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高齢者レクリエーション 高齢者レクリエーションのノウハウ 2023/06/21

#認知症ケアの現場から

認知症がある利用者さんも楽しめる!しずく型の紙を貼り合わせて作る「しずくアート」|認知症ケアの現場から(8)

文/安藤祐介 04_thumbnail.jpg

高齢者施設では、心身の健康維持や気分転換を目的にレクリエーションを行います。レクリエーションには身体を動かす運動系の活動や、机上で行う作業系の活動(工作、工芸など)、ゲーム系の活動(脳トレ、クイズなど)などがあり、利用者さんの心身の状態や興味、関心に合った内容を提供する必要があるでしょう。

しかし、認知症がある利用者さんのなかには、複雑な工程を理解するのが難しかったり、常に何かしらの活動を行っていないと落ち着かなかったりする方もいらっしゃいます。そのため、「認知症の利用者さんには、どういったレクリエーションを提供するのがいいの?」と悩んでいる介護職員の方も多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、筆者が認知症の利用者さんと行っている「しずくアート」というレクリエーションをご紹介します。しずくアートは、「切る」と「貼る」の2つの工程を組み合わせて作品を作る作業系の活動です。利用者さんの能力や好みに応じて得意な作業工程を振り分けたり、1つの工程を長時間行ってもらったりすることも可能なので、認知症の方でも気軽に、そして楽しく取り組むことができますよ。

1.しずくアート制作で期待できる効果

  • 心身が賦活される
  • 日中の活動性が向上して生活リズムが整う
  • 活動的な座位姿勢をとることで体力の維持につながる
  • 他者との交流を通して社会性が養われる
  • 気分転換や楽しみの機会になる

2.工程

①土台の準備



ハサミやカッターで段ボールを切り、しずくアート作品の土台を作ります(ここで作った土台に、<工程②>で作るしずくを貼り付けることになります)。この工程は厚手のダンボールを切る必要があるので、介護職員が担当しましょう。

形が複雑なほど貼り付ける工程の難易度が上がるので、あまり手先が器用ではない利用者さんの場合は、四角形や円形など簡単な形にするのがおすすめです。大きさによって完成までの時間が違ってくるので、貼る工程を長時間楽しんでもらいたい利用者さんの場合は大きく、長時間集中して取り組むのが難しい利用者さんの場合は小さく作りましょう。

②しずく切り



しずくの型紙をハサミで切ります。この工程はハサミの使用が得意な利用者さんに担当してもらいましょう。しずくの型紙は白紙に同じ形を手書きしたものでも良いですし、WordやExcelを使って図形(基本図形の涙型)を描いても良いでしょう。型紙(原本)を作っておけば、コピー機で同じものを印刷できるようになるので、活動のたびに準備する必要がなくなります。

なお、形が角型や円型でなくしずく型なのは、切りやすさと貼りやすさが両立している形だからです。台紙を切るのが大変そうな利用者さんがいる場合は、台紙を一定の大きさに切り分けてから渡すと良いでしょう。

③しずく貼り



<工程②>で作ったしずくを<工程①>で作ったダンボールの土台に貼り付けます。この工程は液体のりの使用が可能な利用者さんに担当してもらいましょう。固形のスティックのりでも貼れますが、認知症がある利用者さんのなかにはスティックをひねってのりを出すという行為が苦手な方、あるいは理解できずに混乱につながってしまう方もいらっしゃるため、押すだけで使える液体のりを活用するのがおすすめです。

貼り付ける際は、テーブルが汚れないように新聞紙などを敷いてから行ってください。また、手が汚れてしまったときのために、お手拭きを用意しておくと良いでしょう。

<工程③>は、「しずくにのりを付ける」「しずくを貼る」という2つの工程に分かれており、のりを付けるほうが難易度は高めです。そのため、利用者さんによっては「職員がのり付けを行い、それを貼ってもらうだけにする」といった工夫も必要でしょう。共同作業で作品を作れば、のりの扱いが苦手な利用者さんも「私が貼って作った」という達成感を得やすくなります。

④仕上げ



<工程③>でしずくを貼ったダンボールに、画用紙や折り紙などで仕上げの飾り付けを行い、見栄えを整えれば完成です。完成した作品は、そのまま壁などに展示しても良いですし、吊るし雛のように天上から吊して飾っても良いでしょう。ちなみに作品例では、折り紙を使ってカエルの目や口、アサガオの模様などの飾り付けを行っています。

5月であればこいのぼり、6月ならカエルや雨粒、7月ならアサガオなど、季節やイベントにあわせて作品作りが楽しめるので、よろしければ参考にしてください。

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安藤祐介(Yusuke Ando)

作業療法士

2007年健康科学大学を卒業。作業療法士免許を取得し、介護老人保健施設ケアセンターゆうゆうに入職。施設内では認知症専門フロアで暮らす利用者47名の生活リハビリを担当し、施設外では介護に関する講演・執筆・動画配信を行っている。

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