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仕事・スキル 介護施設・職場 2023/07/12

#インタビュー#デイサービス#気になるあの介護施設

買い物でリハビリをすると意外な効果!スーパーマーケット内に位置する新しい形の介護予防デイサービス「さんえすPLUS」の取り組み|気になるあの介護施設

取材・文/タケウチ ノゾミ(イージーゴー) thumbnail.jpg

愛知県岩倉市にあるデイサービス「さんえすPLUS」は、買い物を目的としたリハビリを行う介護予防デイサービスです。施設はスーパーマーケットの「ピアゴ八剱店」内に位置しており、利用者さんは来所後、簡単な運動をした後に、スーパーでお買い物をしてから帰宅します。買い物リハビリデイサービスは珍しい取り組みですが、一体どのような効果があるのでしょうか。買い物でリハビリをするメリットや効果について、「さんえすPLUS」の代表 野村由治氏に話を聞いてみました。

1.買い物リハビリのメリット・期待できる効果は?

――買い物リハビリデイサービスに通うことで期待できるメリットや効果を教えてください。

買い物リハビリには、驚くほど多くの介護予防効果があると感じています。主なリハビリ効果としては、「運動機能のリハビリ」「認知機能のリハビリ」「社会参加の促進」の3つが挙げられます。広い店内で商品を見ながら歩けば自然と歩行距離が伸びますし、手を伸ばして商品を取る、荷物を持って歩くなどの買い物に欠かせない動作は、全て運動機能のリハビリにつながっています。また買うものを考えたり、お会計の際にお金を数えたりする行為は、認知機能や意欲の低下防止にも役立ちます。

そして最も大きな効果が、社会参加の促進です。買い物リハビリデイサービスに通うことは、単に外出する機会が増えるだけでなく、利用者さんの意欲を引き出すことにも役立っていると感じています。実際に利用者さんからは、「さんえすPLUSに通うようになってお友達ができた」「外出する際におしゃれをするようになった」という声が非常に多く寄せられています。なので運動機能や認知機能のリハビリ効果はもちろんですが、閉じこもり状態から外に出るきっかけができたり、定期的に人と交流できたりすることは、買い物リハビリデイサービスに通う一番のメリットではないかと考えています。

2.利用者さん同士の交流について

――利用者さん同士の交流はどのように行われているのでしょうか。

当施設では、運動や買い物の合間に休憩の時間を多くとっています。そのため休憩時間が、みなさんのおしゃべりタイムになっていますね。利用者さん同士の交流はもちろん、スタッフとの会話を楽しんでいる方も多いです。最近話題になっている出来事や、地域の情報についての意見交換など、井戸端会議のようなイメージで交流を楽しんでいるようです。

3.「ここに通えて本当に幸せ」利用者さんからの反応

――利用者さんからの反応はいかがですか。

スタッフに対して感謝の言葉を伝えてくださる方は多いですね。「ここに通えて本当に幸せ」といった声をかけてくださる方もいて、とても嬉しく感じています。また「今まで家に閉じこもっていたけれど、週1回施設に通うことがとても楽しみになった」「何十年前の服を探し出してきて、どんな服を着ようかと考えたり、お化粧をしたりするようになった」という声も耳にするようになり、この施設を作ることができて本当に良かったと感じています。

全員での体操も交流を深める時間の一つ

全員での体操も交流を深める時間の一つ

4.買い物を楽しんでもらうためにスタッフが気をつけていること

――利用者さんに買い物を楽しんでもらうために、気をつけていることはありますか。

大きく2つあります。1つ目は、買い物のサポートを希望しない方には付き添わないことです。以前は買い物の際は必ずスタッフが付き添っていたのですが、ある日「おつとめ品などを買いづらいので付き添いはいらない」という声が利用者さんからあがりました。そのため現在は、それぞれの利用者さんに付き添いの希望を確認して、1人での買い物を希望された場合は、待ち合わせ時間を決めて1人で行っていただいています。もちろん1人で行けるかどうかは事前にアセスメントしていますが、現在通われている方は1人で買い物をされても問題ない方が多いので、基本的にはお任せしています。なかにはスタッフとおしゃべりしながら買い物をしたい方もいらっしゃるので、利用者さんのご希望に合わせて選べるようにしていますね。

2つ目は、利用者さんが買った内容をある程度覚えておくことです。利用者さんのなかには、どうしても買いすぎてしまう方や、同じ商品を何度も買ってしまう方もいらっしゃいます。なのでスタッフが買い物に付き添わせていただく方に関しては、買い物の内容をなるべく覚えておくようにしていますね。例えば先週と同じ調味料をカゴに入れた場合は「この調味料先週も買いませんでしたっけ?」と確認したり、似たようなおまんじゅうを何個も買おうとしている場合は「どっちの方が食べたいですか?今回買わなかった方は次回買いましょうね」といったお話をしたりして、嗜好品を買いすぎていないかといった点にも気をつけるようにしています。当施設では利用者さんとスタッフとがコミュニケーションを取る時間が長いので、買い物の内容について指摘しても、幸い利用者さんが気分を害してしまうことは今のところありません。ただ、利用者さんの性格や傾向を把握したうえで、適切なアドバイスをする点は注意していますね。利用者さんの意見をしっかりと尊重したうえで、満足のいく買い物ができるようにサポートしています。

5.それぞれの自治体に一つずつ作っていけたら

――今後の展望を教えてください。

利用者さんからの声を聞くと、買い物リハビリデイサービスは現代社会になくてはならない、必要不可欠なサービスではないかと感じています。認知拡大の面での課題はまだ大きいですが、介護予防に特化した総合事業のデイサービスとして、それぞれの自治体に一つずつ作っていけたらと考えています。これからも買い物リハビリデイサービスの魅力を広めていきたいですね。

取材・文/タケウチ ノゾミ 編集/イージーゴー

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タケウチ ノゾミ(Nozomi Takeuchi)

ライター・編集者

福岡市在住のフリーライター・編集者。介護、医療、ビジネスを中心に幅広いジャンルの記事を執筆。趣味は観劇と美術鑑賞、猫を揉むこと。

タケウチ ノゾミの執筆・監修記事

EGGO(イージーゴー)

イージーゴーは東京・九州を拠点にWEBコンテンツ、紙媒体、動画等の企画制作を行う編集制作事務所です。ライターコミュニティ「ライター研究所」も運営しています。

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