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高齢者レクリエーション 高齢者レクリエーションのノウハウ 2024/04/02

##冬のレクリエーション#2月のレクリエーション#壁面飾り#認知症ケアの現場から

【2月】高齢者と一緒に作る「梅の木」の壁面飾り|認知症ケアの現場から(16)

文・写真/安藤祐介 thumbnail.jpg

介護施設では、利用者さんに季節の移り変わりを感じてもらったり余暇時間を楽しんでもらったりする目的で、壁面飾りを作製することがあります。レクリエーションとして利用者さんと一緒に作製できるのが望ましいですが、多くの利用者さんがいる施設では機能が高い利用者さんに頼りがちになったり、認知症や片麻痺のある利用者さんが参加しにくくなったりすることもあると思います。

そこで本記事では、幅広い利用者さんが参加できる、2月・初春の壁面飾りの作り方をご紹介します。作製の工程を「塗る」「切る」「貼る」の3つに分けてあるので、工程ごとに力を発揮しやすい利用者さんに担当してもらうなどして、より多くの利用者さんと作製を楽しみましょう。

1.壁面飾りの目的・期待できる効果

  • 余暇時間が充実して、生活の質が向上する
  • 季節の移り変わりが感じられ、見当識が賦活される
  • 雰囲気が明るくなり、過ごしやすいフロアになる
  • 日中の活動量が増え、体力の維持につながる
  • 集中して取り組むことで、認知機能の維持につながる

2.2月・初春の壁面飾りの作り方

塗り絵の図案を用意する

塗り絵

初春の季節感が出るように「梅」や「椿」の塗り絵の図案を用意します。図案は後ほどハサミで切ってもらうため、切る線がわかりやすくなるように輪郭(いちばん外側の線)を太くしておきます。
※筆者が作製した塗り絵の図案はこちらよりダウンロードできます。

梅には花びらが白色の種類もありますが、白色は図案として塗りにくいため、赤系統の色鉛筆で塗ってもらえるように名称を「紅梅」としました。椿も花びらが白色の種類があるため、事前に赤色や桃色で塗られた図案をお手本として提示しておくと良いでしょう。

「塗る」工程

塗り絵

色鉛筆が使える利用者さんに、塗り絵の図案を塗ってもらいます。色塗りはあまり複雑な手の動きを必要としないため、多くの利用者さんに担当してもらえる工程です。提供する際に、塗り絵を大きめのバインダーに挟んで固定しておくと、紙が動かなくなるので、片麻痺などで手が不自由な利用者さんも取り組みやすくなります。

認知症がある利用者さんは、花や葉を何色で塗ったら良いかのわからなくなることがあるため、必要な色の色鉛筆をケースに入れて渡したり、他の利用者さんの作品を見やすい位置に置いて、お手本にしたりすると良いでしょう。

「切る」工程

塗り絵切り抜き

ハサミが使える利用者さんに、完成した塗り絵を切ってもらいます。ハサミで切るのは色塗りよりも複雑な手の動きを必要としますが、あらかじめ輪郭の線を太くしておくことで、切りやすくなると思います。切ってもらう際はA4用紙のまま渡すのではなく、職員が大まかに切ってから渡すとさらに取り組みやすくなるでしょう。

また、利用者さんの手の大きさや指の可動性によって扱いやすいハサミが異なるため、複数のハサミを用意し、実際に使ってもらったうえで、好みのハサミを選んでもらうのがおすすめです。

「貼る」工程

貼り付け

切ってもらった塗り絵を貼るための下地を作るため、作製したい壁面飾りの大きさに応じて、模造紙や段ボールを「2月」という形に切ります。

続いて、2-3までの工程で出来上がった椿を、下地が隠れるまで貼り付けてください。貼り付ける工程は、のりやセロハンテープが使用できる利用者さんに依頼すると良いでしょう。

木

さらに、茶色系統の模造紙や画用紙を切って木の幹や枝をつくり、そこに梅の花を貼り付けます。

貼り付け

木の幹や枝を壁に貼り付けた後、利用者さんと位置を相談しながら梅の花を貼り付けると作業がスムーズになります。最後に、全体のバランスを見ながら「2月」の文字を飾りつけて完成です。

3.職員が注意すべきポイント

利用者さんのなかには、高い集中力を発揮し、長時間にわたってレクリエーションに取り組み続ける方がいます。それは良いことである反面、ご自分が疲れていることに気付かず、終わった後に目の疲れや肩こりを訴えたり、体力を消耗して姿勢の崩れにつながったりすることもあるので注意が必要です。レクリエーションを担当する職員は、適宜休憩や補水を促したり、表情や声色に変化がないかを確認したりしながら、利用者さんの体調に配慮しましょう。

4.塗り絵の図案プレゼント

リンク先の記事より、塗り絵の図案がダウンロードできます。ぜひレクリエーションにご活用ください。

紅梅の塗り絵2パターン
寒椿の塗り絵2パターン

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安藤祐介(Yusuke Ando)

作業療法士

2007年健康科学大学を卒業。作業療法士免許を取得し、介護老人保健施設ケアセンターゆうゆうに入職。施設内では認知症専門フロアで暮らす利用者47名の生活リハビリを担当し、施設外では介護に関する講演・執筆・動画配信を行っている。

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