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仕事・スキル 介護士の常識 2024/05/22

老人ホームと介護施設の違いは?種類と特徴、費用の相場を解説

文/牛玖恵梨子(作業療法士) thumbnail.jpg

介護施設や老人ホームというと、高齢者が集団で生活するイメージがあるのではないでしょうか。なかにはマンションのような、一見しただけでは老人ホームとはわからない施設をイメージする方もいるかもしれません。

ひとことで介護施設や老人ホームといっても、日本の施設にはたくさんの種類があります。また、それぞれに特徴があり、利用できる対象者の条件も異なります。最近では、施設とは異なる位置付けの高齢者向け住宅も増えてきました。そこで当記事では、介護施設と老人ホームの違いや、実際にかかる費用などを紹介したいと思います。

1.老人ホームと介護施設の違い

老人ホームと介護施設は根拠となる法律(制度)が異なります。老人ホームと介護施設の主な違いは次のとおりです。

老人ホームとは

「老人ホーム」とは、老人福祉法に基づいて設置されている施設です。

老人ホームには下の表のように、要介護者が対象の特別養護老人ホーム、各施設の利用条件に合えば入居できる有料老人ホーム、経済面や環境面に課題を抱えた方が対象の養護老人ホームと軽費老人ホームがあります。軽費老人ホームには、所得制限なしで入居できるケアハウスと呼ばれるものもあります。

・特別養護老人ホーム
・有料老人ホーム
・養護老人ホーム
・軽費老人ホーム


介護施設とは

「介護施設」には、これといった定義が存在しません。ただし厚生労働省は、介護保険制度に基づく施設の一部を「介護保険施設」と呼んでいます。

●介護保険施設
指定介護老人福祉施設、介護老人保健施設、指定介護療養型医療施設をいいます。保険給付として、その費用が支払われる「施設サービス(※)」には、次の4つがあります。
※上記の介護保険施設で行われるサービスのこと

・介護福祉施設サービス
・介護保健施設サービス
・介護医療院サービス
・介護療養施設サービス

(出典:厚生労働省「介護事業所・生活関連情報検索」

ちなみに筆者は、ご家族やケアマネジャーさんなどと話す際、介護を受けられる施設全般を介護施設と表現し、「介護施設への入居も検討していますか?」と尋ねたりしていました。

2.老人ホームの種類と特徴

老人福祉法に基づく老人ホームのなかで、特別養護老人ホームと有料老人ホームは、介護保険制度がはじまってから設置数が年々伸びており、利用者数も増えています。それぞれの特徴は次のとおりです。

特別養護老人ホーム

特別養護老人ホーム(特養)とは、常時介護を必要とし、在宅生活が困難な高齢者に対して、生活全般の介護を提供する施設です。介護保険制度では「介護老人福祉施設」とも呼ばれます。

特別養護老人ホームでは、入浴や排せつ、食事など日常生活動作(ADL)の介護、そのほか日常生活の世話、機能訓練、健康管理や療養上の世話を行います。

入所の対象者は、原則として要介護3以上の認定を受けた高齢者ですが、やむを得ない事情がある場合は、要介護1や2の方でも入居が認められることがあります。

開設・運営主体は社会福祉法人が最も多く、民間運営の老人ホームなどに比べて費用が安い点が特徴です。ただし、看取り対応を行う施設も多く、入所期間が長くなりがちなため、申し込んでもすぐに入所できるとは限りません。

有料老人ホーム

食事の提供、介護(入浴や排せつなど)の提供、家事(洗濯や掃除など)の供与、健康管理のうち、いずれかのサービスあるいは複数のサービスを提供している施設です。必要に応じて、介護保険を使って介護サービスを受けている利用者さんもいます。

有料老人ホームには、次の3つの種類があります。

・介護付有料老人ホーム
・住宅型有料老人ホーム
・健康型有料老人ホーム


・介護付有料老人ホーム
入居者の人数に応じて介護スタッフが配置されています(要介護者3人に対して、介護スタッフを1人以上配置)。都道府県から「特定施設入所者生活介護」の指定を受けており、介護保険を使った介護サービスの提供が義務付けられています。

・住宅型有料老人ホーム
施設によってサービス内容は異なりますが、主に食事や環境整備などの生活援助サービスを提供する施設です。介護保険による介護サービスの提供は義務付けられていないため、必要な入居者は、訪問介護・看護、デイサービスといった外部介護サービスを利用することになります。

なお、厚生労働省は、住宅型有料老人ホームを施設ではなく「住まい」と位置付けています。

・健康型有料老人ホーム
食事をはじめとした、生活援助のサービスを提供する施設です。健康で自立して生活できる方が対象なため、介護が必要になった場合は退去となります。

養護⽼⼈ホーム

身寄りがなく自力で暮らせない、虐待を受けているなど、生活環境や経済的理由により⾃宅での⽣活が困難な⾼齢者が、市区町村長による「措置(行政処分)」決定に基づき⼊居する施設です。養護と自立支援が目的のため、介護サービスの提供は行いません。

視覚・聴覚障害の⽅を対象とした、盲養護老人ホームや聴養護⽼⼈ホームもあります。

軽費老人ホーム(ケアハウス)

軽費老人ホーム(ケアハウス)は、食事の提供や日常生活上必要な便宜を供与する施設です。無料または低額な料金で入所できる点が特徴で、食事を提供するA型と食事を提供しないB型、C型と呼ばれるケアハウス(※)に分類されます。

※家庭環境や経済状況などの理由により、家族との同居が困難な高齢者が入居できる施設。自立型と介護型があります。

比較的状態が軽い高齢者が対象となりますが、重度の要介護者や家族から虐待を受けている高齢者など、入所者の実態はさまざまなようです。

養護老人ホームが「措置」による入居なのに対し、軽費老人ホームは高齢者自身と軽費老人ホームとの契約による入居となります。

3.介護施設の種類と特徴

ここからは、介護施設と高齢者向け住宅について解説します。

介護老人保健施設(老健)

特別養護老人ホームと同様に、介護保険による給付が受けられる公的施設です。

在宅復帰を目指す要介護者が対象で、医師の指示のもとで看護や介護、理学療法士や作業療法士、言語聴覚士などの専門職によるリハビリテーションが受けられます。

介護老人保健施設は、介護保険法で次のように定義されています。

介護老人保健施設とは、要介護者であって、主としてその心身の機能の維持回復を図り、居宅における生活を営むことができるようにするための支援が必要である者に対し、施設サービス計画に基づいて、看護、医学的管理の下における介護及び機能訓練その他必要な医療並びに日常生活上の世話を行うことを目的とする施設。
(介護保険法第8条第28項)

(出典:厚生労働省・介護給付費分科会「介護老人保健施設」

介護医療院

これまでの介護療養型医療施設にかわって、2018(平成30)年にできた介護保険による新たな公的施設です。

長期的な医療と介護の両方を必要とする要介護者を対象としており、長期療養のための医療機能と生活施設としての機能の両方を有する施設となります。

介護保険法では次のように定義されています。

介護医療院とは、要介護者であって、主として長期にわたり療養が必要である者に対し、施設サービス計画に基づいて、療養上の管理、看護、医学的管理の下における介護及び機能訓練その他必要な医療並びに日常生活上の世話を行うことを目的とする施設。
(介護保険法第8条第29項)

(出典:厚生労働省「介護医療院の概要」

認知症対応型共同生活介護(認知症グループホーム)

認知症のある要介護者が、少人数で共同生活を送る住居型の民間施設です。生活の変化がストレスにならないように、家庭に近い環境が整えられており、介護スタッフによる入浴、排せつなどの日常生活動作(ADL)の介護や機能訓練などを受けることができます。

厚生労働省では認知症対応型共同生活介護を、「要介護者であって認知症であるものについて、共同生活住居において、家庭的な環境と地域住民との交流の下で入浴、排せつ、食事等の介護その他日常生活上の世話及び機能訓練を行うことにより、利用者がその有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるようにするものでなければならない」と表現しています。

(出典:厚生労働省「指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準」第1節第89条

サービス付き高齢者向け住宅とは

サービス付き高齢者向け住宅は、2011(平成23)年に改正された「高齢者住まい法(高齢者の居住の安定確保に関する法律)」で新たにできた賃貸住宅です。名称が長いこともあり、「サ高住(さこうじゅう)」と呼ばれています。

バリアフリー設計をはじめ、高齢者が住みやすい仕様になっている点に特徴があり、単身高齢者や高齢者夫婦が必要な支援(安否確認や生活相談サービスなど)を受けながら、その人らしい暮らしを実現できる住まいといえるでしょう。

主な入居対象は、自立した生活はできるけれど1人暮らしが心配な方や、介護度が低い方です。要介護認定を受けている入居者のなかには、訪問介護・看護や通所介護など、自宅で受けられる介護サービスを利用している方もたくさんもいます。

なお、厚生労働省では、住宅型有料老人ホームと同様、施設ではなく「住まい」と位置付けています。

4.入居や生活にかかる費用

入居や生活にかかる費用は、老人ホーム・介護施設ごとの設定や、地域の基準などによって異なります。

また、介護保険を利用できる利用者さんの場合、負担割合が1~3割と人によって異なります。まれではありますが、社会保険料を納付していない利用者さんの場合、10割負担で利用している方もいます。

以下に紹介する相場や入居条件例は、厚生労働省の資料などをもとに、条件を絞って算出したものです。参考程度にご覧ください。

老人ホームの相場

4つの老人ホームのうち、特別養護老人ホームだけが介護保険による公的施設となっており、金額は要介護度によって異なります。例えば、要介護5は介護時間が要介護4よりも長くなるため、費用も高くなるといった具合です。

また、有料老人ホームの場合、今回紹介する月払い方式以外に、前払い方式もあります。前払い方式では、入居一時金を一括して支払い、その後は食費や管理費などの支払いだけになるため、月ごとの費用は抑えられます。

入居条件例 費用の例
特別養護老人ホーム 要介護5・多床室利用・介護保険(1割負担)の場合 約10万2,200円/月
有料老人ホーム 介護付き・一般個室・月払い方式(管理費・食費含む)の場合 約20万1,000円/月
養護老人ホーム 対象収入(所得)45万円/年・費用徴収基準11階層の場合 1万4,100円/月
軽費老人ホーム A型の場合(前年の収入額に応じて変動) 6万5,000円~15万円/月

(出典: 健康長寿ネット「特別養護老人ホーム(特養)」厚生労働省「介護事業所・生活関連情報検索」厚生労働省「住まい支援の連携強化のための連絡協議会資料」

介護施設の相場

続いて、老人ホーム以外の介護施設や高齢者向け住宅の費用例と入居条件例を紹介します。

[公的施設]

入居条件例 費用の例
介護老人保健施設 要介護5(1割負担)・多床室利用・基本型の場合 989円/日
介護医療院 Ⅰ型介護医療院サービス費(Ⅰ)・要介護5(1割負担)・従来型個室の場合 1,230円/日

[民間施設・住宅]

入居条件例 費用の例
認知症対応型共同生活介護(認知症グループホーム) 共同生活住居が1ユニット・要介護5(1割負担)の場合 854円/日
サービス付き高齢者向け住宅 平均利用料金総額(家賃、共益費、基本サービス相当額、食費、水道光熱費) ※入居にあたり、敷金や礼金などの初期費用がかかる。 約14万円/月

(出典: 健康長寿ネット「介護老人保健施設(老健)とは」健康長寿ネット「介護医療院とは」健康長寿ネット「認知症対応型共同生活介護(グループホーム)とは」野村総合研究所「高齢者向け住まいにおける運営実態の多様化に関する実態調査研究報告書」/)

まとめ

ここまで解説してきたように、老人ホームと介護施設にはたくさんの種類があり、それぞれに特徴が異なります。もしかすると、「初めて耳にする施設もあった」という方もいるかもしれませんね。しかし、このようにたくさんの種類があるからこそ、利用者さんは自分の状態や希望に合った老人ホームや介護施設、住宅を選択できます。施設の違いをきちんと理解したい方は、ぜひこの記事を参考にしてください。

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牛玖恵梨子(Eriko Ushiku)

作業療法士

作業療法士、児童指導員ほか。
養成校卒業後、病院勤務を経て福祉心理学系の大学へ編入。卒業後は伊豆七島にある三宅島や都内、千葉県内で働く。
趣味は旅と読書、そしてビールを飲むこと。趣味と作業療法の経験を活かし、医療や福祉をテーマにした執筆や書籍などの編集も行っている。

牛玖恵梨子の執筆・監修記事

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