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仕事・スキル スキルアップ 2020/10/06

#コロナ#鹿賀大資#問題#感染予防#介護施設

コロナ禍で中規模介護施設が困った問題2つと解決例

鹿賀大資 介護福祉士・ライター upskilling_20201006_1.jpg

配膳を一時的に個別にして、ソーシャルディスタンスを保つ

新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために、苦戦を強いられた介護施設は少なくありません。前例のない事態を前にして、大半の介護施設が対応に追われていたのではないでしょうか。

埼玉県にある、とある有料老人ホームも、そのひとつです。同施設でもトラブルが続出するなか、2つの事項を最優先に改善すべき課題と捉えました。エレベーターと食堂でソーシャルディスタンスを保つこと、そして施設全体を守る衛生備品の確保です。今回は、緊急事態宣言の発令直後~解除後までの約1ヶ月半の間(2020年4月7日~5月25日)に実施した感染症対策の内容を紹介します。

エレベーターや食堂でのソーシャルディスタンスの確保

最初の課題として挙がったのは、エレベーター内におけるソーシャルディスタンスの確保でした。この介護施設には1基のエレベーターしかなく、最大定員数は4人です。しかし、介護職員が同乗すると、一度に乗ることができるご利用者は3人です。従来はこの状況を踏まえたうえで、最もエレベーターの利用頻度が多くなる食堂への移動時間に職員が対応にあたっていました。

従来の食堂から各フロアでの食事へ

ソーシャルディスタンスを考慮すると、エレベーターに乗れる人数は2人まで。これでは食堂に集まる際、ご利用者に負担をかけてしまううえ、介護職員の手間もかかります。そのためこの介護施設では、各フロアの共有スペースに着目。従来の食堂に全員が集まるのではなく、フロアごとに食事をする案が出ました。
共用スペースは普段からレクリエーションなどで使っており、テーブルのサイズも各フロアの全ご利用者が座れる大きさです。配膳をする際は、介護職員がカートに食事を乗せてエレベーターで運ぶ、という方法を採りました。コロナ禍を機に、ご利用者が一堂に集まる機会を減らし、室内外のレクリエーションを実施する際もフロアごとに対応しています。

"新食堂"でのソーシャルディスタンスの実現に向けて

ソーシャルディスタンスを重視すると、各フロアの共用スペースにあるテーブルは全ご利用者が座れるものの、そこまでゆったりとした間隔は確保できません。そのため、食事の時間を2回に分けて対応しました。結果的にソーシャルディスタンスは確保できましたが、新たな問題も。食事の時間を2回にしたことで、介護職員の休憩時間の調整が困難になっていったのです。
そこで、さらに考えたどり着いたのが、職員が各居室に食事を運ぶ「ケータリング方式」による配膳でした。1階の厨房から各フロアまでの移動係が1人、エレベーター前には配膳係を配置。複数の食事を移動できる専用カートに乗せ、エレベーター前で待機する数人の介護職員が各居室に手で運んでいく流れです。
実際にこの取り組みの方が時間もかからず、介護職員の負担も軽減されました。ただ「共同生活」という観点から疑問視する職員の声もあり、現在は職員のシフト人数に応じて2部制にするなどの併用を試みています。

介護職員への配布を目的とした衛生備品類の確保

緊急事態宣言下では、マスク類を主とする日用品の品薄や価格高騰の影響も受けました。マスクを購入できない介護職員が続出するなか、施設側も特に消毒類の備品の入手が困難だった時期です。そこで課題として挙がったのは、介護職員へのマスク供給を最優先に考えた、衛生備品類の確保でした。

予算を見直し、2ヶ月後を想定してストックしていく

備品類を購入するにあたって、最初に取り組んだのが現状の把握です。各備品の在庫数や使用頻度などを調べ、それぞれの単価から予算を割り出しました。ストックの想定期間は2ヶ月。ストックの対象は主にマスク、トイレットペーパーやティッシュ、アルコール消毒液などです。それぞれ直近3ヶ月における1日の消費量を洗い出し、合計の数値を特別予算として計上しました。即購入とはいたらなかったものの、現在は特別予算から徐々に備品類を買いそろえている状況です。またフェイスシールドや飛沫拡散シート、仕切り板といった備品を望む声も多く、それらを臨時予算の対象に加える方向で進めています。

まとめ

現在のコロナの状況下ではヒト・金・モノに費やす割合が、以前とは全く違う状況に向かうことは避けられません。今回の課題と直面する介護施設は、決して少なくないでしょう。「withコロナ」が叫ばれるなか、介護施設として今後の対応で重要になってくるのは、問題の把握と、各課題の優先度を整理することです。さらに、改善策を見据えた話し合いも欠かせません。現場をよく理解している、介護職員が実践しやすい改善策を目指し、話し合いを重ねれば、早い段階で効果を発揮できるはずです。

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プロフィール

鹿賀大資

介護福祉士・ライター

施設介護で10年のキャリアを持つ現役介護福祉士。介護系WEBサイトにて、介助にまつわるコラムや記事を執筆。自らの介護エピソードはもちろん、同僚スタッフの体験談など、現場の声なき声を発信している。

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