中卒から介護福祉士を目指せる?3つの方法を解説
介護福祉士の資格を取得するためには、いくつかの条件があります。介護福祉士の資格を取得するルートの中には、高校卒業を前提とするものがある一方で、学歴を問わないものもあります。そのため、中卒の方であっても介護福祉士の資格を取得することは可能です。
この記事では、中卒の方が介護福祉士の資格を取得する方法について、詳しく解説します。また、中卒の方が取得できる福祉や介護に関係する資格についても取り上げるので、ぜひご覧ください。
目次
1. 中卒から介護福祉士を目指せる?
中卒からでも介護福祉士の資格を取得できます。介護福祉士として働くための国家資格を得る際、学歴は問われません。介護職員として実務経験を積みながら資格を取得すれば、中卒の方でも介護福祉士を目指せます。また、介護福祉士の資格取得後に所定の実務経験を満たせば、ケアマネジャーや認定介護福祉士といった上位資格へのキャリアアップも可能です。
介護の職場では、実際に中卒で介護職として活躍している方が多くいます。求人情報でも学歴が条件に挙げられていることはほとんどありません。採用に当たっては、学歴よりも「資格や経験」「人間性」が重視されるのが、介護の仕事です。介護業界は景気に左右されにくく安定していることが多いため、介護福祉士は「手に職をつけたい」「長く勤務したい」という方におすすめの資格です。
2. 中卒から介護福祉士を目指す方法・3つのルート
中卒から介護福祉士を目指すルートは、3つあります。以下では実務経験を積みながら資格を取得する2種類のルートと、福祉系の高校で勉強しながら資格を目指すルートを紹介します。各ルートの特徴を理解し、自分に最適な方法を見つけましょう。
(出典:社会福祉振興・試験センター「[介護福祉士国家試験]受験資格(資格取得ルート図)」
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https://www.sssc.or.jp/kaigo/shikaku/route.html)
2-1. 実務経験ルート(実務者研修)
中卒から介護福祉士を目指すもっとも一般的なルートは、介護職として働きながら実務者研修を修了する方法です。
介護福祉士国家試験の受験には、3年以上の実務経験と実務者研修の修了が必要です。実務経験は、従業期間3年以上(1,095日以上)かつ従事日数が540日以上が求められます。従業期間・従事日数は受験する年度の3月31日まで通算できます。
実務者研修は、介護職として働くための専門知識と技術を学ぶ研修です。介護の基本から応用までを学び、利用者さんのニーズに対応できるスキルを身につけます。実務者研修を修了すると、介護福祉士国家試験の受験資格を得ることが可能です。
このルートのメリットは、実務経験を積みながら資格取得を目指せる点です。すでに介護職として働いている方や、すぐに現場で経験を積みたい方に向いています。ただし、実務経験と研修の両方を並行して行うため、時間と労力が必要です。
(出典:社会福祉振興・試験センター「[介護福祉士国家試験]受験資格:実務経験+実務者研修」
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https://www.sssc.or.jp/kaigo/shikaku/k_08.html)
(出典:社会福祉振興・試験センター「[介護福祉士国家試験]受験資格:実務経験+実務者研修 実務者研修(EPA介護福祉士候補者以外の方)」
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https://www.sssc.or.jp/kaigo/shikaku/k_08_4.html)
2-2. 実務経験ルート(介護職員基礎研修・喀痰吸引等研修)
もう1つの実務経験ルートは、介護職員基礎研修と喀痰吸引等研修を修了する方法です。
このルートでも、介護福祉士国家試験を受験するには3年以上(1,095日以上)かつ従事日数が540日以上の実務経験を積まなければなりません。従業期間・従事日数は受験する年度の3月31日まで通算可能です。
その上で、介護職員基礎研修と喀痰吸引等研修の両方を修了すれば、受験資格を得られます。介護職員基礎研修は、介護の基本から応用までを500時間かけて学習するカリキュラムで、実習も含まれます。喀痰吸引等研修は、介護職に必要とされる医療的ケアのスキルを学ぶ研修です。
ただし、介護職員基礎研修は2012年度末に廃止されており、現在は新規での受講はできません。このルートは、既に介護職員基礎研修を修了している方が対象です。
(出典:社会福祉振興・試験センター「[介護福祉士国家試験]受験資格:実務経験+実務者研修」
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https://www.sssc.or.jp/kaigo/shikaku/k_08.html)
(出典:社会福祉振興・試験センター「[介護福祉士国家試験]受験資格:介護職員基礎研修・喀痰吸引等研修」
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https://www.sssc.or.jp/kaigo/shikaku/k_08_3.html)
2-3. 福祉系高校ルート
中卒から介護福祉士を目指す3つ目のルートは、福祉系の高校に進学する方法です。
福祉系高校では、社会福祉基礎や介護福祉基礎、コミュニケーション技術、生活支援技術(医療的ケアを含む)など、介護の基礎から応用まで学びます。介護福祉士国家試験の受験資格を得るために必要な科目と単位を修了しなければ卒業できません。
このルートのメリットは、学業と資格取得を両立できる点です。福祉系高校では、介護福祉士の資格取得を目指しながら高卒資格も取得できます。将来的に介護以外の分野に進む可能性も考えている方や、学業を重視したい方にはおすすめです。
(出典:社会福祉振興・試験センター「[介護福祉士国家試験]受験資格:福祉系高校(平成21年度以降入学者)」
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https://www.sssc.or.jp/kaigo/shikaku/k_03.html)
3. 中卒から目指せる福祉系・介護系資格4選
中卒の方でも福祉系・介護系の資格取得は可能です。以下では、代表的な4つの資格を紹介します。いずれの資格も、福祉や介護の現場で役立つスキルを身につけたい方や、キャリアアップを目指す方にとって重要なステップとなるでしょう。
3-1. 介護職員初任者研修
介護職員初任者研修は、介護職として必要な基礎的な技術と知識を習得する初歩的な資格です。
介護職員初任者研修は未経験者でも取得可能な資格であり、介護の現場で必要とされる基本的なスキルを学びます。講義と実技演習を含むカリキュラムは全130時間で、修了試験に合格すれば資格を取得可能です。講座の受講期間は最短で3週間から4か月程度で、週1日コースや短期集中コースなど多様な選択肢があります。
介護職員初任者研修を修了すれば、訪問介護事業所や老人ホームなどで働けるようになります。特に、ホームヘルパーとして「身体介護」を行う際には、この資格が必須です。難易度はさほど高くないので、初めて介護の仕事に就く方には最適な資格と言えるでしょう。
(出典:厚生労働省「介護に関する資格等について」
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https://jsite.mhlw.go.jp/ishikawa-roudoukyoku/content/contents/001790771.pdf)
3-2. 介護福祉士実務者研修
介護福祉士実務者研修は、介護福祉士国家試験の受験資格を得るための研修・資格です。
介護福祉士実務者研修では、介護の基本から応用まで幅広い知識と技術を学びます。未経験でも受講できますが、無資格者の場合は6か月(450時間)かけて受講する必要があります。介護職員初任者研修を修了している場合は、期間を短縮することが可能です。通学コースと通信コースがあり、自分のペースで学べるのも魅力です(なお、通信コースの場合はスクーリングがあります)。
介護福祉士実務者研修を修了すれば、介護福祉士国家試験の受験資格を得られるだけでなく、訪問介護事業所でサービス提供責任者としても働けます。将来的に介護福祉士を目指す方や、より専門的なスキルを学びたい方におすすめです。
(出典:厚生労働省「介護に関する資格等について」
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https://jsite.mhlw.go.jp/ishikawa-roudoukyoku/content/contents/001790771.pdf)
3-3. ケアマネジャー
ケアマネジャー(介護支援専門員)は、介護を必要とする方のケアプランを作成し、適切な支援を受けられるようサポートする職種です。
ケアマネジャーになるには、介護福祉士としての実務経験が5年以上(かつ900日以上)必要です。その後、介護支援専門員実務研修受講試験に合格し、実務研修を修了すると、介護支援専門員証の交付を受けられます。学歴は問われないため、中卒からでも目指すことが可能です。
ケアマネジャーの主な業務は、要介護者や要支援者のニーズに基づいたケアプランを作成し、サービス事業者や各関係機関との連絡調整を行うことです。また、サービスが適切に提供されているかを確認し、必要に応じてプランの修正も行います。需要が高い資格であり、就職や転職に非常に有利です。また、年齢や体力の制約が少ないため、長く働ける職種でもあります。
(出典:jobtag「介護支援専門員(ケアマネジャー)」
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https://shigoto.mhlw.go.jp/User/Occupation/Detail/132)
(出典:厚生労働省「介護支援専門員(ケアマネジャー)」
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https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/0000114687.pdf)
3-4. 社会福祉士
社会福祉士は、福祉サービスの利用が必要な方に対して相談や助言を行い、適切な支援を提供する専門職です。
中卒から社会福祉士を目指す場合は、一般養成施設ルートが現実的です。まず、相談援助の実務経験を4年以上積んだ後、社会福祉士一般養成施設で1年以上の教育を受けなければなりません。学歴不問のため、このルートを利用すれば大学や短大を卒業しなくても社会福祉士を目指せます。
社会福祉士の主な業務は、福祉サービスの提案や行政機関・医療機関との連携を行うことです。幅広い知識と技術が求められるため、無資格で相談援助の業務に従事するのは容易ではありません。可能なら、介護福祉士やケアマネジャーなどの福祉資格もあるとよいでしょう。社会福祉士の資格を取得することで、より多くの人々に専門的な支援を提供できるようになります。
(出典:厚生労働省「社会福祉士・介護福祉士等」
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https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/shakai-kaigo-fukushi1/index.html)
(出典:厚生労働省「社会福祉士の資格取得方法」
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https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/shakai-kaigo-fukushi1/shakai-kaigo-fukushi2.html)
まとめ
介護福祉士の資格を取得するルートには、いくつかのものがあります。現時点で中卒の場合は「実務経験ルート(実務者研修)」「実務経験ルート(介護職員基礎研修・喀痰吸引等研修)」「福祉系高校ルート」の3つを主な選択肢とすることが可能です。
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※当記事は2024年7月時点の情報をもとに作成しています
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