Produce by マイナビ介護職 マイナビ介護職

介護の未来ラボ -根を張って未来へ伸びる-

職場・悩み 介護職のお悩み 2021/01/07

#たんたん#ストレス#早期退職#短期離職#職場#転職

介護の悩み相談 第12回 短期離職は転職に不利?ブラック介護施設でも数年は我慢するべきか

nayami_20210107_01.jpg

質問:介護職2年目の新人です。就職先がサービス残業や休日出勤の圧力をかけるのですが、2年で辞めるとキャリアに傷がつきますか?

私は介護士になって2年目の新人ですが、現在転職を検討しています。理由としては職場の労働環境がとても悪いからです。

具体的には定時になったら「タイムカード切って」と言ってサービス残業を要求して来るところや、有給を取ろうとしたら「人手不足なの分かっているよね。常識的に考えてありえないけど」みたいに上司からの圧力をかけられてしまうことがあります。また休日出勤を何度も要請してきたりなど、今の施設で働いていたら「自分の人生が台無しになる」と感じて転職を考えるようになりました。
しかし私はまだ2年目なのでこんなに早く退職したらこれからのキャリアに傷がついてしまいますし、転職時に悪い印象を与えてしまうことを考えると怖くてあと1歩を踏み出すことができません。やっぱり先人の言う通り「石の上にも3年」なのでしょうか?

答え:明らかにブラックな施設ならすぐ辞めるべきです

結論を先に言ってしまえば、法律をいろいろ守らないなど明らかにブラックな介護施設なら有無を言わさず辞めるべきです。
世の中では「石の上にも3年」という言葉が社会人に浸透しているのですけど、体調を崩すレベルで働き続けても待っているのは過労で入院かうつ病です。
「石の上にも3年」という言葉に囚われて、今自分の置かれた状況を考えないのは非常に危険なのです。

また介護施設は山のように存在して、教育レベルやケアの質はバラバラです。
3年間働いたとしても良い施設で働いた1年分の知識とスキルしか得られないということは全くあり得る話なのです。それなら早い段階で転職をして自分の得たい経験やスキルを手に入れられる環境に自分の意思で手に入れなくてはなりません。

もちろん入社当初はブラックだと思っていた施設も、一時的に忙しいだけだったり、自分のスキルが足りないだけだったりで働いているうちに慣れてきて、多くの経験を積める場合もあります。
勘違いしてはいけないのは、求める介護のレベルが高いから指導が厳しいというような施設と、ブラックな施設というのは全く別だということです。
僕自身が最初に働いた特養は、はたから見ると残業も多いし業務量が多くて、心を病んで短期離職する若手職員も多かったです。
しかし、その辛い日々を超えて3年働いたら、他の施設でも十分通用するスキルや経験を得ることができたので、今は「あの施設でしっかり働けたから他の施設でもできる」と大きな自信になっています。

それでも、体を壊してストレスまみれで働くのは結果的に介護職を長く続けることできなくなってしまうので、自分の許容範囲を超えたら3年働いていなくても転職を意識する必要があります。
実際に僕の周りでも無理して働き続けた結果、うつ病になってしまってその後数年間は働くことすらできなくなった人もこの目で見てきました。

仕事はあくまで自分の人生をより良くするための手段に過ぎません。
何より若い貴重な時間をブラックな環境に身を置いて体を壊してしまうのは非常に勿体ないことです。
転職した先で「石の上にも3年」を実行すればいいのです。

「石の上にも3年」には前提がある

「石の上にも3年」と何も疑いもなく働き続けていて、3年が経過した所でそこまで成長はしないと思います。結局、年数だけを重ねてスキルや知識が身についていない人材になってしまうだけです。

大事なのは自分の中で目標を作って達成していくことと、目標を達成するために「今自分が置かれた場所は適切なのか?」と考えることです。考えた結果「この職場よりあの職場の方が多くのことを学べるし成長できる」と感じたらその施設に転職をしてまた1から学べばいいのです。
試行錯誤の回数を増やしていくことで人は初めて大きく成長できます。

「石の上にも3年」とよく一緒に使われる「置かれた場所で咲きなさい」という言葉も同じで、置かれた場所をしっかり精査することが大事です。
必死で数年頑張ったらその先に道が開けている職場もあります。しかし賞や役職を目当てに頑張らせ、長時間経営層の言うがままに働けなくなってきたら降格や給料減で辞めざるを得ないように仕向け、乾電池のように人材交換して利益を確保するという企業も存在します。また、そもそも経営が怪しくて潰れそうなところもあります。自分が立っている場所が既に崩れそうなら新しい場所を探すべきです。

大事なのは自分がどの場所に身を置いているかということであって、良い環境に自分を置くことができれば自然に多くの経験をすることができるので、自然に成長していきます。
逆に悪い環境に身を置いて努力をした所で、ただ自分をすり減らし努力が成果に反映されないこともあります。

世の中悪い環境の職場も多いので、それをしっかり見極めましょう。
介護士の場合は多くの職場があって施設の種類も多いので、若い時にいろんな施設で経験を重ねるのもいいと思います。
大事なのは「自分の中の引き出しを増やす」ということです。
引き出しが多ければ多くの施設で必要とされて仕事に困らない状態を作り出せます。

ブラックな施設で我慢して働き続けたとしても引き出しは増えないので、自分が成長できる環境に身を置けるように動き続けましょう。

「キャリアに傷がつく」の嘘

「早期の退職がキャリアを傷つける」と言われていますけど、介護業界は比較的一般企業より短期離職者へのハードルが低く、短期で退職をした経歴があったとしても多くの種類の施設を経験してスキルを磨いてきた人は逆に重宝されます。

もちろん、短期離職を複数回繰り返している人は「仕事が続かない人、うちに来てもすぐ退職するのではないか?」と思われて、採用されなくなっていくと思います。
しかし1回ぐらいならそこまで大きく問題にはなりません。大事なのは転職をすることで自分の力を伸ばしていくことです。
先ほど書いたように環境を変えることで力を伸ばせるなら絶対に転職をしたほうがいいです。中途採用から管理者になる人も多いです。

逆に「石の上にも3年」と自分に合わなくて成長できない場所で働き続けていざ転職をしたいと思っても無事転職できて転職先で輝けるかは疑問です。

しっかり「成長したい」という意思を持って働けるなら短期離職はそこまで大きな障害にはなりません。
介護の仕事はスキルや知識があればどんどん上に行くことができます。
介護職のキャリアの上げ方も最近は変わってきて「同じ施設で働き続ける人」だけではなくて「様々な資格を持っている」「いくつかのタイプの施設での経験がある人」をヘッドハンティングしてポストにつけるみたいなことも行われています。

今はSNSとかで介護施設経営者と繋がることもできるので、その伝で転職する人も増えています。

また短期離職を理由に面接で落とす施設があるならそれは仕方のないことです。あなたの価値を評価してくれる場所で働くようにしましょう。

まずは、いる環境を変えましょう

僕自身もSNSやリアルでも介護士からのブラック施設の相談をいただくことがあります。
今回書いた記事のような話をすることがあるのですけど、残念ながらほとんどの方が「転職は不安」とのことで転職に至ることはありません。
常に職場に対して不平不満を言って「もう退職する」という人に限ってなかなか転職をしないものです。

逆に言えばリスクはあるかもしれないけど一歩踏み出して環境を変える決意ができる人は、それだけで十分価値があると思っています。
今の自分を変えるために行動をしているのは本当に素晴らしいことです。
特に若い人なら先のことはまず置かれている理不尽な環境を抜け出してから考えればいいと思います。追い込まれている状況では冷静な判断はできないと思いますし、まずは環境を変えることで自分の心に余裕を持たせることが大事です。 「石の上にも3年」を一種の呪いみたいに受け取って自分を縛り付けている足かせにならないように、自分の置かれている状況を把握してまずは行動を起こしましょう。

転職した先で以前より必要とされるようになって、仕事が楽しくなったという人を多く知っています。
行動をした後悔より行動をしなかった時の後悔の方が遥かに大きいので、相談者は転職活動をして前に進んで欲しいと思っています。

お悩み相談投稿はこちら >>
※問合せ共通フォームです。内容はなるべく詳しくお書きください。

介護の仕事・スキルの記事はこちら

 【日本全国電話・メール・WEB相談OK】介護職の無料転職サポートに申し込む

最新コラムなどをいち早くお届け!
公式LINEを友だちに追加する

お役立ち情報を配信中!
X(旧Twitter)公式アカウントをフォローする

介護職向けニュースを日々配信中!
公式Facebookをチェックする

SNSシェア

たんたん(深井竜次)

介護士ブロガー

1994年生まれ。保育士から介護士に転職ののち、特養・ユニット・ショート・有料の介護施設での経験を生かして情報発信を行なう。介護士と副業のブログで月収100万円を超えた経験談を発表し介護業界で注目される。介護現場の現実を踏まえた率直な意見で知られている。

たんたんの執筆・監修記事

介護の職場・悩みの関連記事

  • 介護マンガ

    2024/02/22

  • 記憶に残る、介護士が利用者さんに励まされたエピソード3選|介護マンガ『ヘル2のコイケ』第11話(キャンペーン募集エピソード1)

  • 漫画/しろくま
  • 介護職のお悩み

    2024/02/06

  • 転職先の介護現場で身体拘束が!判断基準と対応策を実例で解説|介護・福祉系弁護士 外岡潤

  • 介護マンガ

    2024/01/30

  • 訪問介護のお掃除でスカーレットさん宅を訪れると...|介護マンガ『ヘル2のコイケ』第10話

  • 漫画/しろくま
もっと見る