高齢者が楽しめるゲームとは?レクリエーションを盛り上げるコツも!
構成・文/介護のみらいラボ編集部
高齢者施設にゲームを取り入れる際は、盛り上げるコツや注意点について把握しておくことが大切です。当記事では、高齢者向けゲーム4つとレクリエーションにゲームを取り入れるメリットも紹介します。介護職の方はぜひ参考にしてください。

老人ホームやデイサービスなどのレクリエーションに、参加者が盛り上がるゲームを取り入れてみましょう。ゲームは気分転換になるだけでなく、高齢者の心身にもよい影響を与えます。高齢者を対象としたゲームにはさまざまな種類があり、症状や傾向に合わせて選べるため、多くの利用者に喜んでもらえるでしょう。
当記事では、高齢者施設のレクリエーションにゲームを取り入れるメリットや、高齢者向けのゲームの種類・盛り上げるコツ、実施上の注意点を解説します。
- 目次
- 1.高齢者施設のレクリエーションにゲームを取り入れるメリット
- 運動不足を解消できる
- 脳の活性化に役立つ
- コミュニケーションを活性化できる
- 利用者の積極的な参加を促せる
- 2.気軽に取り入れられる高齢者向けのゲーム
- 身体を動かすゲーム
- 脳トレ系ゲーム
- チームプレーを行うゲーム
- テーブルでできるゲーム
- 3.高齢者施設でゲームを盛り上げる5つのコツ
- 挨拶やルール説明をしっかり行う
- スタッフの失敗例を見せる
- 掛け声をかける・褒める
- 音楽を流す・楽器を鳴らす
- 小道具・装飾などを工夫する
- 4.ゲームを実施する際の4つの注意点
- 利用者に合わせたゲームを選ぶ
- 安全対策をしっかりと行う
- 参加を無理強いしない
- 失礼のない言葉遣いや態度を心がける
- まとめ
1.高齢者施設のレクリエーションにゲームを取り入れるメリット
高齢者向けのゲームには、高齢者のリフレッシュやストレス解消以外にも、さまざまな効果が期待できます。多くの高齢者施設ではレクリエーションにゲームを取り入れており、利用者から好評を集めているところがほとんどです。
ここでは、高齢者施設のレクリエーションにゲームを取り入れるメリットを紹介します。
運動不足を解消できる
身体を動かすゲームは運動不足を解消し、身体機能の維持に役立ちます。運動不足は筋力低下を招き、健康寿命の短縮につながりかねません。ゲームの実施により多くの利用者に運動の場を提供することが可能となり、機能訓練の役割も期待できます。
また、運動は脳の海馬を肥大し、記憶力の維持・向上に効果的とされています。運動を継続することで認知機能が改善したという研究結果も発表されているため、認知症予防効果も期待できるでしょう。
(出典:厚生労働省「認知症ケア法‐認知症の理解」)
脳の活性化に役立つ
自分で考えるゲームは、高齢者の判断力や思考力を刺激し、脳の活性化につながります。脳を活性化させ、思考や記憶のトレーニングにもつながる、いわゆる脳トレのゲームには、体の動きと組み合わせるものや、複数人がチームとなって取り組むものもあります。問題集やプリントに苦手意識がある人でも、ゲームにすると気軽に楽しむことができるでしょう。
実際に、病院・介護施設などでは、リハビリとして脳トレのゲームが採用されています。集中力を使うゲームには熱中する人も多く、利用者からの人気も高い傾向です。
(出典:倉敷平成病院「みんなで脳トレ!!」)
(出典:久喜すずのき病院 高齢者デイケア それいゆ「ミニゲームプログラム3」)
コミュニケーションを活性化できる
ゲームを行うことで高齢者同士の会話が生まれ、コミュニケーションが活性化します。高齢者の中には、友人を作りたくても機会がない人や、孤独感を抱えている人もいるでしょう。ゲームではチームを組んだり、互いに教え合ったりするため、高齢者同士が親交を深めるきっかけとなります。
また、認知症になりにくい生活を送るためには、対人交流も重要とされています。高齢者は交友関係が減少する傾向にあるため、ゲームで交流の場を設けて活動的な生活をサポートしましょう。
(出典:厚生労働省「認知症ケア法‐認知症の理解」)
利用者の積極的な参加を促せる
ゲームでは、利用者自身が達成感や喜びを感じながら楽しく取り組めるため、レクリエーション参加率の増加が見込まれます。レクリエーションという言葉に抵抗がある利用者も、ゲームと聞くと参加意欲がわく可能性もあるでしょう。
非社交的な高齢者は、社会参加をする人に比べて、認知症の発症リスクが約8倍も高いといわれています。他者と関わりを持つことで豊かな感情が芽生え、精神状態の安定も期待できます。高齢者が興味を持つゲームを取り入れて、積極的な社会参加を促しましょう。
(出典:厚生労働省「認知症ケア法‐認知症の理解」)
2.気軽に取り入れられる高齢者向けのゲーム
ゲームは高齢者施設のレクリエーションに、気軽に取り入れることができます。高齢者向けのゲームは多岐にわたり、費用をかけずに身近な道具を利用して取り組むことが可能です。
ここでは、室内で簡単に実施できる高齢者向けのゲームを、4つのタイプに分けて紹介します。
身体を動かすゲーム
身体を動かすゲームは、早さや点数を競い合うことができ、個人戦やチーム戦にしても盛り上がります。以下では、身体を動かすゲームを紹介します。
【ペットボトルボウリング】
ペットボトル10本と、大きめの柔らかいボールを用意します。ペットボトルをボウリングのピンに見立てて並べ、利用者には椅子に座った状態でボールを投げてもらいます。ペットボトルに点数をつけた紙を貼り、獲得点数を競い合ってもよいでしょう。ペットボトルには少量の水やビー玉を入れておくと倒れやすくなります。
【ペットボトル立てゲーム】
倒れたペットボトルを、足や手で立てていくゲームです。床に倒れたペットボトルを足で立たせる、もしくは逆さまに置いたペットボトルを片手で正しい状態に立たせる遊び方があります。ペットボトルには重りとして、適量の水を入れましょう。ペットボトルに入れる水の量が多いほど立ちやすく、筋力も使います。
【新聞広げゲーム】
くしゃくしゃに丸めた新聞紙を足や手で広げていくゲームで、指先の訓練にも効果的です。新聞紙は4分の1に切ったものを用意し、足で広げる場合は参加者に靴下を脱いでもらいます。広げた新聞紙をたたむ遊びを組み合わせてもよいでしょう。
風船・柔らかいゴムボール・ピンポン玉・お手玉など、怪我の危険が少ないボール状のアイテムは汎用性が高いため、用意しておくと便利です。
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脳トレ系ゲーム
脳トレ系ゲームは、車いすや身体の状態に関係なく、多くの高齢者が取り組めることが魅力です。以下では、大勢で楽しめる脳トレ系ゲームを紹介します。
【連想ゲーム】
連想ゲームにはさまざまな遊び方があります。下記は、連想ゲームの一例です。
連想ゲーム | 出題例 |
---|---|
1つのお題から、言葉を連想していくゲーム |
「赤色」(回答例:トマト、ポスト、イチゴ) 「夏」(回答例:海、花火、夏休み) |
いくつかのヒントから、問題の答えを想像するゲーム | 「卵・ごはん・ケチャップを使う料理は」「桜・入学式から連想できる季節は」など |
1つのキーワードに対して連想する言葉を考え、全員で一斉に答えを披露するゲーム | 「球技と言えば」「夏と言えば」など |
ほかの人の答えを想像したり、ヒントをつなげ合わせたりと、一度に複数のことを考えるため思考力が鍛えられます。
【しりとり】
しりとりで遊ぶ際には、ルールに制限を加えると飽きずに楽しめます。下記は、高齢者が楽しめるしりとりの遊び方の一例です。
しりとりのルール | 回答例 |
---|---|
しりとりのテーマを決める | (出題例:動物)シカ→カモ→モモンガ |
3文字の単語に限定し、真ん中の言葉でつなげる | ガラス→ラッコ→ツミキ→ミズナ |
1人が2つの単語を言う | ナツ・ツリ→リンゴ・ゴマ→マンガ・ガーゼ |
参加者次第では、すべての単語を最初から覚えていく「暗記しりとり」など、難易度が高い遊び方もできるでしょう。
【イントロクイズ】
歌を前奏から流し、曲名を当てるゲームです。流す曲は、有名な曲や利用者の時代に合わせるほか、事前に参加者へ好きな曲のアンケートを取ってもよいでしょう。思い出の曲が流れることで楽しい気持ちになり、利用者同士の会話も弾みます。
脳トレ系ゲームは難易度が調整できるため、参加者に応じてルールを設定しましょう。最初は簡単なレベルから始め、徐々に難易度を高くしていくこともおすすめです。
チームプレイを行うゲーム
チームプレイは参加者同士が交流しやすく、盛り上がるゲームです。以下に、チームプレイを行うゲームを紹介します。
【風船おくりゲーム】
参加者が列になり、前から後ろへと風船を渡していくゲームです。手やうちわを使って渡すほか、2人1組になってタオルを持ち、風船をタオルに乗せて渡す遊び方もあります。集中力やバランス感覚を養う効果が期待できます。
【伝言ゲーム】
最初の人にお題を教え、次の人へと口頭で伝えていきます。最後の人までお題を正しく伝えることができたら成功です。伝えるときは、ほかの参加者へ聞こえないように、耳元で伝えてもらいましょう。お題の内容は参加者に馴染みがあり、覚えやすいものを選んでください。
【文字並べ替え】
参加者を3~4人のグループに分け、参加者一人ひとりに文字を書いた紙を配り、グループ内で単語を作るゲームです。たとえば、3人グループに「イ」「ス」「カ」と書いた紙を配り、参加者に「スイカ」と並べ替えてもらいます。漢字を使って熟語を作るゲームにしても楽しめます。
チームプレイのゲームではほかの参加者と協力するため、コミュニケーション能力の維持・向上が期待できます。
テーブルでできるゲーム
テーブルを囲んで行うゲームは参加者の距離が近く、和気あいあいと楽しむことができます。大きめのテーブルがある場合は、ぜひ以下で紹介するテーブルゲームを取り入れてください。
【テーブル卓球】
テーブルを卓球台に見立てて、ピンポン玉や柔らかいボールをラケットの代用品で打ち合うゲームです。ラケットには、うちわやダンボールのほか、ティッシュの空き箱に手を入れて利用することもできます。勝ち負けではなく、リレーを長く続けることを目標にしましょう。
【洗濯ばさみすくい】
テーブルの洗濯ばさみを、うちわですくってカゴの中へ入れるゲームです。洗濯ばさみはテーブルにまんべんなく散りばめましょう。チーム戦にして、時間内にカゴに入れた洗濯ばさみが多いほうが勝ちというルールでも楽しめます。紙コップを棒ですくって重ねる「紙コップすくい」や、ペットボトルキャップをスプーンですくう「ペットボトルキャップすくい」もおすすめです。
【トランプ】
神経衰弱やババ抜きなど、簡単なトランプの遊びに挑戦しましょう。神経衰弱が難しい場合は、色が合えば正解としても構いません。高齢者が扱いやすいように大きいサイズのトランプを選び、人数が多い場合は2組用意します。トランプは簡単な手品に挑戦するなどの用途もあるため、複数用意してもよいでしょう。
すごろくやドミノといった定番のテーブルゲームのほか、箸を使って小さいものをつかむ遊びも盛り上がります。
3.高齢者施設でゲームを盛り上げる5つのコツ
レクリエーションにゲームを取り入れる際に、利用者が積極的に参加してくれるか・楽しんでくれるか不安に思うスタッフもいるでしょう。利用者にゲームを楽しんでもらうためには、進行や準備を工夫し、明るい雰囲気を作ることが大切です。
ここでは、ゲームを盛り上げる5つのコツを紹介します。
挨拶やルール説明をしっかり行う
ゲーム開始前は、挨拶やルール説明を大きな声で行いましょう。ゲームには関係ない世間話などでスキンシップを図り、参加者の気持ちをほぐします。最初に楽しい気持ちになればゲームへの興味も高まり、参加者の意欲も高まるでしょう。
ルール説明は、分かりやすく簡潔に伝えることが大切です。身振り手振りを加えて、単調にならないように注意してください。参加者の表情を確認しつつ、不安そうな場合は分からない箇所を尋ねる、説明を補足するなどのフォローをしましょう。
スタッフの失敗例を見せる
ルール説明時にスタッフの失敗例を見せると、参加者の緊張を解き、和やかなムードを作ることができます。ゲームができるか不安な参加者は、スタッフも失敗したから大丈夫だと思え、前向きに挑戦することができるでしょう。
失敗例を見せる際は、失敗しても問題はなく、ゲームを楽しむことが大事であるという旨も伝えてください。同時に成功しやすいコツを紹介すると、参加者の理解も深まります。
掛け声をかける・褒める
ゲームの最中は、参加者に「頑張れ」「もうちょっと」など、ゲームが楽しくなる掛け声をかけましょう。スタッフの声かけは、参加者の孤立も防ぐことにも役立ちます。
また、ゲームの成功・不成功にかかわらず、参加者のよい部分を見つけて積極的に褒めましょう。不平等感を与えないように、参加者一人ひとりに対して平等に声をかけることが大切です。「○○さんらしいですね」「さっきより上手にできましたね」など、個人の個性や過程に注目した言葉をかけると喜ばれるでしょう。
音楽を流す・楽器を鳴らす
ゲームスタートの合図としてBGMを流すと、参加者がゲームの開始を理解しやすくなり、またゲームの雰囲気を作ることもできます。アップテンポでリズム感があるBGMを選びましょう。
ゲームの最中に、タンバリンやマラカスを使って場を盛り上げることもおすすめです。スタッフの掛け声と楽器の音を聞いて、やる気を出す参加者も多いでしょう。楽器があれば、何らかの事情でゲームを中断した参加者も、スタッフと一緒に応援することができます。
小道具・装飾などを工夫する
ゲームで使う小道具に色や飾りをつけると、華やかな雰囲気になります。たとえば、ペットボトルに入れる水に絵の具を混ぜてさまざまな色を作る、風船の中に紙吹雪を入れるといった方法があります。
季節のイベントの場合は、時期に合った壁面飾りで雰囲気を盛り立てましょう。お正月などの行事以外にも、桜やトンボといった季節感がある飾り付けを行うことで、会場が明るくなります。
4.ゲームを実施する際の4つの注意点
高齢者によっては身体能力が衰えているため、レクリエーションでゲームを実施する際には細心の注意が必要です。予行練習で問題がなくても、実施のゲームでは思わぬハプニングが起こることもあるため、事前準備はしっかりと行いましょう。
ここでは、ゲーム実施時の注意点を紹介します。
利用者に合わせたゲームを選ぶ
レクリエーションで実施するゲームは、利用者の状況に合わせて、無理なく行えるものを選んでください。たとえば、車いすの利用者が多い場合はテーブルゲームを選ぶ、足が不自由な参加者には腕を使うルールを適用するなどの方法があります。
また、利用者の趣味に合わせたゲームを選んでもよいでしょう。日頃から利用者とコミュニケーションを取り、多くの人が参加したいと思うゲームを考えてください。ゲームの内容に、参加者の年代に合わせた内容や、馴染みのある題材を用いるとより効果的です。
安全対策をしっかりと行う
ゲームの前日には、使用する道具や椅子などの設備に、危険な部分がないか丁寧に点検しましょう。小道具の鋭利な部分はビニールテープで保護する、不安定な椅子は交換しておくなど、安全性に配慮します。会場の下見を行い、床の滑りやすさなどを確認し、清掃することも大切です。
レクリエーションの当日は、利用者の車いすにロックをかけて転倒を防ぎます。麻痺がある人や運動能力が衰えている人には、スタッフがそばに立ち安全を確保してください。また、体調が優れない参加者には、ゲームを控えて休養を勧めましょう。
参加を無理強いしない
高齢者の中にはゲームが苦手な人もいるため、強制的に参加させることは禁物です。無理矢理ゲームに参加させても本人は楽しめず、「レクリエーションは嫌なもの」という概念が定着してしまいます。また、自分の意思が尊重されないことに対して不快感を覚え、スタッフとの関係性が悪化する可能性もあるでしょう。
ゲームを嫌がる高齢者には、「参加されることを楽しみにしていますね」「次は一緒に楽しみましょうね」など、参加を前向きに考えられるような声かけを行いましょう。
失礼のない言葉遣いや態度を心がける
高齢者の自尊心を尊重し、丁寧な対応を心がけましょう。できないことを怒る・責める行為は高齢者の心を傷つけ、ネガティブな感情を生み出します。体力や知能が衰えていても子ども扱いはせず、高齢者のプライドを守りながらゲームを楽しんでください。
スタッフが退屈そうな態度では、参加者を不快な気分にさせてしまうでしょう。ゲーム中はスタッフも一緒に楽しみ、笑顔で接することが大切です。
まとめ
高齢者施設のレクリエーションにゲームを取り入れると、脳の活性化や社会参加促進の効果が期待できます。身体を動かすゲームや脳トレ、チームプレー、テーブルゲームがあるため、利用者に合わせたゲームを選びましょう。ゲームを盛り上げるためには、安全対策を行った上で利用者と適切なコミュニケーションを取りつつ、音楽などを用いて楽しい雰囲気を作ることが大切です。
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参考:お年寄りとコミュニケーションが深まる! 楽しく盛り上がるレクリエーション100(ナツメ社)
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