【なぞり書き百人一首】秋の歌⑭ 夕されば 門田の稲葉 おとづれて 葦のまろやに 秋風ぞ吹く
構成・文/介護のみらいラボ編集部
秋の歌の第14回目にピックアップしたのは、大納言経信の作品。歌意や作者の解説なども掲載しておきますので、情景や詠み手の思いを感じながら、ゆっくりと文字をなぞってみましょう。

歌の意味と作者について
歌番号71番は、平安時代後期の公家である大納言経信の作品。夕暮れ時になると、田んぼの稲穂がそよぐ爽やかな音をたてながら、秋風が吹いてくる----。そんなすがすがしい秋の情景を歌った、趣のある一首です。
夕されば 門田の稲葉 おとづれて
葦のまろやに 秋風ぞ吹く
小倉百人一首 歌番号(71番) 大納言経信
歌意
夕方になると、家の前にある田んぼの稲葉にさわさわと葉ずれの音をたてさせて、葦ぶきの粗末な小屋に秋風が吹いてくるよ。
ことば
●夕されば:「夕方になると」の意味。「さる」は何事かが移り変わることを指します
●門田:家の前にある田んぼのこと
●おとづれて:「音をたてる」という意味
●葦のまろや:屋根が葦ぶきの粗末な小屋
作者
大納言経信(だいなごんつねのぶ): 源経信のことで、74番歌の作者である源俊頼の父。詩・歌・管弦に秀でた博学多才な人物として知られ、藤原公任とともに「三船の才」(三つの才能を兼ね備えていること)と讃えられていました。
[参考]
『全訳読解古語辞典 第五版』(三省堂)
『百人一首(全) ビギナーズ・クラシックス 日本の古典』(角川ソフィア文庫)
『解説 百人一首』 (ちくま学芸文庫)
SNSシェア