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仕事・スキル 介護資格 2024/07/04

#ケアマネジャー#ケアマネジャー試験

ケアマネジャー試験の合格率は?過去の合格ラインや合格するためのポイントも解説

文/倉元せんり(社会福祉士) thumbnail.jpg

介護職のなかには、キャリアアップや介護保険制度の知識習得のためにケアマネジャー(以下、ケアマネ)試験を受験する方も多くいらっしゃいます。しかし、ケアマネ試験は介護系資格のなかでも合格率が低く、難易度の高い試験の1つです。受験者の多くは、働きながら合格を目指すため、限られた時間のなかで効率よく勉強をする必要があるでしょう。
この記事では、ケアマネ試験の合格率が低い理由や合格ライン、合格するためのポイントについて解説します。ケアマネ試験の合格を目指したい方は、ぜひ参考にしてください。

1.ケアマネ試験の合格率は?

ケアマネ試験の合格率は、例年10〜20%で推移しており、難易度の高い試験といわれます。過去5年の合格率は、以下の通りです。

年度 受験者数 合格者数 合格率
第21回(平成30年度) 49,332人 4,990人 10.1%
第22回(令和元年度) 41,049人 8,018人 19.5%
第23回(令和2年度) 46,415人 8,200人 17.7%
第24回(令和3年度) 54,290人 12,662人 23.3%
第25回(令和4年度) 54,406人 10,328人 19.0%

引用:厚生労働省「第25回介護支援専門員実務研修受講試験の実施状況について」

ほかの福祉系資格の合格率を見てみると、介護福祉士84.3%、社会福祉士44.2%となっており(ともに2023年試験実績)、ケアマネの合格率との差は明らかです。こうした数字を見ても、ケアマネの難易度の高さがわかるでしょう。

●第26回の合格速報値はこちら:今年度のケアマネ試験、約1万2千人が合格!2年ぶり増加

2.ケアマネ試験の合格率が低い理由

上述した通り、ケアマネ試験の合格率は10〜20%となっており、10人のうち1〜2人しか合格できません。
ケアマネ試験の合格率が低い理由としては、以下の3つが考えられます。

1. 働きながら勉強時間を確保するのが難しい
2. 質の高いケアマネの育成を目指している
3. 五肢複択方式なので、正確な知識がなければ答えられない

では、それぞれの理由について、詳しく解説していきましょう。

働きながら勉強時間を確保するのが難しい

ケアマネ試験を受験するためには実務経験が必要なため、ほとんどの方は働きながら試験勉強をすることになります。職場によっては残業もあり、試験勉強に十分な時間を割けない場合もあるでしょう。
一方、看護師や理学療法士、介護福祉士などの資格は新卒者が受験することが多く、勉強時間がとりやすいという特徴があります。まわりには切磋琢磨し合う仲間がいるので、勉強のモチベーションも上がりやすいでしょう。

ケアマネを受験する方のなかには、「職場にケアマネ資格所持者が必要」などの理由で、上司から指示を受けて受験する方もいます。自分の意思で受験を決めていない場合、モチベーションが上がらず、十分に勉強をしないまま不合格となることもあるでしょう。

質の高いケアマネの育成を目指している

高齢人口が増加する近年は、より質の高いケアマネの育成が求められています。ケアマネは、国が推進する地域包括支援システムにおいて大きな役割を担っており、ケアマネの質が向上すれば、医療や介護が必要になっても住み慣れた地域で生活し続けられる高齢者が増えるからです。

そうしたなか、質の高いケアマネを育成するべく、2018年以降はケアマネの受験資格が厳格化されました。無資格で介護に従事していた方などは受験資格の対象外となったため、受験者数も大きく減少しています。
また、ケアマネ試験の受験者の約4割は介護福祉士の方であり、受験者のなかで最も多い基礎資格となっています。そのため、ケアマネ試験に合格する数が増えれば、現場の介護福祉士が不足する可能性もゼロではありません。そうした背景から、介護福祉士を大きく減らさないように配慮しつつ、より質の高いケアマネを育成するために試験の難易度を上げているともいわれています。

五肢複択方式なので、正確な知識がなければ答えられない

ケアマネ試験は、五肢複択方式の試験です。五肢複択方式とは、5つの選択肢から複数の正解を選ぶ形式を指します。ケアマネ試験の場合は、5つの選択肢のなかから2つもしくは3つの正解を選ぶ問題が多く、1つでも間違うと不正解になってしまいます。

一方、介護福祉士の試験は五肢一択方式です。5つの選択肢に1つしか正解がないため、解答しやすく時間もかかりません。

ケアマネ試験では、120分間で60問に解答しなければならないため、1問につき2分ペースで解かなければ時間がなくなってしまいます。正確な知識を身につけつつスピーディに答えていかないと、ケアマネ試験に合格することは難しいでしょう。

3.ケアマネ試験の合格ラインは?

ケアマネ試験は「介護支援分野」が25問、「保健医療福祉サービス分野」が35問の全60問です。各分野とも正答率70%がいちおうの目安となっていますが、求められる合格基準点は該当年度の難易度によって補正されます。
過去5年の合格基準点は、以下のとおりです。

年度 介護支援分野 保健医療福祉サービス分野
第21回(平成30年度) 13点 22点
第22回(令和元年度) 15点 24点
第23回(令和2年度) 13点 22点
第24回(令和3年度) 14点 25点
第25回(令和4年度) 18点 26点

介護支援分野では、介護保険制度に関する知識などケアマネの実務についたときに必要な知識が問われ、保健医療福祉サービス分野では、高齢者の疾患や身体の構造、ソーシャルワークなどの知識が問われます。
すでに保有している資格によって得意分野は分かれると思いますが、合格するためには各分野で合格基準点に達している必要があります。どちらか一方でも基準点に達していなければ、不合格になるので注意しましょう。

4.ケアマネ試験の受験資格

繰り返しになりますが、ケアマネ試験の受験資格は2018年に大きく改正され、無資格で介護業務に従事していた方などは、受験資格対象から外されました。
2018年以降の受験資格は、以下のいずれかを満たす人が対象です。

1. 国家資格などに基づく業務経験5年
2. 相談援助業務経験5年
相談援助業務に従事した期間が通算して5年以上、かつ当該業務に従事した日数が900日以上であること
・生活相談員(ソーシャルワーカー)
・支援相談員
・相談支援専門員
・主任相談支援員

国家資格には、医師や看護師、理学療法士などの医療系資格や、社会福祉士や介護福祉士などの福祉系資格が該当します。

例えば、無資格で介護業務に従事している方がケアマネの資格を取得する場合、介護福祉士などの資格を取得した後、900日(5年)以上介護業務に従事することでケアマネの受験資格を得られます。
ただし、介護福祉士の資格は、3年以上の実務経験と実務者研修が必要となるため、未経験からケアマネの取得を目指す場合は、受験資格取得まで最短でも8年間かかってしまうことになります。

5.ケアマネ試験に合格するためのポイント

ケアマネ試験に合格するためには、余裕を持った学習スケジュールや自分に合った勉強方法で知識を習得することが大切です。
ここでは、ケアマネ試験に合格するためのポイントを4つ解説します。

試験までのスケジュールを立てる

ケアマネ試験の合格を目指すにあたっては、100〜200時間の勉強が必要だといわれています。ただし、勉強時間はすでに保有している資格の基礎知識によっても異なるため、200時間以上の勉強が必要となるケースもあるでしょう。

ケアマネ試験は例年10月の第2日曜日に行われるので、そこから逆算して勉強のスケジュールを立てるのがおすすめです。
例えば、毎日1時間勉強できる方の場合、200時間勉強するのに200日かかる計算になるので、6〜7か月ほどを見込んでスケジュールを考えましょう。
スケジュールを立てる際は、テキストを読み込む時期や、問題集・過去問に取り組む時期なども、決めておくことが大切です。

同じ問題集を繰り返し解く

正しい知識を習得するには、同じ問題集を繰り返し解く勉強方法がおすすめです。五肢複択方式のケアマネ試験は、確実に知識を習得しておかなければ正解を導くことができません。「何となく」の知識では、選択肢を絞り切ることができず、正答を得られなくなるでしょう。

正確な知識を身につけるにあたっては、何冊も問題集を買っていろいろな問題を解くのではなく、1冊の内容を確実に覚えることを意識しましょう。
1回目はまず解いてみて、間違えた問題の解説を読みます。解説を読んでも理解できないところは、知識が足りていないと考え、テキストに戻って該当分野の復習をしてください。これを繰り返すことで、知識が自分のなかに定着していくので、効率よく学習が進められるでしょう。

過去問を解く

問題集をある程度解き終わったら、過去問を解いてみましょう。過去問を解くことで、出題傾向を理解したり苦手分野を把握したりすることができます。
なお、過去問も問題集と同様に、理解できるまで復習することが大切です。繰り返し解けば、理解が深まっていくことが実感できるでしょう。

過去5年分の問題は東京都福祉局のWebサイトで閲覧できるので、確認してみてください。

時事問題の対策をする

ケアマネ試験では、時事問題が出される場合もあります。実際に、2016年には熊本地震の際の避難所における支援の事例が出題され、2021年には感染症予防に関する問題が出題されました。

時事問題の対策としては、普段から新聞やWEBなどを確認し、介護保険制度や時事ニュースをチェックしておくことが大事です。
時事ニュースを知っているだけで点数を得られる可能性があるので、こまめに確認しておきましょう。

まとめ:ケアマネ試験合格はスケジュール管理がカギ

ケアマネの資格を取得すると、居宅介護支援事業所や介護施設など活躍の場が広がり、給与が上がる可能性もあります。

ケアマネ試験は合格率が低く難易度が高いといわれていますが、試験まで学習スケジュールを立てて確実に知識を習得すれば、けっして合格できない試験ではありません。
働きながら勉強時間を確保するのは大変ですが、問題集や過去問を繰り返し解くことで少しずつ知識が身につきます。毎日少しずつでも勉強に取り組み、コツコツ学習を進めていきましょう。

●関連記事:ケアマネジャーになるには?受験資格・実務経験の計算方法も解説

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倉元せんり(Senri Kuramoto)

社会福祉士

大学卒業と同時に社会福祉士の資格を取得。約8年、医療ソーシャルワーカーとして勤務。出産・育児と同時に退職し、現在は福祉・金融系webライターとして、福祉やお金にまつわるさまざまな記事を執筆している。

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