【なぞり書き百人一首】春の歌⑧ 花さそふ 嵐の庭の 雪ならで ふりゆくものは わが身なりけり
構成・文/介護のみらいラボ編集部
春の歌の第8回目にピックアップしたのは、入道前太政大臣の作品。歌意や作者の解説なども掲載しておきますので、情景や詠み手の思いを感じながら、ゆっくりと文字をなぞってみましょう。

歌の意味と作者について
歌番号96番は、入道前太政大臣の作品。桜の花びらが風に舞い、庭を雪のように白くしていく――。そんな美しい情景のなか、散りゆく花に自らの老いを重ねた作者が、一抹の寂しさを述懐した一首です。
花さそふ 嵐の庭の 雪ならで
ふりゆくものは わが身なりけり
小倉百人一首 歌番号(96番) 入道前太政大臣
歌意
桜の落花を誘うはげしい風が吹く庭では、まるで雪のように桜の花びらが降っている。降っているのは花びらだけれども、本当に年老いて、古びていくのは、実は私自身であったよ。
ことば
●花さそふ:「花」は、桜の花のこと。嵐が桜の花を誘って散らすという意味
●嵐:山から吹き下ろす激しい風のこと
●雪:雪のように舞い散る花のことで、花びらを雪に見立てた表現です
●ふりゆくものは:「ふりゆく」は、桜の花びらが「降りゆく」と、作者自身が「古りゆく(年老いてゆく)」の掛詞
作者
入道前太政大臣(にゅうどうさきのだいじょうだいじん):平安時代から鎌倉時代にかけての公卿で、藤原公経、西園寺公経とも呼ばれます。姉が『小倉百人一首』の撰者・藤原定家の妻であるため、定家とは義兄弟。和歌だけでなく琵琶の才能もあったとか。
[参考]
『全訳読解古語辞典 第五版』(三省堂)
『百人一首(全) ビギナーズ・クラシックス 日本の古典』(角川ソフィア文庫)
『解説 百人一首』 (ちくま学芸文庫)
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