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仕事・スキル 介護資格 2023/10/25

レクリエーション介護士とは?資格取得方法や費用、メリットを解説

構成・文/介護のみらいラボ編集部 監修/赤羽克子 thumbnail.jpg

介護施設では、運動不足の解消や身体機能・脳機能の活性化などを目指して、さまざまなレクリエーション活動が行われます。そうしたなかで、「自身のレクリエーション活動のスキルを向上させたい」「利用者さんにもっと楽しく参加してもらいたい」と考えている方は、レクリエーション介護士の資格を取るのも1つの方法です。

当記事では、レクリエーション介護士の資格取得の方法や、レクリエーション介護士の資格を生かしやすい職場、資格取得によって身に付く能力などについて解説します。レクリエーション介護士に興味のある方、レクリエーション介護士の資格取得を検討している方は、ぜひお役立てください。

1.レクリエーション介護士とは?

レクリエーション介護士とは、利用者さんの健康維持や健康促進を目的とした、レクリエーション活動の専門的な知識と技術が身に付く資格のことです。資格を取得することで、レクリエーションの企画・計画のポイントや安全に実施する方法など、介護施設の現場で生かせる実践的な能力が習得できます。

なお、レクリエーション介護士には、2級・1級・マスターの3種類があります。

2級では、介護の現場におけるレクリエーション活動の基礎知識やコミュニケーション方法、企画方法などが学べます。また、1級では、目的に合わせたレクリエーション活動のプログラムの作成方法やアレンジ方法、介護レクリエーション実施リーダーとしてのスキルなどを身に付けることが可能です。

マスター資格の取得者は、より専門性の高い介護レクリエーションの知識・技術を身に付けられるほか、講師活動や人材育成にも携われるようになります。

(出典:レクリエーション介護士「資格のご紹介」

資格取得方法

レクリエーション介護士は併願受験ができないため、まずはレクリエーション介護士2級から取得する必要があります。2級には受験資格がないため、誰でも受験することが可能です。

レクリエーション介護士2級の資格取得方法には、通信講座・通学講座・団体研修の3つがあります。

通信講座 講座の受講から認定試験まで、すべてを在宅で行えます。指定の教材(テキスト・DVD・テスト)を使って学習し、在宅での筆記試験・添削課題に合格すれば、資格を取得できます。
通学講座 認定講座を提供している大学や専門学校、資格スクールで講座の受講・受験が可能です。受講後に添削課題を提出して、筆記試験に合格すれば資格を取得できます。
団体研修 公認講師が事業所や施設、企業に出向いて行う実践研修を受講した後、試験に合格することで資格取得となります。なお、研修内容は事業所や施設、企業の要望に合わせてアレンジできるため、より実践的なレクリエーション技術が身に付くでしょう。

(出典:レクリエーション介護士「資格取得の流れ」

レクリエーション介護士1級は、2級合格者のみ受験可能です。
レクリエーション介護士1級を取得するには、通学またはオンラインで全4日間の指定講座を受講した後、筆記と実技の試験に合格する必要があります。試験会場は東京または大阪です。

試験合格者は3施設分の現場実習(自身で働いている職場を除く)を経て、資格取得となります。

(出典:レクリエーション介護士「レクリエーション介護士1級」

資格取得にかかる期間と費用

レクリエーション介護士2級の資格取得にかかる期間・費用は、以下の通りです。

通信講座
通信講座では、指定のテキストやDVDを使用して在宅で学習を進めるため、学習ペースによって資格取得までの期間が異なります。目安として、3か月ほどで学習を終える方が多い傾向です。質問対応・添削などの試験対策指導期間は、受講開始から12か月間となっているため、余裕を持って学習を進めるのが良いでしょう。

通信講座の受講費用は、一括払いの場合が35,000円、12か月の分割払いの場合は月々2,980円(総額35,760円)です。

(出典:生涯学習のユーキャン「レクリエーション介護士2級資格取得講座」

通学講座
通学講座の日程や費用は、受講先の大学や資格スクールによって異なります。講座日程は全2〜3日間、合計12時間ほどが目安です。通学講座は全国各地で受講が可能なため、自宅や通勤先から近い場所を探すのが良いでしょう。

費用は35,000円〜40,590円となっており、受講する学校によって異なります。

(出典:介護現場に笑顔を広げる レクリエーション介護士「レクリエーション介護士2級 通学講座 開講一覧」

団体研修
団体研修は、事業所や施設、企業ごとにカリキュラムをカスタマイズできるため、学習期間や費用は研修の内容によって異なります。団体研修を申し込んだ後にヒアリングでカリキュラムの内容を決め、プラン提示の際に研修の見積額が提示されます。

(出典:レクリエーション介護士「団体研修ガイド」

資格取得の難易度

レクリエーション介護士資格は、合格率の公式発表がされていません。しかし、レクリエーション介護士2級の筆記試験では、選択式の50問中60点以上で合格となるため(通信講座の場合)、比較的取得しやすい資格だと言えるでしょう。

(出典:レクリエーション介護士「資格取得の流れ」

出題範囲の基本的な内容を理解し、重要事項の復習を繰り返し行う学習方法で、十分に合格を目指せるはずです。

資格が生かせる介護施設

介護施設では、運動不足の解消や気分転換、身体機能・脳機能の活性化を目指して、計画的にレクリエーション活動が行われています。

下記は、レクリエーション介護士の資格が生かせる介護施設の一例です。

・介護付き有料老人ホーム
・介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)
・介護老人保健施設
・グループホーム
・デイサービス


レクリエーション活動の内容は、季節に関連した行事や脳トレーニングにつながるゲーム、身体を動かす活動、楽器を取り入れた活動など、施設や企画者の方針・目的によってさまざまです。レクリエーション介護士の資格を取得することで、利用者さんが楽しく取り組めるレクリエーション活動の企画・実行スキルを存分に発揮できるでしょう。

2.レクリエーション介護士資格取得で身に付くこと

レクリエーション介護士資格の取得には、通信講座・通学講座などの受講が必要です。講座では、レクリエーション介護士として働く上で必要となる、レクリエーション活動の基礎知識や企画・実施方法などが学べます。

ここでは、レクリエーション介護士2級・1級それぞれのカリキュラムで身に付く能力について解説します。

レクリエーション介護士2級で身に付く能力

レクリエーション介護士2級のカリキュラムで身に付く能力は、次の3つです。

●コミュニケーション能力
高齢期の心身の変化について学習することで、利用者さんとの対話術、状態別のコミュニケーション方法などが身に付きます。また、利用者さんが楽しくレクリエーションに参加できるような声かけの方法なども学べます。
●創造力と応用力
「継続して楽しんでもらえるレクリエーション活動を行うには、どのようなことが必要か」という視点から、企画・計画を学ぶことで、自分らしいレクリエーション活動を展開する創造力や、場面に応じて内容をアレンジする応用力が身に付きます。
●実行力
ゲームの目的を明確にした上で企画書を作成する方法や、レクリエーション活動中の安全確保に関して配慮すべき点などを学べます。そうしたカリキュラムを通じて、自分のアイデアを形にして実行するスキルや、安全にレクリエーション活動を行うための知識も身に付くでしょう。

(出典:介護現場に笑顔を広げる レクリエーション介護士「レクリエーション介護士2級」

レクリエーション介護士1級で身に付く能力

レクリエーション介護士1級のカリキュラムで身に付く能力は、以下の3つです。

●解決力
短期的・長期的な目標を設定し、レクリエーション活動に反映する方法を学ぶため、利用者さんごとのケアプランや施設の方針に合わせて、最適なレクリエーション活動を計画・実践する能力が身に付きます。
●アレンジ力
高齢者の要介護度や障害に応じて、レクリエーション活動内容を適切にアレンジする方法を学びます。そのため、利用者さんそれぞれの状況をきちんと把握した上で、計画的かつ機能的にレクリエーション活動を企画・実施するスキルが身に付きます。
●専門力
介護におけるレクリエーションの役割を専門的な観点から理解できるため、レクリエーション活動を行う意義を参加する利用者さんやご家族、施設スタッフに、正しくかつ論理的に伝える力が備わるでしょう。

(出典:介護現場に笑顔を広げる レクリエーション介護士「レクリエーション介護士1級」

3.レクリエーション介護士の資格を取得するメリット

レクリエーション介護士資格を取得するメリットには次のようなことがあります。

実践的なレクリエーションを企画、実行できる
介護の現場におけるレクリエーション活動は、リハビリ的な側面を持つ一方で、利用者さんの日々の楽しみや生きがいの1つでもあります。そうしたことから、レクリエーションを毎日実施している介護福祉施設も少なくありません。

資格取得で身に付けたスキルを生かし、実践的で質の高いレクリエーション活動を提供することで、利用者さんの喜びやQOL向上につなげられるでしょう。

利用者さんとのコミュニケーションが増える
レクリエーション介護士資格では、利用者さんと円滑にコミュニケーションをとるコツや注意点についても学べます。コミュニケーション術はレクリエーション活動だけでなく、日々の介護支援でも生かせるため、資格取得が利用者さんとの会話を増やすきっかけにもなるでしょう。

転職で有利になる可能性がある
レクリエーション介護士資格を取得することで、採用に有利に働く可能性もあります。レクリエーション活動を重視している介護事業所であれば、特に評価されやすいでしょう。

資格を取得することで、レクリエーション活動に関するスキルの高さが証明できるのはもちろん、学習意欲や向上心などのアピールにもつながります。

まとめ

介護施設では、運動不足の解消や身体機能・脳機能の活性化などを目指して、さまざまなレクリエーション活動が実施されています。レクリエーション介護士は、そうした介護現場でのレクリエーション活動を楽しく、安全に企画・実施するためのスキルが身に付く資格です。レクリエーション介護士の資格を取得する際は、まず2級の資格取得を目指しましょう。資格取得の方法には、通信講座や通学講座、団体研修などがあります。

レクリエーション介護士の資格を取得することで、利用者さんや職員とのコミュニケーション能力に加えて、レクリエーション活動を企画する創造力や応用力、実行力などが身に付きます。そうしたスキルは、転職の際に有利に働く可能性もあるため、介護士の方にはおすすめの資格と言えるでしょう。

「介護のみらいラボ」では介護現場で活躍する方に向けて、有益な情報を数多く掲載しています。介護レクリエーションについての情報も紹介しているので、気になる方はぜひ「介護のみらいラボ」をご覧ください。

※当記事は2022年10月時点の情報をもとに作成しています

▼監修者からのアドバイス

介護の現場では、廃用症候群を予防する身体活動や認知症予防のための脳トレーニング、心のケアのための社会参加や刺激、利用者さんや職員などとのコミュニケーションが課題となっています。これらの課題を解決することができるのがレクリエーション活動です。レクリエーション活動を通して利用者さん同士や職員とふれあう中で、身体的、精神的な不安要素を軽減できる可能性があります。また、心身機能の維持、回復、向上を目指して生き生きと充実した生活を送ることもできます。
高齢になればなるほど利用者さんはレクリエーション活動を通して生き生きと楽しく充実した生活を送ることが大切になります。レクリエーション活動を通して、利用者さんの質の高い充実した生活をサポートできるレクリエーション介護士の資格取得は、介護の現場でさまざまなメリットがあります。
レクリエーション活動は介護施設や在宅生活を問わず、利用者さんの「QOL(生活の質)」を高めるうえで不可欠な活動ですので、自身のレクリエーション活動のスキルアップやキャリアアップのためにも、レクリエーション介護士資格の取得を目指してみてはいかがでしょうか。

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赤羽克子(Katsuko Akaba)

元聖徳大学心理・福祉学部社会福祉学科教授

社会福祉施設勤務を経て教育の世界に入る。現在はマーシーハンディキャップサポート協会理事として障害者に対する理解の啓蒙活動・障害者スポーツの支援や松戸市シルバー人材センターのアドバイザーなどを行っている。

赤羽克子の執筆・監修記事

介護のみらいラボ編集部(kaigonomirailab)

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