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生活・スタイル 介護職の生活情報 2025/06/28

夜勤でも生活リズムを整える!介護職員のための実践的なコツと過ごし方

文/長谷部宏依(介護福祉士・社会福祉士・ケアマネジャー) thumb250628.jpg

夜勤の仕事をしていると、どうしても生活リズムが乱れがちになります。場合によっては、体調を崩してしまうこともあるでしょう。特に、介護施設で働く職員の方は、夜勤中も高い集中力が求められるため、疲労を溜め込まない工夫が必要です。

とはいえ、忙しい毎日の中で生活リズムを整えるのは、そう簡単ではありません。

そこで今回は、夜勤をこなしながらでも、無理なく生活リズムを整えるためのコツをご紹介します。食事や睡眠のとり方、夜勤前後の過ごし方など、すぐにでも実践できる方法ばかりなので、ぜひ参考にしてください。

1.夜勤で生活リズムが不規則になる原因

夜勤をしていると、どうしても生活リズムが乱れやすくなります。「サーカディアンリズムの乱れ」という身体機能の問題があるからです。

人間の身体は「サーカディアンリズム」と呼ばれる生理機能(昼夜の変化に同調して、約24時間周期で体内環境を変化させる機能)を持っており、昼間に活動し夜間に休むことが基本となっています。

このリズムは、体内時計によって調整されており、太陽光を浴びると正常にコントロールできます。一方で、夜勤で昼夜逆転の生活が続くと、乱れやすくなります。特に不規則な勤務シフトの場合、身体が適応する前に次の夜勤が訪れるため、リズムの乱れはさらに顕著になるでしょう。

ここからは、さらに詳しく解説していきます。

十分な睡眠を取れない問題

夜勤後は、どうしても昼間に眠る状況になります。しかし、昼間の睡眠は夜間の睡眠に比べて質が低い傾向にあります。昼間に光を浴びると身体が覚醒しやすく、深い睡眠に入りにくいからです。また、外の生活音や家族の活動音が原因で中途覚醒が増え、断続的な睡眠になることもあるでしょう。

そして、そのような状態が続くと、身体に疲労が蓄積し、免疫力の低下やストレスの増加につながります。

筆者が介護職として夜勤を始めたばかりの頃は、心身ともにかなり大変だったことを覚えています。そうした中で、最初に直面した問題は生活リズムの乱れでした。日勤と夜勤を交互にこなすシフト制では、どうしても寝る時間が一定にならず、身体が常に疲れを感じていたのです。疲れが取れないまま、次の勤務をすることも多かったと記憶しています。

食事の時間と内容が不規則になる

夜勤中や夜勤後の食事は、通常の生活と比べて不規則になりがちです。特に夜勤中は仕事の合間に食事を取る必要があるため、食べる時間がまちまちになります。選ぶメニューも、手軽に食べられる高カロリーのものが多いのではないでしょうか。

しかし、夜勤中に重い食事を取ると、消化に時間がかかり、胃腸への負担が大きくなります。胃腸への負担が大きいと、胃もたれや消化不良を引き起こし、夜勤後の睡眠にも悪影響をおよぼします。

一方、夜勤後に朝食を抜く人も見かけますが、朝食を取らないと栄養不足、エネルギー不足に陥り、体調が回復しにくくなります。逆に、夜勤明けに重い朝食を取ってしまうと消化器官が疲れ、さらに体調を崩す原因になりかねません。

このように、食事の乱れは、身体全体のリズムを崩す一因となるので、注意が必要です。

メンタル面への影響

夜勤が続くと、肉体的な負担だけでなく、メンタル面にも影響をおよぼします。たとえば、睡眠不足や栄養不足が積み重なると、慢性的に疲労を感じる状態になり、気分の落ち込みや集中力低下につながりかねません。

また、夜勤中は昼間と比べて孤独を感じやすく、精神的なストレスを強く感じる場合があります。このようなメンタル面の負担も、生活リズムを乱す大きな要因の一つといえるでしょう。

2.夜勤があっても生活リズムを乱さないコツは?

夜勤があっても生活リズムを乱さないためには、日々の習慣にちょっとした工夫を取り入れることが重要です。特に「食事」と「睡眠」の2つは、体調を整えるための大事なポイントになります。

以下に、生活リズムを乱さないコツをまとめました。

食事のコツ

夜間は、身体の消化機能が低下している状態です。そのため、重い食事や脂っこいものを取ると消化に時間がかかり、胃もたれや眠気を引き起こす原因になります。

できるだけ軽めの食事を取って、胃腸への負担を軽減すると、夜勤中の集中力が保てるでしょう。

具体的には、以下の食品がおすすめです。

・サラダチキン
高タンパク・低脂質で腹持ちがよく、消化もされやすい。

・野菜スープ
温かいスープは胃腸を温め、消化を助けてくれる。根菜類や葉物野菜を使った具だくさんのスープがよい。

・ヨーグルト
腸内環境を整える働きがあり、軽食に適している。無糖ヨーグルトを選ぶと血糖値の急上昇を防げる。

・玄米おにぎり
消化吸収に優れ、効率よくエネルギー補給ができる。腹持ちもよいので、長時間の夜勤にも適している。

夜勤中に空腹を感じると、集中力が低下してミスにつながりやすくなります。しかし、空腹を満たすために糖分の多い菓子パンやスナック菓子を取ると、血糖値が急上昇した後に急降下し、逆にだるさや眠気を引き起こす恐れがあります。夜勤では、炭水化物とタンパク質を組み合わせた、軽めの食事を意識しましょう。

筆者の場合、夜勤の前は、胃腸に負担のかからない食事、消化のよい食事を心がけました。たとえば、温かいうどんやおにぎりなどのメニューです。また、夜勤明けにはなるべく炭水化物を控え、スープやサラダ中心の朝食を取ることで、すっきりした状態で眠れるようになりました。

夜勤中は、眠気対策としてカフェインを取りたくなりますが、過剰に摂取すると胃腸への刺激が強くなり、夜勤終了後の睡眠を妨げる原因となります。特に夜勤終了前の3~4時間は、できるだけカフェインを控えましょう。かわりに、ハーブティーや白湯などを飲むとリラックス効果が得られます。

睡眠のコツ

夜勤後の睡眠は、通常の夜間の睡眠と異なり、質を高める工夫が必要です。昼間の光や音、サーカディアンリズムの影響で眠りが浅くなりやすいため、次のポイントを意識してください。

1. 部屋を暗くして光を遮断する

昼間に眠る際は遮光カーテンを使い、部屋をできるだけ暗くすることが大切です。太陽光を遮り、深い睡眠を促しましょう。アイマスクを併用するとさらに効果的です。

2. 音を遮断して中断の少ない睡眠を

昼間は生活音や外の騒音が多く、睡眠の妨げになります。耳栓を使ったり、ホワイトノイズを流したりして、リラックスできる環境を作りましょう。

3. 規則正しい睡眠リズムを心がける

夜勤があっても毎日同じ時間に寝ると、睡眠リズムが整いやすくなります。夜勤明けにも、できるだけ決まった時間に寝る習慣をつけましょう。

4. 就寝前にリラックスする

寝る前に軽いストレッチをしたり、ぬるめのお湯に浸かったりすると、リラックス効果が高まります。それによって副交感神経(身体を休めるときに働く神経)が優位になるため、眠りにつきやすくなります。

5. カフェインとアルコールを控える

夜勤終了後から就寝までの間は、カフェインやアルコールの摂取を控えましょう。カフェインやアルコールは眠りを浅くし、睡眠の質を下げる原因になるからです。

質のよい睡眠を確保するためにも、これらの工夫を少しずつ取り入れてみてください。睡眠環境を整えれば、夜勤中でも健康的な生活を維持しやすくなるはずです。

3.夜勤前後の過ごし方のポイント

夜勤前後の時間をどのように過ごすかで、生活リズムを整えられるかどうかが変わるもの。夜勤に備えて心身をリラックスさせたり、夜勤明けに適切な休息をとったりすることが、身体への負担を軽減する鍵になります。

以下に、夜勤前後の過ごし方のポイントをまとめました。

夜勤前の過ごし方

夜勤前の過ごし方は、夜勤中の身体の動きや体調に大きな影響を与えます。事前の準備を工夫して、心身ともによい状態で夜勤に臨めるようにしましょう。

夜勤前は、仮眠を取るのが理想です。短時間でも眠ると、夜勤中の眠気や疲労感を軽減できるからです。ただし、環境やスケジュールによっては、仮眠が難しい場合もあるでしょう。その際は、無理に眠ろうとするのではなく、リラックスできる時間を作ることが大切です。

静かな場所でお気に入りの本を読む、軽くストレッチをする、深い呼吸を意識しながら軽い運動を取り入れる。そんな具合に、心身を落ち着ける行動を心がけてみてください。無理に眠ろうとするとかえってストレスを感じ、リラックスできなくなってしまうため注意しましょう。

ちなみに、筆者の場合は、夜勤前に仮眠を取ることはありませんでした。仕事前はまだ疲れを感じておらず、眠ろうとしてもなかなか眠れなかったからです。そのため、無理に寝ようとするのではなく、夜勤までの時間は体力を消耗しないよう、できるだけリラックスして過ごすことを心がけていました。

夜勤明けの過ごし方

夜勤明けは、心身の回復を促し、次の夜勤に備えることが重要です。夜勤中に蓄積された疲労を効果的に解消し、質のよい睡眠を確保することで、健康的な夜勤生活が送れるでしょう。

夜勤明けの過ごし方でおすすめなのは、ぬるめのお湯に浸かることです。熱すぎるお湯は交感神経を刺激し、逆に目がさえてしまう場合があります。リラックス効果を高めるためにも、38~40℃程度のぬるめのお湯にゆっくりと浸かってください。

夜勤明けに長時間眠れない場合は、短時間の昼寝を活用するのも効果的です。昼間に20~30分程度の短い昼寝を行うことで、午後からの活動に必要な集中力を高められるでしょう。

ちなみに、短時間の昼寝は「パワーナップ」と呼ばれ、疲労回復や生産性向上につながるとされています。逆に、昼寝の時間が長すぎて深い睡眠に入ってしまうと、目覚めた後にだるさを感じやすいので注意が必要です。

まとめ:日々の工夫を積み重ねで心身の負担軽減は可能

夜勤による生活リズムの乱れは、仕事上避けられない部分もあります。しかし、日々の生活における「食事」「睡眠」「夜勤前後の過ごし方」を工夫すれば、生活リズムを整え、心身への負担を大幅に軽減することが可能です。

心身の負担を軽減し、快適で健康的な生活を手に入れるためにも、まずは本記事で紹介した内容を一つずつ実践し、自分に合ったやり方を探してみてください。無理せず、自分のペースで継続することが成功の秘訣ですよ。

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長谷部宏依(Hiroe Hasebe)

介護福祉士・社会福祉士・ケアマネジャー

介護職員として介護老人保健施設に入職。その後介護福祉士を取得し訪問介護や訪問入浴、デイサービスで働く。ケアマネジャーは20年の実績があり、100名以上の高齢者を担当。認認介護・老老介護・介護拒否など困難事例も多く経験。現在はWebライターとしてさまざまな記事を執筆している。福祉住環境コーディネーター2級も取得。

長谷部宏依の執筆・監修記事

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