介護事務におすすめの資格は?取得に向けた勉強方法も解説
介護事務の仕事は、介護施設での事務的業務を担当する重要な役割です。特別な資格がなくても始められる仕事ですが、より専門的な知識や技能を持つことで業務効率が向上し、就職や転職においてもアドバンテージとなります。
当記事では、介護事務として働く上で有利となるおすすめの資格を5つ紹介します。介護事務の資格を取得すれば、介護施設での受付、会計、請求業務において高い専門性を発揮し、即戦力として活躍することができます。
目次
1. 介護事務として働くときにおすすめの資格5選
介護事務は施設の事務作業に携わる事務職であり、特別な資格がなくても働けます。
しかし、介護事務や介護報酬請求などにかかわる資格を持っていれば、介護に関する専門知識やスキルを証明できる利点があります。介護事務の業務で役立つだけでなく、即戦力が期待できる人材と見られて就職・転職も有利になるでしょう。
以下では、介護事務として働くときにおすすめの資格を5つ解説します。
1-1. 介護事務管理士
介護事務管理士は、技能認定振興協会が認定する介護事務の民間資格です。資格取得により、介護施設における受付・会計・レセプト作業などについて、必要な知識とスキルがあることを証明できます。
介護事務管理士資格を取得するには、技能認定振興協会が主催する「介護事務管理士技能認定試験」を受験して、合格する必要があります。試験の受験資格は年齢制限を含め、特に設けられていません。
介護事務管理士技能認定試験は学科試験・実技試験の2種類があり、具体的な試験内容は下記の通りです。
試験の種類 | 試験方式 | 試験内容 |
---|---|---|
学科試験 | ・マークシート ・全10問 ・共通問題と選択問題の2種類 |
(1)法規 (2)介護請求事務 |
実技試験 | ・マークシート ・全6問中2問を選択 |
レセプト点検問題 ・居宅サービス(2問) ・施設サービス(2問) ・地域密着型サービス (2問) |
試験の合格率は80~90%程度と高い水準であり、比較的取得しやすい資格と言えます。
(出典:JSMA 技能認定振興協会「介護事務管理士®技能認定試験」
/
https://www.ginou.co.jp/qualifications/kaigo-jimu.html)
(出典:JSMA 技能認定振興協会「試験実績」
/
https://www.ginou.co.jp/examinations/results.html)
1-2. ケアクラーク
ケアクラークは、一般財団法人 日本医療教育財団が認定する介護事務の民間資格です。資格取得により、社会福祉制度や介護報酬請求事務などについての知識・技能のレベルが評価され、合格者には「ケアクラーク」の称号が付与されます。
ケアクラーク資格を取得するには、「ケアクラーク技能認定試験」への受験および合格が必要です。受験資格はなく、誰でも受験できます。
ケアクラーク技能認定試験は学科試験・実技試験の2種類があり、試験は基本的に在宅試験です。試験内容は下記の通りとなっています。
試験の種類 | 試験方式 | 試験内容 |
---|---|---|
学科試験 | ・筆記(択一式) ・全25問 ・50分 |
介護事務知識について、全12分野の審査領域から出題 |
実技試験 | ・介護報酬請求事務 ・全2問 ・60分 |
・居宅サービス介護給付費明細書の作成 ・施設サービス等介護給付費明細書の作成 |
ケアクラーク技能認定試験の合格率は公開されていません。合格基準は、学科試験・実技試験のそれぞれについて得点率が70%以上の場合であり、しっかりと試験勉強をすれば取得できる資格です。
(出典:一般財団法人 日本医療教育財団「ケアクラーク技能認定試験(ケア クラーク®)」
/
https://www.jme.or.jp/exam/cc/index.html)
(出典:一般財団法人 日本医療教育財団「試験概要」
/
https://www.jme.or.jp/exam/cc/outline.html)
1-3. 介護報酬請求事務技能検定
介護報酬請求事務技能検定は、日本医療事務協会が認定する介護報酬請求事務の技能検定です。資格を取得すると、居宅介護事業所・介護福祉施設などの請求事務で必要な知識・技能が習得できていることを示せます。
介護報酬請求事務技能検定の資格取得には、「介護報酬請求事務技能検定試験」の合格が必要です。
試験の受験資格としては、日本医療事務協会が主催する「介護事務講座」の受講生であることが定められています。介護事務講座の通学コースは会場受験、通信コースは自宅受験と、介護事務講座のコース選択によって試験の受験方法も変わる点に注意してください。
介護報酬請求事務技能検定試験は学科試験・実技試験の2種類があり、具体的な試験内容は下記の通りです。
試験の種類 | 試験内容 |
---|---|
学科試験 | ・正誤問題 ・全20問 |
実技試験 | ・介護給付費明細書の作成(2問) ・介護給付費明細書の穴埋め(1問) |
介護報酬請求事務技能検定試験は介護事務講座の受講生を対象として行われているため、合格率が約80%と高い水準になっています。
(出典:医療事務の資格講座なら日本医療事務協会「介護報酬請求事務技能検定試験とは」
/
https://www.ijinet.com/course/kaigo/kentei/)
1-4. 介護事務実務士
介護事務実務士は、NPO法人 医療福祉情報実務能力協会が認定する介護事務の民間資格です。資格を取得すると、介護報酬請求事務について一定の実務能力を有していることの証明となります。
介護事務実務士資格を取得するには、NPO法人 医療福祉情報実務能力協会が主催する「介護情報実務能力認定試験」の合格が必要です。受験資格は問われていないものの、協会の教育指定校における団体受験でのみ試験が実施されるため、自分が受験できるかを調べる必要があるでしょう。
介護情報実務能力認定試験の試験内容は、下記の通りです。
試験の種類 | 試験内容 |
---|---|
学科試験 | ・全20問 (1)介護保険法と関連法規 (2)介護保険制度 (3)介護報酬請求 |
実技試験 | ・全3問 (1)介護給付明細書の作成 (2)介護報酬明細書の作成(居宅サービス・施設サービス) |
近年の合格率は公開されていないものの、合格率は60~70%程度と言われており、資格取得の難易度は高くありません。
(出典:NPO法人 医療福祉情報実務能力協会「介護情報実務能力認定試験 介護事務実務士(R)」
/
https://www.medin.gr.jp/exam_sche/exam_nurs_info.html)
1-5. 介事管理専門秘書検定資格
介事管理専門秘書検定資格は、日本能力開発推進協会が認定する介護事務の民間資格です。介護報酬請求事務やケアマネジャーのサポート業務、施設利用者さんへの対応技術など、介護事務に必要な知識・技術を備えていることが資格取得により証明できます。
介事管理専門秘書検定資格の取得には、技能審査である「介事管理専門秘書検定」の合格が必要です。
受験資格は、2014年4月30日までに認定教育機関で所定の講座を履修し、全カリキュラムを修了した方のみとなっています。認定講座の新規受付は行われていない点に注意してください。
介事管理専門秘書検定は、認定講座のカリキュラムとして履修した下記の範囲から出題されます。
・介護保険制度
・介護報酬請求
・介護についての知識
・要介護者や家族のメンタルケア
・介護現場で働くスタッフのメンタルケア
介事管理専門秘書検定の合格率は公表されていません。合否判定は得点率70%以上で合格とされるため、試験対策の勉強をしていれば取得しやすい資格と言えるでしょう。
(出典:日本能力開発推進協会 (JADP)「介事管理専門秘書検定」
/
https://www.jadp-society.or.jp/course/care-secretary/)
2. 介護事務の資格を取得するための勉強方法は?
介護事務の資格を取得するためには、資格試験の内容に合わせた勉強が必要です。
試験勉強の方法は、大きく分けて「通学」「通信講座」「独学」の3つがあります。それぞれのメリット・デメリットを把握して、自分に合う勉強方法を選びましょう。
通学 |
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主催団体の認定する大学や専門学校に通学し、勉強する方法です。 認定校では試験合格に特化したカリキュラムが組まれていて、担当講師の直接指導を受けたり、質問したりすることができます。同じ目標を持つ仲間と一緒に学び、モチベーションを高く保てる点もメリットです。 デメリットは、授業を受けるために学校まで通学する必要があり、自分のスケジュールを優先しにくい点です。 |
通信講座 |
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取得したい資格に対応した通信講座を受講する方法です。 通信講座はテキスト・問題集やeラーニングを使用するため、好きな場所・時間に学習できます。講師による指導や添削を受けられるケースが多く、効率的に勉強を進めることが可能です。 ただし、講師による直接指導を受けるわけではありません。選んだ講座の種類によっては学習内容の理解度が高まらず、勉強の効率が落ちる可能性もあります。 |
独学 |
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参考書・問題集などの教材を購入し、独学で勉強をして資格取得を目指す方法です。 独学は、勉強にかかるコストが参考書などの書籍購入費のみで済み、費用負担を抑えられます。自分のペースで勉強を進められる点もメリットです。 デメリットとしては、自分の知識では分からない問題が出てきたときに解決方法が分からず、勉強に穴ができる点が挙げられます。また、スケジュール管理やモチベーション維持など、高い自己管理能力が求められる点にも注意してください。 |
まとめ
介護事務として活躍するためには、専門的な資格が役立ちます。資格を取得することで、介護施設での事務作業がスムーズになるだけでなく、キャリアアップの機会も広がります。資格取得に向けた学習方法もさまざまなので、自分に合った方法を選び、介護事務としての専門性を高めましょう。
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※当記事は2024年4月時点の情報をもとに作成しています
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