ケアマネの合格率が低い理由とは?合格するための対策ポイントも
ケアマネジャー(介護支援専門員:以後「ケアマネ」)は、介護業界でもニーズの高い資格職であるため、資格取得を目指している介護職の方も多いでしょう。しかし、ケアマネの合格率の低さに疑問や不安を抱えている方もいるのではないでしょうか。
当記事では、近年のケアマネ試験の合格率をふまえた上で、ケアマネ試験の合格率が低い理由について解説します。難易度が高く合格率も低いケアマネ試験に合格するための対策ポイントも併せて確認し、ケアマネ試験の合格とケアマネ資格の取得を目指しましょう。
目次
- 2. ケアマネ試験の合格率が低い4つの理由
- 2-1. ケアマネの質を向上するため
- 2-2. 試験勉強に十分な時間を取っていない受験生が多いため
- 2-3. 正確な知識・理解が求められる出題形式であるため
- 2-4. 現場で働く介護福祉士の数を維持するため
1. ケアマネ試験の合格率
ケアマネ試験の合格率は、ほかの介護関連資格の合格率と比べて低い水準にあると言われています。直近5年間のケアマネ試験の合格率はどのように推移しているのでしょうか。
■ケアマネ試験の合格率(2017~2021年)
受験者数 | 合格者数 | 合格率 | |
---|---|---|---|
2021年 | 54,290人 | 12,662人 | 23.3% |
2020年 | 46,415人 | 8,200人 | 17.7% |
2019年 | 41,049人 | 8,018人 | 19.5% |
2018年 | 49,332人 | 4,990人 | 10.1% |
2017年 | 131,560人 | 28,233人 | 21.5% |
(出典:厚生労働省「第24回介護支援専門員実務研修受講試験の実施状況について」/ https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000187425_00008.html)
直近5年間におけるケアマネ試験の合格率は、受験者数を問わず10~20%前後となっています。
しかし、ケアマネ試験の合格率は最初からこれほど低い水準であったわけではありません。1998年(第1回目)のケアマネ試験の合格率は44.1%と比較的高かったものの、全体を通して合格率は年々低下傾向を示しています。特に2018年の試験合格率は過去最低となったことも含め、近年はさらに難関試験となっていると考えられるでしょう。
2. ケアマネ試験の合格率が低い4つの理由
ケアマネ試験の合格率が年々低下傾向にあり、特に近年の合格率が10~20%台となっている理由として、次のような要因が考えられます。
■ケアマネ試験の合格率が低い理由として考えられる要因
・ケアマネの質を向上するため
・試験勉強に十分な時間を取っていない受験生が多いため
・正確な知識・理解が求められる出題形式であるため
・現場で働く介護福祉士の数を維持するため
ここでは、上記の4つの理由について詳しく解説します。
2-1. ケアマネの質を向上するため
高齢化が進む日本において、ケアマネは介護を必要とする方に合ったケアプランを作成し、自立支援を行うという重要な役割を果たしています。しかし、ケアマネのニーズが高いからといって、単純にケアマネの人数を増やせばよいというわけではありません。利用者さんを適切な支援につなげるためには、質の高い人材が必要です。
合格基準を厳格化した試験を実施することにより、真剣に知識・能力を身につけてきた人材にしぼってケアマネの資格を与えることが可能となります。ケアマネの質を向上するために、試験の難易度が上がったことが、合格率が低い理由の1つであると考えられるでしょう。
2-2. 試験勉強に十分な時間を取っていない受験生が多いため
ケアマネ試験を受験するためには、「生活相談員や相談支援専門員といった相談援助業務に通算5年以上従事する」などの実務経験に関する要件を満たす必要があります。実務経験に関する条件をクリアするため、社会人として働きながら試験勉強を進める受験生もいます。
しかし、働きながら難易度の高いケアマネ試験に合格するための勉強を進めることは簡単なことではありません。仕事と勉強の両立が大変で、試験勉強に十分な時間を取れない受験生が多いことも、ケアマネ試験の合格率が低い要因の1つと言えるでしょう。
2-3. 正確な知識・理解が求められる出題形式であるため
ケアマネ試験の問題形式・解答方式は「五肢複択方式」が中心です。五肢複択方式とは、5つの選択肢の中から正しい選択肢、または誤った選択肢を2~3個選ぶ解答方式を指します。五肢複択方式の試験であることも、ケアマネ試験の合格率が低い理由の1つと考えられます。
たとえば、介護福祉士の試験の解答方式は「五肢択一方式(5つの選択肢から1つの解答を選ぶ方式)」です。この場合、正誤が分からない選択肢があっても、確実に正答であると分かるものが1つあれば正解できます。
一方、五肢複択方式ではすべての選択肢の正誤を判定できなければ正解することができません。正確な知識を的確に理解できていることが求められるため、ほかの介護関連資格よりも難易度が高いと言えるでしょう。
参考
・ケアマネ試験の過去問題(東京都「介護支援専門員の試験情報」)
・介護福祉士試験の過去問題(社会福祉振興・試験センター「介護福祉士国家試験-過去の試験問題」)
2-4. 現場で働く介護福祉士の数を維持するため
ケアマネ試験を受験する方の多くは、介護の現場で実際に介護業務にあたる介護職(主に介護福祉士)です。介護福祉士がケアマネ試験に合格すれば、多くの場合は介護現場における介護業務を離れ、ケアマネとしての業務をスタートさせるでしょう。つまり、介護の現場で介護業務に携わる人材が減少してしまうことにつながります。
介護需要の高まりに伴い、ケアマネのニーズも高まっている一方で、実際に介護業務にあたる介護職員の人材不足も大きな課題です。ケアマネ試験の合格率が低くなるように試験の難易度を調整することで、介護現場で活躍するスタッフとケアマネとのバランスを取っていると考えられます。
3. ケアマネ試験に合格するための対策ポイント3つ
ケアマネ試験は合格率が低く、正確な知識・理解が求められる難易度の高い試験であるため、簡単に合格できるとは限りません。しかし、しっかりと対策を行えば合格ラインをクリアできる可能性が十分にある試験でもあります。
ここでは、ケアマネ試験に合格するための対策ポイントを3つ紹介します。ポイントを押さえて試験勉強を進め、効率よく合格を目指しましょう。
3-1. 早めに対策を始める
ケアマネ試験にチャレンジすることを決めたら、早めに試験対策を始めるようにしましょう。ケアマネ試験では正しい知識と深い理解が必要となるため、勉強時間を十分に確保できるよう計画的に進めることが大切です。ケアマネ試験は10月ごろに本番を迎えるため、受験年の1~3月ごろには勉強をスタートさせましょう。
ただし、ケアマネ試験は、試験日時点において実施・運用されている介護保険制度や関連する規則に基づいて出題されることにも注意が必要です。勉強の途中で制度改正があった場合には、勉強をし直さなければならない部分ができてしまうことに留意しましょう。
3-2. 理解しながら覚える
ケアマネ試験は、試験範囲の暗記だけでは合格することが難しいと言われています。いずれの分野でも基本や根拠が重要となることを押さえておきましょう。介護保険の成り立ちや人体の構造、介護に関する技術など、基本の知識を確実に身につけておくことが大切です。
また、参考書や問題集を使って勉強を進める場合には、1つ1つの内容や問題を理解しながら覚えていくことも重要です。テキストや問題集を解いたときに分からなかったポイントを記録し、その部分の内容を調べ、理解を深められるよう自分なりに内容をまとめてみましょう。
3-3. 問題演習を重視する
参考書を中心とする基礎固め(インプット)ができたら、問題集や過去問、予想問題を利用してアウトプットを行い、実戦感覚を養うステップに早めに移行しましょう。
問題演習を行う際には、理解していなかった部分を放置せず、適宜補強することが重要です。過去問や予想問題、模擬試験などで頻出問題に触れ、実際の試験の形式に慣れながら、自分の不得意な部分の復習を重点的に行いましょう。ただし、問題数をこなすことだけが目的とならないよう、注意しながら勉強を進めてください。
まとめ
ケアマネ試験は、近年の合格率が10~20%台と低く、比較的難易度の高い試験であると言えるでしょう。ケアマネ試験は合格率が低いものの、ポイントを押さえた対策を行えば合格を狙うことは十分に可能です。基本をしっかりと押さえた上で、問題演習を行いながら理解を深めましょう。
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※当記事は2022年7月時点の情報をもとに作成しています
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