介護施設に「マッチョ介護士」がやってきた!~業界に新風を巻き起こした「HIDAMARI GROUP」の取り組み~|気になるあの介護施設
取材・文/小南 哲司(イージーゴー)ひだまりグループに所属するマッチョの職員たち
東海地方のある介護施設で、利用者を軽々と持ち上げる筋肉ムキムキの介護士たちが数多く働いています。そんな「マッチョ介護士」はいかにして集まったのでしょうか? 「HIDAMARI GROUP(株式会社ビジョナリー)」の代表取締役社長・丹羽 悠介氏に話を聞いてみました。
1.HIDAMARI GROUPができるまで
――丹羽社長がHIDAMARI GROUPを立ち上げるまでを教えてください。
もともとはずっと美容師になりたくて、美容院に勤めていました。でも当時、美容業界がちょうど「カリスマ美容師」ブームが終わりつつあって、自分としてはあまり将来性を感じられなくて、ほかのことも経験してみたいと漠然とした考えで美容師をやめたんですね。
その後、高齢者の方を散髪するボランティアをきっかけに介護業界に入りました。それで仕事をやっていくうちに、労働集約型なビジネスで職人気質な人も多くて「介護業界ってすごく美容業界に似ているな」と思ったんですね。だから「介護業界にも『カリスマ介護士』みたいな存在が出てくるかもしれないな!」と思って、この業界でやっていきたいという野心みたいなものが出てきました。それで一気に起業したんです。
2.「マッチョ介護士」募集の経緯
――「マッチョ介護士」が話題ですが、彼らを募集したきっかけはなんですか。
起業してからコツコツと事業を拡げて、やっと施設経営に乗り出そうというときに、一気に10~20人と採用することになったんですね。「そんなに人を集めるには一体どうしよう」って思って考え出したのが、何かスポーツの「実業団」を作るということでした。
もともとモータースポーツが好きだったんで「F1 チームなんかつくりたいなぁ......」なんて思ったんですけど当然無理ですし(笑)、野球とかサッカーのチームを作れるかって言ったら練習場とかも作らなきゃいけないしで、とにかくお金がかかるからそんなに現実的じゃない。だからもっと少人数の競技で、これから面白そうなものってないかな、といろいろ考えました。
その時私が個人的に筋トレをしていて、通っていたジムのトレーナーから「せっかく筋トレをやるんだったら、何かボディビルのコンテストに出てみたら?」と言われたんですよ。私は目標があるほうが気分的にも盛り上がるから頑張ってコンテストに出てみたのですが、その時衝撃だったのは、いわゆる「マッチョ」な人たちって思っていた以上にすごくストイックに頑張っていて。かっこいい人たちもいっぱいいて、たぶんこれからすごく盛り上がるんだろうなと思ったんですね。
またちょうど筋トレブームも始まって、筋肉系のインフルエンサーも登場してきた頃でした。それが「フィットネス実業団」設立のきっかけになりましたね。最初そういう実業団を作りたいって会議で話したら「社長は何を言ってるんだ?」みたいな雰囲気だったんですけど(笑)、「とにかくやらせてほしい」と説得しました。
仕事の合間にトレーニングする職員
ボディビルは個人競技なので、本格的なトレーニングジムをわざわざ会社に作らなくても、街中にあるスポーツジムと提携して、そこに通う手当さえ出してあげればいい。それに勤務時間のなかで必ず2時間をトレーニング時間としてあてるようにさせたり、あとはプロテインとかのサプリメント代手当とかを作ったりして求人を始めました。そういう条件に惹かれて「マッチョ介護士」が続々と入社してきたんですね。
3.気になる「マッチョ介護士」の人数は?
――「マッチョ介護士」はいま何人くらい?
約30人ですね。(2022年10月取材時点)マッチョな人たちって、大好きな筋トレや競技を続けていきたいという思いはあるんですけど、周りから「そんなに筋トレやったり、鶏肉ばっかり食べたりしてないで仕事しろ」みたいに言われて、なにか別の本業をしながらだとなかなか続けられない人が多いんです。
例えば「もう筋トレのトレーナーになるしかない」と思っている人も多かったのですが、介護士っていう別の道もあるということを新たな選択肢として感じてもらえて集まってきてくれたのかな、と思います。
トレーニングの時間やサプリメント代などを会社としてサポートすることで、「マッチョ」のままでいることを応援してもらえるっていうだけで、「好きなことが続けられてありがたい」っていうふうに言ってくれますね。もともと身体を使うのが好きな人たちなので、介護の仕事もすごく楽しんでくれる人が多くんです。
取材/小南 哲司
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