社会福祉士と保育士の資格を両方取得するメリットとは?
文/中谷ミホ(介護福祉士、ケアマネジャー、社会福祉士、保育士、福祉住環境コーディネーター3級)
相談援助のプロである社会福祉士と、保育のプロである保育士----。福祉の世界に興味のある方が、「どちらの資格を取得するのがいいのだろう」と迷ったときは、両方の資格取得を目指すのも1つの方法です。
実は筆者も、社会福祉士と保育士のダブルライセンスを持っています。そして、その経験から言えるのは、両方の資格を取得するとさまざまなメリットを得られるということです。
この記事では、筆者の経験を交えながら、社会福祉士と保育士の資格を両方取得するメリットについて解説します。同時に取得するための方法も紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
1.社会福祉士と保育士を両方取得するメリット
はじめに、社会福祉士と保育士を両方取得するメリットを3つ紹介します。
- 児童分野で活躍できる
- 就職先の選択肢が増える
- 退職せずにキャリアチェンジができる
児童分野で活躍できる
社会福祉士は、日常生活を送るのになんらかの困難を抱えている方の相談に応じ、アドバイスや支援を行う福祉の専門家です。具体的には、対象者の置かれた環境や意向を聞いた上で、必要な福祉サービスとつなげたり、支援体制を整えたりします。
一方、保育士は児童福祉施設などで、保護者の代わりに子どもの発育や発達をサポートする仕事です。また、保育のプロフェッショナルとして、保護者に対する保育指導を行うことも役目の1つとなっています。
2つの資格は知識と技術が重なる部分も多いため、両方の知識・スキルを身に付ければ、より専門性の高い支援ができるでしょう。
例えば、児童養護施設や児童相談所といった児童福祉の分野で働く場合、社会福祉士には、発育発達に関する知識や子どもたちに関わるための技術が求められます。また保育士も、子どもたちを取り巻く環境(保護者や生活環境など)にまでしっかり目を向けて、成長をサポートする必要があります。
それを踏まえれば、社会福祉士と保育士のダブルライセンスが、子どもたちや保護者にとってのよりよい支援につながることが、おわかりいただけるのではないでしょうか。
就職先の選択肢が増える
2つの資格があることで活躍の場が広がり、就職を検討する際の選択肢が増えることも、ダブルライセンスのメリットです。
筆者の場合も、退職して次の就職先を探す際に、仕事が見つかりやすいと感じました。
保育士の資格を持っていると、保育園だけでなく、放課後デイサービスや放課後児童クラブ(学童保育)の求人にも応募可能です。加えて、社会福祉士の資格があると、医療機関や介護施設への就職も可能になるため、就職先の選択肢がぐんと広がります。
退職せずキャリアチェンジが可能
職場に社会福祉士の資格で働ける部署と、保育士の資格で働ける部署が両方ある場合、退職することなくキャリアチェンジができます。
例えば、社会福祉士として働くなかで、「保育の現場も経験してみたい」と感じた場合、同じ法人内に保育園や託児所などを運営する部署があれば、職場を変えずにキャリアチェンジできる可能性があります。
また、そうしたケースでは、キャリアチェンジのために退職して収入が途絶える心配もありません。
2.社会福祉士と保育士は同時に取得できる?
社会福祉士資格と保育士資格の指定科目が履修できる学校(大学の社会福祉学部、児童福祉学部など)に進学することで、同時取得は可能です。
ただし、保育士の資格は学校で必要な単位を修得し、卒業することで取得できますが、社会福祉士の資格は「学校を卒業するだけではもらえない」という点に注意が必要です。
社会福祉士の資格は、決められたルート(福祉系4年制大学を卒業する、福祉系短大を卒業して1〜2年の相談実務を積むなど)で受験資格を得た上で、毎年2月ごろに実施される社会福祉士国家試験に合格することで取得できます。
社会福祉士と保育士のダブルライセンスを目指せる学校は全国各地にありますので、パソコンやスマホで「社会福祉士 保育士 大学」などと検索して、自分に合ったところを探してみるとよいでしょう。
3.試験の免除科目について
社会福祉士資格を持っている場合、保育士試験の一部または全部が免除される場合があります。免除科目は、筆記試験9科目のうち、「社会的養護」「子ども家庭福祉」「社会福祉」の3科目です。
また、指定保育養成施設(※1)で筆記試験科目と実技試験に対応する科目を修得していれば、筆記試験科目の一部または全部と、実技試験が免除されることがあります。修得した科目が、筆記試験科目に対応するかどうかは、卒業した指定保育士養成施設に確認しましょう。
保育士試験で試験科目の免除を受けるには、指定保育士養成施設で発行される「社会福祉士、介護福祉士又は精神保健福祉士保育士試験免除科目専修証明書」が必要です。該当する方は、早めに準備して出願の際に忘れずに提出しましょう。
※1 指定保育養成施設
4.社会福祉士から保育士の資格を取得するには?
社会福祉士として活躍する方が保育士の資格を取得する場合は、保育士試験に合格する必要があります。
保育士試験は年2回、以下の内容で実施されています。
保育士試験の概要
【保育士試験の概要】
■試験日程
前期試験:筆記試験4月、実技試験:7月
後期試験:筆記試験10月、実技試験:12月
■筆記試験科目
- 保育の心理学
- 保育原理
- 子ども家庭福祉
- 社会福祉
- 教育原理
- 社会的養護
- 子どもの保健
- 子どもの食と栄養
- 保育実習理論
筆記試験は、各科目で6割以上得点すると合格となります。
実技試験は「音楽に関する技術」「造形に関する技術」「言語に関する技術」から2分野を選択して実施されます。
地域限定保育士試験もある
一部自治体では「地域限定保育士試験」を実施しています。地域限定保育士とは、合格した地域でのみ働くことができる保育士資格のことで、例えば大阪府で合格した場合、資格取得後3年間は大阪府内に限って保育士として働くことができます。なお、3年を経過すると全国で保育士として働くことが可能です。
注意点として、地域限定保育士試験は、すべての自治体で実施しているわけではないことを覚えておいてください。試験を実施する自治体も、年度ごとに異なります。
5.保育士から社会福祉士の資格を取得するには?
保育士として活躍する方が社会福祉士の資格を取得するには、社会福祉士の国家試験に合格しなければなりません。また、前述したように、国家試験を受けるには決められたルートで受験資格を得る必要があります。
社会福祉士の受験資格を得るルートは、学歴や実務経験により12ルートに分類されます。詳細については、公益財団法人社会福祉振興・試験センターのホームページでご確認ください。
12ルートのなかには、保育士の資格と実務経験を生かして社会福祉士を目指すルートもあります。
下記の施設で保育士として働いたことがある場合は、社会福祉士試験を受験するための要件である「実務経験」が認められます。
1. 児童相談所
2. 児童養護施設
3. 児童心理治療施設
4. 乳児院
5. 障害児入所施設
6. 知的障害児施設
7. 知的障害児通園施設
8. 盲ろうあ児施設
9. 肢体不自由児施設
10. 重症心身障害児施設
11. 障害児通所支援事業(児童発達支援センターを除く)
12. 指定発達支援医療機関
13. 重症心身障害児(者)通園事業を行っている施設
ただし、「入所者の保護に直接従事する保育士」として、介護福祉士国家試験を受験した方は、「実務経験」として認められないため注意が必要です。
社会福祉士試験の概要
社会福祉士試験は年1回、2月上旬に行われます。
【社会福祉士試験の概要】
■試験日程
年に1回、2月上旬に実施
■試験科目
- 人体の構造と機能及び疾病
- 心理学理論と心理的支援
- 社会理論と社会システム
- 現代社会と福祉
- 地域福祉の理論と方法
- 福祉行財政と福祉計画
- 社会保障
- 障害者に対する支援と障害者自立支援制度
- 低所得者に対する支援と生活保護制度
- 保健医療サービス
- 権利擁護と成年後見制度
- 社会調査の基礎
- 相談援助の基盤と専門職
- 相談援助の理論と方法
- 福祉サービスの組織と経営
- 高齢者に対する支援と介護保険制度
- 児童や家庭に対する支援と児童・家庭福祉制度
- 就労支援サービス
- 更生保護制度
社会福祉士試験は筆記試験のみです。合格基準は「問題の総得点の60%程度を基準として、問題の難易度で補正した点数以上を得点すること。また、各科目すべてにおいて得点のあること」となっています。
6.ダブルライセンスは幅が広がり、より専門的な支援ができる
ここまで紹介してきたように、社会福祉士と保育士の資格を両方取得することで、就職先の選択肢が広がる、新たなキャリアを構築できるなどのメリットが得られます。また、児童分野で活動する場合は、2つの資格の知識と技術が重なる場面が多くあるため、より専門的な支援を行えるようになるでしょう。
興味のある方は、それぞれの資格の内容や役割の違い、両方取得した場合のメリットなどを理解した上で、ダブルライセンスに挑戦してみてはいかがでしょうか。
●関連記事: 介護福祉士と社会福祉士の違いとは?両方の資格を取得するメリットも解説
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