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学ぶ 介護国試過去問ドリル 2020/06/25

#国家試験

介護現場で見る発達障害。自閉症スペクトラム障害(ASD)の特性について【国試過去問ドリル第2回】

馬淵 敦士(まぶち あつし) 「ベストウェイケアアカデミー」学校長。介護福祉士・社会福祉士・介護支援専門員(ケアマネジャー)。 drill_20200625_01.jpg

「発達障害」という言葉がよく聞かれるようになりました。発達障害とは、生まれつきの特性であり、脳の一部の機能に障害があるといわれています。近年、テレビやラジオなどのメディアを通じ、発達障害への認知が広まっています。
しかしながら、一般的に知られていくにつれて、「発達障害」という言葉が一人歩きし、症状について誤解が生じてしまうことも。学校内や職場内で人間関係のトラブルが発生すると、「あの子は発達障害ではないか」という決めつけを引き起こしてしまうことも残念ながらあります。

発達障害が原因で人間関係のトラブルを引き起こしてしまうという事実も確かに存在しますが、当然ながら、人間関係のトラブルはすべて発達障害が原因ではありません。

そして、介護福祉士国家試験問題には、発達障害について介護福祉士としての知識を問われるような出題も増えてきています。下記は、発達障害のひとつ、自閉症スペクトラム障害の特性について理解できているかどうかを問う出題です。

介護福祉士国家試験 過去問題 

第32回 午後 問題92 設問

自閉症スペクトラム障害(autism spectrum disorder)の特性として、最も適切なものを1 つ選びなさい。

1 読み書きの障害
2 社会性の障害
3 注意の障害
4 行為障害
5 運動障害

介護福祉士国家試験 解答と解説

正解:2

自閉症スペクトラム障害の特性

自閉症スペクトラム障害は、以前はアスペルガー症候群と言われていた部分を含みます。(現在はDSMというアメリカの精神障害の診断・統計マニュアルにアスペルガーという病名はありません。ICDという疾病分類にはあります。)
主に「相互的な対人関係を構築することが難しい」、「コミュニケーションが苦手」、「興味や行動に偏り(こだわり)がある」といった、3つの特徴が現れるといわれています。

例えば、状況にそぐわない行動をするということがあげられます。全員が静かに話を聞いている状況であるにもかかわらず話を遮って質問してしまったり、他の人の会話に割り込んで入ってしまったりといった行動です。

また、「この道を通らないと駅まで行かない」など、独自のルーティン(強いこだわり)があります。いつも通っている道が工事中で通れないと、パニックになってしまい目的地まで行くことができないなど、突然の変化にうまく対応ができないのも特性です。
これらが選択肢2の「社会性の障害」といわれる事例になります。

学習障害や注意欠如多動症の特性

選択肢1は、学習障害(限局性学習症:(Specific Learning Disorder : SLD)の特性です。
選択肢3は注意欠如多動症((Attention Deficit Hyperactivity Disorder : ADHD)の特性となります。

学習障害や注意欠如多動症は、自閉症スペクトラム障害と同様、発達障害ではありますが、自閉症スペクトラム障害の特性とは異なります。
発達障害は重複して症状をもつことがあるほか、障害の程度も個々人で異なるため、それぞれの障害の特性を理解することが実務では重要です。

その他の障害における特性

選択肢4の「行為障害」(Conduct Disorder : CD)は素行障害(素行症)とも呼ばれ、発達障害による二次的情緒障害として素行不良(反社会的行動)などを引き起こすことがあります。
選択肢5の「運動障害」は、脳や神経の損傷や機能不全により起こるものであり、両方とも自閉症スペクトラム障害の特性とは判断できません。

実務での活かし方

発達障害は、「特性」と「個性」の見分けがとても難しいため、ご利用者の個性を知らないと、無理難題を押しつけてしまうことがあります。
「他のみんなはできているのに、なぜあなたにはできないのですか?」と責めてしまった経験がある介護士もいるのではないでしょうか。こういったことを避けるために発達障害の特性を理解することは重要です。

しかし、その特性を発達障害の利用者すべてに当てはめてはいけません。「○○さんは自閉症スペクトラム障害だからこう対応すればいい」という考えは、ご利用者を「一人の人」として見ていないことになってしまいます。

発達障害の特性を知るのが必要な理由は、利用者を「枠にはめ込む」ためではなく、あくまで「ある行動をする可能性や傾向がある」ということを理解するためです。

その上でご利用者個別の得意なこと、不得意なこと、個性を把握し、一人ひとりに合わせてきめ細やかに対応を変える必要があります。
個性を理解し個々人にあった対応をすることで、ご利用者はいきいきと生活することができるようになると考えます。

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白井孝子(Takako Shirai)

東京福祉専門学校副学校長/看護師・介護支援専門員(ケアマネジャー)

聖路加国際病院、労働省(現厚生労働省)診療所勤務。小児病棟での終末期看護のあり方から在宅看護に興味を持つ。訪問看護業務に携わる中で、生活支援には保健医療福祉の連携が重要であることを体験する。その思いを形にするため、平成2年から介護福祉士養成に関わるようになる。現在東京福祉専門学校副学校長。

白井孝子の執筆・監修記事

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