Produce by マイナビ介護職 マイナビ介護職

介護の未来ラボ -根を張って未来へ伸びる-

職場・悩み 介護の転職お役立ち 2022/11/25

#社会福祉士

社会福祉士の就職先と選び方|資格を活かせる仕事の種類一覧

文/金杉宏敬 pixta_81946906_M (1).jpg

社会福祉士試験に見事に合格したら、次は社会福祉士資格を活かして活躍できる職場を探すことになると思います。
本記事では、就職先を選ぶ上で必要な情報のほか、就職先や職種、求められる人材について解説します。

1.社会福祉士が就職先を選ぶポイント

福祉の仕事に限ったことではありませんが、末永く働ける環境があることで、数多くの経験が積め、スキルアップにつながりやすくなります。そのため、職場環境は非常に重要です。
以下に、就職先を選ぶ上で確認するべき項目を説明します。

①職場の雰囲気、職場内の人間関係

職場内の雰囲気や人間関係はホームページなどでわかるものではありません。また、職場の雰囲気が自分に合うか合わないかは個人の主観によるところが大きく、入職してからでないとわからないことのほうが多いと思います。

しかし、入職後に「イメージしていた雰囲気と全然違った」とならないように、可能な限り事前に情報収集をしておく必要があります。
施設や病院の電話対応は、一般的には事務員や相談員が対応すると思います。この職員の言葉遣いや対応でその施設の教育や指導方針が読み取れます。事務員や相談員は施設の「顔」ですので、そこで感じた印象や対応は判断の一つになると思います。

また、実習先のほか、ボランティアをすることが可能であれば、実際に職場内に訪問することができるでしょう。職員の仕事に取り組む姿勢や職員同士のコミュニケーション、勤続年数など長く勤務できる環境であるかの確認ができると思います。

②給与等の待遇面・福利厚生

昇給のしくみや残業の状況、有給休暇の取得状況、育休・産休制度の有無、退職金制度、職員の懇親会費用の助成なども確認したいところです。

職員が質の高い支援を行うためには、安心して仕事に打ち込める環境は欠かせません。ご自分が重視する項目を確認するようにしましょう。

③研修体制が整備されているか

福祉業界で働く上で、継続した学習や知識の研さんは重要です。福祉の仕事は、現場の実践だけでは支援者の考えや価値観に偏ってしまう可能性があります。スキルアップには「実践」のほかに「知識」「理論」も必要になります。

年間研修計画や個人の研修計画を立てて、積極的に研修参加を促している職場もあります。研修に参加をすることでスキルアップが図れるため、研修は専門職として必須であることを覚えていて損はないかもしれません。

2.社会福祉士の主な就職先

社会福祉士の求人は多岐にわたり、勤務形態もさまざまです。就職先も数多くあるため、自分で希望する分野や職種を整理する必要があります。
社会福祉士の主な就職先は次のとおりです。

①自治体の福祉関係課

各自治体で福祉職として採用を行っています。高齢・障害・児童・福祉事務所などがありますが、採用に年齢制限が設けられている場合が多く、各自治体によって異なるため確認が必要です。

②高齢者施設

介護施設勤務の場合は「生活相談員」か「相談員」と呼ばれ、見学対応や入所面談、入所後の家族との対応など、利用者支援の中心を担う立場となります。

③社会福祉協議会

地域福祉推進に関わる事業や成年後見・権利擁護関連の業務を行います。成年後見制度の普及により社会福祉協議会の役割の重要度が増しており、非常に注目されています。

④地域包括支援センター

介護保険法に規定された地域の65歳以上の高齢者を対象とした「高齢者の総合相談窓口」です。各自治体によって独自の呼称がありますが役割は同じです。
地域包括支援センターでは社会福祉士の配置が必須で、保健師(看護師)や主任介護支援専門員と協働で相談や支援を行います。高齢者虐待対応や権利擁護支援、一般相談を受けるなど幅広い業務を担います。

⑤病院

病院の相談員は「MSW(医療ソーシャルワーカー)」と呼ばれます。主な業務は、患者やその家族の方への相談支援です。状況に応じて、家族以外の支援関係者と連携を取りながら在宅復帰の段取りや次の居所への支援を行います。

⑥障害者施設・グループホーム

身体障害者施設、知的障害者施設、精神障害者施設など障害を抱えた方の施設もあります。最近は精神疾患の方の増加に比例してグループホームが増えてます。各障害別で具体的な支援内容は異なりますが、利用者の相談援助や家族との連絡調整などが主な業務になります。

⑦児童相談所・児童福祉施設

社会福祉士の資格は、児童福祉司の任用資格となるため児童福祉司として児童相談所で勤務することもできます。ただし、地方公務員試験合格が必須となります。
子どもに関するあらゆる問題解決の相談窓口として相談に応じて、関係機関と連携を図り援助を行います。
児童福祉施設とは、子どものための保育、保護、養護を行う施設で、支援内容によってさまざまな施設があります。

3.社会福祉士の資格が活かせる仕事・職種

職種は主に次のものが挙げられます。

①相談員

利用者本人を取り巻く家族や支援関係者、現場の職員などの中軸として連絡調整を行ったり、相談を受けたりすることが主な業務です。

②介護支援専門員(ケアマネジャー)

介護保険法では、居宅介護支援事業所や介護保険施設に介護支援専門員を必ず配置されなければいけないとされ、介護サービス計画(ケアプラン)を作成します。介護サービスの利用調整や関係者との連絡調整を図ります。

③医療ソーシャルワーカー(MSW)

保健医療分野のソーシャルワーカーで、主に病院で患者や家族の相談に応じます。

④施設長・事業所管理者

介護施設や事業所の運営・管理を行い、施設長やセンター長として職場をまとめるトップの立場です。人材管理や経営面、労務管理など運営の重要な役割を担います。

4.求められる人材(社会福祉士に期待されること)

今後の日本は少子高齢化がさらに進み、単身高齢者世帯や高齢者夫婦のみの世帯が増えたり、生活困窮、認知症や精神疾患を抱える方も増えるなど問題が山積みです。

ソーシャルワークの専門職である社会福祉士は、多職種との連携や、ときには民生委員や自治会などの地域関係者、地域住民と協働しながら課題を抱えた本人の支援を行います。そのため、幅広い知識やコミュニケーション能力が必要です

就職して社会福祉士として働き続けるには、主に次のような要素が求められるでしょう。

①人と接するのが好き

相談業務が中心となる社会福祉士は人と関わることが業務の中心となります。そのため大前提として人と接することが好きであることが重要です。

②向上心がある

専門性の維持・向上のため、常に学ぶ姿勢で取り組める人、またスキルアップを図ることを惜しまない人が必要とされています。

③寄り添える気持ちがある

利用者や相談者は、それぞれの考えや価値観があり、1人として同じ人はいません。支援者の価値観を押しつけるのではなく、相手の価値観を受け入れて受容できる人、相談者の気持ちに寄り添えることが大切です。

④コミュニケーション能力

他専門職と関わる機会が多く社会福祉士がカンファレンスや会議を主催する機会は少なくありません。そのため多職種と連携が取れるコミュニケーション能力が求められます。

5.筆者が就職先を決めた理由

筆者は福祉業界に転職する際、ヘルパー2級の資格を取得して特別養護老人ホームに入職しました。福祉業界未経験であり、求人の多くは経験者の募集が多かった記憶があります。

ハローワークに通い「未経験者可」「給与を含めた待遇面」「通勤可能な地域」の条件で探しました。複数の施設に応募・面談し、数社目で採用されました。不採用だった施設は、やはり面談時点で、「何かしっくりこないな」というものがありました。

採用された施設では、面談時点で入職後のことを聞かれたり波長が合ったりして、「採用されるだろうな」と感じ、案の定、採用されました。

次の職場は地域包括支援センターでしたが、特養勤務中に社会福祉士通信課程で学んで資格を取得しました。前職と同じくハローワークで職種を「相談員」に絞って探しました。このときは1社目で採用となりました。

改めて過去の就職先を振り返ってみると、1社目の特養入職の決め手は、施設に活気や風通しがよさそうな雰囲気、さらに、職員を大切にしてくれそうな対応など、ポジティブに捉えられる要素が多かったと思います。

2社目の地域包括支援センターは、特養の現場経験からのステップアップでした。初めて就いた職種が相談員の方もいると思いますが、現場を経験した上で相談員を行うことで、利用者への理解が深まったり、現場職員の気持ちを把握したりすることができ、相談業務に活かすことができました

就職先から採用の意向があって初めて入職できるわけですが、ご自身のなかで大切にしたい条件を改めて整理することは重要です。求人情報を入手したら、納得がいくまで検討し、面接に臨んでいただきたいと思います。

●関連記事:社会福祉士の合格率が低い5つの理由と試験勉強のコツ

【日本全国電話・メール・WEB相談OK】介護職の無料転職サポートに申し込む

最新コラムなどをいち早くお届け!
公式LINEを友だちに追加する

お役立ち情報を配信中!
X(旧Twitter)公式アカウントをフォローする

介護職向けニュースを日々配信中!
公式Facebookをチェックする

SNSシェア

金杉宏敬

社会福祉士

20代後半に一般企業から福祉業界へ転身。特別養護老人ホーム勤務を経て2006年に社会福祉士資格を取得。その後、地域包括支援センターにて高齢者を対象とした相談員として約10年勤務。2016年に個人事務所「かなすぎ社会福祉士事務所」を立ち上げ、現在に至る。

金杉宏敬の執筆・監修記事

介護の職場・悩みの関連記事

  • 介護マンガ

    2024/02/22

  • 記憶に残る、介護士が利用者さんに励まされたエピソード3選|介護マンガ『ヘル2のコイケ』第11話(キャンペーン募集エピソード1)

  • 漫画/しろくま
  • 介護職のお悩み

    2024/02/06

  • 転職先の介護現場で身体拘束が!判断基準と対応策を実例で解説|介護・福祉系弁護士 外岡潤

  • 介護マンガ

    2024/01/30

  • 訪問介護のお掃除でスカーレットさん宅を訪れると...|介護マンガ『ヘル2のコイケ』第10話

  • 漫画/しろくま
もっと見る