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仕事・スキル 介護施設・職場 2024/08/15

#ケアマネジャー#ケアマネジャー試験

ケアマネジャー試験の勉強法は?合格に必要な勉強時間も解説

文/倉元せんり 0819_thumbnail.jpg

ケアマネジャーの資格を得ることは、介護福祉士をはじめとする介護職がキャリアアップを目指す有効な手段です。
しかし、ケアマネジャー試験の出題は広範囲にわたっており、合格するのは簡単ではありません。独学で合格を目指す場合は、効率的な勉強法と自分に合った学習計画が不可欠でしょう。

この記事では、ケアマネジャー試験に合格するための勉強法を紹介します。限られた時間で、効率よく勉強を進めるポイントを解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。

1.ケアマネジャー試験の内容

ケアマネジャー試験に合格するためには、合格基準や出題形式を把握しておくことが大切です。まずは、ケアマネジャー試験の概要から解説しましょう。

受験資格

ケアマネジャー試験を受験するためには、実務経験が必須です。以下のいずれかに該当する方が受験資格を得られます。

  • 国家資格などに基づく実務経験が5年以上かつ900日以上ある方
  • 施設などで必置とされている相談援助の実務経験が5年以上かつ900日以上ある方

国家資格には医師や看護師、理学療法士などの医療職、社会福祉士や介護福祉士などの福祉職が含まれます。一方の相談援助で求められるのは、介護老人福祉施設の生活相談員(ソーシャルワーカー)や障害児相談支援の相談支援専門員、生活困窮者自立支援事業の主任相談支援員などの実務経験です。

ケアマネジャー試験では、介護福祉士が受験するケースが多く見られますが、無資格で介護業務に就いている方には受験資格がありません。無資格で介護業務に従事している方がケアマネジャーを目指す場合は、社会福祉士や介護福祉士の資格を取得後、5年(900日)以上介護業務に従事するなどの方法で受験資格を得られます。

試験科目と出題形式

ケアマネジャー試験の試験科目は、以下の通りです。

出題分野 問題数 出題内容の例
介護支援分野 計25問 ・介護保険制度について
・ケアマネジメント業務について
・要介護認定について
保健医療福祉サービス分野 計35問
・保健医療サービスの知識など(20問)
・福祉サービスの知識など(15問)
・高齢者に多い疾病の特徴
・認知症について
・居宅サービスについて

問題数は「介護支援分野」が25問、「保健医療福祉サービス分野」が35問の全60問です。各分野とも正答率70%を目安に正解する必要がありますが、合格基準点は該当年度の難易度によって補正されます。

ケアマネジャー試験は、5つの選択肢から複数の正解を選ぶ五肢複択方式で出題されます。基本的には、5つの選択肢から2つもしくは3つの正解(正しいもの、適切なもの)を選びますが、正解をすべて選択しないと点数になりません。あいまいな知識では選択肢を絞りきれず不正解になってしまうので、正確な知識を身につけることが大切です。

試験の難易度と合格率

ケアマネジャー試験は難易度が高く、例年10〜20%の合格率で推移しています。まずは、ここ3年間の受験者数や合格者数、合格率を見てみましょう。

年度(回) 受験者数 合格者数 合格率
2021年度(第24回) 54,290人 12,662人 23.3%
2022年度(第25回) 54,406人 10,328人 19.0%
2023年度(第26回) 56,494人 11,844人 21.0%

(出典:厚生労働省「第26回介護支援専門員実務研修受講試験の実施状況について」

直近の2023(令和5)年度のケアマネジャー試験は、合格率が21%でした。10人のうち2人しか合格できないことを考えると、けっして合格率が高いとはいえません。

また、ほかの福祉系資格と比較しても、合格率は低めの傾向にあります。例えば、2024(令和6)年度の介護福祉士の合格率は82.8%、社会福祉士の合格率は58.1%となっており、ケアマネジャー試験の合格率とは大きな差があることがわかります。

これらの点から、ケアマネジャー試験は難易度が高く、合格するためには計画的に学習を進める必要があるといえるでしょう。

2.ケアマネジャー試験に合格するための勉強法

ケアマネジャー試験に合格するためには、効率のよい勉強法を知り、計画的に学習を進めることが大切です。おすすめの勉強法としてあげられるのは、以下の5つです。

  • 同じ問題集をくりかえし解く
  • 過去問で出題傾向を把握する
  • 苦手科目を重点的に対策する
  • 本番を想定して問題を解く
  • 時事問題の対策をする

では、それぞれについて詳しく解説しましょう。

同じ問題集をくりかえし解く

正確な知識を身につけるためには、いろいろな問題集を使うよりも、同じ問題集をくりかえして解く勉強法がおすすめです。

「問題を多く解くこと」に気をとられると、知識が定着しにくくなります。1冊の問題集を反復して解き、1つひとつの知識を確実に身につけるようにしましょう。なお、問題集のおすすめの使い方は、次のとおりです。

  • 1回目はまず解いて、間違えた問題の解説を読む。
  • 解説を読んでも理解できないところは知識が足りていないので、該当分野のテキストで確認する。

これをくりかえすことで知識の定着につながるため、効率よく学習を進められるでしょう。

前述したように、五肢複択方式のケアマネジャー試験は、確実に知識を習得しておかなければ正解を導くことができません。正しい知識を確実に身につけられるように、問題集をくりかえして解きましょう。

過去問で出題傾向を把握する

ケアマネジャー試験の勉強を効率よく進めるためには、過去問題の活用が非常に重要です。問題集をある程度解き終えた後は、過去に出題された問題に挑戦しましょう。

過去問題を解くことは、自分の苦手分野を把握したり、出題傾向を確認したりするのに役立ちます。わからない問題は理解できるまで何度も解き直して、確実に知識を定着させてください。

過去5年間に実際に出題された問題と解答は、東京都福祉局のWebサイトで公開されています。上手に活用して、試験対策に役立ててください。

(参考:東京都福祉局「介護支援専門員の試験情報」

苦手科目を重点的に対策する

過去問を何度も解いていると、自分の苦手分野に気づく場面があるはずです。苦手分野が明らかになったら、その科目の理解を深めることを心がけましょう。

理解を深めるコツは、苦手科目のテキストをくりかえし読み込み、重要なポイントを押さえることです。さらに問題集もくりかえして解き、知識の定着を図りましょう。

合格の可能性を高めるためにも、苦手分野を克服し、理解を深めておいてください。

本番を想定して問題を解く

ケアマネジャー試験の本番が近づいてきたら、以下の2点を意識して問題を解きましょう。

  • 過去問を120分の制限時間内で解く
  • 試験環境を意識する

実際の試験と同じ120分で過去問に取り組めば、問題を解く際の時間配分の感覚が身につきます。時間内で集中して解答する力も養成できるので、本番でも焦ることなく実力を発揮できるでしょう。

また、自宅でも試験環境を意識して問題を解くことが大切です。過去問に取り組むときは、携帯電話やインターネットなどの使用を控え、試験会場と同じような環境をつくりましょう。そうやって本番を意識しておくと、当日の緊張感も想定できるので、落ち着いて問題に取り組めます。

時事問題の対策をする

ケアマネジャー試験では、テキストからの出題だけでなく時事問題が出題される場合もあります。

実際、2016(平成28)年には熊本地震を受けて避難所での支援の事例が出題され、2021(令和3)年には感染症予防に関する問題が出題されました。

時事問題を知っているだけで点数を得られる可能性があるので、普段から新聞やニュースに目を通したり、介護分野の最新情報をチェックしたりしておきましょう。

3.ケアマネジャー試験は独学で合格できる?

ケアマネジャー試験は、独学でも合格できます。テキストや問題集、過去問を購入してくりかえし解けば、問題なく試験対策ができるでしょう。学校や通信講座のように受講費もかからないので、なるべく費用をかけずに学習を進めたい方にはおすすめです。

ただし、勉強方法がわからない方や、わからないことを直接質問したい方の場合、独学を選ぶと学習効率が悪くなる可能性があります。そうした方は通信講座などを利用して、自分の理解度に合わせて知識を身につけていくほうがよいかもしれません。

自分に合った勉強方法を選んで、合格を目指しましょう。

4.ケアマネジャー試験に必要な勉強時間

ケアマネジャー試験に合格するためには、100〜200時間の勉強が必要といわれています。ただし、保有資格によって身についている基礎知識が異なるため、なかには200時間以上の勉強が必要となる方もいるでしょう。

200時間勉強する場合、毎日1時間勉強できる方でも200日かかる計算になるので、6〜7カ月ほどを目安にスケジュールを組む必要があります。ケアマネジャー試験は例年10月の第2日曜日に行われるので、そこから逆算して「いつから勉強を始めるか」「いつまでをテキストの読み込みにあてるか」「いつから問題集や過去問に取り組むか」などを決めておきましょう。

まとめ:自分に合った勉強法でケアマネジャー試験の合格を目指そう

ケアマネジャー試験に合格するためには、計画的かつ自分に合った勉強法で学習を進めることが大切です。

ケアマネジャー試験は難易度の高い資格ですが、学習スケジュールを立てて確実に知識を習得すれば、けっして合格できない試験ではありません。本記事で紹介したように、問題集や過去問をくりかえし解き、毎日コツコツと学習を進めてみてください。

●関連記事:
ケアマネジャー試験の合格率は?過去の合格ラインや合格するためのポイントも解説
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倉元せんり(Senri Kuramoto)

社会福祉士

大学卒業と同時に社会福祉士の資格を取得。約8年、医療ソーシャルワーカーとして勤務。出産・育児と同時に退職し、現在は福祉・金融系webライターとして、福祉やお金にまつわるさまざまな記事を執筆している。

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