【なぞり書き百人一首】秋の歌⑥ いまこむと いひしばかりに 長月の ありあけの月を 待ちいでつるかな
構成・文/介護のみらいラボ編集部
秋の歌の第6回目にピックアップしたのは、素性法師の作品。歌意や作者の解説なども掲載しておきますので、情景や詠み手の思いを感じながら、ゆっくりと文字をなぞってみましょう。

歌の意味と作者について
歌番号21番は、素性法師の作品。約束をすっぽかされた女性のやるせない心情を詠んだ歌ですが......。実をいうと、作者は男性。女性の立場になって作り上げた、遊び心のある一首となっています。
いまこむと いひしばかりに 長月の
ありあけの月を 待ちいでつるかな
小倉百人一首 歌番号(21番) 素性法師
歌意
「いますぐに行きます」というから待っていたのに、あなたはこない。とうとう秋の夜長も過ぎて、(あなたを待っていたはずが)待ってもいなかった夜明けの月を待つことになってしまいましたよ。
ことば
●いまこむと:「いま」は「いますぐに」という意味
●いひしばかりに:「いったばかりに」の意味
●長月:陰暦の9月
●ありあけの月:夜が明ける頃になっても空に残っている月のこと
●待ちいでつるかな:「待ちいづ」は「待っていて出会う」こと。「男がくるのを待っていたのに、ありあけの月を待っていたかのような結果になってしまった」という心情を表しています
作者
素性法師(そせいほうし):三十六歌仙の一人で、百人一首12番に歌が残っている僧正遍昭の子。清和天皇の時代に左近将監にまで出世しましたが、父の勧めで出家。和歌だけでなく書も得意としていたそうです。
[参考]
『全訳読解古語辞典 第五版』(三省堂)
『百人一首(全) ビギナーズ・クラシックス 日本の古典』(角川ソフィア文庫)
『解説 百人一首』 (ちくま学芸文庫)
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