夜勤明けは寝ないほうがいいって本当?眠気をコントロールする方法とは
文/佐藤恵美(介護福祉士・社会福祉士)
夜勤明けは、ほとんどの人が「早く帰って寝たい」という気持ちになるのではないでしょうか。しかし、その一方で「夜勤明けには、あまり寝ないほうがいい」という声を聞くことも少なくありません。日中に長時間眠ると夜に眠れなくなり、次の勤務に影響をおよぼす可能性があるからです。
この記事では、夜勤明けの過ごし方や眠気の対策について詳しく解説します。
1.夜勤明けはあまり寝ないほうがいいといわれる理由
夜勤明けは「すぐにでも寝たい」と思うかもしれませんが、実は「夜の就寝時間のように、長く眠らないほうがいい」といわれています。
寝ないほうがいいといわれる主な理由は、以下のとおりです。
- サーカディアンリズムが乱れる
- 睡眠の質が下がる
- 次の勤務に影響する
それぞれについて、詳しく見ていきましょう。
サーカディアンリズムが乱れる
サーカディアンリズムは「概日リズム」とも呼ばれ、約24時間の周期で睡眠や覚醒、体温、ホルモン分泌などを調節するものです。
夜勤が多いと昼夜逆転の生活になりがちですが、それが長く続くとサーカディアンリズムが崩れ、本来眠るべき時間に眠れなくなったり、日中に強い眠気に襲われたりします。
また、サーカディアンリズムの乱れは健康面にも影響をおよぼし、免疫力が落ちて風邪を引きやすくなったり、代謝が低下して肥満や糖尿病のリスクが高まったりします。人によっては集中力や記憶力が落ちたり、イライラしやすくなったりと、精神面や認知機能に影響が出ることもあるでしょう。
そのため、夜勤明けは眠る時間をうまく調整し、サーカディアンリズムを整えることが大事です。
睡眠の質が下がる
夜勤明けすぐの日中に眠っても、質の低い睡眠となり疲労感が残ります。
昼間は光や音の影響を受けやすく、深く眠るのが難しい状態です。また、昼間に睡眠をとると夜になっても眠くならないため、結果的に昼夜が逆転し、生活リズムの乱れにつながります。
夜勤は本来なら眠っている時間帯の労働であり、少ない人員で多くの利用者さんを守らなくてはいけません。そのため身体だけでなく、精神的にも疲れが大きくなります。
心身の疲労回復には質のいい睡眠が不可欠なため、夜勤明けの昼間は短時間の仮眠にとどめ、夜の睡眠で疲れを癒しましょう。
次の勤務に影響する
夜勤のシフトがある人は、次の勤務帯を考慮しながら、睡眠時間を調整するのがおすすめです。
現在は働き方改革が進み、夜勤明けの翌日を休みとする職場が増えています。しかし、人員不足の介護業界では、夜勤明けの翌日に早出、準夜勤などの変則シフトが組まれるケースもあります。夜勤がある場合は、数日先のシフトを確認したうえで、睡眠のスケジュールを立てましょう。
私は夜勤を始めたばかりの頃、夜勤明けの1~2日先のシフトを確認し、寝る時間を手帳に書き込んでいました。シフトによって出勤時間は違いますが、夜間にしっかり眠る工夫をし、疲れを持ち越さないことが大事です。
2.夜勤明けに眠くならない方法
ここでは、夜勤明けの眠気を抑え、夜にしっかり眠るための方法について解説していきます。
- 太陽の光を浴びる
- シャワーを浴びる
- カフェインをとる
- ジムや自宅で運動する
- ボリュームのある食事は避ける
1つずつ見ていきましょう。
太陽の光を浴びる
眠くならないための最も簡単な方法は、太陽の光を浴びることです。
太陽光には、体内時計をリセットする効果があります。そのため、太陽の光を浴びると、身体が「今は活動する時間だ」と判断し、眠気が軽減されるのです。
レースのカーテンを活用するなどして、部屋に太陽光が入るように工夫すれば、帰宅後に眠くなるのを防げます。ぜひ試してみてください。
シャワーを浴びる
家でリラックスすると、どうしても眠気が強くなるもの。日中にあまり寝たくない場合は、シャワーを浴びてみるのもおすすめです。
お湯の温度を少し高めにしたシャワーを浴びると、交感神経が優位になるため、身体が活動モードになり眠気を遠ざけてくれます。シャンプーの際に頭皮をしっかりマッサージするのもいいでしょう。
疲れてシャワーを浴びるのがつらいときは、冷たい水で顔を洗うだけでもスッキリします。
カフェインをとる
カフェインには覚醒作用があるとされるため、夜勤明けの眠気対策として、カフェインをとるのもいいでしょう。
カフェインが含まれる食品や飲料の例は、以下のとおりです。
- コーヒー
- 緑茶
- 紅茶
- エナジードリンク
- ダークチョコレート
ストレートのコーヒーや紅茶を「飲みにくい」と感じる場合は、ミルクや砂糖で甘くすると飲みやすくなります。紅茶には、はちみつを加えるのもおすすめです。
ただし、カフェインを摂取し過ぎると、めまいや心拍数の増加など、体調に影響が出る可能性があります。ホットコーヒーにミルクを足したものを1杯だけ飲んだり、ダークチョコレートを少量ゆっくり味わったりと、無理のないとり方を意識してください。
ジムや自宅で運動する
眠気対策には、適度に運動するのもおすすめです。夜勤明けは、仕事が終わった開放感と疲労で身体がぐったりしがちです。激しい運動は必要ないので、15分歩いたり10分エアロバイクを漕いだりして、軽く身体を動かしてみましょう。血行がよくなるので、眠気が抑えられるだけでなく、リフレッシュ効果も期待できますよ。
私は、夜勤明けは必ずスポーツジムに通っていました。20~30分ほど筋トレや有酸素運動をすると、疲れているはずの身体に元気が戻ったのを覚えています。
変則的な勤務をこなすための体力もつくので、一石二鳥の方法といえるかもしれません。
ボリュームのある食事は避ける
眠気を抑えるには、食事のボリュームを控えめにすることも大切です。
夜勤の後は、空腹を感じる方も多いと思いますが、食欲に任せてたくさん食べると血糖値が急上昇し、強い眠気を引き起こす可能性があります。注意しましょう。
【適度におなかを満たし、眠くならない食事の例】
- 果物、ヨーグルト
- サンドイッチ、野菜スープ
- 野菜サラダ、おにぎり1個、みそ汁
夜勤明けは、胃腸に負担をかけない、軽めの食事を心がけましょう。満腹になるまで食べるのは控えて、腹八分目を目安に食べるといいでしょう。
私の場合、疲れて自炊する気力がないときはコンビニで鮭おにぎりとサラダを購入するのが定番でした。手軽に炭水化物やたんぱく質、ビタミンがとれるのでおすすめの組み合わせです。
3.夜勤明けの眠気がどうしてもつらいときはどうする?
どのような方法を試しても眠気がつらいときは、短時間の仮眠をとりましょう。その際は、遮光カーテンで部屋をできるだけ暗くしたり、アイマスクを使ったりして、眠りやすい環境を整えるといいでしょう。
ただし、日中の仮眠は1~2時間にとどめたほうが無難です。特に、翌日に日勤や早出などがある場合は、できるだけ夜の睡眠時間を確保するように意識してみてください。
なお、つらさが解消できない場合は、思い切って転職を検討する方法もあります。
転職するにあたっては、夜勤が苦にならないのなら夜勤専従、日勤のみを希望するならデイサービスなどがおすすめです。シフトが一定であれば生活のリズムも整えやすいため、過度の眠気に襲われることは少なくなるでしょう。
4.夜勤明けの過ごし方
最後に、夜勤明けの過ごし方を次の3パターンにわけて紹介します。
- ゆっくり過ごしたい場合
- アクティブに過ごしたい場合
- 夜勤明け+1日休みがある場合
それぞれの過ごし方について見ていきましょう。
夜勤明けはゆっくり過ごしたい場合
夜勤明けをゆっくり過ごしたい人は、帰宅後にゆっくりと入浴しましょう。身体を温めてから、うどんやヨーグルトなど、消化のいい食事をとると心身がリラックスできます。
映画を観たり本を読んだりして過ごすのもいいでしょう。夜勤明けは午前中からずっと空き時間なので、映画鑑賞や読書、音楽鑑賞を楽しむには絶好の機会です。
アロマやお香などを使って部屋を好きな香りで満たし、リラックス効果を高めるのもおすすめです。
夜勤明けもアクティブに過ごしたい場合
体力に余裕がある人は、軽いウォーキングやストレッチで身体をほぐしたり、買い物を楽しんだりするのもいいでしょう。
ただし、夜勤明けは判断力が鈍りがちになるため、長時間の運転は避けてください。帰り道に気になるお店に立ち寄ったり、家の近所を散歩したりするだけでも気分転換になりますよ。
夜勤明け+1日休みがある場合
このケースは、かなり時間に余裕があるので、いつもはできないことをやってみましょう。
服の整理や家の細かいところの掃除、通院や銀行・役所の手続きなど、時間のかかる用事をこなすには最適です。
以下は、私の夜勤明け当日の過ごし方をまとめたものです。
9:00 | ・退勤 |
9:30~12:00 |
・帰宅 ・掃除や洗濯などの家事を済ませる ・おにぎりなど軽い食事をとる |
12::00~14:00 |
・仮眠 ※眠らない日もあり |
14:00~18:00 |
・整体や美容院に行く ・食料や日用品の買い物をする |
18:00 | ・夕食 |
19:00 | ・入浴 |
20:00~22:30 |
・自由時間 ※テレビを見る、資格試験の勉強をするなど |
23:00 | ・就寝 |
私は、仮眠を短時間に抑え、夜間に6~7時間の睡眠を確保していました。翌日の休みは、資格試験の勉強をしたり、インターネットを楽しんだりする日にして、自宅で過ごすことが多かったです。
休みの翌日が遅出や夜勤など、出勤時間が遅めのシフトであれば、外出を楽しむのもいいでしょう。
まとめ:上手な睡眠コントロールで元気に夜勤を乗り切ろう
「夜勤明けに寝ないほうがいい」といわれるのは、サーカディアンリズムの乱れや睡眠の質の低下により、翌日以降の勤務に影響が出る可能性があるためです。
しかし、必ず起きていなければならないわけではありません。勤務後に1~2時間の仮眠をとり、夜に十分な睡眠を確保することで体調は整いやすくなります。
日中に長時間眠るのを避けたいときは、軽い運動をしたりシャワーを浴びたりすると、覚醒が促されるのでおすすめです。苦手でなければ、コーヒーや緑茶などでカフェインをとるのもいいでしょう。
ただし、夜勤に慣れていないうちはあまり深く考えず、自分の体調を最優先にしてください。
本来寝ている時間に働くため、夜勤は心身に少なからず負担がかかります。無理のないペースで働くためにも、まずは夜勤のリズムをつかみ、自分に合った過ごし方を見つけてみましょう。
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