介護福祉士国家試験とは?概要や受験要件・申し込み方法を解説!
構成・文/介護のみらいラボ編集部
介護福祉士として活躍するためには、介護福祉士資格を取得しなければなりません。介護福祉士は介護職において唯一の国家資格であり、取得を目指すための試験が年に1回実施されています。
介護福祉士国家試験の受験申し込み手続きは、例年8〜9月に行われます。本記事では、介護福祉士国家試験の日程や介護福祉士試験概要、受験申し込み方法について詳しく説明します。介護福祉士国家試験を受験しようと考えている方はもちろん、将来的に介護福祉士を目指している方も、ぜひ最後までご覧ください。
1.介護福祉士国家試験の日程
介護福祉士国家試験は、毎年1回、1月下旬ごろに実施されます。また、合格発表は約2か月後の3月下旬に行われます。
介護福祉士国家試験の受験手続きは、試験実施日の約4~5か月前からスタートします。受付期間を過ぎると国家試験を受けられなくなるため、介護福祉士国家試験の受験を検討している方は、なるべく早めに受験申し込みを済ませましょう。
2.介護福祉士国家試験の概要
介護福祉士国家試験では、介護福祉士として働くために必要な知識や技能が問われます。試験合格者は、介護福祉士としてさまざまな施設・事業所で働けるようになります。
2025年1月26日(日)に実施される第37回介護福祉士国家試験の概要は、下記の通りです。
■介護福祉士国家試験の概要
(1)試験期日/2025年1月26日(日)
(2)試験地/北海道、青森県、岩手県、宮城県、秋田県、福島県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、新潟県、石川県、長野県、岐阜県、静岡県、愛知県、京都府、大阪府、兵庫県、和歌山県、鳥取県、島根県、岡山県、広島県、香川県、愛媛県、高知県、福岡県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県
(3)試験科目/筆記試験
・領域:人間と社会
人間の尊厳と自立、人間関係とコミュニケーション、社会の理解
・領域:介護
介護の基本、コミュニケーション技術、生活支援技術、介護過程
・領域:こころとからだのしくみ
こころとからだのしくみ、発達と老化の理解、認知症の理解、障害の理解
・領域:医療的ケア
・医療的ケア
総合問題(上の4領域の知識・技術について横断的に問う問題を、事例形式で出題)
(出典:厚生労働省「第37回介護福祉士国家試験の施行について」)
第37回介護福祉士国家試験は、全国35都道府県で実施されます。住所地で国家試験が実施されない場合は、どの試験会場が近いかをあらかじめリサーチしておきましょう。
以前の介護福祉士国家試験は、筆記試験だけでなく実技試験もありました(一部の対象者のみ)。しかし、2024年5月に「社会福祉士及び介護福祉士法施行規則」が改正され、介護福祉士実技試験は廃止となっています。
■社会福祉士及び介護福祉士法 第二十二条
(介護福祉士試験)
第二十二条 介護福祉士試験は、筆記の方法により行う。
(出典:e-GOV法令検索「社会福祉士及び介護福祉士法施行規則」)
介護福祉士国家試験の受験要件
介護福祉士国家試験は、一定の要件を満たした方のみが受験できます。
介護福祉士の資格取得ルートには、「養成施設ルート」「実務経験ルート」「福祉系高校ルート」「経済連携協定(EPA)ルート」の4つがあり、ルートごとに具体的な受験要件が定められています。
●養成施設ルート
文部科学大臣・厚生労働大臣が指定する学校、または都道府県知事が指定する養成施設に通い、指定科目を履修して卒業するルートです。
●実務経験ルート
介護の実務経験がある方向けのルートです。介護現場で3年以上の実務経験を積んだ後、実務者研修や介護職員基礎研修・喀痰吸引等研修を修了することで、受験資格が得られます。
●福祉系高校ルート
文部科学大臣・厚生労働大臣が指定する福祉系高等学校または特例学校を卒業したうえで、資格取得を目指すルートです。(1)2008年度以前の入学、(2)2009年度以降の入学、(3)特例高校への入学によって要件が異なり、卒業と同時に受験資格を得られるのは(1)と(2)です。(3)については、卒業後に9か月以上の実務経験を積むことで受験資格を得られます。
●経済連携協定(EPA)ルート
経済連携協定(EPA)を結ぶフィリピン・ベトナム・インドネシアの介護福祉士候補者が、日本での実務経験・研修を経て資格取得を目指すルートです。
(出典:公益財団法人 社会福祉振興・試験センター「受験資格(資格取得ルート図)」)
介護福祉士国家試験の試験科目
介護福祉士筆記試験では、4領域12科目と総合問題から全125問が出題されます。試験形式はマークシートで、配点は1問1点(総得点125点)です。具体的な試験内容は、下記の通りとなっています。
領域 | 科目 | 出題数 |
---|---|---|
人間と社会 | 人間の尊厳と自立 | 18問 |
人間関係とコミュニケーション | ||
社会の理解 | ||
介護 | 介護の基本 | 50問 |
コミュニケーション技術 | ||
生活支援技術 | ||
介護過程 | ||
こころとからだのしくみ | 発達と老化の理解 | 40問 |
認知症の理解 | ||
障害の理解 | ||
こころとからだのしくみ | ||
医療的ケア | 医療的ケア | 5問 |
総合問題 | 12問 |
介護福祉士国家試験では、「人間と社会」「こころとからだのしくみ」「医療的ケア」の3領域が午前、「介護」と「総合問題」は午後に実施されます。
(出典:公益財団法人 社会福祉振興・試験センター「試験科目別出題基準」)
(出典:厚生労働省「介護福祉士国家試験に関する参考資料」)
介護福祉士国家試験の難易度
介護福祉士国家試験の合格基準は、「総得点の60%程度」です。なお、「11科目群すべてにおいて得点があること」も合格の条件となります。
(出典:公益財団法人 社会福祉振興・試験センター「出題基準・合格基準」)
介護福祉士国家試験の受験者には、「介護福祉士養成施設でカリキュラムを修了した方」と「すでに介護職に就いており知識と技能を有する方」が多いため、合格率は約70~80%と高い割合で推移しています。
区分 | 第32回 | 第33回 | 第34回 | 第35回 | 第36回 |
---|---|---|---|---|---|
受験者数 | 84,032人 | 84,843人 | 83,082人 | 79,151人 | 74,595人 |
合格者数 | 58,745人 | 59,975人 | 60,099人 | 66,711人 | 61,747人 |
合格率 | 69.9% | 71.0% | 72.3% | 84.3% | 82.8% |
(出典:厚生労働省「第36回介護福祉士国家試験合格発表」引用日2024/8/19)
参考書やテキスト、介護福祉士受験対策講座などを活用し、しっかり勉強することで十分に合格を目指せるでしょう。
なお、厚生労働省は2024年に、介護職の増加を目的として介護福祉士の国家試験制度を大幅に見直す方針を固めました。見直しされるのは、「試験問題が3つの分野に分割され、再受験の場合は、合格基準に満たなかった分野のみを受ければ済む」という点です。
(出典:厚生労働省「介護福祉士国家試験の検証に資するデータ分析 報告書」)
3.介護福祉士国家試験の申し込み方法
介護福祉士国家試験の受験申し込みにはさまざまな書類が必要となります。また、期日を過ぎると、いかなる理由があっても試験を受けることができなくなるので注意しましょう。
特に初めて介護福祉士国家試験を受ける方の場合は、申し込みに手間取る可能性もあるため、余裕をもって準備を進めることが大切です。以下では、介護福祉士国家試験の申し込みの流れを説明します。
受験申し込みの手続きをする
毎年7月上旬ごろになると、「公益財団法人 社会福祉振興・試験センター」の公式ホームページで、介護福祉士国家試験の受験申し込み手続きを行えるようになります。まずは、試験センターのホームページで「受験の手引」を請求しましょう。
「受験の手引」を請求すると、受験の申し込みに必要な各種書類が指定の住所に郵送されます。手元に届くまでには数日間かかるため、余裕をもって請求しておくことをおすすめします。
なお、「受験の手引」は1人につき1部のみ請求可能です。予備の請求は不可能となっているため、紛失しないよう注意してください。
申し込み受付期間中に必要書類をそろえる
「受験の手引」が手元に届いたら、内容を確認して申し込みに必要な書類をそろえましょう。介護福祉士国家試験の受験には、下記のような書類が必要です。
● 受験申込書
● 受験用写真等確認票
● 受験手数料払込受領貼付用紙
● 実務経験証明書
● 実務者研修修了証明書または実務者研修修了見込証明書
● 卒業証明書または卒業見込証明書
● 従事日数内訳(見込)証明書 など
受験手数料の払い込みは、指定のコンビニエンスストアで行えます。なお、第37回介護福祉士国家試験の受験手数料は18,380円でした。
必要書類の抜け・漏れがあると受験申し込みが正しく受理されず、修正を加えて再度提出しなければなりません。どのような書類が必要かは受験ルートによっても異なるため、自身の受験ルートに合わせて、必要書類を確認しましょう。
(参考:社会福祉振興・試験センター「37回介護福祉士国家試験『受験の手引』」)
試験センターに提出する
受験申し込みに必要な書類をすべてそろえたら、「受験の手引」に同封されている専用封筒を使って、受付期間内に郵送します。郵送の際は、必ず簡易書留で送りましょう。普通郵便や持ち込みでの提出は不可能となっているので、注意してください。
なお、再受験者はインターネットからの受験申し込みが可能です。インターネットから申し込む場合は、「受験の手引」を請求する必要がないほか、クレジットカードによる受験料の支払いも可能となります。
試験センターに受験申し込み書類を提出し、正式に受理されたら、12月上旬ごろに受験票が届きます。試験日には、送付された受験票を忘れずに持参しましょう。
まとめ
介護福祉士国家試験は、毎年1回、1月末ごろに実施されます。試験日の約4~5か月前に開始する受験申し込み受付期間を過ぎると、いかなる理由があってもその年の試験は受けられないため、余裕をもって準備を進めましょう。
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