介護の基本とは?介護職が知っておきたい考え方と介護技術の基本を理解しよう
文/中村 楓(介護支援専門員・介護福祉士・介護コラムニスト)
これから介護の仕事に携わる新人にとって、介護の基本を理解することはとても大切です。介護の基本について学び、身につけることができれば、利用者さんにとって適切なケアを実施できます。
この記事では、主に介護に携わって日が浅い新人介護職員や、経験が浅い方に向けて、介護の基本について詳しく解説します。
1.介護の基本は、利用者さんの尊厳や考え方を最大限尊重すること

介護福祉の現場では、「利用者本位、自立支援」という基本的な考え方に基づいて、サービスの提供や支援を行っています。
「利用者本位」とは、利用者さんの立場やニーズ、希望を最優先に考えることです。たとえ、利用者さんが自ら意思表示が難しい状態であったとしても、利用者さんの立場に立ち、その人が望む生活を実現できるよう、支援していくことが求められます。
「自立支援」とは、高齢であったり障害があったりしても、自らの意志に基づいて自立した生活が送れるよう支援することです。自立支援というと、身体的な自立に目が向きがちですが、利用者さんの主体性や意向を尊重することや、精神的に自立できるように支援することも、自立支援の1つといえます。
介護職員は、利用者さんの尊厳や考え方を最大限に尊重したうえで、必要な支援を行う必要があります。
2.「介護の三原則」とは

介護における基本的な考え方について理解したところで、「介護の三原則」についても押さえておきましょう。介護の三原則は、デンマークで提唱された高齢者福祉に関する考え方で、以下の3つが提唱されています。
自己決定の尊重
1つ目の原則は、自己決定の尊重です。自己決定の尊重とは、利用者さん自身が生き方や暮らし方を自分で決定することです。利用者さんを支える家族や支援者は、利用者さんの選択を尊重していくことが求められます。
例えば、利用者さんが「慣れ親しんだ土地で暮らしたい」と希望する場合は、自宅で生活できるように支援するなど、利用者さん自身の気持ちを尊重した支援を提供することになります。もし、自宅での生活が難しくなっても「自宅に近い施設を探す」「施設内に思い入れのあるものを持ち込んで、可能な限り自分の家が再現できる環境を作る」といった工夫が求められます。
人生の継続性
利用者さんが自己決定した内容ができるだけ継続できるように支援していく「人生の継続性」も介護の原則となります。利用者さんにとって、それまでの生活とできるだけ変わらない暮らしができるよう、介護職は配慮していかなければなりません。また、利用者さん自身の意向を尊重し、家族や周りの支援者は利用者さんの決定に合わせて支援を行う必要があります。
残存能力の活用
3つ目は、利用者さんに残っている機能(残存能力)を活用することです。介護に対して「できる限りの手助けを行う」というイメージを持つ人もいるかもしれません。
しかし、利用者さんが本来できることまで手助けしてしまうと、本人が持っている機能まで低下してしまい、自分でできることが減ってしまう可能性があります。
利用者さん自身が持っている能力を活用し、自分でできることは自分でやってもらうことが、介護の原則です。
3.介護職がやってはいけないこと

介護の仕事をしていくうえで、介護職としてやってはいけない行動や言動についても、理解しておきましょう。
介護職がやってはいけない行動
利用者さんと接する際には、無関心な対応や冷淡な態度はとってはいけません。また、利用者さんの要求がたとえ現実的ではなかったとしても、無視することなく、まずは話を聞きましょう。
介護職がやってはいけない言動
利用者さんに対する言動にも注意が必要です。命令口調や赤ちゃん言葉は使ってはいけませんし、子ども扱いもNGです。利用者さんは、加齢によりできないことも多くなっているかもしれませんが、介護職員にとっては人生の先輩です。利用者さんに接するときは、対等な関係であることを念頭に置いて対応していくことが大切です。
4.介護技術の基本「ボディメカニクス」を習得しよう

利用者さんの身体に触れて介護をする場面で知っておきたい技術が、介護技術の基本であるボディメカニクスです。ボディメカニクスを理解し実戦することで、腰痛や肩こり、介助時のけがを防ぐことができます。ここでは、ボディメカニクスのポイントを、しっかり押さえましょう。
支持基底面を広く取り重心を低くする
ボディメカニクスでは、介護者の姿勢を安定することが大切です。身体を支えるために床と接している部分を結んだ範囲を、支持基底面といいます。この支持基底面の面積を広く取り、重心を低くすると姿勢が安定します。利用者さんの介助を行うときは、この基本姿勢を守ると介護がしやすくなります。
利用者さんの身体をコンパクトにし、身体はできるだけ近づける
身体を起こしたり、ベッド上で移動させたりするときには、利用者さんの身体をコンパクトにすることを意識すると、摩擦面が少なくなって介助がしやすくなります。具体的には、利用者さんの腕を胸の前で組む、膝を曲げるなどします。
また、実際に介助するときは、利用者さんと身体の距離を近づけましょう。身体を近づけることで重心が近くなり、移動の方向がぶれずに一方向に大きな力が加わります。その結果、少しの力で介助ができます。
大きな筋群を使って「てこの原理」を利用する
立ち上がりや移乗の介護では、ついつい腕や手先に力が入りがちですが、その方法では力がたくさん必要になり、身体を傷めてしまうこともあります。介護をするときには、足腰の大きな筋肉を意識しながら介助しましょう。腹筋や背筋などの大きな筋肉を同時に使うと、1つの筋肉にかかる負荷が小さくなって、多くの力を使って介助できます。具体的には、しっかり腰を落としてから行うと、大きな筋肉が使いやすいでしょう。
また、仰臥位から端坐位にするときには、てこの原理を活用すると楽に行えます。利用者さんのお尻を視点にして、曲げた膝の下と肩を抱え込むようにして起こすと、介護者の負担が少なくなります。
身体はねじらず水平移動を心がける
ボディメカニクスでは、身体をねじらないことも重要です。身体をねじって動かすと、重心がぐらついて不安定になるだけでなく、腰痛の原因にもなります。ベッド上での移動では、身体を持ち上げるのではなく、横に滑らすよう水平に動かすと、簡単に移動できるでしょう。
また、身体を持ち上げる必要があるときには、腕や腰だけの力を使うのではなく、膝の屈伸を利用すると腰の負担が少なくなります。
まとめ:「介護の基本」を理解して利用者さんに安心を届けよう

介護の仕事をするうえで、介護の基本をしっかりと理解することは、利用者さんが安心してケアを受けることにつながります。介護職は、利用者さんが自分らしく生きていくために必要な支援を提供することが大切です。介護の基本を身につけ、利用者さんにとって適切なケアを提供できるよう、研鑽に努めましょう。
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