介護認定調査員とは?仕事内容・なるための条件・向いている人
構成・文/介護のみらいラボ編集部
介護保険制度は、要支援状態・要介護状態となった人が適切な介護サービスを受けることのできる制度です。しかし、適切な介護レベルは人によって千差万別となっていることから、実際に介護サービスを受ける前にはどの程度の介護が必要なのかを明確にしておかなければなりません。
そこで、活躍するのが「介護認定調査員」です。介護認定調査員は介護保険制度において欠かせない存在であり、介護が必要となる高齢者が増加する近年、その需要はさらなる高まりを見せています。
当記事では、介護認定調査員の概要から業務内容、さらになり方や向いている人の特徴までを徹底的に解説します。将来介護業界で活躍したいと考えている人や、すでに介護職として活躍しているもののキャリアチェンジを検討している人は、ぜひ参考にしてください。
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1.介護認定調査員とは?
介護認定調査員とは、要介護認定を調査する役割をもつ職種です。要介護認定は、介護サービスを希望する方がどの程度の要支援状態・要介護状態にあるかを判定することです。
介護保険制度では、要介護度によって月々の利用限度額や受けられるサービスが異なります。そのため要介護認定は、どのような介護サービスや介護レベルが適切となるかを判断するために重要な過程といえるでしょう。
また、要介護認定はいくつかの段階を踏んで細かく調査することが基本となっています。このいくつかの段階の中で、介護認定調査員は1次判定に向けた調査において主に関わります。
なお、1次判定のすべての責任を介護認定調査員のみが追わなければならないということはありません。基本的には介護サービスを希望する方の主治医と連携しながら慎重に判断し、ときには情報をまとめて介護認定審査会の判断を仰ぐこともあります。
(出典:厚生労働省「要介護認定認定調査員テキスト 改訂版」)
(出典:厚生労働省「要介護認定に係る制度の概要」)
2.介護認定調査員の仕事内容
介護認定調査員の主な仕事内容は、1次判定における聞き取り調査です。聞き取り調査はメイン業務となりますが、調査に付随する細かな業務も日々発生することを覚えておきましょう。
ここからは、介護認定調査員の仕事内容をメイン業務である「聞き取り調査」と、付随業務である「認定調査日時・場所の調整」に分けて詳しく紹介します。
聞き取り調査
介護認定調査員は、要介護認定の1次判定を行うために、まずは聞き取り調査にて必要な情報を収集しなければなりません。聞き取り調査では、基本的に介護サービス希望者の自宅に訪問し、基本調査を実施します。
介護認定調査員が行う聞き取り調査の認定調査項目は、「概況調査」「基本調査」「特記事項」の3つに分類されます。すべての項目について確認しながら、認定調査票に記入し作成を進めることが基本です。
概況調査 |
概況調査は、下記の項目で構成されています。 ●調査の対象者と実施者 ●すでに受けているサービス状況 ●調査対象者が置かれている環境(家庭環境・住宅環境・既往歴など) |
---|---|
基本調査 |
基本調査では、主に下記の情報について調査・収集します。 ●身体機能・起居動作(全13項目) →麻痺の有無/寝返りや起き上がりの可否/視力や聴力状況など ●生活機能(全12項目) →移乗や移動の動作/食事状況/排尿や排便状況など ●認知機能(全9項目) →意思伝達の状況/短期記憶力/徘徊の有無など ●精神・行動障害(全15項目) →心身状況/被害妄想や癇癪の有無/介護への抵抗状況など ●社会生活への適応(全6項目) →薬の内服状況/金銭管理能力/日常における意思決定など ●過去14日間に受けた特別な医療について(全12項目) →点滴管理/ストーマ(人工肛門)処置/褥瘡処置など |
特記事項 | 基本調査にて構成されている項目だけでは推し量れない情報や、介護をする家族の状況・相談内容など要介護認定に関連する情報を記載します。さらに、介護認定調査員が判断に迷った場合は、判断の根拠や背景として具体的な状況を記載することもあります。基本的に、介護認定調査員による自由記載です。 |
また、聞き取り調査は原則として、1人の調査対象者につき1人の介護認定調査員が一度のみ調査を実施することとなっています。調査対象者1人に対して2人以上の調査員をつけたり、不明点が残ったことによって再度聞き取り調査を実施したりしてはなりません。
聞き取り調査の当日に、急病などで調査対象者の状況が一時的に変化しており、適切な聞き取り調査が行えないと判断した場合は、その日に調査を行わずに、状況が安定する見込みのある日を再度調査日と設定することが基本です。
なお、聞き取り調査の所要時間は基本的に30分~1時間程度となっています。調査対象者やその家族には、事前に所要時間も伝えておくようにしましょう。
(出典:厚生労働省「要介護認定認定調査員テキスト 改訂版」)
(出典:厚生労働省「認定調査員マニュアル」)
認定調査日時・場所の調整
介護認定調査員は、付随業務として「認定調査日時・場所の調整」も行います。
〇認定調査日時の調整
介護認定調査員は、調査対象者やその家族および介護者とあらかじめ調査実施日時を調整しなければなりません。介護福祉サービスの利用に何らかの支障が生じないよう、認定調査は希望者の申請からなるべく早い段階で行うようにしましょう。
また、家族および介護者がいる在宅での調査対象者の場合、家族や介護者が不在の日は避けることが基本です。あらかじめ介護者も在宅でなければ適正な調査が行えないことを伝えておきましょう。
〇実施場所の調整
聞き取り調査の実施場所は基本的に介護サービス希望者の自宅ですが、介護福祉施設の入所者や医療機関の入院患者さんの場合は、施設の居室・医療機関の病室にて調査を行うケースもあります。
このように、必ずしも自宅への訪問調査となるわけではないため、あらかじめ調査対象者やその家族と実施場所を調整し、同意・確認を得ておきましょう。なお、施設の居室・医療機関の病室にて調査を行う際は、プライバシーに配慮して調査を実施しなければならないことに注意が必要です。
(出典:厚生労働省「認定調査員マニュアル」)
3.介護認定調査員になるには?
介護認定調査は、新規・更新でそれぞれ調査実施者が規定されていることが特徴です。新規の介護認定調査の場合市区町村職員や事業受託をした法人職員が行い、介護認定を更新や区分変更を行う場合は市区町村職員や法人職員のほか、介護事業者やケアマネジャー(介護支援専門員)が調査します。
また、介護認定調査員として働くために必要となる資格要件は、年々増加傾向にある要介護認定に広く対応することを目的に2020年4月に緩和されました。具体的な要件は、下記の通りです。
市区町村職員 | 法人職員 | 介護事業者・ケアマネジャー | |
---|---|---|---|
新規 | 調査を行える | 調査を行える | 調査を行えない |
更新 | 調査を行える | 調査を行える | 調査を行える |
区分変更 | 調査を行える | 調査を行える | 調査を行える |
なお、事業受託をした法人職員においては、下記の条件を満たさなければ介護認定調査を行うことはできません。
・ケアマネジャーとして5年以上の実務経験がある
・特定の資格を保有している、または認定調査経験が1年以上ある
・都道府県が実施する調査認定員研修と委託元の市区町村が実施する研修を修了している
上記に示す特定の資格には、下記の21資格が挙げられます。
医師・歯科医師・保健師・助産師・薬剤師・看護師・准看護師・歯科衛生士・作業療法士・理学療法士・言語聴覚士・視能訓練士・社会福祉士・介護福祉士・精神保健福祉士・義肢装具士・あん摩マッサージ指圧師・柔道整復師・はり師・きゅう師・栄養士
従って、介護認定調査員になるためには「特定資格を取得し実務経験を満たしたうえで、指定の研修を受ける」もしくは「指定市町村事務受託法人もしくは指定居宅介護支援事業者に所属するケアマネジャーになる」ことが必要です。なお、ケアマネジャーとなる場合は区分変更における認定調査を行えないことにも注意してください。
(出典:e-Gov法令検索「介護保険法」)
(出典:e-Gov法令検索「介護保険法施行規則」)
(出典:厚生労働省「○要介護認定等の実施について」)
(出典:厚生労働省「全国介護保険担当課長会議資料」)
4.介護認定調査員に向いている人
介護認定調査員に向いている人の特徴は、下記の通りです。
・保健医療福祉に関する専門知識を有している
・ある程度のコミュニケーション能力をもっている
・言語化能力がある
介護認定調査員は、調査の内容から保健医療福祉に関する専門的な知識がある人が特に求められます。とはいえ、必須となる資格を取得したり経験を積んだりするうえで、これらの知識は自ずと培われるでしょう。
介護認定調査員に特に重要となるのは、コミュニケーション能力です。初対面となる調査対象者やその家族から話を聞くだけでなく、医師や介護認定審査委員との連携も必要となるため、コミュニケーション能力は必須スキルといっても過言ではありません。
また、介護認定調査員は調査対象者やその家族が抱えるあらゆる悩みや訴えを、調査票に簡潔に、かつわかりやすく要約する必要があります。単純に伝えられた内容やニュアンスを記載するのではなく、言語化してうまくまとめられる人は、介護認定調査員に向いているといえるでしょう。
まとめ
介護認定調査員とは、要介護認定を調査する役割をもつ職種です。要介護認定は、簡単にいうと「要介護度を正確に判断するための調査・判定」を指します。介護保険制度は、要介護度によって月々の利用限度額や受けられるサービスが異なるため、介護サービス希望者がどの程度の要支援状態・要介護状態にあるかは慎重に判断しなければなりません。そこで活躍するのが、介護認定調査員です。
介護認定調査員の主な仕事は、1次判定における聞き取り調査であり、それに付随して認定調査日程・場所の調整も必要となります。調査対象者やその家族から話を聞くだけでなく、医師や介護認定審査委員との連携も必要となるため、保健医療福祉に関する専門知識を有することはもちろん、コミュニケーション能力や言語化能力が求められることを覚えておきましょう。
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※当記事は2022年3月時点の情報をもとに作成しています
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