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仕事・スキル 介護士の常識 2024/08/02

9月の行事や記念日一覧|お祝いに合った行事食も紹介

構成・文/介護のみらいラボ編集部 thumbnail_0802.jpg

9月は残暑のなかにも、少しずつ秋の訪れが感じられる時期です。加えて、重陽の節句や十五夜、秋のお彼岸など、介護施設の利用者さんにとってなじみ深い伝統行事もたくさんあります。9月は台風のシーズンでもあるため、防災の日に合わせて施設で防災訓練を行うのも良いでしょう。

この記事では、9月の行事や行事食について詳しく解説します。9月のイベントやレクリエーション、行事食に悩んでいる介護職の方は、ぜひ参考にしてください。

1.9月の行事・記念日

9月は和風月名で「長月(ながつき)」と呼ばれます。長月の由来は明らかになっていませんが、夜の夜長を表す「夜長月(よながづき)」の略称だという説が有力です。ほかにも、秋の長雨が語源だとする説や、「稲刈月(いねかりづき・いながりづき)」が転じて長月になったという説もあります。

1年を春夏秋冬の4つの季節に分け、さらにそれぞれを6つに分けた二十四節気(にじゅうしせっき)において、9月は秋に分類され、9月8日頃を「白露(はくろ)」、9月23日頃を「秋分」と呼びます。ちなみに、白露は植物に朝露が宿り始める時期を指し、秋分は昼と夜の長さがほぼ同じになる日を指します。

9月の誕生花はリンドウです。リンドウは8月~11月にかけて開花を迎える花で、花言葉は「正義」「誠実」です。以下では、9月の代表的な行事や記念日について、それぞれの由来や風習、過ごし方などを紹介します。

●関連記事:【9月】高齢者向けおすすめレクリエーションは?行事一覧も

防災の日:9月1日

日本は地形や地質などの要因により、自然災害が発生しやすい国です。特に地震災害の発生割合が高く、2022年の統計では、世界で起こったマグニチュード6以上の地震の18.5%が、日本で発生したとされています。

そうしたなか、自然災害が発生しやすい国の特徴を国民に認識してもらおうと、1960年に制定されたのが「防災の日」です。

(出典:内閣府 防災情報のページ「令和5年度「防災週間」及び「津波防災の日」について」一般財団法人 国土技術研究センター「自然災害の多い国 日本」

9月1日は1923年に発生した関東大震災の日であり、この日を防災の日とした背景には、関東大震災の教訓を忘れないようにする意味合いや、台風の多い時期に災害に対する意識を高めようとする目的があります。

介護施設でも、常に災害に備える意識を持ち、定期的に防災訓練を行うことが大切です。訓練によって、利用者さんに災害時の対応や避難経路を知ってもらえば、いざというときに適切な行動がとれるようになるでしょう。

重陽の節句(菊の節句):9月9日

日本には、季節ごとに無病息災・子孫繁栄などを願う「五節句」と呼ばれる行事があります。五節句とは奇数が重なる日を「縁起の良い日=陽の日」とする、古代中国の風習を反映した行事で、旬の食材や邪気を払うとされる食材を食べたり、それぞれの節句にちなんだ飾りを楽しんだりして過ごします。

9月9日は陽の日の最大値である「9」が重なることから「重陽」と呼ばれ、江戸時代から五節句の1つとして親しまれるようになりました。

旧暦の9月9日(現在の10月中旬頃)は菊の開花時期にあたるため、重陽の節句は別名「菊の節句」とも呼ばれます。古くから菊には邪気を払う力があるとされており、重陽の節句では菊の花をお酒に浮かべた「菊酒」を飲み、不老長寿や無病息災を願うのがならわしです。

なお、五節句にはほかに、上巳の節句(3月3日)、端午の節句(5月5日)、七夕の節句(7月7日)、人日の節句(1月7日)があります。人日の節句だけ「1」が重なっていませんが、1月1日は1年の始まりという節句以上の節目であることから、7日が代替日になったそうです。

十五夜:9月上旬~中旬

十五夜は、別名「中秋の名月」とも呼ばれており、「秋の真ん中に出る月」という意味があります。旧暦では7月から9月が秋とされており、その真んなかにあたる8月15日が「中秋」というわけです。

この時期は、1年でいちばん空が澄んでいて月がとても明るく美しいことから、平安時代に月を観賞するお月見の風習が生まれました。その風習は中国の行事である「中秋節」をまねたもので、当時は月を観賞しながらお酒を飲んだり、管弦を楽しんでいたりしたそうです。

その後、お月見の風習は庶民の間にも広まりますが、この頃はちょうど農作物の収穫が始まる時期。そのため、お月見は秋の実りに感謝する収穫祭と結び付き、だんごやススキなどをお供えして、地の神様に感謝を捧げる行事になったと言われています。

敬老の日:9月の第3月曜日

敬老の日は「多年にわたり社会につくしてきた老人を敬愛し、長寿を祝う」ことを目的に制定された国民の祝日です。

(出典:厚生労働省「○国民の祝日「敬老の日」の設定について」

敬老の日は、兵庫県の多可郡野間谷村(現在の多可町)の村長が、「老人を大切に、またお年寄りの知恵を借りて村づくりをしよう」という趣旨で、1947年9月15日に「敬老会」を開催したことに由来しています。

「敬老会」は、その後「としよりの日」となって兵庫県全体に広まり、1963年には老人福祉法にもとづいて、「お年寄りの社会参加や健康長寿社会の促進」を目指した「老人の日」が誕生。1966年に「敬老の日」の名称で国民の休日となりました。

●関連記事:敬老の日レク・敬老会の出し物アイデア8選!実施時の注意点も

秋分の日(秋のお彼岸):9月23日頃

秋分の日は1年のなかで、昼と夜の長さがほぼ同じになる日です。暦の上では秋の中間を指す時期(=秋を分ける時期)とされており、この日を境に夜の時間が長くなっていきます。

また、秋分の日を中日とし、前後3日間を合わせた1週間は「秋のお彼岸」です。仏教では西の方角に極楽浄土があるとされており、太陽が真東から昇り真西に沈む秋分の日は、ご先祖様のいる「彼岸」と私たちが住む「此岸(しがん)」が、最も近付くと言われています。そのため、秋分の日はご先祖様へ感謝の気持ちを伝えやすいと考えられており、お墓参りをしたり、仏壇に手を合わせたりする習慣が根付きました。

戦前、秋分の日は「秋季皇霊祭(しゅうきこうれいさい)」と呼ばれていましたが、1948年に秋分の日に改名され、国民の祝日に制定されています。

2.9月の行事食

9月には、重陽の節句や十五夜、秋分の日などの行事・記念日にちなんだ行事食が数多くあります。介護施設でも、食事に取り入れたりおやつとして提供したりして、秋を感じてみてはいかがでしょうか。

ここからは、介護の現場にも活用できる9月の行事食を紹介していきます。

栗ごはん:重陽の節句

江戸時代に庶民の間に浸透した重陽の節句は、作物の収穫時期と重なることから「栗の節句」と呼ばれることもあります。重陽の節句=菊というイメージが強いかもしれませんが、

秋の味覚の代表格である栗も、重陽の節句には欠かせない食材。江戸時代の農民たちの間では栗ごはんを炊いて、収穫のお祝いをするのが主流だったそうですよ。

栗ごはんには、ビタミンB1やビタミンC、そして食物繊維も豊富に含まれています。ビタミンB1を摂取すると疲労回復効果が期待できるため、夏の暑さによる疲れがたまった秋には特におすすめです。また、ビタミンCは抗酸化作用や免疫力アップ、食物繊維は便秘改善に効果があると言われます。

月見団子:十五夜

十五夜には、米の粉を使った月見団子をお供えするのが定番です。月見団子は米の収穫に感謝し、翌年の豊作を祈願するためのお供え物です。団子を供える習慣が広まった江戸時代には、月見団子を食べると月からエネルギーをもらえるため、健康でいられるとも考えられていました。

月見団子の数は、十五夜の名称にちなんで15個用意するのが一般的です。形は地域によって異なり、関東では白い丸型が多く見られます。一方、関西では里芋のような楕円形の団子に、こしあんを巻き付けるのが伝統です。

里芋:十五夜

十五夜には、「もともと芋類の収穫を祝うために行われていた」という説もあり、里芋などの芋類を主食として食べていた頃は、秋の収穫物である里芋やさつまいもなどの芋類を供えて、収穫への感謝と豊作の祈りを捧げていたそうです。そうした理由から、中秋の名月は「芋名月」とも呼ばれています。

その風習は現代にも受け継がれており、里芋は月見団子と並んで十五夜に欠かせない食べ物となっています。

お供えした里芋は、「衣被(きぬかつぎ)」という料理で食されるのが一般的です。衣被とは、里芋を皮のままゆでた後(蒸して作る場合もあります)、皮を少しむいて仕上げる料理で、高貴な女性が布をかぶる姿に似ていることからその名がつきました。

そのままでも食べられますが、みそや塩を付けると味わいに変化が出て、よりおいしくいただけます。

おはぎ:秋分の日

秋分の日のお墓参りには、お供え物としておはぎが用いられます。おはぎをお供えするのは江戸時代から始まった習慣で、おはぎの材料である小豆には邪気を祓う効果があり、先祖供養になると考えられていたそうです。

一方、春分の日には「ぼたもち」をお供えしますが、おはぎとぼたもちは作り方・材料とも基本的には同じです。「萩(はぎ)」の花が咲く秋のお彼岸ではおはぎと呼び、「牡丹(ぼたん)」が咲く春のお彼岸にはぼたもちと呼ぶといった具合に、お供えする時期によって呼び方が違うだけなので、覚えておきましょう。

まとめ

9月には防災の日や重陽の節句、十五夜、敬老の日、秋分の日といった行事や記念日があります。介護施設で働くみなさんにとって、敬老の日は特になじみ深い行事ではないでしょうか。また、9月の行事食には重陽の節句に食べる栗ごはんや、十五夜の里芋料理・月見団子、秋分の日のおはぎなどがあります。いずれも高齢の方に好まれる料理なので、施設の食事やおやつに活用して、みんなで秋の味覚を楽しむのが良いでしょう。

介護のみらいラボでは、介護の現場で働く方に向けて有益な情報を提供しています。毎月のイベントや行事食などで悩んでいる介護職の方に向けて、各月の行事情報も紹介しているので、ぜひ介護のみらいラボをお役立てください。

※当記事は2024年1月時点の情報をもとに作成しています

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