高齢者と一緒に作る冬の「雪の結晶」の壁面飾り【12月・1月・2月】型紙付き|認知症ケアの現場から(14)
文・写真/安藤祐介介護施設では、利用者さんの認知機能を賦活したり余暇時間を充実して過ごしてもらったりする目的で、季節に応じた壁面飾りを作製することがあります。壁面飾りは、レクリエーションとして利用者さんと職員が共同で作製するのが理想的ですが、作る過程が複雑だと、認知症や片麻痺がある利用者さんが参加しにくいこともあります。かといって、簡単すぎても出来栄えが稚拙になったり短時間で完成したりして、レクリエーションとしての楽しさが薄れてしまうでしょう。
そこで本記事では、幅広い利用者さんに提供できて、数週間から1か月かけて作製が楽しめる、冬の壁面飾りをご紹介します。
1.壁面飾りの目的・期待できる効果
- 余暇時間が充実して、生活の質が向上する
- 集中して取り組むことで、認知機能の維持につながる
- 季節の移り変わりが感じられ、見当識が賦活される
- 日中の活動量が増え、体力の維持につながる
- 雰囲気が明るくなり、過ごしやすいフロアになる
2.冬の壁面飾りの作り方
塗り絵の図案を用意する
冬の季節感が出るように、雪の結晶をイメージした塗り絵の図案を用意します。塗るのが簡単なものから複雑なものまで複数の図案を用意しておくと、利用者さんの能力に合わせた提供がしやすくなります。また、図案は「塗り絵を切ってもらう」の工程でハサミが使える利用者さんに切ってもらうため、切る線がわかりやすいように輪郭(いちんばん外側の線)を太くしておきましょう。
※筆者が作製した塗り絵の図案はこちらよりダウンロードできます。
塗り絵を塗ってもらう
色鉛筆が使える利用者さんに、塗り絵の図案を塗ってもらいます。提供するときは、利用者さんに複数の図案の中から塗ってみたいものを選んでもらうようにすると、作製意欲が高まります。その際、塗り絵をバインダーに挟んで固定しておくと紙が動かくなるので、手が不自由な利用者さんも塗りやすくなるでしょう。今回のテーマは「冬の壁面飾り」なので、青色や空色といった寒色系の色鉛筆を多めに用意してください。
なお、この工程で完成した塗り絵の枚数によって、作製できる壁面飾りの大きさが決まります。大きな壁面飾りを作製したい場合は、数週間から1か月ほどかけてレクリエーションを行い、利用者さんと協力しながら少しずつ枚数を増やしましょう。
塗り絵を切ってもらう
ハサミを使える利用者さんに、完成した塗り絵を切ってもらいます。利用者さんの手の大きさや指の可動性によって扱いやすいハサミが異なるため、複数のハサミを用意して実際に使ってみたうえで、好みのハサミを見付けてもらうと良いでしょう。
ハサミは切れ味が悪くなると利用者さんが取り組みにくくなるため、注意が必要です。アルミホイルを用意して、ときどきハサミで切ってもらうようにすると、切れ味が戻ることがあるので、ぜひ試してみてください。
塗り絵を貼ってもらう
黒色や茶色の模造紙や画用紙を木の幹や枝の形に切って、壁に貼ります。その木の周囲に、利用者さんに切り抜いてもらった塗り絵を貼り付けましょう。低いところは利用者さんに貼ってもらい、高いところは職員が担当してください。その際、貼り付ける位置などを利用者さんに聞きながら進めると、コミュニケーションの機会になります。
飾り付けて完成
雪の結晶が散りばめられた木ができたら、ガーランドのように色付きのテープやカラフルな図形で木を彩って完成です。冬を連想させる雪だるまを一緒に飾ったり、雪の結晶を吊るし飾りのようにあしらったりしても見栄えがするでしょう。
3.職員が注意すべきポイント
雪の結晶の塗り絵を塗ってもらう際は、線が複雑な図案ほど取り組みの難易度が高くなります。利用者さんによっては、塗り終えるまでに時間がかかって途中で疲れてしまったり、線をはみ出して塗って失敗体験につながったりすることもあります。
1人ひとりの手先の器用さなどを確認しながら、無理なく取り組める図案を勧めたり、集中力が途切れる前に休憩を促したりすることで、より良いレクリエーションにしてください。
4.塗り絵の図案プレゼント
リンク先の記事より、塗り絵の図案がダウンロードできます。ぜひレクリエーションにご活用ください。
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