【なぞり書き百人一首】春の歌⑥ 春の夜の 夢ばかりなる 手枕に かひなくたたむ 名こそ惜しけれ
構成・文/介護のみらいラボ編集部
春の歌の第6回目にピックアップしたのは、周防内侍の作品。歌意や作者の解説なども掲載しておきますので、情景や詠み手の思いを感じながら、ゆっくりと文字をなぞってみましょう。

歌の意味と作者について
ある春の夜、章子内親王の御所で人々が夜通し楽しく語らっていたときに詠まれた一首。歌番号は67番、作者は女流歌人の周防内侍で、平安時代の「恋の駆け引き」が伝わってくるような内容となっています。
春の夜の 夢ばかりなる 手枕に
かひなくたたむ 名こそ惜しけれ
小倉百人一首 歌番号(67番) 周防内侍
歌意
短くはかない春の夢のような、たわむれの手枕をあなたから借りたとしましょう。そんなことのせいで浮いた噂が立ったりしたら、口惜しいではありませんか。
ことば
●春の夜の夢:「春の夜」は、短くてすぐ明けてしまうものとされており、「春の夜の夢」は、「すぐにさめるはかないもの」のたとえとなっています
●手枕:腕を枕にすること。春の夜の語らいの場で、周防内侍が何気なく「枕がほしいものです」とつぶやいたとき、「これをどうぞ」と自分の腕を差し出してきた男性がいたことから、この歌が詠まれたのだそうです
●かひなく:「つまらないこと」という意味
●名こそ惜しけれ:「名」は「浮名」のこと。全体で「浮いた噂が立ったりしたら、口惜しいではありませんか」という意味
作者
周防内侍(すおうのないし):平安時代後期の女流歌人で、女房三十六歌仙の一人。後冷泉天皇から堀河天皇まで、4代にわたって出仕したとされていますが、生没年などは明らかになっていません。
[参考]
『全訳読解古語辞典 第五版』(三省堂)
『百人一首(全) ビギナーズ・クラシックス 日本の古典』(角川ソフィア文庫)
『解説 百人一首』 (ちくま学芸文庫)
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