介護支援専門員の資格を取得する必要があります。以下では、資格取得までの流れと必要な要件を確認していきましょう。

受験資格

介護支援専門員の資格を取得するためには、各都道府県が年に1回実施する「介護支援専門員実務研修受講試験」に合格し、合格後の「実務研修」を修了する必要があります。

なお、試験を受けるには、以下の要件のいずれかを満たさなければなりません。

  • 指定された法定資格に基づく対人援助業務の経験が、通算5年以上かつ従事日数900日以上ある。
  • 受験要項で定める施設・事業所や職種などの要件を満たす相談援助業務の経験が、通算5年以上かつ従事日数900日以上ある。

指定された法定資格は、以下の21種類です。

<指定された法定資格>

医師、歯科医師、薬剤師、保健師、助産師、看護師、准看護師、理学療法士、作業療法士、社会福祉士、介護福祉士、視能訓練士、義肢装具士、歯科衛生士、言語聴覚士、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師、栄養士(管理栄養士を含む)、精神保健福祉士


資格を保有しているだけでは受験資格を満たさず、その資格に基づく業務に従事していた期間が対象となる点に注意が必要です。

※受験資格については、初出時(2026年10月時点)の情報を基に記載しています。

資格取得までの流れ

居宅ケアマネになるまでの一般的な流れは、以下のとおりです。

1. 介護支援専門員実務研修受講試験に合格する:都道府県が年1回実施する試験に合格する必要があります。
2. 介護支援専門員実務研修を修了する:合格後、実務研修(講義、演習、実習)を受講・修了します。
3. 介護支援専門員名簿に登録する:研修修了後、各都道府県の介護支援専門員名簿への登録を行い、介護支援専門員証の交付を受けます。
4. 居宅介護支援事業所などに就職する:資格取得後は、居宅介護支援事業所や地域包括支援センターなどに就職し、ケアマネとしての業務を開始します。

申込方法や受験手数料、実務研修の日程などは都道府県によって異なる場合があるため、詳細については、各都道府県に確認しましょう。

キャリアアップの方法

居宅ケアマネがキャリアアップを目指すにあたっては、主任ケアマネジャー(主任介護支援専門員)資格の取得、管理者・役職者への昇進、独立開業などの道が考えられます。

主任ケアマネは、ケアマネの上位に位置づけられる資格で、取得するには「専任の介護支援専門員として5年以上の実務経験を積む」などの要件を満たした上で、主任介護支援専門員研修を修了する必要があります。実際の業務では、一般のケアマネに対する指導や相談対応を行うほか、地域包括ケアシステムの構築、困難事例への対応などより高度な役割を担うため、大きなやりがいを感じられるでしょう。

居宅ケアマネとしてキャリアを重ね、主任ケアマネや管理者へとステップアップしていくことで、給与・待遇の向上も期待できます。

まとめ:居宅ケアマネは在宅生活を支えるやりがいのある仕事

居宅ケアマネは、在宅で暮らす要介護者・要支援者がその人らしい生活を続けられるよう、ケアプランの作成からサービスの調整、モニタリングまでを担う専門職です。

責任の重い仕事ですが、利用者や家族から直接感謝される機会も多く、経験を積むにつれて専門職としての成長を実感できるでしょう。

高齢化が進む中で、居宅ケアマネへのニーズはさらに高まると予想されており、今後ますます欠かせない存在になっていくと考えられます。介護や相談援助の経験を生かして、さらなるステップアップを目指したい方は、居宅ケアマネへの道を検討することをおすすめします。

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中谷ミホ(Miho Nakaya)

介護福祉士・ケアマネジャー・社会福祉士

福祉系短大を卒業後、介護職員、相談員、ケアマネジャーとして、障害者支援施設、介護老人保健施設などの介護現場で活躍。現在は介護業界での経験を生かしながら、ライターとして活動しており、介護・福祉に関わる記事を数多く手がける。保育士、福祉住環境コーディネーター3級も取得。

中谷ミホの執筆・監修記事

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