高齢者コミュニケーターとは?主な資格や目指すメリットを紹介
構成・文/介護のみらいラボ編集部介護職員として働く人の中には、利用者とのコミュニケーションがうまくいかず、悩む人が少なくありません。高齢者とスムーズな意思疎通を図り信頼関係を築くには、相手に変化を期待するのではなく、自らのコミュニケーション力を高めることが必要です。
この記事では、高齢者コミュニケーターの概要とメリット、目指す上で意識するべきことを解説します。併せて、高齢者コミュニケーターの主な資格も4つ紹介するので、高齢者とのコミュニケーション力を身に付けたい人は、ぜひ参考にしてください。
1.高齢者コミュニケーターとは?
高齢者コミュニケーターとは、医療や介護の現場で高齢者との適切なコミュニケーション技術や、信頼関係を築くための技能を身に付けた人のことです。
介護の現場で必要とされるのは、身体的な介助だけではありません。利用者とスムーズに意思の疎通を図り、相手が本当に望んでいることや好きなこと、内心嫌がっていることなどを察知する力が必要です。高齢者との正しいコミュニケーション方法を学ぶことで、「会話が続けられない」「なぜ怒らせてしまったのか分からない」といった悩みが起きにくくなるでしょう。
高齢者の意思や感情の動きを理解し、円滑にやり取りする方法を習得すれば、介護や介助の仕事を滞りなく進めることもできます。また、それによって利用者やその家族のストレスも軽減され、良好な人間関係が築きやすくなります。結果として仕事の楽しさややりがいも増え、モチベーションを保ちやすくなるでしょう。
2.高齢者コミュニケーターに関する資格
高齢者コミュニケーターに関する資格にはいくつかの種類があり、いずれも民間企業やNPO法人などが資格の認定や講座の開講を行っています。講座の受講を必須とする資格が多く、そのほとんどが受講中に実施される課題をクリアした後で、資格の認定試験に合格しなければなりません。
ただし難易度は低めで、大半が通信講座での学習に対応しており、数カ月程度の短期間で資格を取得することが可能です。
以下では、高齢者コミュニケーターに関する4つの資格について概要を紹介します。
高齢者ケアストレスカウンセラー講座
高齢者ケアストレスカウンセラーは、「一般財団法人 職業機能振興会」が認定する民間資格です。高齢者が抱えやすいストレスや、メンタル疾患について学びます。
また、認定試験の受験には、同振興会のケアストレスカウンセラー資格が必須となります。こちらは併願受験が可能なため、同時に学習を進めることも可能です。
【主な学習内容】
●高齢者の心理
●高齢者が抱えるストレス・弊害・対処法
●高齢者とのコミュニケーション
●リラクゼーション
●高齢者介護の実態
●高齢者のメンタル疾患
など
【高齢者ケアストレスカウンセラー認定試験の概要】
受験資格 |
●18歳以上 ●ケアストレスカウンセラー資格保有者 |
---|---|
試験内容 |
●公式テキストから出題 ●一般常識問題 |
受験会場 | ●全国220会場以上 |
試験方式 | ●CBT形式(Web試験) |
合格基準 | 正答率70%以上 |
【ケアストレスカウンセラー認定試験の概要】
受験資格 | ●18歳以上 |
---|---|
試験内容 |
●公式テキストから出題 ●一般常識問題 |
受験会場 | ●全国220会場以上 |
試験方式 | ●CBT形式(Web試験) |
合格基準 | 正答率70%以上 |
高齢者傾聴スペシャリスト
高齢者傾聴スペシャリストは、「NPO法人シニアライフセラピー研究所」が認定する民間資格です。言葉の音だけでなく、表情や仕草などから高齢者の気持ちをくみ取り、心に寄り添った対応ができる能力を磨きます。
【主な学習内容】
●傾聴の心構え・注意点・具体的なスキル
●高齢者・認知症患者に対する知識
●DVDによる動画学習
など
【高齢者傾聴スペシャリスト講座の概要】
受験資格 | ●誰でも可 |
---|---|
試験内容 | ●講座のテキストから出題 |
受験会場 | ●在宅受験 |
試験方式 | ●マークシート方式 |
合格基準 | 正答率70%以上 |
介護コミュニケーションアドバイザー
介護コミュニケーションアドバイザーは、「一般財団法人 日本能力開発推進協会」が認定する民間資格です。要介護者の気持ちを理解し、信頼関係を築けるコミュニケーション力を身に付けます。
【主な学習内容】
【介護コミュニケーションアドバイザー講座の概要】
受験資格 | ●認定教育機関でカリキュラムを履修済みの方 |
---|---|
試験内容 | ●介護コミュニケーションの基本知識・実践方法 |
受験会場 | ●在宅受験 |
合格基準 | 正答率70%以上 |
レクリエーション介護士
レクリエーション介護士は、「一般社団法人 日本アクティブコミュニティ協会」が認定する民間資格です。自分の趣味や特技を生かしつつ、高齢者にも喜ばれるレクリエーションを企画する能力を身に付けます。
【主な学習内容】
●介護の基本的な知識
●レクリエーションの実践方法
●DVDによる動画学習
など
【レクリエーション介護士講座の概要】
受験資格 | ●誰でも可 |
---|---|
試験内容 | ●講座のテキストから出題 |
受験会場 | ●在宅受験 |
試験方式 | ●マークシート方式(50問) |
合格基準 | 正答率60%以上 |
レクリエーション介護士2級を取得すると、高齢者の状態別・目的別にレクリエーションを企画する能力を磨く、1級の資格取得を目指せるようになります。
3.高齢者コミュニケーターになるメリット
高齢者コミュニケーターになることで、以下のメリットが得られます。
コミュニケーションスキルが向上する
高齢者コミュニケーターになる一番のメリットは、コミュニケーション力が向上することです。異なる時代・年代を生きてきた高齢者とのコミュニケーションにおいては、一般常識や価値観に差が生じることも少なくありません。
こちらがよかれと思って言ったこと・したことが、まったく相手に伝わらない場合もあります。高齢者や認知症を患った方と接する際のテクニックを学ぶことで、利用者やその家族との意思疎通が図りやすくなり、信頼関係の構築にもつながるでしょう。
職場での評価が高まりやすい
介護業界では、資格を持っていると評価されやすい傾向にあります。また、高齢者とのコミュニケーションが上手になると、介護現場での仕事がスムーズに進むだけでなく、利用者の満足度も高まりやすくなるでしょう。スキルが高く優秀な介護スタッフであるとの評価が得られれば、昇進につながったり転職の際に有利になったりすることも考えられます。
4.高齢者コミュニケーターを目指す上で意識するべきこととは?
高齢者コミュニケーターを目指すのであれば、本格的な学習に入る前にコミュニケーションの基本を押さえておくのがおすすめです。利用者とのコミュニケーションをスムーズに行うためには、下記6点を意識しましょう。
●利用者の生活歴を教えてもらう
●担当歴が長くなっても、礼儀を忘れない
●自己満足に陥らない
●思い込みで決めつけない
●無感情にはならない
●利用者の意志を尊重する
高齢者とのコミュニケーションにおけるコツは、これまで生きてきた歴史を知り、相手の価値観や好き嫌いの感情などを推し量ることです。こちらが体に良いと思ったことや、介護に必要と判断したことでも、利用者の感情を無視すれば関係の悪化につながりかねないので注意してください。
まずは、利用者の望みを理解した上で、介護に対して積極的に協力してもらえるような方向に持っていく力が必要です。常に利用者の意思を尊重し、年長者に対する敬意を忘れないように意識しましょう。
まとめ
高齢者コミュニケーターは、高齢者との適切な接し方や話し方の技術を身につけた人のことです。利用者とのコミュニケーションのポイントを押さえて、質の良い介護サービスを提供できれば、介護現場での評価が高まり仕事のやりがいにもつながるでしょう。
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※当記事は2022年4月時点の情報をもとに作成しています
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