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仕事・スキル 介護施設・職場 2023/06/19

#デイケア#デイサービス

デイサービスとデイケアの違いは?それぞれの特徴や業務内容をわかりやすく解説

文/山本史子(介護福祉士) thumbnail.jpg

デイサービスデイケアは、同じ通所サービスであり、名前も似ています。そのため、介護職としての経験が浅い方や、これから介護業界で働きたいと考える方には、違いがわかりにくいかもしれません。では、デイサービスとデイケアは、どのような点が異なるのでしょうか。この記事では、デイサービスとデイケアそれぞれの特徴とともに、業務内容をわかりやすく解説します。また、デイサービスやデイケアで役立つ資格についても紹介します。

1.デイサービスとデイケア、それぞれの特徴



デイサービスとデイケアはどちらも通所サービスの1つであり、高齢者が日中過ごす場所を提供する点で共通しています。どちらのサービスも食事や入浴・排せつ介助など、日常生活に必要な基本動作の支援と、利用者の社会活動の援助や家族の介護負担軽減の役割を担っています。共通点がある一方で、デイサービスとデイケアでは、提供するサービスや対象者、業務内容が異なります。まずは、デイサービスとデイケアの違いを確認しましょう。

デイサービスとは

デイサービスは、対象となる要介護1~5までの人が、通所によって入浴や食事などの日常生活上の支援や機能訓練・口腔機能向上サービスなどを受けられます。自宅で過ごす高齢者が、少しでも長く自立した生活が送れるように援助し、利用者の日常生活の維持をサポートするとともに、家族の介護負担を軽減することを目的としています。
デイサービスの利用者負担は、利用時間や事業所の規模によって異なり、基本的には送迎費用が含まれます。ただし、食費やおむつ代は別途必要になるところが多いでしょう。
デイサービスは、基本的には要支援1~2の人は利用できません。事業所によっては要支援者を受け入れているところもありますが、サービスを利用できるかどうかは自治体によって異なります。

デイケアとは

デイケアは、要支援1~2、要介護1~5の人が対象者で、要支援の高齢者を受け入れ、専門的な支援を行うのが特徴です。生活機能向上を目的とし、医師やリハビリ専門の職員によるケアが必要と判断された場合に利用できます。
デイケアは、老人保健施設や病院・診療所などの施設への通所となり、訓練や口腔機能向上サービスを提供します。自立した生活を送ることを目的に、利用者の機能向上や生活の向上を行うため、身体機能が低下した人や、入院後も引き続きリハビリを続けたい人に適しています。また、デイケアを利用することで、家族の介護負担も軽減できるでしょう。

デイケアは、デイサービスと比べて、数十円~数百円程度、利用者負担が多くなります。この理由としては、要介護者の場合は、包括的にサービスが設定されているのに対して、要支援者の段階では、共通サービスに別途必要なサービスだけを追加するという仕組みになっており、要介護者と比べて負担額が高くなる傾向にあるためです。選択的サービスは「運動機能向上」「栄養改善」「口腔機能向上」にわかれ、状況により組み合わせて利用します。ただし、自治体によっては利用回数に制限が設けられている場合があるため、確認が必要です。選択的サービスの「運動機能向上」「栄養改善」「口腔機能向上」は、それぞれ利用者負担がかかり、食事代やおむつ代も別途必要です。

また、デイサービスとデイケアでは、具体的なサービス内容や、施設内の人員体制がそれぞれ異なります。次項で詳しく解説しましょう。

2.デイサービスとデイケアの違いを比較



改めて、デイサービスとデイケアの違いを比較して見てみましょう。利用目的、サービス内容、人員体制の違いを表にまとめました。

利用目的の違い

デイサービス デイケア
・心身機能の維持と向上
・口腔機能の向上
・社会参加の促進
・他者との交流
・余暇活動
・家族の介護負担の軽減
・身体機能の回復と維持
・健康管理
・栄養改善
・口腔機能の向上
・ADL動作の維持
・他者との交流
・社会参加の促進
・家族介護負担の軽減

デイサービスでは、主に自立した生活を送るための支援を行います。介護職員やほかの利用者と交流を持つことや、レクリエーション・その他の活動を通して、社会とつながる機会が提供されます。また、通所のために、朝から起きて身支度をすることで、生活リズムを整え、清潔も保てるきっかけになるのも利点です。加えて、デイサービスの利用により、介護をする家族が仕事や息抜きする時間を確保できるようになります。

一方、デイケアは、主に障がいや病気で低下した身体機能の回復と維持を目的とします。必要であれば医師の指示により、リハビリ専門職からの訓練が可能です。日常生活の自立を目指して身体ケア・口腔ケア・認知機能の向上訓練もできるでしょう。身体ケアや栄養・口腔機能の向上に関するサービスは、利用者の心身の状態を考慮し、それぞれ組み合わせて利用します。デイケアにおいても、利用者が自宅に閉じこもらないように外出する機会を持つことや、家族が介護から離れる時間を作れるという利点があります。

サービス内容の違い

デイサービス デイケア
・食事や入浴・排せつ介助
・レクリエーション
・機能訓練
・口腔ケア
・送迎
・医師の診察
・健康管理
・リハビリ
・口腔機能訓練
・栄養管理
・送迎

デイサービスとデイケアの一番の違いは、医療的サービスが受けられるかどうかです。

デイサービスは医療的ケアがなく、他者との交流や余暇活動の場を提供しています。体操やレクリエーションを通して、機能訓練指導員による訓練は受けられますが、リハビリ専門職による訓練とは異なります。ただし、機能訓練指導員は、理学療法士や作業療法士・言語聴覚士などのリハビリ専門職のほか、看護師・あん摩マッサージ指圧師・柔道整復師・鍼灸師などの有資格者です。また、介護員や看護師が介助に入る場合がありますが、機能訓練指導員の指導によって行われています。

一方、デイケアでは、常勤の医師による医療的ケアが提供されます。実際の訓練は、理学療法士などのリハビリ専門職が行いますが、医師の指示が必要です。身体機能訓練のほか、専門職による口腔機能訓練や栄養管理などの健康管理も行われます。

人員体制の違い

【デイサービス】

生活相談員 専従で1名以上 ※サービス提供時間による
看護師 専従で1名以上 ※デイサービスの提供時間に専従する必要はなく、訪問看護ステーションなどと連携も可能
介護職員 ・利用者数15人までで1名以上 ・利用者数15人以上で、上記規定の0.2名以上
機能訓練指導員 1名以上

(参考:通所介護・地域密着型通所介護の概要・基準|厚生労働省

【デイケア】

医師 常勤1名以上
看護師(准看護師) 利用者10人に1名以上
介護職員 利用者10人に1名以上
理学療法士・作業療法士・言語聴覚士 利用者100人に1名以上 ※所要1~2時間の場合、適切な研修を受けた看護師・准看護師・柔道整復師・あん摩マッサージ師でも可

(参考:通所リハビリテーションの概要・基準|厚生労働省

デイサービスとデイケアの大きな違いは、医師とリハビリ専門職の配置の有無です。

デイサービスでは機能訓練指導員が配置され、リハビリ専門職が担当する場合があります。しかし、デイサービスでは、日常生活の自立と維持が目的であり、医療的ケアは行いません。また、機能訓練指導員に必要な資格は、看護師や柔道整復師・鍼灸師なども含まれます。ですから、必ずしもリハビリ専門職が配置されるとは限らないでしょう。デイサービスによっては、看護師が兼任する場合や機能訓練指導員の指導があれば、介護員による訓練も行われます。

一方、デイケアは、医師とリハビリ専門職が常勤しています。専門的なリハビリが必要かつ、本人が希望するのであれば、デイケアを利用することになるでしょう。ただし、デイケアでもグループ訓練や短時間なら、研修を受けた看護師などが担当する場合があります。

3.デイサービスとデイケア、介護職員の業務内容の違い



医療的ケアができることから、デイケアにはそれぞれ専門職が常勤しています。ですから、利用者の健康管理について、介護職員は補助的役割をすることがほとんどです。対してデイサービスでは、医療的ケアはないものの日中の利用者の様子は介護員がみており、利用者の状態変化や緊急時には、看護師が対応します。食事や排せつ・入浴介助など日常生活の介助や送迎は、デイサービスもデイケアも同じサービスです。

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4.デイサービスやデイケアで働くときに、あると役立つ資格4選



ここで、デイサービスやデイケアで働くときに役立つ資格を4つ紹介します。現在、介護経験がない人や無資格で働いている人も、今からでも受講できる研修や資格があります。今後、介護業界では、介護職員の質とサービスの向上のため、資格が必要になるでしょう。これからスキルアップしたいと考えている人は、資格取得を検討してみましょう。

介護職員初任者研修

介護職員初任者研修は、介護現場で働くなら取っておきたい資格です。勤務経験やほかの介護系の資格の有無に関わらず、誰でも受講できます。介護職員初任者研修は、介護業界で初めて働く人でも、介護の基礎や技能が学べるため、現場でも役立つでしょう。介護職員初任者研修は、通信でも通学でも学べますが、地域によっては自治体で実施しています。居住地のホームページなどで確認すると良いでしょう。受講料や実施期間は、自治体やスクールによって異なります。

介護福祉士実務者研修

介護福祉士実務者研修も、経験や資格の有無を問わず受講できます。介護職員初任者研修をすでに受講し、将来、国家資格である介護福祉士の資格取得を目指す人におすすめです。介護福祉士実務者研修は、介護知識のほか医療的ケアも学べるため、より専門的な知識を身に付けられるでしょう。さらに、介護福祉士実務者研修終了後は、サービス提供責任者としても活躍できます。現場での介護のほか、計画書作成やアセスメントなど業務範囲が広がり、ステップアップを目指せます。介護の基礎から医療的ケアまで広範囲にわたって学習するため、半年程度の時間を取っておくと安心です。受講の際は、余裕を持ったスケジュールを組むようにしましょう。

介護福祉士

介護福祉士は、実務経験3年以上の人が受けられる国家資格です。介護福祉士を受験するには、先に紹介した介護福祉士実務者研修を履修する必要があります。筆記試験と実技試験があり(一定条件を満たした場合免除)、筆記試験に合格した人のみ実技試験が受けられます。介護福祉士国家試験の合格基準は60%以上です。令和4年度の合格率は84.3%と、高い水準です。介護福祉士の過去問題を反復し、解説を読み込めば合格できるでしょう。

レクリエーション介護士

レクリエーション介護士は、レクリエーションの企画の立て方や実行ができる資格です。高齢者の心理や身体の状態を理解することや、コミュニケーション方法も身に付けられるでしょう。レクリエーション介護士は、1級と2級があり、経験の有無を問わず、どなたでも受講でき、通学か通信のいずれかを選択可能です。レクリエーション介護士の1級では、それぞれの目的に合わせたレクリエーションを計画し、介護の課題の解消へ向かう実践法も学べます。レクリエーション介護士は、2級を取得しないと1級の受講ができません。まずは2級取得から始めてみましょう。

5.デイサービスやデイケアの利用についてよくある質問



デイサービスとデイケアは同じサービス内容もありますが、対象者によって、使えるサービスは異なります。ここでは、デイサービスやデイケアの利用について、よくある質問をまとめています。

デイサービスとデイケアは併用できますか?

デイサービスとデイケアの併用は可能です。ただし、デイサービスは基本的に要介護1~5の方が対象であり、基本的に、要支援1・2の方は利用できません。自治体によっては、使用できる可能性もあるため、まずはケアマネージャーに相談してもらいましょう。
デイケアはデイサービスと比べると施設数が少ない傾向にあります。デイサービスでは医療的ケアはできないものの、選択肢の幅が広くリハビリに特化した施設もあります。デイケアとデイサービスは併用できるため、状況を見ながら利用すると良いでしょう。

デイケアからデイサービスに利用変更できますか?

デイケア利用中に、デイサービスへの利用変更は可能です。ただしデイケアを利用している要支援者が、デイサービスを利用したい場合は、対象とならない可能性があります。まずはケアマネージャーに相談すると良いでしょう。
デイケアで身体回復ができた利用者のなかには、「デイサービスに利用変更をしたい」と、考えるかもしれません。しかし、デイサービスはデイケアよりも専門的なケアが少ないため、施設を一度見学し、サービス内容を確認しておくことが大切です。
デイケアとデイサービスは併用できるため、すべて変更するのではなく、まずは併用し利用者に合っているか試してみるのも1つの方法です。

まとめ:デイサービスとデイケアでは目的が違う!適した支援ができるよう理解しておこう



デイサービスとデイケアの大きな違いは、医療的ケアができるかどうかです。デイサービスでは、レクリエーションなどの時間を楽しみ、身体機能や健康維持を目的としています。一方、デイケアはリハビリなどを受け、身体機能の回復と自立支援が目的です。
デイサービスやデイケアで働く際には、施設の特徴を理解しておくと良いでしょう。これから介護業界で活躍したいと考えている人は、介護職員初任者研修から受けてみてはいかがでしょうか。資格取得をすれば、収入アップやスキルアップも可能です。介護技術と専門知識を身に付ければ、利用者に最適なサービスを提供できるでしょう。

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山本史子(Fumiko Yamamoto)

介護福祉士

デイサービスで約20年現場職員として経験。2007年に介護福祉士の資格を取得。「この施設にいると楽しい、また行きたい」と笑顔で帰ってもらえるデイサービスにしたいという思いで20年間利用者様のケアをしている。知的障害のある自閉症の息子がいるため、介護現場で働きながら、母親の立場から障がい者福祉にも関わっている。

山本史子の執筆・監修記事

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