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高齢者レクリエーション 高齢者レクリエーションのノウハウ 2021/12/08

介護施設の高齢者レクリエーション32選!盛り上がるレク例と企画のコツ

構成・文/介護のみらいラボ編集部 419655e21291f84959f072136d66c0b80d53775a.jpg

介護関連資格のカリキュラムには、レクリエーションに関する項目が存在しません。そのため、いざ介護現場に出てレクリエーションの企画・進行を任されたとき、「何を行えばよいか」と悩むことは、ごく自然な感情です。

当記事では、デイサービスや有料老人ホームなどレクリエーションを提供する介護施設に勤務する介護職に向けて、盛り上がる企画の例や進行のコツを解説します。レクリエーションに対する不安感や疑問を解消し、介護職としてのステップアップを目指す人は、ぜひ参考にしてください。

デイサービス・老人ホームにおすすめのレクリエーション4選

介護施設におけるレクリエーションには、利用者に生き甲斐を提供する・QOL(生活の質)を向上させるなどのねらいがあります。在宅介護を続ける人に介護福祉士以外の人との交流機会を与えること・身体機能や脳機能の維持向上を助けることも、レクリエーションの目的の1つです。

(出典:公益財団法人 日本レクリエーション協会「健康づくりのためのレクリエーション」
(出典:厚生労働省「平成23年度実践的な予防活動支援事業公募要綱」

では、介護施設においては具体的にどのようなレクリエーションを企画すればよいでしょうか。介護施設におすすめのレクリエーションの具体例は、下記4個です。

体を動かす「健康体操」

健康体操は、適度に身体を動かす習慣をつけさせて、身体機能の維持・向上を図るレクリエーションです。健康体操は、他の人と一緒に身体を動かす経験を経て、社会に属することの喜びを感じさせる役割も果たします。

高齢者の運動不足は、筋力低下や生活習慣病のリスクを高める原因の1つです。レクリエーションを通じて適度に身体を動かす習慣をつけさせることは、利用者の健康寿命を伸ばすことに貢献します。

手先を使う「お手玉」

お手玉は、介護施設の利用者にとってなじみの深い遊び道具の1つです。お手玉は多くの利用者が幼少期を懐かしみ、夢中になって取り組む可能性が高いレクリエーションに該当します。

また、お手玉は、座り姿勢のまま取り組めるレクリエーションである点も魅力です。座り姿勢のまま取り組めるレクリエーションは、身体機能の衰えた利用者に過剰な負担を掛けるリスクを伴いません。お手玉を投げたり受け止めたりする際に適度に筋力を使用することは、介護予防にも一役買います。

頭を働かせる「脳トレ」

高齢者にとって脳トレは、ゲームに取り組む中で思考したり記憶したりすることによって脳を刺激し、認知症を予防する意味を持ちます。さらに、介護施設のレクリエーションとして脳トレを実践すると、利用者同士のコミュニケーションを促すことも可能です。

脳トレには、計算クイズ・指体操・ボードゲームなど、さまざまな種類が存在します。日によって異なるプログラムを実践すると利用者を飽きさせず、継続的に楽しませることが可能です。
脳トレ・クイズ一覧はこちら

心も楽しい「合唱」

合唱は肺を使用するレクリエーションに該当するため、心肺機能の維持・向上を図ることが可能です。レクリエーションで歌う合唱曲は、利用者の世代に合わせて選ぶことをおすすめします。懐かしい合唱曲を歌うことには、利用者の気持ちを若々しく維持させる・精神を安定させるなどの働きが期待されます。

さらに、合唱は、健康体操やゲームと組み合わせることが容易なレクリエーションに該当します。たとえば「合唱しつつ、ボール回しする」などの組み合わせで、利用者を楽しませましょう。

【タイプ別】盛り上がるレクリエーション企画例28選

レクリエーションを実施する際には、「場が盛り上がるか」といった視点を持つことが大切です。盛り上がるレクリエーションに参加することは利用者に、多くのメリットをもたらします。場が盛り上がるレクリエーションの具体例を把握し、企画内容に生かしましょう。

運動になるレクリエーション

exercise

運動になるレクリエーションはスタッフからの声掛けによって場を盛り上げやすく、多くの利用者が楽しめるプログラムの1つです。

●レクリエーションの企画例

・風船テニス
うちわや折り畳んだ新聞紙によって風船を打ち合う、テニスを模したゲームです。

・ラジオ体操
定番の音楽を流し、ラジオ体操に取り組ませます。

・グーパー運動
片手はグー・片手はパーの形で構えさせ、掛け声により、左右の形を入れ替えさせます。

・旗揚げ運動
紅白の旗を利用者を持たせて、号令に合わせて旗揚げさせます。

・紙コップゴルフ
点数を記載した紙コップに向かってピンポン玉を投げ入れさせ、点数を競わせます。

・ペットボトルボーリング
50ml程度の水を入れたペットボトルをピンに見立てて、ボーリングを行います。

・ペットボトル立てゲーム
ペットボトルを横に倒して床に置き、利用者が足で立たせるゲームです。

上記の他には、ゲートボールやバレーボールなどスポーツ系のプログラムも、運動になるレクリエーションに該当します。

指先を使うレクリエーション

craft

指先を使うレクリエーションは、利用者の身体機能のチェックに役立ちます。レクリエーションの最中に利用者を観察し、どの程度指先を動かすことが可能であるかを確認しましょう。

●レクリエーションの企画例

・お手玉遊び
2個のお手玉を1個ずつ放り上げて手で受け止め、回数を競います。

・紙コップピラミッド
紙コップをピラミッド状に積み上げさせ、完成させるまでの時間を競います。

・指塗り絵
利用者同士で交流しつつ、指に直接画材を付けて行う塗り絵に取り組ませます。

・折り紙
季節の花がモチーフの飾り、おもちゃなどを折り紙で製作します。
折り紙の折り方一覧はこちら

・ちぎり絵
さまざまな色の紙と下絵を渡し、ちぎり絵に取り組ませます。

・紙コマ作り
丸く切ったボール紙の中央にマッチ棒を通し、手作りコマを製作します。

・牛乳パック工作
牛乳パックとさまざまな色の紙、フエルトなどを使用して小物入れを製作します。

創作活動系のレクリエーションで完成させた作品を家族にプレゼントしたり部屋に飾ったりすることは、利用者の生き甲斐づくりに一役買います。

脳を活性化するレクリエーション

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脳を使用する頻度が減少すると、感情をコントロールする力・記憶力などが衰退すると言われます。脳を活性化するレクリエーションに取り組むことは、生活に欠かせない力の衰退を防止するためのよい機会です。

●レクリエーションの企画例

・百人一首
利用者の中から読み手を決めて、百人一首に取り組ませます。

・テーマしりとり
「食べ物のみ」など回答のテーマを制限した上で、利用者にしりとりさせます。

・おにぎり神経衰弱
表におにぎり・裏に具材を記載したカードを使用して、神経衰弱を行うゲームです。

・数式の泉
「20が答えの数式は何か」などと出題し、回答の数を競います。

・文字の並べ替えパズル
単語をひと文字ずつ画用紙に記載して順番を入れ替え、もとの並びへと戻させます。
「文字並べ替えクイズ」問題集はこちら

・都道府県当てゲーム
名物や観光名所をヒントとして、いずれの都道府県を示しているかを回答させます。
「都道府県名クイズ」問題集はこちら

・仲間はずれ探し
「あんパン、食パン、フライパンの中で仲間はずれはどれか」などのクイズを出します。

脳を活性化するレクリエーションではグループ対抗戦形式をとり、娯楽性を持たせることもおすすめです。

心の健康を保つレクリエーション

relaxation

心身の衰えを実感している利用者は、自分自身に対する不安や焦りなどの感情により、自信を喪失することがあります。心の健康を保つレクリエーションをプログラムに取り入れて、利用者の不安や焦りを和らげましょう。

●レクリエーションの企画例

・ハンドマッサージ
ホットタオルで手を温めた上でハンドマッサージを行い、利用者をリラックスさせます。

・アニマルセラピー
地域のボランティア団体、専門団体と連携し、動物たちと触れ合う時間を提供します。

・足湯
大きいサイズの洗面器にお湯を溜めて、足湯を楽しませるプログラムです。

・園芸
プランター、土、野菜の種や苗などを用意して、園芸に取り組ませます。

・イントロクイズ
利用者の世代に応じた歌謡曲のイントロを流し、曲名を回答させます。

・輪唱
利用者を複数のチームに分かれさせて、輪唱を実施します。

・音楽コンサート
プロやアマチュア演奏家を介護施設に招待し、音楽コンサートを開催します。

ハンドマッサージを行う際は利用者同士でペアを組ませ、お互いの手をケアさせてもよいでしょう。

レクリエーションの進行を成功させるコツ

介護施設におけるレクリエーションを効果的に機能させるためには、適切な進行を行うこと・環境を整備することが大切です。進行方法を誤ったり環境整備が不十分であったりすると、レクリエーションが盛り上がりません。

ここでは、レクリエーションの進行を成功させるコツを解説します。

アイスブレイクしてから丁寧に説明する

レクリエーションの開始前にはアイスブレイクを行い、場の空気を和らげます。アイスブレイクとは、氷が熱で溶けるように緊張感や緊迫した空気を和らげて、リラックスできる環境を整備する行為です。アイスブレイクには、利用者の興味や関心を引きつけて、レクリエーションに参加しやすい雰囲気を作るねらいがあります。

下記は、アイスブレイクとして実践できる内容の具体例です。

  • 隣の利用者とお互いに自己紹介させた後、握手させる
  • 全員で手拍子や拍手する
  • 紙飛行機を飛ばすなど、簡単なゲームに取り組ませる

アイスブレイクを行った後は、身振り・手振りを交えつつ丁寧にルールを説明します。聴力が低下した利用者にも配慮し、ゆっくりと話し掛けるような声のトーンで説明を進めてください。説明の途中で利用者一人ひとりの様子を見て、ルールが伝わっているかを確認することもポイントです。

利用者同士が交流できる環境を作る

利用者の中には、人の輪に入ることが苦手な人も存在します。「同性・年齢の近い利用者の側に連れて行き、挨拶するように促す」など、自然に交流できる環境を提供しましょう。

グループ内で孤立している利用者にはスタッフが声掛けし、他の利用者との交流を促します。他の利用者と自然に交流できる環境を提供するためには、「同じ趣味を持つ利用者同士を側に座らせる」など、グループ分けを工夫する方法もおすすめです。

また、利用者の中には「聴力が低下している」などの理由によってスタッフの説明の理解が及ばず、疎外感を持ってしまう人もいます。疎外感を持っている様子が見られる場合は近くのスタッフがフォローし、孤立を防ぐとよいでしょう。

介護施設でレクリエーションを行う際の注意点

介護施設でレクリエーションを行う際には、利用者の身の安全を確保し、事故やケガを防ぐことが大切です。

たとえば、車いすのロックを掛け忘れない・利用者同士の身体の衝突を避けるため、席順に配慮するなどの対策を徹底しましょう。その上で、以下のような注意点にも留意し、レクリエーションの企画・準備を進めてください。

利用者の状態に応じた企画を考える

企画を検討する際には利用者の状態を適切に把握し、過剰な負荷のかからない内容に調整しましょう。たとえば特別養護老人ホームは、要介護度3以上の人の利用する介護施設に該当します。

(出典:厚生労働省「介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)」

特別養護老人ホームの利用者を対象に、全身を動かすレクリエーションを行うことは不適切です。脳を活性化するレクリエーションに認知機能の低下した利用者が参加する場合は、内容の難易度を調整しましょう。

有料老人ホームは、要支援・要介護認定を受けていない人から要介護5の人まで、幅広い層の人が利用できる介護施設に該当します。比較的身体の自由のきく利用者の多い有料老人ホームにおいては、バドミントン・卓球など、大きな動きを伴って体力づくりを後押しするレクリエーションの企画も可能です。

事前に練習して必要な準備を整える

進行役を務めるスタッフの練習不足は、利用者に対して失礼な行為に該当します。当日までに十分な練習を行い、本番に備えましょう。

レクリエーションの精度を高めるためには、複数のスタッフで一連の流れをシミュレーションする方法もおすすめです。シミュレーション結果をもとに改善点を話し合い、利用者の喜ぶ内容へとブラッシュアップしてください。

レクリエーションを成功させるためには、使用する小道具の確認も不可欠です。お手玉やカードは、余裕を持った数量を準備します。ホワイトボードに文字を書くプログラムでは、利用者の座る位置から見やすく、読みやすい大きさ・色であることを確認しましょう。

参加を無理強いせず自尊心を傷つけない

レクリエーションはさまざまな目的を伴う活動ではありますが、利用者への無理強いは禁物です。介護施設のレクリエーションに対して、「子どもじみている」「恥ずかしい」といった感情を持つ人も少なからず存在します。否定的な感情を持つ人に参加を強要すると、自尊心を傷つけることになりかねません。

しかし、レクリエーションに参加しない利用者を放置することにもまた、QOLの低下を招く恐れがあります。下記のような対処をとり、自主的に「参加する」と言うように誘導しましょう。

  • レクリエーションの意義を伝える
  • どのようなプログラムであれば参加したいかを聞く

利用者の意思を尊重することは、介護施設で働く上での大原則です。ただし、意思を尊重することがネガティブな結果をもたらすことのないように注意しましょう。

まとめ

介護施設のレクリエーションには、心身の健康維持・QOLの向上・脳機能の活性化などのねらいが存在します。レクリエーションをねらいどおりに機能させるためには、利用者の状態に応じた内容を検討すること・無理に参加させないことなどが大切です。

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