ケアマネジャー実務研修受講試験とは?日程や概要・申し込み方法も解説
構成・文/介護のみらいラボ編集部
ケアマネジャー(介護支援専門員)とは、要介護者・要支援者が適切な介護サービスをスムーズに受けられるように、総合的なマネジメントを行う専門職です。
各都道府県が登録・管理する公的資格となっており、毎年10月中旬~下旬に「ケアマネジャー実務研修受講試験(介護支援専門員実務研修受講試験)」という名称で資格試験が実施されます。ただし、この試験に合格したからといってすぐにケアマネジャーとして働けるわけではなく、試験合格後は「ケアマネジャー実務研修(介護支援専門員実務研修)」を受講しなければなりません。
当記事では、第27回(2024年度)ケアマネジャー実務研修受講試験の情報をもとに、試験の概要や受験申し込み方法などを解説していきます。試験合格後の流れについても紹介するので、ケアマネジャーを目指している方はぜひご覧ください。
1.ケアマネジャー実務研修受講試験の日程
ケアマネジャー資格を取得するためには、ケアマネジャー実務研修受講試験に合格しなければなりません。ケアマネジャー実務研修受講試験は毎年1回、10月中旬~下旬ごろに各都道府県で実施されており、都道府県によって試験日が異なります。
ちなみに、東京都と大阪府における「第27回ケアマネジャー実務研修受講試験」の試験日は、いずれも2024年10月13日(日)でした。
(出典:東京都福祉局「「令和6年度(第27回)東京都介護支援専門員実務研修受講試験」の実施について」)
(出典:大阪府「第27回大阪府介護支援専門員実務研修受講試験のお知らせ」)
なお、ケアマネ試験の案内は試験当日の約5か月前から始まります。例年のおおまかな試験スケジュールは、下記の通りです。
5月下旬~6月上旬 | 試験案内の開始 |
---|---|
6月下旬~7月下旬 | 受験申し込みの開始 |
9月中旬~10月上旬 | 受験票到着 |
10月中旬~10月下旬 | 試験の実施 |
ケアマネ試験の申し込み受付は、試験案内開始の約1か月後に始まります。受付期間は都道府県によって異なりますが、基本的に数週間~1か月程度です。申し込みにあたっては、決められた書類をそろえる必要があるため、余裕をもって準備しましょう。
2.ケアマネジャー(介護支援専門員)の実務研修受講試験の概要
ケアマネジャー実務研修受講試験は、ケアマネジャーの資格取得を目指すにあたって避けてはとおれない関門です。
ただし、ケアマネジャー実務研修受講試験に合格したからといって、すぐにケアマネジャーとし活動できるわけではありません。ケアマネジャー資格を取得するためには、試験合格後にケアマネジャー実務研修を受講し、修了する必要があります。
つまり、ケアマネジャー実務研修受講試験は、ケアマネジャー実務研修を受講できるだけの知識・スキルを習得しているか確認するための試験なのです。結果が不合格の場合、実務研修を受講できないため、資格取得に向けた次のステップに進めません。
実務研修受講試験の受験要件
ケアマネジャー実務研修受講試験の受験要件は、介護サービスの質の向上を目指して2018年から厳格化されました。
参考までに紹介しておくと、2024年のケアマネジャー実務研修受講試験では、「国家資格に基づく実務経験もしくは相談援助業務の従事期間が通算5年以上(かつ900日以上)であること」が受験要件として定められています。
国家資格に基づく実務経験とは、「特定の国家資格のもとで行った対人援助業務」のことです。例えば介護福祉士なら介護業務、看護師なら看護業務が挙げられます。医師や社会福祉士、理学療法士なども対象となります。
一方の相談援助業務とは、生活相談員や支援相談員、相談支援専門員としての実務経験のことです。
また、ケアマネジャー実務研修受講試験では、試験申し込み日時点における勤務地または住所地、試験地に関する受験要件も設けられています。例えば、申し込み日時点における勤務地または住所地が千葉県の場合は、東京都で実施されるケアマネジャー実務研修受講試験を受けることができません。
実務研修受講試験の難易度
下記は、ケアマネジャー実務研修受講試験における、過去5年間の合格率をまとめた表です。
受験者数 | 合格者数 | 合格率 | |
---|---|---|---|
(A) | (B) | (B/A) | |
第22回(2019年度) | 41,049人 | 8,018人 | 19.5% |
第23回(2020年度) | 46,415人 | 8,200人 | 17.7% |
第24回(2021年度) | 54,290人 | 12,662人 | 23.3% |
第25回(2022年度) | 54,406人 | 10,328人 | 19.0% |
第26回(2023年度) | 56,494人 | 11,844人 | 21.0% |
(出典:厚生労働省「第26回介護支援専門員実務研修受講試験の実施状況について」引用日2024/8/18)
合格率は20%前後で推移しており、難易度は比較的高い傾向にあります。なお、2018年度の第21回ケアマネジャー実務研修受講試験では、受験要件の厳格化の影響を受けて受験者数が激減し、合格率は過去最低の10.1%となりました。
ただし、2019年度以降は、受験要件が変わる前と同程度の合格率に戻っており、20%を超える回も増えつつあります。それを踏まえるならら、「高難易度ではあるものの、参考書やテキストなどを用いてしっかり試験対策を行えば、十分に合格を目指せる試験」といえるでしょう。
●関連記事:ケアマネジャー試験の合格率は?過去の合格ラインや合格するためのポイントも解説)
3.ケアマネジャー実務研修受講試験の申し込み方法
ケアマネジャーを目指している方は、受験資格を満たしていることを確認した上で、受付期間中に試験の申し込み手続きを行いましょう。
以下では、ケアマネジャー実務研修受講試験の申し込み方法について説明します。
各都道府県の窓口を確認する
ケアマネジャー実務研修受講試験の申し込みをする際は、まず都道府県の担当課を確認しましょう。各都道府県の担当課は、社会福祉振興・試験センターの公式ホームページにリンクが貼られています。
(リンク:公益財団法人 社会福祉振興・試験センター「介護支援専門員(試験問題作成)」)
このとき、すでに受験条件の該当業務に従事している方は、勤務地のある都道府県の窓口を選んでください。一方、受験条件を満たしているものの該当業務に従事していない方は、住所地のある都道府県の窓口を選ぶ必要があります。勤務地と住所地の都道府県が違う方は、間違えないように注意してください。
試験会場を間違って申し込んだ場合、誤りに気づかないまま本来の受験地の申し込み期間を過ぎてしまうと、試験を受けられなくなる可能性があります。念入りにチェックしましょう。
必要な提出書類をそろえる
次に、各都道府県の窓口に問い合わせて、受験案内・受験申込書の配布場所を確認しましょう。配布場所は都道府県によって異なりますが、基本的には県庁や市区町村の介護福祉課、市区町村社会福祉協議会の窓口となります。
受験案内・受験申込書を受け取ったら、必要な提出書類をそろえましょう。ケアマネジャー実務研修受講試験の申し込みでは、受験申込書だけでなく以下のような書類の提出を求められます。
【ケアマネジャー実務研修受講試験の申し込みに必要な提出書類】
● 証明写真と受験手数料振込票が貼付された受験申込書
● 実務経験証明書または実務経験見込証明書
● 国家資格の免許証または登録証の写し
● 顔写真を貼付した受験票
● 戸籍抄本
受験案内を役所で受け取る場合は、合わせて戸籍抄本も取っておくとスムーズです。実務経験証明書または実務経験見込証明書は、勤務先の職場に書いてもらう必要があるため、なるべく早い段階で準備しておきましょう。
なお、提出した書類に不備が見つかった場合は、返送されたものに修正を加えて再度提出しなければなりません。期限内に提出できるよう、余裕をもって必要書類をそろえておくことが大切です。
受験料とともに窓口に提出する
申し込みに必要な提出書類をすべて用意したら、所定の封筒に各書類を入れて、受験料とともに窓口に提出します。窓口への提出は、簡易書留を使った郵送のみとなります。
ケアマネジャー実務研修受講試験の申し込みに必要な受験料は、都道府県によって異なるので、事前に確認しておいてください。
【2024年度の第27回ケアマネジャー実務研修受講試験における受験料(例)】
受験地 | 受験料 |
---|---|
東京都 | 12,400円+コンビニエンスストアへの払込手数料148円 |
大阪府 | 13,400円+コンビニエンスストアへの払込手数料170円 |
(出典:東京都福祉局「「令和6年度(第27回)東京都介護支援専門員実務研修受講試験」の実施について」)
(出典:大阪府「第27回大阪府介護支援専門員実務研修受講試験のお知らせ」)
受験料や提出方法に関する規定は、受け取った受験案内に必ず記載されているので、間違いがないことを確認した上で提出しましょう。
4.ケアマネジャー試験合格後の流れ
ケアマネジャー実務研修受講試験に晴れて合格した後は、各都道府県が実施する「ケアマネジャー実務研修(介護支援専門員実務研修)」を受講することになります。自宅に受講案内が届いたらすみやかに内容を確認し、受講の申し込みと受講料の支払いを済ませましょう。
ケアマネジャー実務研修とは、ケアマネジャーの主要業務であるケアプランの作成や、要介護認定業務に関する専門知識・技術を学ぶ研修です。15日間の講習と3日間の実習の2項目に分けられており、合計87時間の研修を修了する必要があります。受講料は、約3万~6万円です。
ケアマネジャー実務研修を修了したら、3か月以内に各都道府県に登録申請と登録証の交付申請を行います。その後は、1か月ほどで介護支援専門員証が交付され、ケアマネジャー業務に従事できるようになります。
まとめ
ケアマネジャー実務研修受講試験は、毎年1回、10月中旬~下旬ごろに各都道府県で実施されています。
ケアマネジャー実務研修受講試験は、ケアマネジャーの資格取得に向けた1つのステップに過ぎず、試験に合格した後は合計87時間の実務研修を修了する必要があります。すでに受験要件を満たしている方でも、準備期間を含めると最短1年程度の期間を要するため、できるだけ余裕をもって準備を進めることが大切です。
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※当記事は2024年8月時点の情報をもとに作成しています
●関連記事:ケアマネジャー(介護支援専門員)になるには?受験資格・実務経験の計算方法も解説
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