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仕事・スキル 介護士の常識 2025/02/19

夜勤専従はきつい?働き方やメリットについて解説! 働く前に知っておきたい注意点も

文/渡口将生(介護福祉士・ケアマネジャー) thumb_2502_9.jpg

介護施設では、日中はもちろん夜に勤務することもあり、そのなかには「夜勤専従」という働き方があります。これは、医療現場や介護施設で見られる勤務形態で、「高収入を目指しやすい」「働き方の自由度が高い」などが主な特徴です。しかし、その一方で夜勤専従ならではの課題や注意点もあります。

本記事では、介護施設における夜勤専従の働き方やメリット、注意点について詳しく解説します。

1.夜勤専従とは?

夜勤専従とは、医療・介護施設で夜間の業務に特化して働く職種です。

24時間のケアが必要とされる病院や介護施設などでは、夜勤が必須ですが、雇用条件や家庭の事情によって、夜勤ができない職員も少なくありません。そのため、多くの事業所で夜勤専従の人材が必要とされているのです。

夜勤専従が求められる背景

介護施設では、夜間でも利用者さんの安全を確保し、緊急時に迅速な対応を行う必要があります。しかし、人材不足が課題となっている施設ではスタッフの人数が限られており、夜勤に入れない人も多いため、シフトに頭を悩ませるケースが少なくありません。

一方で、夜勤専従のスタッフがいれば、夜勤に入る人材を日勤帯に替えるなどの調整ができ、24時間のサービス提供が可能になります。

こうした背景から、介護業界では夜勤専従が欠かせない存在となっています。

夜勤専従の契約形態

夜勤専従は、正社員やパート、派遣などさまざまな契約形態で募集されています。パートや派遣の場合は夜勤の回数を選べるため、週4~5回や月3回など、個々の事情やライフスタイルに合わせて働ける点が魅力です。

また、日勤帯は本業に従事し、夜間帯のみ夜勤専従として働くダブルワークの方も多く見られます。

夜勤専従と通常夜勤の違い

通常の夜勤は交代制シフトに組み込まれますが、夜勤専従は完全に夜間業務に特化しています。そのため、日中の利用者さんの様子を確認したい場合は、介護記録などから情報を得る必要があります。

正社員など、日中の様子を知っている職員と組むのが理想ですが、施設形態によっては1人で勤務することも多いため、そうしたケースでは事前の情報収集が大切になるでしょう。

また、夜間帯は勤務人数が少なく、急な休みなどに対応しにくいため、しっかりと体調管理を行って欠勤しないように努めることが大事です。

2.夜勤専従の働き方と1日の流れ

ここからは、夜勤専従の働き方について紹介します。施設によって働き方が異なるため、あくまで参考としてご覧ください。

夜勤専従の1日の基本的なスケジュール

施設によって夜勤業務の勤務時間は異なり、たとえば以下のような勤務形態があります。

  • 16時~翌日10時(休憩2時間)|2日勤務
  • 22時~翌日7時(休憩1時間)|1日勤務

では、それぞれの業務内容を見ていきましょう。

時間 16時~翌日10時 22時~翌日7時
16:00 申し送り・情報収集 -
17:00 夕食準備・離床介助 -
18:00 夕食介助・片づけ -
19:00 口腔ケア -
20:00 就寝介助 -
21:00 ナースコール対応 -
22:00 巡回・オムツ交換などの排泄介助 申し送り・情報収集
23:00 ナースコール対応 ナースコール対応
0:00 巡回・オムツ交換などの排泄介助 巡回・オムツ交換などの排泄介助
1:00 休憩 ナースコール対応
2:00 巡回・オムツ交換などの排泄介助
3:00 ナースコール対応 休憩
4:00 巡回・オムツ交換などの排泄介助 巡回・オムツ交換などの排泄介助
5:00 ナースコール対応 ナースコール対応
6:00 起床介助 起床介助
7:00 朝食準備 申し送り
8:00 朝食介助・口腔ケア -
9:00 申し送り -
10:00 記録整理 -

22時~翌日7時の勤務の場合、就寝介助が終わってから始業となるため、食事介助などの業務が少ないのが特徴です。

●関連記事:介護職における夜勤の仕事内容・1日の流れ

3.夜勤専従に必要なスキルや心構え

夜勤専従は、夜間に特化した役割や責任を担うため、以下のスキルや心構えが必要です。

冷静な判断力

夜間帯は職員の数が少ないため、緊急事態に迅速かつ的確に対応する判断力が必要です。場合によっては、家族・医療機関との連携や救急車の要請などの業務が必要になるため、利用者さんの状態や既往歴などを把握しておくことも大事です。

自己管理能力

夜勤専従で働く場合は、昼夜逆転の生活をすることになります。無理なく続けるためには、食事や睡眠などに気を配りつつ、生活のリズムを崩さないように自分自身を管理する必要があるでしょう。

コミュニケーション力

ほかのスタッフとの引き継ぎや情報共有をスムーズに行い、夜間帯の利用者さんにとって最適なケアを提供するのが夜勤専従の役割です。そのため、コミュニケーション能力も、夜勤専従に求められる大事な要素となります。

また、夜間帯のみとはいえ、見慣れない職員がケアに入るのは、利用者さんにとって不安なものです。その気持ちを想像しながら、親切・丁寧に接することを心がけましょう。

4.夜勤専従の仕事内容

ここでは、夜勤専従の具体的な仕事内容を紹介します。

利用者さんの見守り・巡回

夜間は利用者さんが就寝している時間帯ですが、不測の事態にそなえて、定期的な巡回(1~2時間に1回程度)が必要です。

巡回では、利用者さんが無事に休めているかを確認し、異常があれば迅速に対応します。状態に応じてバイタルチェック(体温・血圧・脈拍・呼吸数などの測定)も行います。

排泄介助

夜間の排泄介助では、声をかけてトイレに誘導したり、ベッド上でオムツを交換したりします。夜間は寝ている人が多く、転倒の危険性も高まるため、利用者さんの状況や気持ちに配慮しながら、安全に介助することが大切です。

ナースコールを押せる方の場合は、利用者さんのタイミングに合わせて排泄介助に入れますが、複数人からトイレの介助を求められることもあるため、迅速かつ丁寧な対応が求められるでしょう。

ナースコールや緊急対応

利用者さんからのナースコールや、緊急の呼び出しにも適宜対応します。重大な異常が発生した場合には、医療機関や上司に連絡を取り、指示を仰ぐこともあるでしょう。なかには1分1秒を争うケースもあるため、適切な判断力や迅速な対応力が必要です。

就寝・起床介助

就寝介助では、口腔ケアを行った上でパジャマに着替えてもらい、必要があれば夜間用のオムツを装着してベッドに誘導します。

起床介助では、排泄介助や普段着への着替え、整容(顔を洗う・髪を整えるなど)、口腔ケアを行います。

記録の作成

夜間の利用者さんの様子について記録します。日勤スタッフへの引き継ぎに活用するだけでなく、利用者さんの健康管理や施設運営においても重要なデータとなるため、丁寧かつ詳細に記載することが大事です。

5.夜勤専従の給料は高い?

夜勤専従の給料は、ほかのシフトよりも高いといわれています。以下では、その理由を2つ紹介しましょう。

割増賃金が適用

労働基準法では、22〜5時までの労働に対して「深夜割増賃金」を支払うことが義務付けられています。割増賃金率は25%以上と定められており、通常の給与に上乗せして支給される仕組みです。

夜勤手当がつく

夜勤の頻度が高い施設では、夜勤者に対して「夜勤手当」を設けているケースが多く見られます。夜勤手当の金額や対象となる時間帯に法的な決まりはなく、一般的には夜勤1回に対して数千円程度が支払われます。

以上のことから、夜勤専従の給与は日勤中心の働き方を選んだ場合よりも高くなる傾向にあります。厚生労働省の調査によると、介護職員の月収は21万円程度ですが、夜勤専従として働く場合、30万円以上の収入が得られることも珍しくありません。

6.夜勤専従で働くメリット

夜勤専従の働き方には、ほかのシフトとは異なるメリットが数多くあります。ここからは、夜勤専従を選ぶことで得られるメリットについて見ていきましょう。

給与が高い

夜勤専従の最大のメリットは、やはり給与が高いことです。夜勤には法律で定められた割増賃金が適用されるため、日勤よりも高い時給や手当を得られます。職場によっては夜勤手当が加算されることもあり、効率的に稼ぎたい方にはおすすめです。

日中の時間を自由に使える

夜勤専従の場合、日中を自由に使えるため、趣味に使う時間や家族と過ごす時間が確保しやすいという特徴があります。子どもの学校行事に参加したり、混雑を避けてショッピングや役所の手続きを行えたりするのは、大きなメリットといえるでしょう。

なかには、一人になれる時間帯を活用して資格取得の勉強に励む人もいます。

人間関係のストレスが少ない

夜勤はスタッフの人数が少なく、職場全体の雰囲気が落ち着いています。日中のように多くのスタッフや利用者さんと関わる必要がないため、人間関係のトラブルが起こりにくい環境といえるでしょう。

また、少人数での業務ではチームワークが重視されるため、同僚との信頼関係が深まりやすいというメリットもあります。

集中して仕事がしやすい

夜勤中は利用者さんの活動が少ないため、比較的静かな環境で仕事ができます。そのため、緊急対応や見回りといった業務に集中しやすく、自分のペースで働きたい人には適しているといえるでしょう。

また、業務が落ち着いている時間を利用して、記録作業や翌日の準備ができるなど、効率的に働けるのもメリットの1つです。

自分の生活リズムに合った働き方ができる

夜型の生活が得意な人にとって、夜勤専従は生活リズムを維持しやすい働き方です。昼間に働くスタイルが合わない人や、夜間に活力がわくタイプの人は、心身のストレスを感じることなく働けるでしょう。

7.夜勤専従で働く前に知っておきたい注意点

夜勤専従はメリットが多い反面、体調管理や家族・友人との時間調整などに配慮が必要な働き方でもあります。

ここでは、夜勤専従で働く上で、注意すべきポイントを詳しく説明します。

体調管理を徹底することが不可欠

夜勤は昼夜逆転の生活が基本となるため、健康管理が何よりも大切です。特に、夜勤明けの睡眠不足や食生活の乱れは、体調不良やパフォーマンスの低下につながるので注意してください。夜勤明けには、できるだけ早く就寝することが重要なので、遮光カーテンや耳栓を使って、昼間でも安眠できる環境を整えましょう。

また、夜勤中の食事は軽めにし、消化にいいものを選ぶと体への負担が軽減されます。

生活リズムの維持が必要

先に「夜型の生活が得意な人には、メリットが大きい」と書きましたが、そうでない人は生活リズムが崩れがちです。

休日に昼間の生活に戻そうとすると、体内時計が乱れて疲労感が蓄積する可能性があるため、休みの日でも夜勤のリズムを保つか、少しずつ昼型に戻す工夫が必要でしょう。

利用者さんとのコミュニケーションが不足

夜間は利用者さんが寝ていることが多く、コミュニケーションが不足しがちです。そのため、自ら情報を収集しないと、利用者さんの普段の様子や習慣などがわからないまま働くことになってしまいます。

そうならないためにも、利用者さんの個人情報を確認したり、ほかの職員から情報を集めたりするように努めましょう。なお、施設によっては利用者さんとのコミュニケーションを目的に、夜勤専従の職員を月に数回程度、日勤帯のシフトにまわすケースも見られます。

緊急対応への責任が重い

夜間は少人数で業務を行うため、緊急時の判断力や対応力が求められる場面が増えます。いざというときに迷わないために、職場のマニュアルや緊急時の手順を事前にしっかりと確認しておきましょう。シミュレーションを通じて冷静な対処法を身につけておくと、緊急時にも落ち着いて対応できます。

ただし、1人で夜勤する形態の施設では、単独で多くの業務をこなさなければなりません。自信がない場合は、複数人で夜勤を行っている従来型の施設を選ぶのがおすすめです。

家族や友人との時間に調整が必要になる

夜勤専従の生活では、家族や友人と過ごす時間が限られます。特に、家庭がある人の場合は、休日のスケジュールを事前に調整し、短時間でも家族と過ごす時間を確保する努力が求められるでしょう。

体力とストレスのケア

夜勤は体力的にも精神的にも負担が大きいため、定期的にリフレッシュすることが重要です。心身の健康を保つためにも、運動や旅行を楽しむなどして、仕事とプライベートのオンオフを意識的に切り替えましょう。

●関連記事:夜勤明けはどう過ごす?おすすめの過ごし方を7つ

まとめ

夜勤専従には、高収入が目指せる、人間関係のストレスが少ないなどの利点があります。日中の時間が自由に使えるようになるので、自分のライフスタイルを重視したい人には、魅力的な勤務形態といえるでしょう。

一方で、生活リズムの調整や1人勤務の際の責任など、負担に感じる部分もあります。自分にとって最適な働き方かどうかを見極めるためにも、夜勤専従のメリットとデメリットを十分に理解しておいてください。

体力がある、責任感がある、冷静な対処ができるという方には、おすすめできる働き方なので、興味があれば一度検討してみてはいかがでしょうか。

●関連記事:
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