介護福祉士の資格手当の相場はいくら?もらえる手当の種類も解説
基本給以外の給料アップにつながる手当として、資格手当があります。介護福祉士をはじめとした資格を求められる介護職にとって、職場の資格手当がどの程度なのか気になる方も多いでしょう。介護福祉士手当の相場を知っておけば、資格取得のモチベーションアップにもつながります。
この記事では介護福祉士の手当相場や、初任者研修・実務者研修の資格手当の金額、資格手当以外の手当の種類や介護福祉士の給料相場を解説します。給料アップを目指している介護職の方は、ぜひこの記事を参考にしてください。
目次
1. 介護福祉士の資格手当の相場
2020年に行われた調査では、介護福祉士資格に資格手当がつく職場は62.9%でした。また、同調査によると毎月の資格手当の平均金額は9,055円です。
ここからは、資格手当の金額について、以下の表を使って解説します。
【資格手当(月額)の分布(2020年)】
金額 | 割合 |
---|---|
5,000円未満 | 19.4% |
5,000~1万円未満 | 31.7% |
1万~2万円未満 | 34.3% |
2万~3万円未満 | 5.9% |
3万~5万円未満 | 2.0% |
5万~7万円未満 | 0.3% |
7万円~10万円未満 | 0.1% |
10万~15万円未満 | 0.0% |
15万円以上 | 0.1% |
(出典:社会福祉振興・試験センター「社会福祉士・介護福祉士・精神保健福祉士就労状況調査」
/
https://www.sssc.or.jp/touroku/results/pdf/r2/results_all.pdf)
資格手当のうち最も多い金額帯は「1万~2万円未満」で、次に多いのは「5,000~1万円未満」です。介護福祉士の資格手当は、6割以上が5,000~2万円未満の金額で支給されています。一方で、「5,000円未満」の職場や「2万円以上」の職場もあり、働く場所によって手当の金額に差があることが分かります。
介護福祉士の国家試験受験資格は、実務経験年数や養成施設卒業が必要です。取得までの難易度が高い介護福祉士資格を保有していれば、介護のプロとしての証明になり、手当を貰えるだけでなく就職・転職でも有利になります。
1-1. 初任者研修・実務者研修で資格手当は出る?
初任者研修・実務者研修の資格手当の平均金額について公的機関のデータはありません。ここからは、マイナビ介護職に掲載された求人に見られる資格手当の例をいくつか紹介します。
応募資格者をホームヘルパー2級・初任者研修・実務者研修としている介護老人保健施設では、ホームヘルパー2級と初任者研修の資格手当が1,000円です。ホームヘルパー2級は初任者研修の前身で、初任者研修と同程度の知識・技術の証明になるとされています。なお、同施設で実務者研修を修了している場合の資格手当は5,000円です。
初任者研修以上の資格保有者を応募要件とした介護現場では、初任者研修・実務者の資格手当を同額の15,000円と設定しています。また、同じ応募要件でも、初任者研修修了者が3,000円・実務者研修修了者が5,000円と、資格によって金額を分けている職場もあります。
2. 介護福祉士がもらえる資格手当以外の手当の種類
介護福祉士がもらえる資格手当以外の手当は、以下の通りです。
・夜勤手当
入所施設などで夜間の時間帯に働いたとき、夜勤手当が付きます。
・時間外手当
所定の勤務時間に含まれていない時間帯に労働した場合に支給されるのが時間外手当です。職場によっては、残業手当と呼びます。
・家族手当
家族手当の支給対象となる家族は、配偶者や子どもなどが一般的です。扶養手当と同じ目的で支給する職場もあります。
・通勤手当
職場への通勤にかかる費用については、一定の手当が出ます。電車やバスなどの公共交通機関で通勤するときは定期代、車で通勤する場合はガソリン代として上限が決まっている職場が多い傾向です。
・職務手当
責任者や管理者に支給されるのが職務手当です。役職が上がるほど手当の金額が高くなる職場もあります。
・研修手当
スキルアップ研修などを受けると支給されるのが研修手当です。資格取得に力を入れている職場は、手当などの支援制度を設けている場合があります。
・処遇加算手当
処遇加算手当は、規定の条件を満たした職場において上乗せ支給されるものです。処遇加算には3つの区分があり、取得している区分の種類によって金額に差があります。手当の配分方法も職場によって異なります。
・特定処遇改善手当
勤続年数10年などキャリアのある介護福祉士が優先して受けられるのが特定処遇改善手当です。特定処遇改善手当が上乗せされると、経験・技能のある介護職員の収入がアップします。
介護福祉士がもらえる手当のうち、処遇加算手当と特定処遇加算手当は、収入に大きくかかわる公的な制度です。ここからは、処遇加算手当と特定処遇加算手当について詳しく説明します。
2-1. 処遇加算手当
処遇加算手当は、介護職員の収入安定や待遇改善のための制度で、介護に従事している人が手当の対象です。介護職員が処遇加算手当をもらうには、職場が処遇改善加算の対象事業者でなければなりません。処遇改善加算を取得している職場で介護職に従事している場合、手当の対象となる可能性があります。ただし、直接介護を行わない管理者や管理栄養士、理学療法士といった職種は、支給の対象外です。
手当をもらえる仕組みは、まず、事業所が介護サービスの利用料に処遇改善加算を上乗せして請求します。上乗せ請求によって得られた加算分は、介護職員に分配するので、利益が還元される仕組みです。実際にもらえる手当の額は、処遇改善加算の区分や、職場での分配方法によって異なります。
なお、事業者が処遇改善加算を取得するには、キャリアパス要件と職場環境等要件を満たすことが必要です。要件を満たした事業者は、都道府県へ申請すると処遇改善加算の対象事業者になります。2023年のデータによれば、9割以上の事業者が処遇改善加算を取得済みです。
(出典:厚生労働省「介護職員の処遇改善に関する加算等の取得状況」
/
https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/001227861.pdf)
2-2. 特定処遇加算手当
特定処遇加算手当の目的は、介護人材の確保・定着のため、職員の処遇を改善することです。特定の要件を満たした事業者は、都道府県に申請すると、特定処遇改善加算の対象になります。
職員が手当をもらうには、事業者が特定処遇改善加算を上乗せして請求し、職員に分配する必要があります。優先的に手当をもらえるのは、経験・技能のある介護職員です。経験・技能のある介護職員に認定されるには、介護福祉士資格を保有していることが必須条件です。
具体的な手当の額は、取得している特定処遇改善加算の区分や、職場での分配方法によって異なります。支給するタイミングも、月給上乗せやボーナス額の一部など、さまざまです。ただし、分配の条件として、経験・技能のある介護職員のうち1人以上は月額8万円の賃上げまたは年収440万円までの賃金増が行われなければなりません。
なお、事業者が特定処遇改善加算の対象となるには、処遇改善加算を取得している、処遇改善加算の職場環境等要件について複数の取組みを行っている、などが求められます。要件を満たした事業者は、都道府県へ申請すると特定処遇改善加算を算定できます。
3. 介護福祉士の給料相場
介護福祉士は、多くの種類がある介護資格の中で、唯一の国家資格です。介護福祉士を保有していると、ほかの介護資格を持っている職員よりも手当などが多めに付く職場もあります。
ここからは、介護福祉士の給料相場について、以下の表を使って解説します。なお、給料相場は手当を含んだ金額です。
【介護福祉士の平均給与(2022年9月)】
介護福祉士の平均月収(常勤の正職員の場合) | 331,080円 |
---|---|
手取り月収(月収×0.8で計算) | 264,864円 |
介護福祉士の平均年収(月収×12か月で計算) | 3,972,960円 |
手取り年収(年収×0.8で計算) | 3,178,368円 |
(出典:厚生労働省「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果」
/
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kaigo/jyujisya/22/dl/r04kekka.pdf)
介護福祉士の平均年収額は約400万円、手取り収入は約320万円です。介護福祉士保有者は、資格手当や特定処遇加算手当が付く職場もあり、ほかの介護資格よりも収入が高くなります。手当がない職場であっても、介護福祉士は介護職の採用において優遇される傾向です。資格を保有していると、就職や転職においてもスムーズに進むケースがあります。
介護福祉士の給料や年収については、以下の記事でも詳しく紹介しています。
3-1. 手当がない職場でも介護福祉士の給料は無資格者より高い
資格手当がある職場・ない職場にかかわらず、介護福祉士の平均的な給料は高い傾向です。現在の職場の給料が極端に低い、手当がないなど収入面で不安がある場合、転職を視野に入れましょう。
以下は、介護職の保有資格別に収入をまとめた表です。
【資格別の平均給与(2022年9月)】
資格 | 平均月収 | 平均年収 (月収×12か月で計算) |
---|---|---|
介護福祉士 | 331,080円 | 3,972,960円 |
保有資格なし | 268,680円 | 3,224,160円 |
介護職員初任者研修 | 300,240円 | 3,602,880円 |
実務者研修 | 302,430円 | 3,629,160円 |
(出典:厚生労働省「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果」
/
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kaigo/jyujisya/22/dl/r04kekka.pdf)
介護福祉士の平均月収は約33万円であり、資格なしの平均月収と比べると、約6万円の差があります。年収で見ると、介護福祉士と資格なしの収入差は、約75万円まで開きます。
なお、介護職員初任者研修や実務者研修などの資格を持っている場合、平均月収は約30万円です。給料は上位の資格を保有しているほど上がり、介護福祉士の給料水準は介護職の中で高い位置にあると言えます。
まとめ
介護福祉士資格に資格手当がつく職場の割合は2020年時点で62.9%と6割を超えており、平均して約9,000円の手当をもらえます。また、処遇加算手当や特定処遇加算手当を得られる職場は国から補助金が支給されるため、処遇加算・特定処遇加算を取得した職場を選べば収入が高くなります。
マイナビ介護職では転職を希望される介護職の方に向けて、各種手当が豊富な職場をはじめとしてご希望に応じた職場を紹介いたします。給与アップしたい、資格に見合った手当が欲しい、などの希望がある方は、ぜひマイナビ介護職にご相談ください。
※当記事は2024年3月時点の情報をもとに作成しています
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