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高齢者レクリエーション 高齢者レクリエーションのノウハウ 2022/02/09

高齢者向けの体操レクリエーション6選! 座ったままできる体操も!

高齢者向けの体操レクリエーションは、運動不足の解消や身体機能の維持に効果的とされています。当記事では、高齢者向けの体操レクリエーションについて、取り組みの効果や基礎知識・注意点、さらに具体例まで紹介します。

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老人ホーム・デイサービス・介護老人保健施設など、支援や介護が必要となった高齢者が利用する介護施設では、利用者が楽しめる自由参加型のレクリエーションが定期的に開催されます。レクリエーションには、大きく「頭脳系レクリエーション」「体操系レクリエーション」「創作系レクリエーション」に分類でき、中でも体操系レクリエーションは運動不足の解消や身体機能の維持に効果的です。

そこで今回は、高齢者向けの体操レクリエーションについて、取り組みの効果や基礎知識・注意点から、具体例まで詳しく紹介します。これから介護施設で働こうと考えている人や、レクリエーションの企画を担当することとなった介護職員は、ぜひ参考にしてください。

1.高齢者が体操のレクリエーションに取り組む効果

高齢者向け施設では、定期的に利用者が楽しめるレクリエーションが開催されます。娯楽行事としてのイメージも強くありますが、レクリエーションにはあらゆる効果が期待できます。その中でも、特に体操系のレクリエーションに取り組む効果は下記の通りです。

高齢者が体操レクリエーションに取り組む4つの効果
・運動不足を解消できる
・身体機能の維持・向上につながる
・社会的な孤立感の解消につながる
・生きがいづくりになる

体操レクリエーションの最も大きなメリットは、運動不足を解消し、運動をするという習慣を身につけることで、結果として身体機能の維持・向上につながるという点にあります。また、利用者が集まって体操を行うことにより、コミュニケーションも活性化し、日々の生活で感じやすい孤立感を解消することも可能です。体操が日常生活の楽しみとなれば、生きがいも増え、心身ともに健やかに過ごせるようになるでしょう。

なお、厚生労働省の公式ホームページでは、高齢者の体操による効果について、下記の見解を発表しています。

現役を退いた高齢者は、社会的役割が減り自分自身の生きる目標を見出しにくくなることから、社会的な関わりが少なくなり家に引きこもりがちになりやすい。このような状況は高齢者の日常生活を非活動的にし、身体的生活機能のみならず、精神的および社会的な生活機能をも低下させる大きな要因となる。
高齢者が身体活動量を増加させる方法としては、まず、日常生活の中であらゆる機会を通じて外出すること、ボランティアやサークルなどの地域活動を積極的に実施することである。その際、従来の町内会や伝統的な奉仕活動などの社会活動に加え、高齢社会に対応した新しい福祉活動(友愛訪問活動、福祉ボランティアなど)や知的・文化的な学習活動、趣味活動などを行なうことが望まれる。
そのうえで、積極的な健康づくり行動としての体操、ウォーキング、軽スポーツなどの運動を定期的に実施することである。このような身体活動を行なうことによって、高齢者の生活の質を規定している日常生活動作能力(ADL)障害の発生を予防し、活動く的余命を延長させることが可能である。

(引用:厚生労働省「身体活動・運動」

2.高齢者と体操のレクリエーションを行う際の基礎知識・準備物

体操と聞くと、一般的に行われるようなラジオ体操など、体を大きく使った体操がイメージされます。しかし、高齢者向けの体操レクリエーションでは、さまざまな種類の体操を取り入れることが基本となります。高齢者向け施設を利用する高齢者は、それぞれ身体能力や疾患が異なるためです。

また、体操自体は特に何かを用意しなくても行えますが、事前にきちんと準備を整えておくことで、当日に慌てることがなく、利用者みんなで楽しくレクリエーションに取り組めるようになるでしょう。

ここからは、高齢者向けの体操レクリエーションを行うにあたり、最低限必要となる準備物を紹介します。

高齢者に合わせた「椅子」

高齢者向けの体操レクリエーションで、必要となる準備物が椅子です。高齢者向け施設を利用する高齢者は、足の筋力が低下していることも珍しくありません。椅子がない状態で立って体操に取り組むと、バランスを崩して転倒するおそれがあるため、椅子はを用意するとよいでしょう。

また、高齢者の筋力や身体機能によっては、単純に椅子に座ったままでもバランスを保つことが難しいケースもあります。体操の種類によっては上半身を大きく動かすなどして、バランス力が必要となることもあるため、高齢者の身体機能にあわせて、安定感のある背もたれ付きや肘掛け付きの椅子を準備しておくこともおすすめです。

なお、体操中に利用者同士がぶつかってけがをしないよう、利用者の椅子と椅子同士は最低でも50~60センチの間隔をあけて配置しましょう。

運動しやすくなる「音楽」

高齢者向けの体操レクリエーション中は、音楽をかけてあげることもポイントです。音楽があれば、リズム感がわかりテンポよく体を動かせるようになるだけでなく、明るい気持ちで取り組んでもらうこともできます。ちょっとしたストレッチやクールダウンにはヒーリング音楽、筋トレや有酸素運動にはアップテンポの音楽がおすすめです。

また、利用者によっては耳が聞こえにくい場合もあります。耳が聞こえにくい利用者に対しては、手拍子をしたり体や手で合図をしたりして、テンポやリズム感を掴ませてあげましょう。

動きやすさ重視の「服装」

高齢者向けの体操レクリエーションでは、少なからず上半身や下半身を全体的に動かすこととなるため、なるべく動きやすさを重視した服装を選びましょう。

動きにくい服装だと体操も思うように行えない可能性があるため、伸縮性があり動きやすい生地の服装がポイントです。汗をかくことも想定されるため、吸水速乾性に優れた生地であることも重要と言えます。

また、紐のある靴は体操中にひっかかって転倒するおそれもあります。そのため、歩行しやすいベルト式の介護靴を着用させることもおすすめです。

3.高齢者に体操レクリエーションを実施する際の注意点

体操は、高齢者の身体状態に合わせてレクリエーションを実施できることが特徴です。しかし、いくつかの注意点を守って実施しなければ、高齢者の健康をかえって害するおそれがあることも覚えておきましょう。

ここからは、高齢者に体操レクリエーションを実施する際の注意点を説明します。

高齢者の安全や身体状態に配慮する

体操レクリエーションを実施する直前には、参加する利用者の身体状態をくまなくチェックすることが必須です。

体操レクリエーション前の身体状態チェック事項例
・目が見えているか
・耳が聞こえているか
・ふらつきはないか
・感覚障害・まひはあるか
・バランスが保てるか

上記の事項は、看護師のいる施設であれば看護師にチェックしてもらうことが一般的です。身体状態をチェックした上で、立ったままでの参加なのか、座ったままでの参加なのかなどを判断しましょう。

脈拍や血圧が高い場合は参加を避ける

利用者の身体状態によっては、参加できないケースもあります。まずは前述したチェック事項を確認した上で、脈拍や血圧も欠かさずチェックしましょう。安全確保・リスク管理として、体操レクリエーション直前に脈拍が10秒間で20回以上を超える場合は参加を避けることが基本とされています。

さらに、土肥・アンダーソンの運動基準に従って参加の可否を判断することも一般的です。

土肥・アンダーソンの運動基準

判断 詳細
参加しないほうがよい ・安静時の脈拍数が120回/分以上
・拡張期血圧が120mmHg以上
・収縮期血圧が200mmHg以上
・動作時に狭心痛を起こしている
・心筋梗塞の発作から1か月以内である
・うっ血性心不全の所見が明らかとなっている
・安静時でも動悸や息切れが見られる
途中で中止したほうがよい ・中等度の呼吸困難が見られた
・めまいや嘔気、狭心痛があらわれた
・脈拍が140回/分を超えた
・100回/分以上の不整脈が見られた
・拡張期血圧が20mmHg以上、または収縮期血圧が40mmHg以上上昇した
途中で一時中止し、休ませながら様子をみたほうがよい ・脈拍数が運動前より30%上昇した
・脈拍数が120回/分を超えた
・10回/分以下の不整脈が見られた
・軽い息切れや動悸が見られた

(出典:厚生労働省「多面的運動プログラムの実践」

土肥・アンダーソンの運動基準では、体操の参加前チェックだけでなく、体操中の参加の判断基準についても示されています。利用者本人にやる気があっても、安全確保・リスク管理のためには一度中止するなどの措置をとらなければなりません。この場合は、利用者にきちんと説明することを心がけてください。

4.高齢者向け!体操のレクリエーション3選

高齢者となると、本人も思うように体を動かすことができなくなります。たとえ上手に指示通りの体操ができなくても、責めないことを心がけましょう。また、「できないだろう」と簡単すぎる体操をさせると、かえって利用者の自尊心を傷つける場合もあります。

そのため担当者は、なるべく利用者全員が楽しめるよう、積極的に声掛けをしながら体操レクリエーションを盛り上げることが大切です。

ここからは、高齢者向けの基本的な体操のレクリエーションを3つ紹介します。

グーパー運動

グーパー運動とは、手の「グー」と「パー」の動作を用いて取り組める体操レクリエーションです。脳トレ系レクリエーションにも類され、脳機能の活性化と認知機能の維持に効果的とされています。立ったままでも座ったままでも楽しめるレクリエーションであり、幅広い利用者が楽しめることが魅力です。特別準備するものはありませんが、けが防止のため利用者同士の間隔をあけて実施してください。

<やり方>

(1) 他の利用者と間隔をあけて立つ・座る
(2) 立ったまま、もしくは座ったまま片方の手をグー、もう一方の手をパーにする
(3) 担当者が声掛けをしながら、掛け声にあわせてグーとパーを入れ替える

タオル体操

タオル体操とは、タオル・バスタオルを活用して取り組める体操レクリエーションです。体幹・バランス力のトレーニングや、姿勢改善、下半身のストレッチにも効果があります。やり方によっては、首や肩の運動にも適切です。ここでは、長座位でのタオル体操の流れを紹介します。(2)以降の工程は、それぞれ5~10回ほど繰り返しましょう。

<やり方>

(1) 他の利用者と間隔をあけて、足を伸ばして座る状態(長座位)にする
(2) 肩の後ろで、タオルの両端を両手で掴み、タオルを掴んだ両手をそのまま上げ下げする
(3) (2)の体制のまま、片方の腕だけを上げ、もう一方の腕は肩と水平の場所に伸ばしてから、上に上げた腕を、腰を使いながらゆっくり前に持っていく
(4) タオルの両端を両手で掴みながら、前に伸ばした両足の裏にタオルをかけて、背中の筋力を使いながら、上半身を後方に倒すように手前側に引っ張る
(5) タオルの両端を両手で掴みながら、前に伸ばした片方の足裏にタオルをかけて、できるだけ足を高く上げる

棒体操

棒体操とは、その名の通り棒を用いて取り組む体操レクリエーションです。棒を使用することで、一定の範囲内での安定した運動が行えます。気軽に行えるため習慣づきやすく、機能訓練(リハビリ)でも用いられることが特徴です。棒体操で使用する棒は、けが防止のため新聞紙やゴム製のものを用いるなど、なるべく柔らかい素材にしておきましょう。ここでは、立った状態で行える棒体操のやり方を紹介します。

<やり方>

(1) 他の利用者と間隔をあけながら、棒をもって立つ
(2) 片手に持った棒を、ゆっくりと上下左右に動かす
(3) 棒の両端を両手で持ち、棒を水平にするよう意識しながら回す
(4) お尻の後ろで棒の両端を両手で持ち、水平にするよう意識しながら持ち上げる

5.座ってできる!体操のレクリエーション3選

高齢者向け施設の利用者の中には、立つことが難しい高齢者も当然います。立つことが難しい要介護者でも楽しんで取り組めるよう、椅子に座ったままできる体操も取り入れましょう。

ここからは、座ってできる体操レクリエーションを3つ紹介します。

首・肩・腰をほぐす体操

首・肩・腰をほぐす体操は、椅子に座ったままでも簡単に行うことが可能です。首や肩の体操は、咀嚼・嚥下機能の維持や向上、肩こり予防など、そして腰の体操は、腰痛予防に効果があるとされています。いずれも、日常生活動作をスムーズに行えるようになるために重要な体操です。

<やり方>

(1) 利用者は椅子に座った状態にする
(2) 椅子に座った状態で、首を上下左右にゆっくりと動かす
(3) 前を向いた状態で、肩を前後と上下にゆっくりと動かしたあと、内側・外側に水平を意識しながらゆっくりと回す
(4) 座った状態から前方に上半身だけを倒し、両足首を両手で掴む
(5) 上半身のみ、左右にゆっくりと動かす

口腔体操

口腔体操とは、発語の練習などをして取り組むレクリエーションです。口周りや舌の筋力低下の防止、さらに咀嚼・嚥下機能の向上に効果的とされています。口周りや舌の筋力が向上すると、食事や他者との会話もより楽しめるようになります。口腔体操では、主に「あめんぼの詩」が用いられます。

<あめんぼの詩(一部)>

アメンボ赤いな あいうえお 浮き藻に子海老も泳いでる
柿の木 栗の木 かきくけこ きつつきこつこつ 枯れけやき
ささげに巣をかけ さしすせそ  その魚浅瀬でさしました
立ちましょラッパで たちつてと トテトテタッタと飛び立った
ナメクジのろのろ なにぬねの 納戸にぬめってなに粘る

あめんぼの詩はこのように五十音順の詩となりやや長いため、まずは利用者に一通り練習させたのち、利用者の順番を決め、何も見ず一音ずつ発語するなどクイズ形式にするのもよいでしょう。記憶力・思考力が鍛えられるため認知症予防となるだけでなく、さらに盛り上がる可能性があります。

またあめんぼの詩の他にも、「パタカラ体操」などあらゆるバリエーションがあるため、飽きないように数パターン用意しておくこともおすすめです。口周りや舌の筋力が低下している人の場合、上手に発語をすることができないケースもあります。上手に発語できなくても、決して急かしたりせず、ゆっくりと見守りましょう。

棒体操

前述した棒体操は、座った状態でも問題なく実施することが可能です。やや体を大きく動かす上、棒を落としてしまったときについ拾おうとして転倒するというおそれもあるため、座らせる椅子はパイプ椅子ではなく、背もたれや肘掛け付きの安定した椅子を用いましょう。ここでは、座った状態でできる棒体操のやり方を紹介します。

<やり方>

(1) 他の利用者と間隔をあけながら、棒をもって座る
(2) 棒の両端を両手で掴み、上半身のみ倒しながら、なるべくつま先まで棒を伸ばす
(3) 棒を背中に通し、両わきで挟む
(4) 棒の中心を両手で掴み、両肘を上げることを意識して肩の前に持っていく
(5) 棒の中心を両手で掴み、肩や肩甲骨の筋肉を使いながら背中の後ろで維持する

まとめ

高齢者が体操レクリエーションに取り組む効果には、運動不足の解消・身体機能の維持・孤立感の解消・生きがいづくりの4つが挙げられます。心身ともに健やかに過ごすための役割を果たす体操レクリエーションは、介護施設において欠かせない行事となるでしょう。

また、体操レクリエーションにもあらゆる種類があります。利用者の身体状態によって、適切な種類を選ぶことがポイントです。

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