介護福祉士国家試験の合格基準は?合格点はどれくらい?
文/長谷部宏依(介護福祉士・社会福祉士・ケアマネジャー)
▼3/25(月)合格発表の速報はこちらの記事で更新予定です
介護福祉士国家試験(2024年/第36回)合格発表|合格率・合格ライン・合格後の手続き
介護福祉士国家試験の合格基準は、筆記試験・実技試験ともに60%程度の正解率となっています。ただし、合格基準点は問題の難易度に合わせて補正されるため、受験する年によって異なる点に注意してください。確実に合格するためにも、例年の合格基準点を余裕で上まわるくらいの得点を目指しましょう。
この記事では、介護福祉士国家試験の合格点や試験内容、合格基準などを紹介します。独学がよいか講座を利用するのがよいかなど、勉強方法についても解説しますので、ぜひ参考にしてください。
1.介護福祉士国家試験の合格点は?
介護福祉士国家試験では筆記試験と実技試験が実施され、それぞれ合格基準点が定められています。
筆記試験は11科目群の合計125問です。1問1点となり、60%程度の正解率が合格基準となります。一方、実技試験は筆記試験を合格した場合に受験でき、100点満点で60%程度の正解率が合格基準です。
筆記試験と実技試験は、問題の難易度によって点数が補正されるため、毎年合格基準点が変わります。以下に、過去10年間の合格基準点をまとめてみました。
筆記試験の合格基準点 | 実技試験の合格基準点 | |
---|---|---|
第35回 | 75点 | 53.33点 |
第34回 | 78点 | 53.33点 |
第33回 | 75点 | 53.33点 |
第32回 | 77点 | 46.67点 |
第31回 | 72点 | 46.67点 |
第30回 | 77点 | 60.00点 |
第29回 | 75点 | 53.33点 |
第28回 | 71点 | 46.67点 |
第27回 | 68点 | 46.67点 |
第26回 | 68点 | 46.67点 |
(出典:厚生労働省「介護福祉士国家試験の合格基準及び正答について」 ・第35回・第34回・第33回・第32回・第31回・第30回・第29回・第28回・第27回・第26回)
筆記試験の場合、125点満点のうち60%程度の正解率を求められるため、75点程度が基準です。過去10年間の傾向を見ると、いちばん低い年が68点、いちばん高い年が78点となっており、10点の幅があります。
実技試験のほうは、100点満点のうち60%程度の正解率が求められ、60点程度が基準です。過去10年間を振り返ると、46.67点から60.00点まで13点以上の幅があります。
このように、試験の年によって合格基準点が異なるため、「60%の正解があったのに不合格になった」というケースもあります。基準点が上下しても合格できるように、試験対策はしっかり行いましょう。
2.介護福祉士国家試験の試験内容と合格基準
介護福祉士国家試験は筆記試験と実技試験で構成されていますが、受験ルートによっては実技試験が免除になります。
実技試験が必要となるのは、下記のルートで受験する場合です。
福祉系高校ルート |
・特例高校等を卒業後、実務経験が9か月以上あり、介護技術講習または介護過程・介護過程Ⅲを受けない場合 ・平成20年度以前に入学をし、介護技術講習または介護過程・介護過程Ⅲを受けない場合 |
経済連携協定(EPA)ルート | EPA介護福祉士候補者で実務経験が3年以上あり、介護技術講習または介護過程・介護過程Ⅲまたは実務者研修を受けない場合 |
(出典:厚生労働省「介護福祉士国家試験 受験資格(資格取得ルート図)」)
介護福祉士国家試験の受験資格があって、この表に当てはまらない人は実技試験が免除になります。
ここからは、筆記試験と実技試験それぞれの試験内容について解説していきます。
筆記試験の試験内容と合格基準
介護福祉士国家試験は筆記試験があり、マークシート方式の5肢択一で「正しいもの」「最も適切なもの」などを選びます。内容は下記の11科目群です。
1.人間の尊厳と自立、介護の基本
2.人間関係とコミュニケーション、コミュニケーション技術
3.社会の理解
4.生活支援技術
5.介護過程
6.こころとからだのしくみ
7.発達と老化の理解
8.認知症の理解
9.障害の理解
10.医療的ケア
11.総合問題
前述したように、問題は全125問で、試験時間は220分。合格基準は125問中60%程度の正解率となっています。ただし、全11科目群で1つでも0点の科目があると不合格になるので、注意が必要です。できるだけ苦手科目をつくらないように勉強を進めましょう。
実技試験の試験内容と合格基準
実技試験の内容は「介護等に関する専門的技能」と示されており、基本的な介護技術やコミュニケーション能力が問われる試験といえるでしょう。
具体的には、介護の現場で想定されるシチュエーションが提示され、その状況に合わせて適切な介助を行うことが求められます。
実技試験の合格基準は、総得点100点のうち60%程度です。筆記試験と同様、難易度により点数が補正されるため、合格基準点は毎年変わります。
3.第35回介護福祉士国家試験の合格者の内訳
ここからは、令和5年に実施された、第35回介護福祉士国家試験の合格者の内訳を紹介していきます。受験者数は79,151人、合格者数は66,711人となっており、合格率は84.3%で過去最高でした。
年齢別
以下は、年齢別に合格者数をまとめた表です。
年齢(歳) | 人数(人) | 割合(%) |
---|---|---|
~20 | 5,001 | 7.5 |
21~30 | 16,934 | 25.4 |
31~40 | 12,920 | 19.4 |
41~50 | 16,877 | 25.3 |
51~60 | 12,197 | 18.3 |
61~ | 2,782 | 4.2 |
合計 | 66,711 | 100.0 |
(出典:厚生労働省「参考」)
20代と40代の合格者が多くなっていますが、20代の場合は大学や専門学校を卒業して受験した人、40代は実務経験を積んだうえで受験した人と考えられます。
受験資格別
次に、受験資格別の合格者数と合格率を見てみましょう。
区分 | 合格者数(人) | 合格率(%) |
---|---|---|
介護福祉士養成施設 | 5,888 | 75.6 |
社会福祉施設の介護職員等 | 41,411 | 85.1 |
訪問介護員等 | 8,577 | 87.2 |
介護老人保健施設、介護医療院の介護職員等 | 4,126 | 80.3 |
医療機関の看護補助者等 | 4,251 | 84.2 |
福祉系高等学校(専攻科を含む) | 2,407 | 92.6 |
(出典:厚生労働省「参考」)
受験資格ごとに大きな差はありませんが、福祉系高等学校を卒業して受験した人や、訪問介護員等・社会福祉施設の介護職員等の合格率が高く、現場で働きながらでも十分に合格を目指せることがわかります。
4.独学と講座利用どっちがいい?
介護福祉士国家試験は対象分野が幅広いため、合格するにはコツコツと勉強を積み重ねる必要があります。
働きながら勉強する場合は、通信講座を利用している人が多いようですが、実際のところ独学と講座利用ではどちらがよいのでしょうか。
以下で、独学と通信講座の違いを比較してみました。
独学 | 通信講座 | |
---|---|---|
メリット | ・費用が安い ・自分のペースで学習できる ・自分に合った教材を選べる |
・学習するポイントがわかりやすい ・動画の授業がありわかりやすい ・わからない箇所は講師に質問できる ・制度変更や法改正などの情報が随時届く |
デメリット | ・モチベーションの維持が難しい ・自分でスケジュールを管理する必要がある ・わからないことは自分で調べる必要がある |
・費用が高い ・Webテストや添削課題を提出する必要がある |
独学の場合は、自分で好きなテキストや問題集を選ぶことができます。あまり費用をかけずに、自分のペースで勉強を進めたい人にはおすすめの方法でしょう。
一方、通信講座の場合は、運営元が毎年の試験内容を分析し、ポイントを絞ったうえで講座が進められます。スマートフォンやパソコンから動画の授業を見られるため、理解もしやすいでしょう。「1人だとどうやって勉強したらよいかわからない」「誰かに指導してほしい」という人には、通信講座がおすすめです。
どの方法を選ぶにせよ、試験当日までモチベーションを保ちながら、学習を継続する必要があります。自分自身の性格や費用を考慮しながら、どちらが合っているかを検討しましょう。
まとめ:余裕をもって合格基準をクリアしましょう
ここまで、介護福祉士国家試験の合格基準や合格点について解説してきました。合格基準点は60%程度の正解率となっていますが、数値は年によって変わるため、余裕をもって例年の基準点をクリアしておきたいものです。
しっかりと正解率を上げるためには、計画を立てて勉強することが何より重要です。11科目群の1科目でも0点を取ってしまうと、合計点数で基準点以上取れていても不合格になってしまうので、まんべんなく得点できるように努めましょう。
試験勉強は一夜漬けでできるものではなく、数か月に渡って継続していく必要があります。モチベーションを保つためにも、自分に合った学習方法を見つけてください。
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