【なぞり書き百人一首】秋の歌⑨ 山川に 風のかけたる しがらみは ながれもあへぬ もみぢなりけり
構成・文/介護のみらいラボ編集部
秋の歌の第9回目にピックアップしたのは、春道列樹の作品。歌意や作者の解説なども掲載しておきますので、情景や詠み手の思いを感じながら、ゆっくりと文字をなぞってみましょう。

歌の意味と作者について
作者である春道列樹が、京都から滋賀へと抜ける山道を歩きながら詠んだとされる作品。
川面に浮かぶしい紅葉のかたまりを「風が掛け渡した柵」に見立てて、自然が作り出す造形美への驚きを歌っています。
山川に 風のかけたる しがらみは
ながれもあへぬ もみぢなりけり
小倉百人一首 歌番号(32番) 春道列樹
歌意
山あいを流れる川に、風の仕掛けたしがらみ(柵)ができている。何だろうと思ってよくよく見れば、流れきらずにたまっている紅葉の集まりだったよ。
ことば
●山川:山あいを流れる川のことで、「やまがわ」と読みます。なお、「やまかわ」と読むと「山と川」の意味になります
●しがらみ:川の流れをせき止めるために、杭を打ち並べ、木の枝や竹を横に張った柵のこと。ここでは、風を人になぞらえて、「風が川面へと紅葉を吹き散らして柵を作った」としています
●ながれもあへぬ:「流れようとしても流れきれない」という意味
●もみぢなりけり:「けり」は「ああ、そうだったのだな」という感動を表す言葉
作者
春道列樹(はるみちのつらき):平安時代前期の官人・歌人で、主税寮・春道新名の子。「古今和歌集」や「後撰和歌集」にもいくつかの和歌が残っています。
[参考]
『全訳読解古語辞典 第五版』(三省堂)
『百人一首(全) ビギナーズ・クラシックス 日本の古典』(角川ソフィア文庫)
『解説 百人一首』 (ちくま学芸文庫)
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