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仕事・スキル 介護士の常識 2021/11/26

介護現場で発生するヒヤリハットの原因|報告書をまとめるポイントも

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介護の現場には、利用者の生命に関わる重大事故・災害につながるリスクが多く存在します。そのため、常日頃からヒヤリハットを意識してリスクマネジメントを行い、業務改善に努めることが大切です。

この記事では、高齢者施設・在宅介護サービスなどの介護スタッフとして働く人に向けて、ヒヤリハットの原因と防止方法を解説します。ヒヤリハットが起こりやすい場面や、災害・事故を未然に防ぐための対策も紹介するため、質の高い介護を実践するノウハウとして参考にしてください。

介護の現場で起こる「ヒヤリハット」とは?

ヒヤリハットとは、事故・災害にはつながらなかったものの、恐れを伴って「ヒヤリとした」「ハッとした」事例のことです。少人数のスタッフで複数の利用者を担当する介護の現場では、見守りが十分に行き届かず、重大な事故・災害が発生するケースがあります。

よくあるヒヤリハットの事例は下記のとおりです。

  • 車椅子のブレーキを掛け忘れて、転倒が起こりそうだった
  • 食事介助中に、誤嚥事故を起こすところだった
  • 入浴介助中の体調管理を怠り、利用者をのぼせさせた
  • 排泄介助中に利用者の側を離れて、転落事故を起こしそうになった

上記はすべて、生命に関わる事故・災害につながる恐れを伴ったヒヤリハット事例に該当します。労働災害分野でよく用いられる事故に関する経験則「ハインリッヒの法則」によると、1件の重大な事故・災害の背景に存在する「ヒヤリハット」は300件です。

介護にあたるスタッフが日常的にヒヤリハットを意識し、些細なミスを起こさないように努めることが、リスクマネジメントを行ううえで必須といえます。

介護の現場でヒヤリハットが起こる原因と防止方法

介護の現場でヒヤリハットが起こる原因には、複数のパターンがあります。発生したヒヤリハットの原因を分析する際は、さまざまな可能性を視野に入れて多角的に考えることが大切です。

ここでは、ヒヤリハットが起こる原因を3つのパターンに分類し、詳細と防止方法を解説します。

利用者本人に原因がある場合

利用者の抱えている疾患や心身の状態は、一人ひとり異なります。利用者ごとの状態をチェックせずに画一的な支援を提供することは、ヒヤリハットを起こす原因の1つです。

また、利用者の心身の状態は日々変化します。「前日の睡眠時間が不十分」などの理由によって心身の状態が優れないと、ヒヤリハットが起こるリスクは高まるため注意しましょう。

利用者本人に原因があるヒヤリハットを防ぐためには、利用者の心身の状態を事前に把握し、介護の手順や接し方を変えることが大切です。利用者の要望・考え方・行動のクセなどを理解しておくことでも、ヒヤリハットを防げます。

利用者の個性に目を向けずに介護を実践してしまうと、本人の尊厳を軽視したケアに陥りがちです。尊厳を軽視したケアを提供すると利用者とスタッフの心の溝が深まり、ヒヤリハットが起こるケースも増えてしまいます。

支援する側に原因がある場合

介護スタッフも人間であるため、支援にあたる際の心身の状態によって、ヒヤリハットが起こる場合もあります。たとえば、下記のような状況ではヒヤリハットが起こりやすいため、自身の心身のケアに努めてください。

  • 残業が多く、睡眠時間が不足している
  • 多忙なあまり、体調が優れない
  • 職場や家庭の問題で、イライラしている

体調が優れない日・イライラしている日は利用者の些細な変化を見逃しやすく、事故・災害リスクが高まります。多忙なときこそ体調管理に注意して、ヒヤリハットを防ぎましょう。

また、介護スタッフの態度が変化すれば、利用者の心身の状態にも影響します。介護スタッフの態度によって利用者との信頼関係が揺らいでしまうと、ヒヤリハットが発生する可能性も高まるでしょう。

介護現場の環境に原因がある場合

介護現場のヒヤリハットの中には、環境が原因と考えられるものも存在します。たとえば、「浴室の床が滑りやすく転倒事故を起こしかけた」「利用者に合わない福祉用具を使用して怪我をさせそうになった」などが、環境が原因のヒヤリハットの例です。

環境が原因で起こるヒヤリハットを防ぐためには、事故・災害の発生しやすい場所や状況をスタッフ同士で共有しましょう。共有をした後は、事故・災害を起こしにくい状態への改善を図ってください。

また、環境が原因となるヒヤリハットは、一度発生を防ぐことができた場合でも、再び発生リスクが高まるケースもあります。事故・災害が起こりにくい状態を維持するためには、定期的に福祉用具・設備・建物などを点検し、再度手を加える必要性はないか検討しましょう。

ヒヤリハットの発生時には報告書を書くことが大切

ヒヤリハットが発生したときには報告書を書き、トラブルの詳細や事故防止策について、職場内で情報共有する必要があります。「報告書」とは、重大事故や職員の法令違反が認められた場合に提出する「介護保険事業者事故報告書」ではなく、職場独自で作成する「ヒヤリハット報告書」です。

ここでは、ヒヤリハットの発生時に書く報告書の内容や、書き方のポイントを解説します。

報告書に書く内容

ヒヤリハットの報告書は、事故・災害につながる出来事を起こした介護スタッフ本人が作成します。報告書に書く内容はおおむね下記のとおりです。

■報告書に書く項目

  • 介護スタッフの氏名
  • 発生日時
  • 発生場所
  • ヒヤリハットの概要
  • 起こりえた災害、事故
  • ヒヤリハットの原因
  • 再発防止対策

報告書は、「5W1H(いつ・どこで・誰が・何を起こした・なぜ起きたか・今後どうするか)」が伝わるように書くことが基本です。5W1Hが伝わるように出来事をまとめると、必要な情報が漏れなく含まれた報告書を作成できます。

なお、職場によっては報告書の統一フォーマットが存在するケースもあります。フォーマットが存在する場合は職場のルールに従い、規定の項目についてまとめましょう。

報告書を書く際のポイント

ヒヤリハットの報告書を書く際には、以下のポイントを意識して報告書を書きましょう。

〇事実のみを簡潔に書く
ヒヤリハットの報告書内に憶測を含めることは避け、事実のみを簡潔にまとめます。ヒヤリハットが起きたときの状況を明確に記憶していない場合は、自身が分かる範囲の情報を記載しましょう。曖昧な記憶に基づき、事実と異なる情報を書くことは避けてください。

〇専門用語の使用を控える
ヒヤリハットの報告書は、利用者の家族や外部の人に提示することがあるため、専門用語・略語の使用は控えてください。たとえば、ナースコールのことを「NC」と書いても、一般の人には伝わりません。ヒヤリハットの報告書には、いずれの立場の人が読んでも分かる簡単な言葉を使用しましょう。

〇客観的な視点で書く
ヒヤリハットの報告書に自身の解釈や私情を書くことは不適切です。客観的な視点から見た情報・聞いた言葉を加工しないで書き、信頼度の高い報告書を作成しましょう。報告書内にヒヤリハットの原因や再発防止対策を書く場合は、事実に基づく情報を書くエリアと区分けして記入しましょう。報告書の最初に客観的な事実を書いた後、原因や再発防止対策などについて自身の見解をまとめてください。

(出典:厚生労働省「平成20年度 厚生労働省老人保健事業推進費等補助金」

まとめ

今回は、介護の現場で起こるヒヤリハットの事例や原因と、報告書の書き方を解説しました。

介護職の経験が豊富な人でも、ヒヤリハットを完璧に回避することは困難です。ヒヤリハットが起きたときには速やかに報告書を書き、同じ職場で働く介護スタッフに情報共有をしましょう。

「介護のみらいラボ」では、介護の現場で役立つ情報を掲載しています。安全な介護を実践するためのノウハウをより詳しく知りたい人は、ぜひ介護のみらいラボをご参考ください。

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