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仕事・スキル 介護資格 2023/05/24

#社会福祉士

社会福祉士になるには?資格取得ルートや勉強方法を詳しく解説

文/倉元せんり thumbnail.jpg

社会福祉士とは、日常生活に困難を抱えている方の相談に応じ、専門的な知識・技術で助言や指導、援助などを行う福祉のスペシャリストです。社会福祉士は、高齢者福祉、障害者福祉、児童福祉、保健医療など、さまざまな分野で活躍しており、相談援助が必要な場において、非常に重要な役割を担っています。

ただし、社会福祉士になるためには、国家試験に合格しなければなりません。また、国家試験は誰でも受けられるわけではなく、受験するには一定の要件を満たす必要があります。

そこでこの記事では、社会福祉士の資格取得ルートを学歴別に詳しく紹介します。筆者が社会福祉士に合格した際の勉強法も紹介していますので、ぜひ最後までご覧ください。

1.社会福祉士とは

社会福祉士は、社会福祉士及び介護福祉士法に基づく国家資格で、「ソーシャルワーカー」とも呼ばれる相談援助の専門家です。社会福祉士の活躍の場は、介護施設や医療機関、児童福祉施設、障害者施設など幅広く、子どもから高齢者まで幅広い年齢層の方が相談援助の対象となります。

社会福祉士の主な役割は、病気や障害、経済的困窮などによって日常生活を営むのに支障が出ている方や、なんらかの困りごとを抱えている方からの相談を受け、必要な社会福祉サービスにつなげることです。ほかの専門職と連携して支援を進めることも多く、医療機関であれば、医師や看護師、理学療法士などと協働しながら患者さんの退院支援を行います。

少子高齢化が進み、介護・福祉分野におけるさまざまな課題が取りざたされるなか、社会福祉士が活躍する場面は、今後ますます増えていくでしょう。

2.社会福祉士になるための資格取得ルート

前述したように、社会福祉士になるためには「社会福祉士国家試験」に合格しなくてはなりません。社会福祉士国家試験の受験資格を満たすには、学歴や実務経験によってさまざまなルートがあり、大きく次の3つに分けられます。

①福祉系大学・短大等(指定科目履修)ルート

福祉系大学・短大等ルートの具体例は、以下の通りです。

  • 福祉系大学等(4年)+指定科目履修
  • 福祉系短大等(3年)+指定科目履修+相談援助実務(1年)
  • 福祉系短大等(2年)+指定科目履修+相談援助実務(2年)

福祉系大学等(4年)で指定科目を履修した方を除いては、相談援助の実務経験が必須となります。

②短期養成施設等ルート

短期養成施設等ルートの具体例は、以下の通りです。

  • 福祉系大学等(4年)+基礎科目履修+短期養成施設等
  • 福祉系短大等(3年)+基礎科目履修+相談援助実務(1年)+短期養成施設等
  • 福祉系短大等(2年)+基礎科目履修+相談援助実務(2年)+短期養成施設等
  • 社会福祉主事養成機関(2年)+相談援助実務(2年)+短期養成施設等
  • 児童福祉司/身体障害者福祉司/査察指導員/知的障害者福祉司/老人福祉指導主事の実務経験4年+短期養成施設等

養成施設とは、社会福祉士に必要な専門知識やスキルを修得する施設のことです。そのうち、福祉系大学・短大で基礎科目のみを取得した方を対象とする施設が、短期養成施設と呼ばれます。短期養成施設の在籍期間は6か月以上と定められていますが、一般的に卒業までは9か月程度かかる場合が多いです。

なお、社会福祉士の養成施設は通信課程の学校が主流であるため、社会人であっても働きながら学ぶことができます。

③一般養成施設等ルート

一般養成施設等ルートは、以下の通りです。

  • 一般大学等(4年)+一般養成施設等
  • 一般短大等(3年)+相談援助実務(1年)+一般養成施設等
  • 一般短大等(2年)+相談援助実務(2年)+一般養成施設等
  • 相談援助実務(4年)+一般養成施設等

一般養成施設は、一般の大学・短大を卒業した方を対象とする施設で、1年以上の修学が必要となります。在籍期間は1年以上と定められているものの、一般的には卒業までに1年半ほど期間を要する場合が多いです。

短期養成施設と同様、通信課程の学校が多いため、働きながらでも受講できるでしょう。

3.学歴別|最短で社会福祉士になる方法

ここでは大卒、短大卒、高卒の学歴別に社会福祉士資格を最短で取得する方法について解説します。

大卒

大卒の場合は、福祉系大学か一般大学かで受験資格が変わります。

学歴 最短期間
福祉系大学など(4年) ・指定科目を履修している場合:0か月
※すでに受験資格を満たしているため、すぐに国家試験の受験が可能

・基礎科目を履修している場合:約9か月
※短期養成施設などに通学しなければならない
一般大学など(4年) 1年~1年半
※一般養成施設などに通学しなければならない

4年制の福祉系大学で指定科目を履修している方は、すでに受験資格を満たしているため、卒業してすぐに社会福祉士国家試験を受験することが可能です。基礎科目のみを履修している場合は、短期養成施設などに6か月以上通い、必要なカリキュラムを履修しなければなりません。

一般の4年制大学を卒業している方は、一般養成施設などで必要なカリキュラムを1年以上履修する必要があります。

短大卒

短大卒の場合は、福祉系短大か一般短大か、3年制か2年制かで、受験資格取得までの期間が異なります。

学歴 最短期間
福祉系短大など(3年) ・指定科目を履修している場合:1年
※相談援助の実務経験(1年)が必要

・基礎科目を履修している場合:1年9か月
※相談援助の実務経験(1年)+短期養成施設などへの通学(9か月)が必要
福祉系短大など(2年) ・指定科目を履修している場合:2年
※相談援助の実務経験(2年)が必要

・基礎科目を履修している場合:2年9か月
※相談援助の実務経験(2年)+短期養成施設などへの通学(9か月)が必要
一般短大など(3年) 2年~2年半
※相談援助の実務経験(1年)+一般養成施設などへの通学(1年~1年半)が必要
一般短大など(2年) 3年~3年半
※相談援助の実務経験(2年)+一般養成施設などへの通学(1年~1年半)が必要

福祉系短大などを卒業した方が、社会福祉士の受験資格を取得するには、相談援助の実務経験が必要です。指定科目を履修している場合は、3年制の方なら1年間、2年制の方は2年間の実務経験によって受験資格を得られます。

基礎科目のみを履修している場合は、指定科目履修して卒業した方と同じ期間の相談援助実務を行うとともに、短期養成施設で必要なカリキュラムを履修しなければなりません。

一般短大などを卒業した方の場合、相談援助の実務経験の期間は福祉系大学の方と同様ですが、一般養成施設での修学が必要となります。

高卒

高卒の方が社会福祉士の受験資格を最短で得るための方法は、「福祉系大学(4年)に入学して、指定科目を履修する」ことです。

福祉系短大を卒業して実務経験を積む方法や、一般の大学・短大を卒業して養成施設で学ぶ方法もありますが、福祉系大学で指定科目のカリキュラムがある大学であれば、卒業と同時に受験資格が得られます。

4.働きながら社会福祉士になる方法

社会人になってから社会福祉士の資格取得を目指す場合も、上記のルートが当てはまります。

福祉系大学で指定科目を履修している方であれば、すでに受験資格は得ています。また、福祉系短大で指定科目を履修している方は、相談援助の実務経験のみで受験資格を取得可能です。

ただし、指定科目の履修を終えていない方の場合は、必ず養成施設へ通学しなければなりません。働きながら通学するのは、身体的にも精神的にも負担が大きくなるため、それなりの覚悟が必要となるでしょう。

そこで、おすすめしたいのが通信制の養成施設です。前述した通り、養成施設には通信制の学校が多く、働きながらでも自分のペースで学習できます。とはいえ、実習やスクーリングへの参加が必要となるため、あらかじめスケジュールを確認・調整しておくようにしましょう。

●関連記事:社会人から社会福祉士になるには?未経験から資格取得・転職するまで

5.社会福祉士試験の難易度・合格率

社会福祉士の国家試験は、ほかの福祉系国家資格と比較して最も合格率が低く、難易度は高めです。

福祉系国家資格の直近の合格率は、以下の通りです。

資格 合格率
社会福祉士 44.2%
精神保健福祉士 71.1%
介護福祉士 84.3%

出典:厚生労働省「第35回社会福祉士国家試験合格発表」
出典:厚生労働省「第25回精神保健福祉士国家試験合格結果を公表します」
出典:厚生労働省「第35回介護福祉士国家試験合格発表」

2023年の合格率は40%を超えていますが、例年の合格率は30%前後の水準となっています。直近3回の試験の合格率も見てみましょう。

第33回(2021年2月) 第34回(2022年2月) 第35回(2023年3月)
受験者数(人) 35,287 34,563 36,974
合格者数(人) 10,333 10,742 16,338
合格率(%) 29.3 31.1 44.2

出典:厚生労働省「社会福祉士国家試験の受験者・合格者の推移」

社会福祉士国家試験の出題科目は19科目で、問題数は150問。1問1点で、例年得点率60%程度が合格基準点となっています。ただし、19科目のなかに1つでも0点があれば不合格となるため、満遍なく問題が解けるようにしなければいけません。

なお、問題の難易度によっては合格基準点も大きく変動します。第34回の合格基準点は150点満点中105点であったため、「この点数を超えれば必ず合格する」という基準がないことに注意してください。

6.試験に合格するための勉強法

社会福祉士国家試験は出題科目が多いため、幅広い学習が必要です。そのため、効率よく学習を進めることも合格するためのポイントとなるでしょう。

以下では、実際に筆者が合格したときの勉強法を紹介します。

1. テキストを一通り読む
2. 模擬問題集や過去問題集を解く
3. 正解・不正解に関わらず、問題集の解説を読む
4. 理解を深めるため、テキストを読み返す
5. 模擬問題集や過去問題集を再度解く

まずはテキストを一通り読んで、出題範囲を確認します。繰り返しになりますが、社会福祉士の国家試験は幅広い範囲から出題されるため、どのような内容をどのくらい理解すべきかをざっくりと把握しましょう。

続いて、模擬問題集や過去問題集(1回分)を解きます。はじめはわからないことが多く、正解率は低いかもしれませんが、この時点での自分の実力を知っておくことが大事です。

解き終わったら、問題集の解説を読んで必要な知識をまとめていきます。知識として定着していない言葉や覚えるべき制度については、テキストを読み返して理解を深めましょう。

このように学習を進めることで、実際の試験に沿った内容を効率よく学べるため、頭のなかも整理しやすくなります。問題集を解く→理解が曖昧な部分をまとめ直す→再度問題集を解くというサイクルを繰り返すことで、知識が定着していくでしょう。

さらに、国家試験対策で注意すべきポイントを2つお伝えします。

最新のテキストを使う

国家試験の勉強をする際は、必ず最新のテキストや問題集を使用しましょう。介護・福祉の分野では法改正が頻繁に行われるため、国家試験の出題範囲に含まれる制度も、数年前と内容が変わっている場合があります。

過去問題集を解く際にも、制度内容が変わっていないかを確認しながら進めるとよいでしょう。

得意な科目を優先する

国家試験の出題範囲は19科目に及ぶため、限られた学習時間のなかですべてを満遍なく勉強するのは、なかなか難しいものです。また、不得意な科目の学習はモチベーションが下がりやすいため、思うように勉強が進まない可能性もあります。

そのため、まずは得意な科目から優先して学習を進めるのがおすすめです。ただし、国家試験はすべての科目から出題され、1科目でも0点があれば不合格になってしまいます。不得意な科目であってもある程度得点できるように、制度の内容を暗記するなどの対策を立てるとよいでしょう。

●関連記事:・社会福祉士の合格率が低い5つの理由と試験勉強のコツ
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倉元せんり(Senri Kuramoto)

社会福祉士

大学卒業と同時に社会福祉士の資格を取得。約8年、医療ソーシャルワーカーとして勤務。出産・育児と同時に退職し、現在は福祉・金融系webライターとして、福祉やお金にまつわるさまざまな記事を執筆している。

倉元せんりの執筆・監修記事

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