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仕事・スキル 介護士の常識 2022/10/12

9種類の地域密着型サービスとは?利用者さんの特徴や仕事内容を解説

構成・文/介護のみらいラボ編集部 1.jpg

1947~1949年頃の第一次ベビーブームに生まれた「団塊の世代」が、2025年に75歳(後期高齢者)になります。また、それによって日本の高齢化はさらに進み、医療費・介護費の増大や現役世代の負荷の増大、認知症患者の増加など、さまざまな問題が発生すると言われています。

そうしたなか、「介護が必要になっても住み慣れた地域で暮らしていけるように、地域住民をサポートすること」を目指した介護保険サービスである、「地域密着型サービス」が注目され始めました。

本記事では、地域密着型サービスの概要や種類、種類ごとの特徴などを徹底解説していきます。これから介護職に就きたいという方はもちろん、キャリアチェンジやスキルアップを目指している介護職員の方も、今後重要となるであろう地域密着型サービスについて、きちんと理解しておいてください。

1.地域密着型サービスとは?

地域密着型サービスとは、2006年の介護保険制度改正によって設けられた、要介護者・高齢者のための介護複合サービスであり、介護が必要になっても住み慣れた地域で暮らしていけるように、市町村指定の事業者が地域住民を支援しようとするものです。

地域密着型サービスでは、地域の特性を生かした環境作りを行ったり、小規模な施設を活用して、利用者さん一人ひとりのニーズに合った介護ケアを行ったりと、その名の通り地域に密着した幅広い介護支援が提供されます。

では、なぜ地域密着型サービスが注目を集めるようになったのでしょうか。その背景には、社会の急速な高齢化があります。先に述べたように、2025年には団塊の世代が75歳以上となり、要介護状態の方も現在より増加すると見込まれています。

そうした状況のなか、国ではすべての要介護者・高齢者が住み慣れた地域で、最後まで自分らしく生きられることを目指して、地域包括ケアシステム(医療、介護、予防、住まい、生活支援が包括的に確保される体制)の構築を推進。その中核を担うサービスとして地域密着型サービスが創設されたのです。

なお、地域密着型サービスの利用対象者は、「地域密着型サービス提供事業者のある市区町村に住民票を置いている、要介護認定を受けた65歳以上の高齢者」となっています。

(出典:厚生労働省「地域密着型サービスの概要」

2.地域密着型サービス9種類

地域密着型サービスは、9つの種類に大別されています。種類によって提供する介護サービスの内容も異なるため、地域包括ケアシステムを支える介護職員を目指す方は、あらかじめ各サービス内容を把握したうえで、自分に合った職場を見つけると良いでしょう。

【地域密着型サービスの種類9つ】

(1) 定期巡回・随時対応型訪問介護看護
(2) 夜間対応型訪問介護
(3) 認知症対応型通所介護
(4) 小規模多機能居宅介護
(5) 看護小規模多機能型居宅介護(複合型サービス)
(6) 認知症対応型共同生活介護(グループホーム)
(7) 地域密着型特定施設入居者生活介護
(8) 地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護
(9) 地域密着型通所介護

ここからは、地域密着型サービスの種類ごとに、サービスの概要や利用者さんの特徴、施設における仕事内容を詳しく解説します。

(出典:厚生労働省「地域密着型サービスの概要」

定期巡回・随時対応型訪問介護看護

定期巡回・随時対応型訪問介護看護は、定期的な巡回や通報などに随時に対応しながら利用者さんの自宅を訪問し、食事や排泄、入浴の介助を行ったり、料理や洗濯といった家事のサポートをしたりする訪問サービスです。

定期巡回・随時対応型訪問介護看護の対象者は、要介護認定1~5を受けた高齢者であり、要支援認定1~2の方は利用できません。

定期巡回・随時対応型訪問介護看護に携わる介護職員の主な役割は、利用者さんが自宅で自立した日常生活を送れるように、必要なタイミングで必要な介護ケア・医療ケアサービスを提供すること。看護師などの医療職とも連携しながら、業務を進めることになります。

(出典:厚生労働省「定期巡回・随時対応型訪問介護看護の概要」

夜間対応型訪問介護

夜間対応型訪問介護は、介護職員が夜間に利用者さんの自宅を巡回し、排泄や寝返りの介助、安否確認などを行ったり、突然のけがやトラブルに対応したりする訪問サービスです。なお、夜間対応型訪問介護には、利用者さんの自宅を午後18時から翌朝8時までの夜間帯で定期的に巡回する「定期巡回訪問サービス」と、利用者さんやその家族からの通報に応じて随時訪問する「随時対応サービス」の2つがあります。

対象者は、定期巡回・随時対応型訪問介護看護と同様に、要介護1~5の認定を受けた高齢者のみとなっており、要支援1または2の方は利用できません。

夜間対応型訪問介護に携わる介護職員は、排泄介助や寝返り介助、安否確認のほか、体調不良の利用者さんに対する適切な対応、同居する介護者の負担軽減につながるサポートなど、幅広いサービスを提供します。

(出典:厚生労働省「夜間対応型訪問介護」

認知症対応型通所介護

認知症対応型通所介護とは、対象者を認知症の利用者さんに限定した小規模の通所介護サービス(デイサービス)のことで、特別養護老人ホームなどの介護施設に併設された「併設型」、認知症対応型デイサービスとして単独設置された「単独型」、グループホームなどの共用スペースに併設された「共用型」の3つに大別されます。

対象者は、要介護1以上の認定を受けた方で、なおかつ医師によって認知症と診断された方でなければなりません。

認知症対応型通所介護に携わる介護職員の方は、日常生活の介助に加えて、自宅と施設の間の送迎や高齢者向けレクリエーションの実施、機能訓練のサポートなどの介護業務も行います。

(出典:厚生労働省「通所介護・地域密着型通所介護・認知症対応型通所介護」

小規模多機能居宅介護

小規模多機能居宅介護とは、利用者さんが、可能な限り自立した日常生活を続けられるように支援する居宅サービスのこと。「通い」を中心にしながら、短期間の「宿泊」「訪問」を組み合わせて、日常生活の支援や機能訓練を行う点に特徴があります。

対象者は、要支援1あるいは2の認定を受けた方と、要介護1~5の認定を受けた方となっており、幅広い利用者さんがいることも特徴の一つと言えます。

小規模多機能型居宅介護に携わる介護職員の業務は、通常のデイサービスと大きく変わりませんが、「宿泊サービス」「訪問サービス」によって仕事内容が異なります。宿泊サービスでは、日常生活の介助や利用者さんの体調チェック、就寝時の見守りなどがメイン。訪問サービスでは、利用者さんの自宅を訪問し、日常生活の介助や安否確認、服薬補助といった幅広いサポートを行います。

(出典:厚生労働省 介護事業所・生活関連情報検索 介護サービス情報公表システム「どんなサービスがあるの? - 小規模多機能型居宅介護」

看護小規模多機能型居宅介護(複合型サービス)

看護小規模多機能型居宅介護は、小規模多機能居宅介護と同様、通いの介護サービスを中心に、宿泊・訪問を組み合わせてさまざまな支援や介護を提供する居宅サービスです。

施設の概要や介護職員の主な仕事内容は、小規模多機能居宅介護と大差ありませんが、対象者が要介護認定1~5を受けた方に絞られる点と、訪問看護サービスがプラスされている点が大きな違いと言えるでしょう。

介護と看護の一体的な居宅介護サービスを提供する必要があることから、看護小規模多機能型居宅介護で働く介護職員は、看護師との連携も重要になります。

(出典:厚生労働省 介護事業所・生活関連情報検索 介護サービス情報公表システム「どんなサービスがあるの? - 看護小規模多機能型居宅介護(複合型サービス)」

認知症対応型共同生活介護(グループホーム)

認知症対応型共同生活介護は、入居者を認知症高齢者に限定し、「ユニット」と呼ばれる5~9人の少人数グループで共同生活を送る施設サービスです。

認知症対応型共同生活介護の対象者は、医師によって認知症と診断された方であり、かつ要支援2の認定を受けた方、要介護1~5の認定を受けた方となっています。

認知症対応型共同生活介護に携わる介護職員の仕事内容は、主に利用者さんの日常生活の介助や認知症ケア、夜間の見守りなどです。また、少人数制の施設の場合、トラブルが起こると対処・調整がしにくいため、利用者さん同士のコミュニケーションや関係性には、常に配慮しておく必要があるでしょう。

(出典:厚生労働省 介護事業所・生活関連情報検索 介護サービス情報公表システム「どんなサービスがあるの? - 認知症対応型共同生活介護(グループホーム)」

地域密着型特定施設入居者生活介護

地域密着型特定施設入居者生活介護は、入居定員が30人未満の比較的小規模な有料老人ホームや、「ケアハウス」と呼ばれる軽費老人ホームなどにおいて、各介護サービスや機能訓練を提供する施設サービスです。

対象者は、要介護1~5の認定を受けた方であり、要支援1・2の認定しか受けていない方は利用できません。

地域密着型特定施設入居者生活介護に携わる介護職員の仕事内容は、食事や入浴といった日常生活上の支援、機能訓練の補助、レクリエーションの実施など多岐にわたります。

(出典:厚生労働省 介護事業所・生活関連情報検索 介護サービス情報公表システム「どんなサービスがあるの? - 地域密着型特定施設入居者生活介護」

地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護

地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護は、利用定員30人未満の小規模な特別養護老人ホームにおいて、各介護サービスや機能訓練を提供する施設サービスです。

対象者は、原則として要介護3~5の認定を受けた方となっていますが、要介護認定1・2の方でも特例的に入所が認められる場合があります。

地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護に携わる介護職員の仕事内容は、日常生活上の支援や機能訓練の補助、療養上の身辺のお世話などです。地域や家族との結び付きも重視しているため、各方面との連携体制を整えることも重要な役目となります。

(出典:厚生労働省 介護事業所・生活関連情報検索 介護サービス情報公表システム「どんなサービスがあるの? - 地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護(地域密着型特別養護老人ホーム)」

地域密着型通所介護

地域密着型通所介護は、利用定員18人以下の比較的小規模なデイサービスにおいて、日帰りで日常生活の介助や機能訓練などを提供する通所サービスです。

対象者は、要介護1~5の認定を受けた方であり、要支援認定者は利用できません。

地域密着型通所介護に携わる介護職員の仕事内容は、通常のデイサービスと同様、日常生活上の支援や機能訓練の補助、レクリエーションの実施などがメインとなります。ただし、小規模な通所サービスであることから、利用者さん一人ひとりに適したきめ細かなサービスの提供が求められることを覚えておきましょう。

(出典:厚生労働省「通所介護・地域密着型通所介護・認知症対応型通所介護」

まとめ

地域密着型サービスとは、2006年の介護保険制度改正によって新たに創設された、要介護者・高齢者のための介護保険サービスです。2025年には団塊の世代が75歳以上となり、要介護状態の方の増加が見込まれることから、近年、あらためて地域密着型サービスに注目が集まっています。

地域密着型サービスは、定期巡回・随時対応型訪問介護看護、小規模多機能居宅介護、地域密着型通所介護など、9つの種類に大別されていることが特徴です。「地域密着型サービスに興味がある」「地域密着型サービスで高齢者や障害者を支えたい」と考えている介護職員の方は、各サービス内容を把握したうえで、自分に合った職場を見つけると良いでしょう。

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※当記事は2022年7月時点の情報をもとに作成しています

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