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職場・悩み 介護職のお悩み 2020/08/11

#たんたん#人間関係#悩み

介護の悩み相談 第5回 親戚から介護士という事で当てにされていることが苦痛です

文|たんたん(深井竜次) nayami_20200811_01.jpg

質問:

現在、介護士として介護施設で勤務をしています。先日親戚の集まりがあった際に、「介護士をしている」と話をすると「それなら老後は安心だね」と言われました。親戚や家族が自分を頼ってくれるというのは嬉しかったのですけど、「すべて自分に介護の負担を投げて来るのではないか?」と不安になりました。このような場合どのように家族や親戚と関わっていけばいいのでしょうか?

答え:介護士であっても親の介護は一筋縄ではいきません

介護士以外の人からは「介護士をしていると家族の介護も完璧にこなせる」みたいに思われている節があります。

実際に僕も親戚に介護士をしていると話すと「私たちの老後は安泰だね」と言われたことがあります。

この言葉を聞くたびに「自分はあなたの老後のために介護の仕事をしているわけではない」などと思ってしまいます。

現場としての介護の仕事と家族の介護はまったく別物です。

介護士として多くの利用者の支援をしている経験があったとしても、実際に自分の家族を介護をする時に思う通りに進むとは限りません。

施設の介護は複数の職員で利用者に対応しているので、負担を分け合うことができます。休み時間もしっかり確保されていますし、ケアマネや看護師や相談員など様々な職種の方と連携をしています。

しかし、自分で家族を介護をするとなると負担が集中してしまいます。

施設介護のように環境が充実していない(バリアフリーの住宅ではない、複数の人で介助に当れない)ので苦戦をする事になるでしょう。

僕の以前いた職場の同僚でも家族の介護をしながら仕事をしている方がいました。その人に話を聞いてみたところ「常に一人で現場を回しているように忙しくて疲れている」と答えていたことが印象的でした。

いくら介護のプロと言っても一人でできることの限界がありますし、誰かの支えがないと家族の介護を続けていくことは難しいと思います。

親戚一丸チームとして介護をしていくように提案を

介護士だからといって、介護を全部その人に投げてしまう行為は無責任な言動のように思えます。しかし、大事な家族なので「できるだけ力になりたい」と思うのも当然です。ですから、「自分は介護士で知識やスキルは持っているけど一人だとできることも限界もあるので、協力をして介護をしましょう」と提案ができたらいいと思います。

一人で介護を背負うのは介護をする側もされる側も不幸になることが多いです。

ニュースで「介護者による高齢者虐待」が何度も取り上げられ、社会問題になっているほどです。

事件が起こった背景をみると介護者が一人で介護を背負って追い込まれて犯行に走るということが非常に多いです。

介護士として利用者家族と関わる中で言われる「あともう少し入居が遅れていたら手を上げていたほどでした」という声も心に留めておくべきでしょう。

なので自分が介護士で介護のプロであるといっても協力体制を作ることがとても大事です。

介護をするに当たって親族の「他人事」は一番避けなくてはなりません。

「介護士だから安心」という言葉の裏には介護士であるあなたに「介護を丸投げしたい」という意識があります。

その場にいる人が全員当事者であるという意識を持つように働きかける必要があります。

それは介護士という仕事をしているあなただからこそできる提案ではないでしょうか?

介護士としての経験や知識を生かしたアドバイスをしましょう

介護士としての経験や知識は必ず自分の家族の介護でも生かすことができます。

しかし、介護の技術的なものというよりかは

  • ・介護状態になる前の話し合い
    (相続、延命治療について、印鑑や通帳の場所やパスワード、介護費用の抽出について)
  • ・介護保険の使い方(申請方法など)
  • ・ケアプランを作成する際に必要な考え方(どのような事を重視してケアを受けたいのか?)
  • ・良い施設の見極め方について(職員の表情をチェック、理念のチェックなど)

などの環境を良くしていくために介護士としての知識や経験を生かすべきです。

家族の介護をする上で大事なことは、全ての関係者の負担を最小限にするということです。

そのためのサービスや制度は整っていますので、積極的に利用できるように、働きかけるようにしましょう。

家族の介護のために不幸になる人が出てくるのは、介護される本人も望まない結果です。

介護士で実際に多くの方を介護をしてきたあなたの話はみんな真剣に聞いてくれると思います。

なのであなたが中心に指揮をとって協力して介護という重要なライフステージを乗り越えられるように他の親戚にも働きかけるようにしましょう。

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たんたん(深井竜次)

介護士ブロガー

1994年生まれ。保育士から介護士に転職ののち、特養・ユニット・ショート・有料の介護施設での経験を生かして情報発信を行なう。介護士と副業のブログで月収100万円を超えた経験談を発表し介護業界で注目される。介護現場の現実を踏まえた率直な意見で知られている。

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