高齢者の脳トレには手遊びがおすすめ!施設のレクに取り入れるには?
構成・文/介護のみらいラボ編集部
高齢者の脳トレには手遊びがおすすめです。手を動かして脳の活性化を促すことには、さまざまな効果が期待できます。介護施設で実践できる指遊びや面白い指体操、手遊び歌・ゲームを探している人は、当記事を参考に盛り上がるレクリエーションを企画しましょう。
介護職として施設で働いていると、利用者のためになるレクリエーションを提供したいと思うことがあるでしょう。レクリエーションに人気の脳トレを取り入れると、楽しみながら脳の活性化を促すことができると言われています。
当記事では、手遊びが脳トレに適している理由、簡単な手遊びを使った脳トレ方法、脳トレを手遊びに取り入れる際のポイントを紹介します。高齢者でも実践できる手遊びのタイプを知り、介護施設で盛り上がるレクリエーションを企画しましょう。
1.高齢者の脳トレに「手遊び」がおすすめである3つの理由
「脳トレ」と聞くと、頭を使うクイズや計算をイメージする人もいるでしょう。脳トレにはさまざまな種類がありますが、中でも高齢者の脳トレには下記の3つの理由から手指を使った「手遊び」がおすすめです。
・認知症の予防につながる
認知症の予防には、楽しみながら脳を活性化させることが大切です。脳トレの効果について聞いたアンケートでは、脳・神経科医の半数以上が「脳トレに効果がある」と答えています。
手遊びは、手指を左右で違う方向に動かしたり、リズムに合わせたりと、複数のことを同時に行うため、脳の刺激につながりやすい点が特徴です。また、認知症の予防だけでなく、認知機能の改善も期待できるといわれています。
・幅広い高齢者が取り組める
運動機能の衰えを感じ始める高齢者の中には、ラジオ体操でさえ難しい人もいます。手遊びは、座ったままできたり、簡単な動きで統一されていたりと、身体に負荷がかかりにくくなっています。要介護度によらず、幅広い高齢者が一緒になって楽しめることがメリットです。
・特別な道具・準備が必要ない
指体操やじゃんけんなど、手遊びには特別な道具や準備は必要ありません。手指さえあれば、いつでもどこでも始められるため、介護施設のレクリエーションとしてすぐに取り入れやすい点がポイントです。
2.高齢者の脳トレにおすすめの手遊び3タイプ
手遊びは特別な道具を必要としないものが多いため、日常生活の中へ手軽に取り入れることができます。また、手指を使ったり声を出したりと、さまざまな種類があり、飽きることなく楽しめるのも特徴です。
ここからは、介護施設で実施しやすい、代表的な手遊びを3つのタイプに分けて紹介します。
簡単に取り組める指体操
用意するものは両手指だけのシンプルな手遊びです。簡単な動作が多く、座りながらでも気軽に始められます。
【指折り体操】
最初に両手をパーにして広げ、親指から1本ずつ中へ折っていきます。小指まで折りたたみ、手がグーの形になったら、今度は小指から1本ずつ上に広げてください。「1、2、3」と数字を数えながら指を折っていくと、より脳への刺激につながります。高齢者は指を動かしづらいため、1本ずつゆっくりと行いましょう。レクリエーション前の準備運動として取り入れるのもおすすめです。
【指回し体操】
まず、両手でアーチを作るように、親指と親指、人差し指と人差し指と、同じ指の先端を合わせます。親指から順に、指先をぐるぐると回す体操です。回す指以外を離さず、指同士が当たらないように意識することで、脳の刺激となります。中指と薬指を回すときに他の指が離れがちになるため、応援したり声かけしたりすると、レクリエーションが盛り上がります。
【指離し体操】
両手を胸の前に出し、親指と親指、人差し指と人差し指など、同じ指の平を合わせます。親指から順に、1本ずつ指先を離します。このとき、他の指が離れてはなりません。簡単な動作ですが、テンポアップすると他の指が離れてしまいがちです。指が離れないように考えることで、脳の活性化が促されるでしょう。
指体操は、実際に病院でも取り入れられている認知症予防法です。指先を使ってトレーニングすることで、認知症予防に有効だと言われているマルチタスク能力を身につけることができます。
高齢者にも馴染み深い昔ながらの手遊び
高齢者が子ども時代に楽しんだ手遊びをすることで、過去の記憶を刺激して認知機能の改善を促すと言われています。
【あやとり】
1本の紐を輪っかにして、指に紐をかけながら形を作っていく手遊びです。東京タワーやちょうちょ、ほうきなど、1本の紐からさまざまなものを形作ることができます。指先を使いつつ、次の工程を考えることで脳の活性化につながります。
【お手玉】
手のひらサイズの小さな袋に米や小豆を詰めたものを上に投げ、片方の手からもう一方の手へ移す遊びです。操作に慣れたら、お手玉の数を2個、3個と増やしたり、歌を歌いながらお手玉をしたりするとレベルを調整できます。複数のことを同時に行うと、より脳の刺激となります。
【じゃんけん】
グー・チョキ・パーで勝敗を争うじゃんけんの中でも、後出しじゃんけんは脳の活性化を促すと言われています。後出しじゃんけんとは、パートナーの出した手に対して、負ける手を後出しする遊び方です。負ける手に慣れたら、負け→あいこ→勝ちと順番に他の手を出したり、両手を使ったりすると難易度を上げて楽しめます。
昔ながらの手遊びは、高齢者のほうがうまかったり、教えられたりすることもあるかもしれません。高齢者と若者が一緒になって楽しめる手遊びです。
音楽・リズムに合わせて楽しむ手遊び
音楽やリズムに合わせると、ゲーム感覚で楽しく手遊びを行うことができます。
【むすんでひらいて】
歌に合わせて、手を閉じたり開いたりする手遊びです。保育所や幼稚園などで教わっていることが多く、子供たちと一緒に楽しむこともできます。曲調がゆっくりのため、手指の動きに自信のない高齢者でも合わせやすいことが特徴です。
【あんたがたどこさ】
椅子に腰掛けながら、歌に合わせて膝をたたく手遊びです。歌詞の中に「さ」の文字が出てきたときは、膝をたたくのではなく両手を合わせます。歌いながら行うと複雑性が増し、脳への刺激がより大きくなります。大人数で同時に円になって行えるため、介護施設でのレクリエーションにぴったりです。
【おちゃらかほい】
2人ペアとなり、リズムに合わせてじゃんけんを繰り返す手遊びです。動きは単純ですが、勝ち・負け・あいこそれぞれのポーズを取ったり、ペースを乱さずじゃんけんを続けたりすることが脳の活性化につながります。
音楽に合わせるだけでなく、歌を歌いながら手指を動かしてマルチタスクをこなすと、より脳の刺激となるでしょう。
3.高齢者の脳トレに手遊びを取り入れる際の4つのポイント
最後に、介護施設のレクリエーションで手遊びを取り入れる際に意識したい4つのポイントを紹介します。
・毎日続けられるよう工夫する
脳トレとして手遊びを取り入れるのであれば、毎日継続するほうが効果的です。隙間時間にできる簡単な手順の手遊びを選ぶと、日々の活動に取り入れやすくなります。また、1つの手遊びばかりするのではなく、週ごとや月ごとに新しい遊び方を取り入れると、飽きずに楽しみながら続けることができます。
・コミュニケーションを大切にする
2人以上でコミュニケーションを取りながらレクリエーションをすることで、より脳が活性化すると言われています。自分1人でできる手遊びもありますが、レクリエーションで行うのであれば、ぜひ複数人でできるゲームを取り入れてみてください。
・少しずつ難易度を上げる
手遊びに慣れてしまい、何も考えずにただ手指を動かすだけになってしまうと、脳の活性化になりません。同じ手遊びでも、テンポアップしたり両手で違う動きをしたりするなど、少し難しいと感じるくらいの難易度を維持するやり方がおすすめです。
・準備体操・整理体操をする
運動するときと同じように、手遊びの前には準備体操を行うと、怪我や痛みの防止になります。また、手遊び後にも手首部分のストレッチとして整理体操を行い、手や手首の疲れを残さないようクールダウンさせることが大切です。
介護施設で手遊びをレクリエーションとして取り入れる際は、簡単な動作から始め、人数や難易度を調整しつつ、飽きのこない手遊びを考えることが大切です。準備体操や整理体操をしっかり行うことで、日々継続して脳トレに取り組むことができるでしょう。
まとめ
脳トレは認知症を予防する効果があり、中でも手遊びは幅広い高齢者が手軽に参加できる点がポイントです。レクリエーションを行った日だけでなく、毎日継続できるような働きかけをすると、より脳の活性化につながります。
「介護のみらいラボ」では、介護の現場で活躍する人に有益な情報記事を多数掲載しています。レクリエーション関係の記事以外の話題もたくさん取り上げておりますので、介護に関して悩みや不安を抱えている人は、ぜひ「介護のみらいラボ」をご参考ください。
参考:新装版 高齢者の手あそび・指あそび&足体操(いかだ社)
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